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澤円「全てのエンジニアは、無意識の偏見を自覚せよ」女性活躍だけじゃない、真のダイバーシティーを実現するには?【連載:澤円】

働き方

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    株式会社圓窓 代表取締役
    澤 円(@madoka510)

    立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、外資系大手テクノロジー企業に転職、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。
    著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『あたりまえを疑え。―自己実現できる働き方のヒントー』(セブン&アイ出版)※11月末発売予定
    Voicyアカウント:澤円の深夜の福音ラジオ メルマガ:澤円の「自分バージョンアップ術」 オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム

    皆さんこんにちは、澤です。

    ここ数年、「ダイバーシティー」という言葉があちこちで使われるようになりました。そして「多様性を尊重しよう」「マイノリティーを大事にしよう」という声もあちこちから聞こえてくるようになりましたね。

    これはこれでとても素晴らしいことですし、多くの人たちに興味を持ってほしいと願っています。

    しかし、日本のビジネスシーン、特にテクノロジーの世界では「ダイバーシティー=女性活用」となっている印象です。また、エンジニアの世界で女性活躍がなかなか進まない背景には、「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)」が関係していそうです。

    そこで今回は、日本の女性エンジニアが直面するキャリアの壁を例に、全てのエンジニアに認識してほしい“真のダイバーシティー”について、私なりの考えを書いてみたいと思います。

    なぜ、女性エンジニアは今も少ないままなのか

    現在、エンジニアの世界において女性は極めて少数派です。女性活躍やダイバーシティーが叫ばれるようになって久しいですが、今なおその状況は変わっていません。

    そもそも、なぜ女性エンジニアは少ないのでしょうか。

    元をたどれば、エンジニアは学生時代に「理系」と呼ばれるクラスターに属している人が多く、理系学生における女性の割合が低いことにも起因しています。

    また、女性がテクノロジーに興味を持ちやすい文化的な土壌が日本にあるかというと、ちょっと疑問です。

    子ども向けのアニメを見ていても、かっこいいマシンを操っているのは男性であることが多いですよね。「ロボットを操ってみたい!」「かっこいいマシンを作りたい!」と子ども心に思うのは、どうしても男の子中心になってしまうのかもしれません。

    そうしたことも一因となり、エンジニアを職業として選ぶのも、男性が圧倒的多数になっているのではないかと思います。

    しかし、「算数や理科が大好き」「機械が大好き」という女性も世の中にはいるわけで、実際にエンジニアとして活躍している女性も私の周りにはいらっしゃいます。

    ただ、そのような女性エンジニアにとって「壁」になりやすいのが、結婚や出産などのライフイベント。ただでさえ絶対数が少ない女性エンジニアが、ライフイベントでキャリアを諦めてしまうのは、実にもったいないことです。

    連載:澤円 写真1

    女性は、男性は、「そういうもの」と決め付けていないか

    では、ライフイベントによって女性がキャリアを諦めざるを得なくなるのはなぜでしょうか。

    社会構造のせい? 会社の法整備が悪いから? 家事や育児をしない男性が多いせい……? 理由はいろいろと挙げられますが、「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」がいずれの場合も関係していると思います。

    ダイバーシティーとは、「多様な人材を積極的に活用しようという考え方」を指す言葉ですが、そもそも「世の中には多様な人たちがいる」ことを理解することが真のダイバーシティーを推進する第一ステップです。

    しかしながら、人間はどうしても「偏見」を持ちやすい生き物。特に、「男女」というのは、子どものころから強烈な刷り込みが行われています。

    男はこう、女はこう、という決め付けがあらゆるところに存在し、それがキャリアの断絶まで生んでしまっているのです。

    これは、私の原体験をお伝えすると分かりやすいかもしれません。

    私は「円(まどか)」という名前で、男性の中では圧倒的なマイノリティーです。名前で女性と間違われることも、しょっちゅうありました。

    実際、中学や高校の進学時にはセーラー服の案内が届き、20歳を迎える頃には振袖の訪問販売が家に来ることも。

    就職活動の際に家に届く募集案内のパンフレット(当時は全て紙!)の三分の一は、いわゆる「一般職」と呼ばれる女性社員募集のものでした。こんな体験をできる人は、そうそう多くないでしょう。

    そんなこともあり、「女性が、女性であるというだけでどのように扱われているか」を垣間見ることができたのです。

    特に、就職活動の際に見た女性向けの募集要項を見て驚きました。雇用条件が男性とは全く違っていたからです。

    すでに男女雇用均等法が施行された後だったのですが、まだまだ男女の格差が容認されていた時代でした。時代が変わりさまざまな面で改善は進んだものの、今でも男女間の差は大きいと思います。

    この差を生んでいるものこそ、「女性はそういうものである」という「無意識の偏見」です。

    また、高度成長期からの日本の成功パターンが「男性が外で働き、女性は家を守る」というスタイルだったこともあり、その考え方が昭和を支えた年代から脈々と続いていると感じています。

    その名残は、『サザエさん』(フジテレビ)や『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』(ともにテレビ朝日)などの人気番組の中にも息づいていますよね(いずれの作品も、登場する母親が専業主婦です)。

    連載:澤円 写真2

    「茶髪は不真面目」「帰国子女は常識がない」…全て事実と異なる思い込み

    また、この「無意識の偏見」は、女性活躍だけでなく、あらゆる面でダイバーシティー推進に悪影響を与えます。

    「あの人は帰国子女だから日本の常識が通用しない」
    「彼は茶髪だから不真面目だ」
    「彼女は服装が派手だから扱いにくいに違いない」

    これらの偏見は、私が実際に見聞きしたものです。そして、全て事実ではありませんでした。

    今までの日本社会は極端な同質性の中で運営されてきましたが、SNS全盛となった今の世界では、多様性を認識できないことはもはや致命傷です。

    ましてや、日本は少子高齢化が進む一方であり、人材確保はどんどん難しくなっていきますから、自分たちがイメージする「普通の人」と働きたいと思っても、そううまくはいかないでしょう。

    前半でお伝えした「女性エンジニア」というのも、実はかなり雑なカテゴリ分けであると言えます。

    「女性」と一括りにする前に、一人一人は独立した個人であるはずです。名前があり、それぞれに歩んできた人生があります。

    単純に性別という(それも現代社会では曖昧いまいになりつつある)生物学的な区分で人材を分断するのはナンセンス。

    「男性はこうあるべき」「女性の働き方はこう」と決め付けで考えるのではなく、個人を見る解像度を高める努力が不可欠です。

    「男性・女性」という括りは、20年前のデジカメ並みに画像が粗過ぎます。人を見るときには、くっきりとした解像度で見ていきましょう。全てのエンジニアがこのことを心掛ければ、「無意識の偏見」による被害者は減るはずです。

    性別も年齢も国籍も問わず、全てのエンジニアが自分のキャリアを自分で築いていくことができる社会をつくりたいですね。

    連載:澤円 写真3

    ▼澤円氏 最新書籍『あたりまえを疑え。 自己実現できる働き方のヒント』(セブン&アイ出版)
    あたりまえを疑え。 自己実現できる働き方のヒント

    セブン&アイ出版さんから、私の三冊目となる本が発売されました。「あたりまえを疑え。自己実現できる働き方のヒント」というタイトルです。

    本連載の重要なテーマの一つでもある「働き方」を徹底的に掘り下げてみました。
    ぜひお手に取ってみて下さいね。

    >>詳細はこちら

    >>要約はこちら 澤円さんが教える働き方のヒント『あたりまえを疑え。』

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