キャリア Vol.1003

令和の“ドラフト1位エンジニア”は誰だ!? 人気企業3社が本気で考えた新規事業立ち上げチームに欲しい人【BASE×DMM×SHOWROOM】

日々、新たな技術が生まれ、技術トレンドが塗り替えられていく。そんな激動のIT業界において、2020年以降に求められるのはどんなエンジニアだろうか。

『エンジニアtype』は人気IT企業が求めるエンジニア人材をより具体的に探るため、BASE、DMM、SHOWROOMの3社に協力を仰ぎ、「エンジニアドラフト会議」を実施。「自社で新規事業(Webサービス)を立ち上げると仮定し、スキルや経験値が異なる16名のエンジニアの中から4名のエンジニアを選んで1つのチームを編成する」試みだ。

今、各社がこぞって「欲しい!」と思っているのは、一体どんなエンジニアなのか? 3社のCTO、プロダクトオーナーのリアルな本音に注目してほしい。

エンジニアドラフト会議/BASE・DMM.com・SHOWROOM
BASE株式会社 執行役員CTO
川口 将貴さん(写真左)
1991年生まれ、東京都出身。大学卒業後、2013年ソーシャルゲーム開発会社に入社。サーバーサイドエンジニアとしてアバターゲームの開発に従事。その後同社の女性向けネイティブゲームの開発運用に異動しCocos2d-xを利用した開発を経験。17年5月にBASE株式会社に入社。ショッピングアプリ『BASE』のバックエンド開発を担当し、17年9月にライブ配信機能『BASEライブ』を開発。BASE Product Divisionのテックリードを経て、19年7月に執行役員CTOに就任

DMM.com プラットフォーム事業本部 プロダクトオーナー
石垣 雅人さん(写真中央)
DMMにおけるAccount(ID)、Auth、Personalinfoのバックエンド周りのプロダクトオーナーを経て、2018年7月にリードナーチャリング領域を強化するチームの立ち上げを行う。現在はネイティブアプリの立ち上げ段階のプロダクトオーナーにも従事

SHOWROOM株式会社 CTO
佐々木 康伸さん(写真右)
ITベンダー企業を経て 2008年に株式会社モンスター・ラボに入社。自社の音楽配信サービスやソーシャルアプリを開発する。10年DeNAに入社後、Mobageの開発・運用や、音楽アプリGroovyの開発に携わる。13年に代表の前田裕二氏とSHOWROOMのサービス立ち上げ、15年にDeNAからSHOWROOM株式会社として独立後、CTO、バックオフィス、新規事業、HR全般を担当し、現在はプロダクト開発および、XR・メディア等、新規事業開発の責任者を務める
エンジニアドラフト会議・ルール説明

【概要】
新規Webサービスを立ち上げることになった。立ち上げメンバーは4名であり、以下の図にある16名のうちから1巡ずつ各社で指名していく。また、構成は自由となっている。
例)フロント×2名とインフラ×2名やフロント×4名という選択も可能

【ルール】
(1)各ポジションの人材は1名ずつしかいないものとする

(2)希望ポジションが被った場合はくじ引きにより決定する

(3)ドラフト指名者は、あくまでもプロジェクトの責任者としての立ち位置になるため、自分は手を動かさないものとする。(自分自身は人数にカウントされない)

エンジニアドラフト会議/ルール表
スペシャリスト志向
マネジメントはやりたくない。コミュニケーションは苦手で、ガツガツとコードを書きたいタイプ
※PMの場合は、技術者寄りの思考という想定

マネジメント志向
話すのが好きなリーダー気質。将来はマネージャー希望。あくまで志向であるのでPM経験はないものとする
※PMの場合は、ビジネス寄りの思考という想定

レギュラースキル
スキル・コミュニケーション能力共に平均レベル。ある程度業務は任せられるが、社内で今より昇進・昇格させるにはもう少し経験が必要だと考えられる層(想定経験年数3~4年程度)

ポテンシャル・ガッツ系
プロジェクト経験は1~2つ。言われた通りに手伝いや簡単な開発を担当する程度のスキルレベル(想定経験年数1年未満)
※PMの場合は、「PM候補」程度の認識で、PMの実業務経験はないという想定

1巡目の指名で3社ともハイスキル人材を指名すると思いきや……?

