2016年6月20日現在
「ドローン」での求人検索結果
ドローンがもっと普及したら需要の高まりそうな「新職種」とは!?専門家たちの予想
ドローンの商用利用について、世界中の人に「もしかしたら『あり得る未来』かも!?」と思わせたという意味で、Amazon Prime Airのコンセプト動画は後世その功績を高く評価されるかもしれない。
この動画のような使われ方が一般化するまでには、現在議論されているような各種の規制問題をクリアする必要があるが、空撮アートや空間クリエイティブの世界ではすでにさまざまな可能性を示している。
それに伴い、ドローン関連の求人情報もにわかに増え始めている。求人検索サイトIndeedで【ドローン×東京都】のキーワード検索をしてみたところ、100件以上の関連求人がヒット(※2016年6月20日調べ)。弊誌の姉妹サイトである『@type』内にも、まだ数は少ないが「ドローン勉強会を実施」、「ドローン・IoT製品からのデータ処理プラットフォーム開発」といった文言を含む求人がちらほら出始めている。
ならば、今よりもっとドローンが普及したら、どんな新職種が台頭するのだろうか。クラウドがここまで広まる過程で、クラウドエバンジェリストやクラウドサービスに特化したアーキテクトに脚光が集まるようになったように、ドローン関連産業にも新たな職業が誕生するのではないか。
そんなちょっと先の未来を想起させるような話を、デジタルハリウッドで聞いてきた。
研究者から管制ビジネスまで。「将来需要の高まりそうな職種」4選
デジタルハリウッドが運営をする『デジタルハリウッド ロボティックスアカデミー』では、昨年12月より「ドローン専攻・ドローン運用ベーシックコース」という講座が催されている。
そのキックオフイベントで、ドローン産業の今と未来を語ったのは、JUIDA理事長/東京大学大学院教授の鈴木真二氏と、デジタルハリウッド大学の学長・杉山知之氏、そして、新規事業の一つとしてドローンによる空撮ソリューションを提供しているコンテンツ開発企業ORSO代表取締役社長の坂本義親氏だ。
鈴木氏が理事長を務めるJUIDAとは、無人航空機システム(UAS)の民生分野における積極的な利活用を推進する一般社団法人で、国のドローン規制関連法案の制定に携わる傍ら、ドローン操縦者・安全運航管理者の養成スクール法人を認定したりもしている。
その流れで、デジタルハリウッド「ドローン専攻・ドローン運用ベーシックコース」の提供プログラムにも携わっており、現在は官民双方の視点で安全確保や技術的問題への対処を進めている。
他方、ORSOはクリエイティブ制作や各種測量での「ドローン空撮」を多数手がける企業。自社が保有するドローンの飛行~撮影回数はゆうに1000回を越えており、その際に用いる独自の安全確認項目も整備しているという。
いわば「ルールづくり(JUIDA)」、「人材育成(デジハリ)」、「先行者(ORSO)」と異なる立場でドローン普及のカギを握るキーパーソンに、近未来に台頭しそうなドローン関連職種を予測してもらったところ、以下のような具体例が挙がってきた。
ドローンに搭載するカメラは重いし、うまく撮るのはとても難しいため、安全飛行でハイクオリティな撮影ができる専門家が必要になるだろう。ドローンによる空撮はエンタメや測量などですでに活用されているが、伸びる需要に対して「プロ」と呼べる人の数はまだ数えるほどしかいない(デジハリ杉山氏)。
個人的には介護方面などで小型ドローンを活用するようなベンチャーが出て来てほしい(デジハリ杉山氏)。
例えば自動掃除機の『ルンバ』を直すためだけに超小型ドローンを使うといったような、「面白い使い方」を発想できる人がもっと必要になると思う。エンタメのようにすでにドローン活用が盛り上がりつつある産業と、新しい産業の架け橋になるような人がプロフェッショナルとして増えてほしい(ORSO坂本氏)。
現状のドローンは、自動車や電車のような乗り物と違って「緊急時のブレーキ」、「緊急停止ボタン」を押せない乗り物。仮に故障が起きても、安全に降ろすことのできる技術開発は必要不可欠になる。そういう人材を育てる支援をしていきたいし、例えば人工知能を使った対応などを研究する余地は大いにあると考えている(JUIDA鈴木氏)。
ドローンを活用するプレーヤーだけでなく、管制システムを開発するような企業が出てくるとさらに面白い(ORSO坂本氏)。
取材・文・撮影/伊藤健吾(編集部)
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