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複数領域のシナジーで“最速”プロダクト開発を実現。エンジニアにとって「組織の壁」がないベンチャーで働くメリットとは?
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コロナショックを受け、「転職するなら安定した大手企業に……」と考えている人は多いかもしれない。
しかし、大企業では「組織の壁」が厚く、しがらみが多いという一面も。エンジニアとしての成長も考えるのであれば、スピーディーな開発を行えるスタートアップやベンチャーへの転職を視野に入れるのもいいだろう。
例えば、以前『エンジニアtype』で紹介した設立2年目のAIベンチャー、ペブルコーポレーションは世界標準のプロダクト開発能力を保有。2020年6月、コロナ禍に『サーモゲート 零-ZERO-』を“最速”で開発して発売。スピード感のある開発は、各事業部の連携があったからこそ実現できたという。
デジタルトランスフォーメーション(DX)部、データサイエンス事業部をはじめ、さまざまな分野のエンジニアが垣根なく連携し合うペブルコーポレーション。組織の壁のないベンチャーでエンジニアが働くメリットとは何なのか? 各事業部トップ3人に聞いた。
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ペブルコーポレーション株式会社
デジタルトランスフォーメーション事業部 執行役員
鶴田光孝さん(写真左)
国内大手SIer、外資系コンピューターメーカー、大手ITサービス企業を経て、2020年3月にペブルコーポレーションに入社。デジタルトランスフォーメーション事業を統括
常務執行役員
中野智裕さん(写真中央)
同社代表の藤方裕伸さんが創業した前職にエンジニアとして入社後、ペブルコーポレーション設立と同時に転職。エンジニアリング本部所属の総勢40名のエンジニアのマネジメントのほか、採用活動も行っている
データサイエンス事業部 執行役員
富樫有博さん(写真右)
日本IBMに約30年在籍し金融系システム開発に長く携わる。その後外資系マーケティング会社を経て、2020年4月にペブルコーポレーションに入社。データサイエンス事業部を統括
オールラウンドな開発集団と、データサイエンス、DXの専門家集団が連携
富樫さん(以下、敬称略):私が統括しているデータサイエンス事業部では、さまざまなバックグラウンドを持つ4名のエンジニアが、BIツールの活用を主軸に活動しています。
最近のBIツールは視覚的に分かりやすいだけでなく、多様なデータを取り込む機能があるのが特徴。例えばSalesforce単体にもダッシュボードの機能はありますが、BIツールをつなげればもっと高度な分析ができるようになるんですね。
こうした「システムと連携したBIツール」の活用は、今後ますます広まると考えています。そこで私たちのチームではまず社内でBIツールを試し、その成果をサービスとして提供することを検討しています。
鶴田さん(以下、敬称略):デジタルトランスフォーメーション事業部では現在SalesforceやRPAに注力しています。在籍しているエンジニア6名のうち3名は異業種からの転職者で、人事や会計、営業事務といった領域のスペシャリスト。その領域の社内業務をRPAツールによって自動化の推進をしています。
また、Salesforceを使用することによって、顧客情報をはじめとする各種営業情報を一元管理し、営業事務の効率化と精度向上を実現。社内の意思決定スピードを上げることに貢献しています。
中野さん(以下、敬称略):私が担当しているのは、AIやIoTを活用したものづくりをするオールラウンドな開発集団のマネジメントです。
エンジニアは総勢40名で、組み込み系エンジニアから金融系システム構築が得意な人、ECサイト構築が得意な人までさまざま。自社プロダクトを販売する際に必要なランディングページの制作も担っています。
安心して任せられるメンバーばかりなので、私は管理職といってもほとんど見ているだけですね(笑)
私自身も開発を担うエンジニアですが、他にSESや受託、自社開発も含めた案件とエンジニアのマッチングを担当しています。エンジニアの希望と現場の求めていることが一致することを最優先に、アサインしています。
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富樫:一般的な会社であれば、組織が縦割りで業務が完全に分かれているケースがほとんどだと思います。例えばデータサイエンスのことは専門の部門が担当し、他の部署が参入することはないでしょう。特に大きな組織になればなるほど、その傾向は強まります。