——まずは「どんな新規事業を立ち上げるのか」という前提を共有させてください。簡単で良いので、立ち上げたいサービスのイメージを教えていただけますか?

川口:「BASEに付随する新規サービス」を小規模で立ち上げるイメージです。

石垣:「新たなカテゴリーのECサイトを立ち上げる」、これでいきたいと思います。

佐々木:新たな動画配信サービスとして、「SHOWROOM2」を作りたいと思います。

——分かりました! どんなドラフト会議になるのか楽しみです。それではさっそく、1順目いってみましょう!

エンジニアドラフト会議

——お~! 見事にバラけましたね。その人材を指名した意図を教えてください。

●SHOWROOM・佐々木さん→F3(フロントエンド/レギュラースキル)
新規事業を動かすには、サービスの外観をいち早く作ってユーザーのフィードバックをもらうこと、そして出資してくれるパートナーの存在が必要です。そのためのサービス設計と営業のどちらもできるのが、一定の技術力とコミュニケーションスキルを持つF3だと思いました。あえてスペシャリストではなくレギュラーにしたのは、新規事業の調整にはコミュニケーションが不可欠だからです。

●DMM・石垣さん→P2(PM・PL/ハイスキル・マネジメント志向)
マネジメント能力のあるP2を選びました。経験則から、たとえメンバーの開発能力が低くても、プロセスを整理すれば育つと思っています。その辺りをフォローしつつ、開発メンバーの意見をまとめる役割を担ってもらえればと。

●BASE・川口さん→P1(PM・PL/ハイスキル・スペシャリスト志向)
僕もマネジメント志向のP2と迷ったんですが、コードは後から改善できるので、まずは作りたいものを強く持っている人がいいと思いました。技術というより思想が強い人。確固たる芯みたいなものがあるとプロダクトに迷いがなくなるからです。今、一緒に働いているプロダクトオーナーは、まさにそういうタイプですね。

——各社の思考が顕著に現れていて、大変興味深いです。真っ先にハイスキル人材が選ばれるだろうと予想していたので、レギュラースキル人材に声が掛かったのが意外でした。

パワーバランスを加味した2巡目、初の重複指名は〇〇スキルのバックエンド

——では、2巡目にまいりましょう!

エンジニアドラフト会議

——おっと! B3(バックエンド/レギュラースキル)が佐々木さんと川口さんでカブりましたね。では、お2人でくじ引きをお願いします。さて、どのような結果になったのでしょうか?

●DMM・石垣さん→F1(フロントエンド/ハイスキル・スペシャリスト志向)
やっぱりフロントエンドがいないと何も始まらないですからね。最初にP2(PM・PL/ハイスキル・マネジメント志向)を獲得しているので、F1のコミュニケーション力不足をP2が補ってくれるかなと。F1にはガリガリとコードを書いてもらい、市場に出せるものを最短で作ってくれることを期待しています。

エンジニアドラフト会議
B3はBASE・川口さんがゲット!

●BASE・川口さん→B3(バックエンド/レギュラースキル)
B1(バックエンド/ハイスキル・スペシャリスト志向)にも惹かれましたが、少数のチームで誰かがイニシアチブを取りすぎると、その後の採用が不安だなと。コミュニケーションが苦手な人が採用担当になると、ちょっと怖いですよね。なので、とりあえず地固めができる人として、あえてレギュラースキルを選びました。

今回、F3(フロントエンド/レギュラースキル)は獲られてしまっていましたが、今どきはあまり複雑なバックエンドのコードを書く必要性がなくなっているので、先にフロントエンドを獲るのもアリだったと思います。

