キャリア Vol.1017

【連載:AI姉さん】5G先進国・中国から見る「5G×AI」で実現する未来。コロナで進む非接触診断にも注目

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AI姉さん・チェルシーの海外AIビジネス事情

「日本はAI後進国だ」と言われているけれど、海外では今どのようにAI活用が進んでいるんだろう?本連載では、海外AIトレンドマーケターとして活動している“AI姉さん”ことチェルシーさんが、AI先進国・中国をはじめとする諸外国のAIビジネスや、技術者情報、エンジニアの仕事に役立つAI活用のヒントをお届けします!

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海外AIトレンドマーケター | AI姉さん 國本知里・チェルシー (@knmt_ai)大手外資ソフトウェアSAPに新卒入社後、買収したクラウド事業の新規営業。外資マーケティングプラットフォームでアジア事業開発を経て、現在急成長AIスタートアップにて事業開発マネジャー。「AI姉さん」としてTwitterでの海外AI事情やトレンド発信、講演、執筆等を行っている


皆さん、こんにちは。グローバルAIトレンドマーケター・AI姉さんこと、チェルシーです。

2020年と言えば、5G元年! 春以降、日本でも5Gが商用サービス化されていきます。ただ実は、日本は5G導入に関して海外に遅れを取っているのをご存知でしょうか。また、話題になってはいるものの「5G×AIで何が実際に変わるのか?」と思う方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、海外の5G導入状況と、「5G先進国」と言われる中国の最新動向をもとに「5G × AI」の具体的事例について紹介していきます。

海外の5G導入実績は?

まず各国の動きを知っておきましょう。5Gの先陣を切ったのは、米国・韓国・中国でした。

・米国
2018年9月にベライゾン・コミュニケーションズが5Gサービスを提供開始。2019年4月からは商用モバイルサービスも

・韓国
2019年4月に、大手3キャリアが5Gの商用サービスを開始。2019年9月末時点で5G加入者が350万人増加

・中国
2019年11月に大手3キャリアが5Gサービスを開始。対象エリアを50都市に広げており、サービス開始前でも1000万件以上の契約予約が出来たほどで、サービスエリア・加入数で見ると中国が世界最大の5Gネットワークに

2020年の年明けに私が上海に訪問した際も、街中のスマホ店舗は5Gを推しており、人だかりが出来ていました。最初に5Gの提供をスタートしたのは米国ですが、商用化や普及の勢いで見ると、今や中国が5G先進国になっています。

5Gは一体何がすごい?

では、5Gはこれまでの4Gとは一体何が違うのでしょうか。5Gをビジネスで活用するためにも、特徴を抑えておきましょう。

5Gの特徴

超高速・大容量
4Gの20倍の通信速度。1GBの動画をダウンロードする場合、4Gでは8.6秒掛かるが、5Gでは0.4秒で済む

超低遅延
4Gの1/10の低遅延。これによりロボット遠隔操作、自動走行支援、リアルタイムAR等が実現する

多数同時接続
4Gの同時接続の10倍。1k㎡あたりの同時接続数は100万台となり、IoT機器等の様々な接続が可能に

この3つの特徴によって、5Gは私たちの生活にどんな変化をもたらすのでしょう。中国の事例を含めて紹介していきます。

中国実例から見る、「5G×AI」で実現すること

まず、前提として中国政府は2017年にAI国家戦略「次世代発展AI計画」を施行しています。その中で、5つのAIプラットフォーム企業「BATIS」を選定し、2030年までに中国が世界のAI大国になるよう手厚く支援。国としてのAI力を伸ばしています。

BATISとは、Baidu、Alibaba、Tencent、iFlytek、SenseTimeの頭文字で、各プラットフォームに国家戦略としての課題を与えています。5GもこのAI国家戦略及び、各課題を推進させるために必須なのです。その課題とは何なのかお伝えします。

自動運転

5Gで最も期待されているのは自動運転です。中国政府は、Baiduに自動運転のプラットフォームになるよう支援をしています。Baiduは「アポロ計画」として、TOYOTAをはじめとした、日本やドイツなどの自動車企業・IT企業を巻き込み、世界最大の自動運転連合をつくっています。

