ネット上には、数々の「SES脱出」ノウハウが出回っている。しかし、SESは本当に“脱出”しなければいけない場所なのか? 本特集では、SESで働く技術者・経営者や人材業界の識者への取材をもとに、SESにまつわるネガティブな噂の真相を検証。SESエンジニアが仕事を楽しみ、“いいキャリア”を築くための方法を紹介する。
経営者、ブラック企業出身者、SESで育った人…さまざまな角度から見た「SESの実態」【検証!“SESはダメ”ってホント?特集まとめ】
IT業界では以前から「SESではキャリアを積み上げられない」「スキルや市況が整ったなら、できるだけ早くSESから脱出すべき」という意見が絶えない。
さらに最近は、新型コロナウイルスの影響でポテンシャル層の求人が減り、「自社開発への就職は難しいからまずはSESへ入社する」といった選択を取る人も増えているようだ。
しかし「SES」とはあくまで一つの契約形態に過ぎないはずなのに、本当に“ダメ”なのだろうか?
そこで今回エンジニアtypeでは、7名のSES関係者に話を伺い「本当のSESの姿」を探った。
SESでは「成長企業」への入社にこだわらなくていい。転職が厳しい“駆け出しエンジニア”のキャリアアップ術
初めに話を伺ったのは、企業経営や人材採用の動向に詳しいキープレイヤーズ代表の高野秀敏さん。「成長したいエンジニアは、どんなSESを選ぶべきか」と聞いてみると、「キャリアアップの観点からは、どのSES企業に行っても大して変わらない」という意外な答えが返ってきた。
よく、『成長企業に入れば、会社の成長に合わせて自分も成長できる』と言いますが、これが当てはまるのは主に自社開発の企業ですね。SESはお客さまのプロジェクトに参加するので、所属する会社の伸び具合は自身の成長にあまり関係がありません。
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「SESの案件ガチャ」本当は存在しない? エンジニアが希望案件に就くためにできること
SESのエンジニアにとって案件のマッチングはキャリアに大きな影響を与えるもの。しかし実際には、希望の案件にアサインされず、悩んでしまうエンジニアは少なくないという。では、“案件ガチャ”のハズレを防ぎキャリアプランを考えていくためにはどうすればいいのだろうか?
よくエンジニアから「会社に聞いたんですが案件がないと言われました」という話を聞くのですが、それは単に営業力不足によって起こっているのかもしれません。一方で、エンジニアのポテンシャルアピール不足によって、希望する案件へのアサインができていない可能性も考えられます。
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「SESの経験、どう活かす?」ブラックSESで過ごした2人に、そこで得たものを聞いてみた
SES企業の中には、「単純作業ばかりでキャリアアップができない」「パワハラや長時間労働が当たり前」といったところも決して少なくはない。では、そんな会社に入ってしまったエンジニアはどうすれば次のステップに進めるのだろうか?2人の「ブラックSES経験者」に直撃し、リアルな実体験を聞いた。
自分のことを振り返って思いますが、ブラックSESや、ブラックまではいかなくても、キャリアアップしにくいSESに入ってしまうエンジニアに共通しているのが、「会社を選んでいない」ということです。
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「絶望の淵にいる“過去の自分”のような子を救いたい」30代SES社長が語るエンジニア成長論
ネット上に溢れる、SESに対するネガティブな発信。そんな「SES叩き」の風潮に一石を投じたのが、SESとスマホアプリの受託開発を手掛けるマンハッタンコード代表の飯村有さんだ。「自分はSESで育ってきたといっても過言ではない」と語る彼が、SESで成長できた理由は何なのだろうか?
仕事に向き合う姿勢は、僕がSESにいようが他の会社にいようが、変わらなかったはず。逆に言えば、SESで成長できない人は、自社開発の会社でも受託開発の会社でも、きっと成果は出せないと思います。
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SESは本当に“踏み台”なのか? 自社開発からあえてSESを選んだ2人に聞いてみた
「SESはエンジニアのファーストキャリアにはいいけれど、ある程度スキルを積んだら自社開発企業へ転職すべき」。そんな意見を多く見かけるが、実際には成長ややりがいを求めて、“あえて”SESへの就職を希望する道があってもいいはずだ。そこで、自社開発からSESに転職した2人に話を伺い、「SESの魅力」を改めて探った。
自社開発では、自分の評価をするのは直属の上司だけです。でもSESでは自社の営業、常駐先の自社の上司、クライアント側の上司もいますよね。そうやって各方面から評価をされる機会ってすごく貴重。それってつまり、常に市場価値を意識しながら仕事に取り組むことができる環境だと思うんですよ。
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SESは決して「成長できない環境」ではない
さまざまな立場から「SESの真相」を教えてもらった本特集。7人の取材を通して分かったのは、SESは「自分次第」の面がとても大きい契約形態だということだ。
いくら条件が良い企業でも「入りやすい」「育ててもらえる」など安直な理由で選べば、成長への道は閉ざされてしまう。逆に、目標を持って入社し仕事に向き合えば、SESは“成長を促す最短ルート”にもなり得るわけだ。
SESは決して「成長できない環境」ではない。ネットに溢れる意見に惑わされず、フラットな目線で企業を見極めてみてはいかがだろうか?
構成・文/河西ことみ(編集部)
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