●SHOWROOM・佐々木さん→B1(バックエンド/ハイスキル・スペシャリスト志向)
残念ながらB3を獲得できず……。B4(バックエンド/ポテンシャル・ガッツ系)と迷いましたが、経験1年未満はちょっと怖かったので、コミュニケーション力の不足は他で補う前提でハイスキル人材にしました。ただ、レギュラースキルのF3(フロントエンド/レギュラースキル)に対してパワーバランスが悪いのは否めませんね。

——スペシャリストではなく、レギュラースキルを持つバックエンドエンジニアのB3に人気が集まったのは意外です! 皆さん、パワーバランスをかなり気にされているのと、技術的なスキルと同じくらいコミュニケーション能力を求めていることも理解できました。

3巡目までに全員指名されたフロントエンド、まだ誰にも指名されないインフラ

——おもしろくなってきましたね。では、3巡目どうぞ!

エンジニアドラフト会議

——また佐々木さんと川口さんがカブりましたね! またしてもくじ引きです。さぁ結果はいかに?

●DMM・石垣さん→B2(バックエンド/ハイスキル・マネジメント志向)
バックエンドが必要なのですが、B1(バックエンド/ハイスキル・スペシャリスト志向)とB3(バックエンド/レギュラースキル)は獲られてしまったので、やむを得ずB2を選びました。パワーバランスを考えれば理想はB3でしたね。

エンジニアドラフト会議
2回目はSHOWROOM・佐々木さんがアタリを引いた!

●SHOWROOM・佐々木さん→F2(フロントエンド/ハイスキル・マネジメント志向)
F2を獲得できました! これはパワーバランスを重視した選択です。先程選んだB1(バックエンド/ハイスキル・スペシャリスト志向)に対して、F3(フロントエンド/レギュラースキル)だけだと力関係が弱くなってしまう。そこにマネジメントスキルを持つF2を入れることで、「B1:F3&2」という1:2の構図にし、バランスを取りたい意向があります。

●BASE・川口さん→F4(フロントエンド/ポテンシャル・ガッツ系)
F2を獲りたかったんですが、残念ながらダメでした。F4はポテンシャルとガッツでリリースまではどうにかなっても、先々が不安です。将来的に不安要素になる可能性は高いだろうなという気持ちはありますが、致し方ないですね。強いてF4の方にアドバイスを送るなら、「デザイナーのことを考えてコードを書けるように努力してほしい」です。

——これでフロントエンド人材は、全ていなくなりました。対して、インフラエンジニアは全員残ったままですね。

エンジニアドラフト会議/残り
※この時点での獲得状況

石垣:今回の設定は新規事業の立ち上げであって、まだサービスが伸びていない段階ではインフラエンジニアは必要ないという判断ですね。立ち上げの段階ではバックエンドエンジニアにインフラもまかなってもらえればと考えています。

佐々木:同感です。もちろんインフラエンジニアがいたらうれしいですけど、リソースに限りがある場合はどうしても優先度が下がってしまいます。サービスが軌道に乗ってきた段階ではほしいですけどね。

川口:ですね、インフラエンジニアに指名が入らないのはフェーズの問題かなと。

ラストの指名で2社が選択したのは「ポテンシャル」のエンジニア

——いよいよ最後の4巡目、発表をお願いします!

エンジニアドラフト会議

——最後は指名がばらけましたね。

●SHOWROOM・佐々木さん→P4(PM・PL/ポテンシャル・ガッツ系)
これはチャレンジアサインですね。新規立ち上げの場合、事業責任者が現場にいろいろなオーダーを出すので、現場の人間は四苦八苦することになります。それらのオーダーをP4に集約できればと。すごく大変な任務なので、バイタリティが必要なんです。加えて、現場のエンジニアの要望や雑務を引き取ってもらうイメージですね。