自動運転システムには、5Gの特徴である「超高速・超低遅延・多数同時接続」が必須。5Gによって車載カメラから得た周辺情報(信号・歩行者など)をクラウドサーバーに送り、リアルタイムで運転操作にフィードバックすることが出来ます。5Gはより安全・安心な運転操作に欠かせないのです。

Baidu・DiDi等は、ロボタクシーの公道パイロット運転を開始し、今年更に拡大していくでしょう。日本でも、自動運転スタートアップのティアフォーが昨年113億円(シリーズA)の資金調達をしており、今年非常に注目されています。

自動運転イメージ
参照:http://apollo.auto/developer.html

スマートシティー

スマートシティーも5Gによって大きく進むでしょう。

中国政府はAlibabaにスマートシティーのプラットフォームとしての支援をしており、『ET Brain』というスマートシティーAIプラットフォームによって街全体の監視・管理を実現しています。私が今年1月にAlibaba本社のある杭州市に訪問した際も、これを体感することができました。

街中にカメラが設置されていて、動画から事故や渋滞などのトラブルを自動的に検出。警察・消防・救助などともリアルタイムに連携を取り、信号機の調整もAIを活用して行っています。

5G導入前でも、AIによるインシデントの認識精度は92%を超えると言われ、緊急車両の応答時間は50%短縮、救助車両の到着は7分早くなったという結果が出ていますが、5Gによってさらにアップグレードされています。

杭州市は非常に渋滞が多い街だったと聞いていましたが、私が行った際は渋滞はほとんどなく、快適な移動をすることが出来ました。

AIによってすでに事故未然防止、渋滞の緩和の基礎が作られていますが、超高速・超低遅延・多数同時接続を可能にする5Gが自動車などのモビリティーや交通インフラへ浸透することによって、更にこのスマートシティの普及を進めていきます。

スマートシティーイメージ
参照:https://www.alibabacloud.com/ja/et/city

遠隔医療

最後に、5Gで実現が進むのが遠隔医療です。広大かつ人口が14億人いる中国では、待たずに治療を受けることができるのは稀で、慢性的な医師不足と言われています。世界人口の22%は中国ですが、なんと医療リソースは2%しかありません。

そこで、中国政府はTencentにAI医療分野の支援をしています。Tencentには画像処理技術、自然言語処理技術、WeChatの活用による予約・支払機能としての強みがあるからです。

皆さんご存知の通り、中国では新型コロナウイルスのパンデミックが発生し、医療機関は非常に切迫しました。その中で、無人自律ロボットが隔離者の様子を見に行き、非接触で診断するという事例が生まれてきています。

また各テック企業によって、スマートフォンから質問に答えることで診断が出来る遠隔診断も多く生まれています。

遠隔医療イメージ
テンセントAI。身体の動き画像・動画からパーキンソン病等の症状を診断
参照:https://www.tencent.com/en-us/articles/2200933.html

遠隔地からCT画像や顕微鏡画像などを大病院に伝送し、遠隔で画像診断をするケースはこれまでもありましたが、5Gが整備されると伝送速度も気にすることなく、高精細の医療画像を診断することが可能です。

また、遠隔からでも専門医がリアルタイムで手術映像を確認し、必要な指導をするといったことも出来るようになります。

さらに、超低遅延の特徴を生かせるARによって、遠隔でも医師から直接診断を受けているようなホログラムの実証も進んでおり、今後ホログラム領域でも5Gの商用化が加速します。

今回いくつか事例を紹介しましたが、中国はAI活用先進国とも言われ、データ量・AI応用では米国を超えて1位になっています。また、R&Dにおいても中国の特許出願数は世界トップとされており、今後は質も上がっていくでしょう。5Gによって、IoTなどのさまざまなデバイスから更に大量データを取得し、AIの精度としても、今後米国に負けないほど急成長するポテンシャルがあります。

さらに中国では6Gの研究・開発も始まっています。6Gは、2030年頃の実現と想定されており、5Gと比較すると伝送速度は10倍以上とも言われています。

日本ではまさに2020年が5G元年だと言われています。通信機器メーカー・エリクソンの調査結果でも、今後5Gが商用化されることで、2025年にはトラフィック量が2019年の4倍に達し、そのうち3/4は動画になるということが示されています。

こうした5Gトレンドを海外先進国から学び、ビジネスにも取り入れていくスキルはビジネスサイドだけでなく、エンジニアにも必須になるでしょう。5Gの海外動向は今後もチェックしていきましょう。

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