しかし当社では、別の部署のエンジニアが「この開発にはデータサイエンスの知見が必要だな」と思うことがあれば、気軽に部署をまたいで質問にきますし、より専門的な話になれば、業務の一部を任せるような形での協業も頻繁に起こります。
鶴田:私も含め、当社のメンバーには大手企業出身者が多いのですが、良い意味で“前職だったらあり得なかったこと”が実現できるんですよね。「担当外だからやらない・分からない」と言う人がいないので、開発がかなりスピーディーに進む印象です。

複数領域のシナジーで、異例のスピード開発を実現
中野:最近開発した自社プロダクト、『サーモゲート 零-ZERO-』がまさにそうですね。
新型コロナウイルスが流行り始めた3月ごろ、出勤しているエンジニアが自分で体温を測れるようにと体温計を買いに行ったんです。ところが売り切れていたので、会社にある温感センサーを使うことになって。
彼は「どうせなら、みんなの役に立つものを開発しよう」と、その温感センサーをアレンジして熱のある人が前を通ると光る仕組みの自動体温検知センサーを作ったんですよ。
すると社内で、「これって世間的にも需要あるよね?」という話になり、急遽商品化することになったのが事の発端です。
富樫:そう、この『サーモゲート 零-ZERO-』は、構想からたった3カ月で製品化までこぎ着けたんです。大企業で同じことをやろうとしたら、未だにスタートしていないと思いますよ。稟議を回して、効果が出るか議論して……と、いろいろな手続きが必要ですから。会社全体の意思決定の速さは突出していると思いますね。

富樫:それで、『サーモゲート 零-ZERO-』を販売するにあたりマーケティングもすることになったので、Facebook広告を打つとともに、ランディングページのデータをGoogleアナリティクスからBIツールに連携して分析する役割をデータサイエンス事業部が担当しました。
鶴田:デジタルトランスフォーメーション事業部は今回の温感センサーに関してはまだ連携していないのですが、中野らが開発したプロダクトが広まり業務フローが固まればRPAで自動化する流れが今後考えられます。
鶴田:そうですね。この規模感・スピード感で、自社内だけで全ての工程がカバーできる組織はそうそうないと思います。これも、部署間の連携がスムーズだからこそ、実現できていることではないでしょうか。
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担当部署にこだわる必要はない。シナジーは会社全体で起こすもの
中野:はい。「やりたい人がやる」のが当社の方針であり特徴なので、開発したいプロダクトがあれば自分から積極的に手を挙げることができます。
もちろん、手を挙げた人が業務過多になってしまわないように、エンジニア個人の業務量はきちんと調整していますよ。
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鶴田:自分たちの部署だけで仕事が収まるわけでなく、他部署とも常に連携する必要があるので、多様な知識を勉強できます。デジタルトランスフォーメーション事業部のメンバーは資格取得に熱心な人が多いのですが、これは他事業部との連携によって常に刺激をもらっていることも大きな理由の一つだと思っています。
富樫:そう思います。また、当社はまだ人数が少ないので、いろんなことができるのも良い点だと感じています。各々スキルの専門はありますが、それにとらわれることなく、技術を身に付けていける。
入ったばかりの人でも自分の意見を言えますし、失敗を責めるような人はいないので、みんな伸び伸びとやっていますね。
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中野:富樫の言う通りで、部署はあるものの、その間に壁のようなものは一切ないように思います。さらに当社の場合、部署間の連携だけではなく、受託やSESの案件で学んだ技術を、自社プロダクト開発に生かすこともできる。自分の担当に限らずに“会社全体”でシナジーを起こそうと考えています。
今当社にいるエンジニアは40名弱ですが、このくらいの会社のサイズだからこそ、ものづくりがやりやすいですし、エンジニアとしての主体性も発揮しやすい環境になっていると思いますね。
これから採用を強化していくので社員数は増えていく予定ではありますが、「組織の壁がない」「スピード感がある」といったペブルコーポレーションの風土は、なくさないようにしていきたいです。
取材・文/一本麻衣 撮影/竹井俊晴
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