●DMM・石垣さん→B4(バックエンド/ポテンシャル・ガッツ系)
B2(バックエンド/ハイスキル・マネジメント志向)にB4を教育してもらうイメージです。当社には40種類ほどのサービスがあり、各サービスとの連携が必要になるという事情から、バックエンドが2名欲しかったんですよね。

バックエンド2名にP2(PM・PL/ハイスキル・マネジメント志向)とF1(フロントエンド/ハイスキル・スペシャリスト志向)というシンプルなチーム構成は、現実的にありえるなと感じています。

●BASE・川口さん→I3(インフラ/レギュラースキル)
今時のインフラエンジニアはコードも書けないと生きていけない時代なので、I3にもコードを書いてもらうし、逆にバックエンドにもインフラを触ってもらいます。そう考えると、B3(バックエンド/レギュラースキル)を2人採用した感覚ですね。

レギュラースキルを選んだのは、権威的な組織にしたくなかったから。エンジニアがフラットにしゃべりながら改善できる環境がベストだと思っています。小さいチームなので、チームマネジメントはセルフですね。

完成したチームの懸念点とキーパーソンは……?

——これでドラフト会議は終了です。完成したチームはこちら!

エンジニアドラフト会議/完成チーム

——最後に、出来上がったチームへの感想とそれぞれのメンバーに期待する役割を聞かせてください!

●DMMチーム構成

・P2(PM・PL/ハイスキル・マネジメント志向)
・F1(フロントエンド/ハイスキル・スペシャリスト志向)
・B2(バックエンド/ハイスキル・マネジメント志向)
・B4(バックエンド/ポテンシャル・ガッツ系)

石垣:ややマネジメント領域が大きすぎた感じもありますが、フロントエンドの尖った感じをP2とB2が中和しながら、円滑にチームを回してくれたら嬉しいですね。B4には新卒者を入れて、各々が成長を目指してもらえればと思います。

●SHOWROOMチーム構成

・F3(フロントエンド/レギュラースキル)
・B1(バックエンド/ハイスキル・スペシャリスト志向)
・F2(フロントエンド/ハイスキル・マネジメント志向)
・P4(PM・PL/ポテンシャル・ガッツ系)

佐々木:ほぼ理想的なチームができたと思います。B3(バックエンド/レギュラースキル)が獲れなかったのは残念でしたが、インフラエンジニアがいない分、そこもまとめて見てくれるバックエンドのスペシャリスト人材がいるのはアリかなと。

B1を他のメンバーがうまくコントロールして回してもらいたいんですが、そのカギを握っているのが意外とP4かもしれない。P4がムードメーカーになり、他のメンバーが「仕方ないな、やってやるか」って感じになればOK。P4の才能にかかってますね(笑)

●BASEチーム構成

・P1(PM・PL/ハイスキル・スペシャリスト志向)
・B3(バックエンド/レギュラースキル)
・F4(フロントエンド/ポテンシャル・ガッツ系)
・I3(インフラ/レギュラースキル)

川口:サービスを早く形にするためにも、F2(フロントエンド/ハイスキル・マネジメント志向)が欲しかったのが本音。F4に爆速で技術力を伸ばしてほしいと願うばかりです。苦労はすると思いますが、乗り越えたら絶対に成長できるはずなので。

チーム全体としてはプロダクトに対する思いがあるP1をチームに据えているので、めっちゃ伸びるプロダクトになるか、リリースできないかのどちらかでしょうね。後者の場合は、こだわりが強すぎて永遠に完成しないパターン(笑)

——それぞれ若干の懸念材料は残りつつ、それを解決に導けるようなキーパーソンを含めているワケですね。後編では改めてチーム編成の意図を掘り下げながら、「2020年に求められるエンジニア像」を浮き彫りにしていきたいと思います!

後編記事はこちら
>>人気企業3社が語る今欲しいエンジニアの条件「2020年以降のエンジニアに最も必要なのは“技術以外”のスキル」【BASE×DMM×SHOWROOM】

企画・取材・編集:天野夏海 文:小林 香織 写真:赤松洋太 画像:川松敬規(編集部)

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