エンジニアの仕事には、日々の勉強が不可欠だ。しかし、せっかく技術書やビジネス本を読んでみても、「学んだ内容をすぐに忘れてしまう」「仕事にうまくアウトプットできていない」という人は多いのではないだろうか。
そんな人にぜひおすすめしたいのが、書籍『死ぬほど読めて忘れない高速読書』に掲載されている、「高速読書」という方法だ。
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高速読書とは、脳科学を活用し、“短時間で本を読めて、内容を忘れない”という画期的な読書術。今回はすぐに実践できるよう、書籍の内容を一部抜粋して紹介しよう。
学習効率を高める「高速読書」
“短時間で本を読む方法”といえば、「1冊3分で読める!」というような速読術が思い浮かぶかもしれない。しかし従来の速読術のように、眼球を速く動かし、写真を見るように文章を読むという方法は、内容を記憶に定着させることが科学的に不可能だと立証されている。
一方で今回紹介する「高速読書」は、脳科学で効果が明らかになっている「分散効果」「エピソード記憶」「アウトプット」を駆使して編み出された読書術だ。そのため、短時間の読書でも記憶への定着度を格段に上げることが期待できる。
【高速読書の特徴】
・本を高速で読むことができる。1冊を30分で3回読む。
・本の内容を長期記憶として脳に内容を定着させることができる
・仕事や生活でアウトプットできる
・レッスン不要ですぐに実践できる
・ビジネスパーソンからシニアまで使える
高速読書のやり方
高速読書を成功させるためには、まず、目的意識と課題意識を明確に持つことが重要だ。要するに、この本を読んで何に役立てたいのかを考えるとことが欠かせない。今果たしたい目的や願望、自分が抱えている課題、仕事で手に入れたいスキルやポジションなどの目的を書き出すことから始めてみよう。それが分かると、読むべき本も明確になる。
そして、高速読書は、以下2パターンの方法で行うことができる。集中して本を読むことが得意な人にはパターン①の方法がオススメ。集中して読むのが苦手な人や、難しい内容の本を読むときはパターン②の方法を試してみてほしい。
パターン① 集中して読むのが得意な人向けの方法
1冊を3回、時間をあけて集中して読む。毎回異なる場所で読むのがベスト。
【1回目】(15分)
全ページ読む。重要ページは角を折り、目印を付けておく(ドッグイヤー)
【2回目】(10分)
ドッグイヤーのページを中心に読む。重要箇所に青ペンでメモする
【3回目】(5分)
青ペンの入った箇所を中心に読む
パターン② 集中して読むのが苦手な人や、難しい内容の本を読むときの方法
・1章読み終えたら、もういちど1章を読む
・章ごとに2回ずつ読み、3回目は通して読む
(例)5章立ての本の場合
第1章:1回目の読み(3分)→2回目の読み(2分)
第2章:1回目の読み(3分)→2回目の読み(2分)
~
第5章:1回目の読み(3分)→2回目の読み(2分)
※3回目は全体を通して読む(5分)
また、読書スピードをアップするための5つのテクニックを用いて、効率的に読書を進めよう。
5つのテクニック
①本文に入る前に、カバーと帯の内容をチェックする
②読む必要のないところは読み飛ばす(目次、あとがき、イラストや図表など)
③1回目は文字を振り返らない。 ※漢字を中心に読んだり、著者の主張とそこから分岐する論点だけを読めば書いてある内容がおおよそ理解できる
④2回目は、ドッグイヤーのページを中心に、その前後と1回で理解が追いつかなかった部分だけを読む。この際、後述の「青ペンなぐり書きリーディング」を行い、エピソード記憶に結び付ける
⑤3回目は、青ペン箇所を中心にアウトプット法を考えながら読む。後で「アウトプットノート」を書くことを前提に、「本で得た知識を、どう自分の行動につなげるか」を考え、その内容を青ペンで本に書き加えていく
高速読書のコツ
1回目のコツ:ロケットスタートリーディング
■タイマーと同時に、一気に読み始める!
【やり方】
ストップウォッチを用意。制限時間を決めてカウントダウンタイマーをスタート。同時に、本を一気に読み始める。読み飛ばしてもいいので、制限時間内に読み終えるようにする。このとき、重要だと思ったページはドッグイヤーにする。
【効能】
読書スピードが伸びない一因は、読書に集中できていないから。タイマーによって終了時間を強制的にロックされると、集中力が飛躍的にアップする。
2回目のコツ:青ペンなぐり書きリーディング
■本にエピソードを残すと、知識が脳に定着しやすい
【やり方】
・ドッグイヤーのページと、その前後を中心に読む。
・思ったことを本に青ペンで書き込む。重要度が高いと思う部分ほど、大きく、汚く、感情を込めてメモする。
【効能】
脳科学の「エピソード記憶」を活用。脳は平常時よりも何らかの変化がある場合の方が物事を記憶できる(エピソード記憶)。重要箇所に青ペンでなぐり書きをすると脳はその部分を特別なエピソードとして記憶。また、青色には思考力を高める働きもある。
3回目のコツ:アウトプットリーディング
■アウトプットすれば、本の内容が長期記憶として保存される
【やり方】
・青ペンの箇所を参照しながら、その情報を仕事や人生にどう生かすかを具体的に書き加える。
・時間に余裕がある人は、読書後にアウトプットノートをつくればさらに効果的。
【効能】
インプットした内容を自分の言葉でアウトプットする(現実世界で使う)ことで、脳はそれを重要な情報だと捉え、長期記憶として保存していく。
アウトプットノートを書くときのポイント
ノートの左側から、①読書の目的 ②書名やメモ ③本のエッセンス(20文字程度で) ④行動プランや具体的なアクション を書く。
高速読書を行うことで、本を「速く読み」「記憶に定着させ」「アウトプットに使う」ことができる。学んだことを使うという癖を付けることができれば、スキルアップにもつながるはずだ。今まで「本で学んだことをうまく仕事に結び付けることができていなかった」という人は、ぜひ高速読書を試してみてほしい。
【書籍紹介】
『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)
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著者情報:上岡正明(かみおか・まさあき)
日本脳科学認知心理協会理事。株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役社長。多摩大学大学院情報経営学科修了(MBA)。多摩大学客員講師。1975年生まれ。放送作家を経て、27歳でマーケティングのコンサルティング会社を設立。従来の速読法によってビジネススキルの向上を目指すもその効果に疑問を抱き、脳科学的なアプローチから「高速読書」を考案して実践。1日1冊読めて、記憶に定着する高速読書を15年間続けている。日本神経心理学会、日本行動心理学協会、一般社団法人日本行動分析学会の各会員
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構成/河西ことみ(編集部)