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『Sansan Builders Box』の事例に見る、エンジニアがブログを始めるメリット「言語化の継続が、スキルアップや知識の循環に」

働き方

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    Sansan株式会社 CTO
    藤倉成太さん(@sigemoto)

    株式会社オージス総研に入社し、ミドルウエア製品の導入コンサルティング業務に従事。赴任先の米国・シリコンバレーで現地ベンチャー企業との共同開発事業に携わる。帰国後は開発ツールやプロセスの技術開発に従事する傍ら、金沢工業大学大学院(現・KIT虎ノ門大学院)で経営やビジネスを学び、同大学院工学研究科知的創造システム専攻を修了。2009年にSansan株式会社へ入社し、クラウド名刺管理サービス「Sansan」の開発に携わった後、開発部長に就任。16年からはプロダクトマネジャーを兼務。18年、CTOに就任し、全社の技術戦略を指揮する

    皆さん、こんにちは。
    藤倉です。

    昨今、エンジニアがブログを執筆し、情報発信をすることが当たり前になってきました。はてなブログやnoteといったメディアで個人が執筆するほか、企業がテックブログなどのブログメディアを抱え、エンジニア社員に執筆を促すケースもあります。

    当社もエンジニアやクリエーターが中心となって執筆するブログメディアとして、『Sansan Builders Box』を運営しており、昨年一年間で250件の記事を世に送り出しました。

    このブログ。会社から見たとき、また、エンジニア個人から見たときに、どのようなメリットがあるのでしょうか。

    今回は、エンジニアのキャリアとブログについて考えてみたいと思います。これからブログを書いてみたいと思っているエンジニアや、エンジニアのブログをスタートしたいという企業担当の方の参考になれば幸いです。

    Sansanのクリエーターブログ『Sansan Builders Box』の役割と運用の工夫

    このブログメディアは私がCTOになった2018年からスタートしました。始めた動機は、当社のエンジニアやクリエーターによる情報発信の場をつくりたいという思いです。われわれSansanはプロダクトの会社です。Sansan社内にいるエンジニアたちが、日々どういった開発をしているのか。どんなことに困って、どうやって解決しているのかを発信していきたい。そんな思いから立ち上げました。

    開始当初から月に10件以上の記事を掲載することができていましたが、その後も更新数は伸び、今ではほぼ全ての営業日に記事を公開できるまでになりました。

    企業でも個人でも、ブログの継続は難しいものです。一定の頻度で書き続けることは、とても大変な作業です。Sansan Builders Boxがこの頻度で継続できているのは、メディアの開始と同時に設けた編集部の存在が大きいです。

    編集部の主な役割は、三つあります。

    一つは社内から記事を募ること。自ら書きたいと手を挙げてくれるケースもありますが、みんな開発プロジェクトを抱える身です。テーマを考えたり、執筆、推敲の時間が確保しにくいのは当然のこと。

    そこで編集部では、「外部イベントにメンバーが登壇する」とか、「地方拠点と本社とのコミュニケーションで工夫している」といった情報を耳にすれば、「それらの体験を記事にしてみないか」と提案します。

    また、文章の推敲を手伝ったり、会社としてその内容を公開していいかどうかの判断をしたり、できるだけ執筆者の負担を減らすように努めています。

    二つ目は、公開された記事をできるだけ多くの方々に読んでもらえるようにすることです。せっかく書いてくれた記事ですから、埋もれさせてしまうのはもったいない。そこで、会社の公式SNSアカウントで発信したり、当社がスポンサーを務める技術系イベントの場で宣伝したりしています。

    最後に、執筆してくれたみんなへのフィードバックが重要だと考えています。このブログの存在は、当然会社にとって有益な資産です。執筆という形で貢献してくれたみんなには、できるだけフィードバックをして、もう一度書きたいと思ってもらいたいのです。特にたくさん読まれた記事があれば、本人にフィードバックすることで喜んでもらえます。

    また、記事を書いてくれたという情報は全て、各部門のマネジャーにも伝えています。「開発プロジェクト以外でもこんな活動をしてくれている」ということを評価してもらうためです。

    書き手の自助努力だけでは執筆や継続に限界がありますが、こういった仕組みをつくることで、継続しやすい環境をつくっているのです。

    エンジニア個人がブログを書くメリット

    ブログを書くことは個人にとってもメリットがあります。皆さんも想像に難くないのではないでしょうか。

    その最たるものは、やはり“思考の整理”です。ソフトウエア開発という仕事は、日々、考えたり悩んだりしながら大小さまざまな意思決定を繰り返すことで成り立っています。

    言葉にする(=ブログを書く)ことで、暗黙的に考えていたことを明らかにしたり、改めて判断ロジックを見直せる効果があります。言語化を積み上げていくことで、良い判断の再現性を高めることにもつながります。

    また、最近ではSNSやブログ、GitHubなどの活動履歴を参照して、自社への入社を打診する、ダイレクトリクルーティングという採用手法をとる企業が増えています。ブログを書くことによって、そういったアプローチが増えるかもしれませんね。エンジニア個人のキャリアの選択肢を増やすためにも、ブログが役に立つ世の中になってきました。

    ところで、「ブログにするような内容が思いつかない」という意見をたまに聞きます。本当にそうでしょうか?

    ソフトウエア開発は、いろいろなことを考えなければならない仕事です。慣れてきて強く意識せずに行っていることも、改めて言語化してみると価値のある内容になることも多いはず。一つ一つの事柄と向き合うことこそが、思考を深める効果を生み、自己の成長にもつながると、私は思います。

    毎日どんなことを考えながら開発を行っているのか。ぜひ自分自身と向き合ってみてはいかがでしょうか。

    会社が受けている恩恵

    当初、「社内のメンバーが発信できる場をつくりたい」という思いで始めたブログですが、その目的は達成されつつあるようです。多くのメンバーが積極的にSansan Builders Boxを通じて情報発信できる場になりました。

    また、社外の人にブログを読んでもらうことで、われわれの取り組みや社内の雰囲気を知ってもらうことができますから、採用面においても効果絶大です。「ブログを読んでSansanに入社したいと思った」という声を聞くようになりました。

    さらに、社内での知識の循環にも大きく役立っています。エンジニア職だけで200人近くいる組織にもなると、それぞれの部門の取り組みを完全に共有することが難しくなってきます。

    各チームの取り組みを記事にすることで、同じ悩みを持つ社内メンバーとの意見交換のきっかけが生まれています。そして、その刺激が新しい取り組みを生み、次のブログ記事として発信されていくようになりました。

    お互いに刺激し合い、学びながら成長する。そうして、より良いプロダクト開発が進んでいくのは、CTOとしてとてもうれしいことです。

    エンジニアブログのススメ

    エンジニアにとって、日々学び続けることはとても重要です。それと同時に、アウトプットしていくことも等しく大切な行為です。業務の内外で獲得した知識や試みを文章にしていくことで、成長や機会を得ることにつながっていきます。

    自らの学びを共有して、それに触れた人がまた学んでいく。そんな循環が広まっていけば、私たちエンジニアはもっと成長していけると思います。

    皆さん、ぜひブログを始めてみてはいかがでしょうか。

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