日本エクセム株式会社 CEO
後藤大介さん
大学卒業後、日本オラクルに入社。受発注や売上・在庫管理、経理、人事などの社内システムのDB構築を担当後、アメリカのBIツールを扱う企業に入社し、日本支社の立ち上げに参画。その後、ベンチャーキャピタルのサンブリッジにて、韓国エクセム社のデータベースプロファイリングツール『MaxGauge』の日本展開責任者を務める。日本エクセム設立に伴い、CEOに就任
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近年、データベース(以下、DB)開発に関わるさまざまなSaaSが生まれ、DBエンジニアのニーズ減少をささやく声が聞こえてくるようになった。
一方で、全く正反対の見方もある。大規模開発を手掛ける現場では、DBエンジニアの需要がますます高まっているという声も聞かれるのだ。
DB領域を専門とするスペシャリスト集団を擁する日本エクセム株式会社CEOの後藤大介さんは、「今後DBエンジニアの市場価値はますます高まる」と断言する。
その真意は何なのか。DBエンジニアの将来性について、詳しく話を聞いた。
日本エクセム株式会社 CEO
後藤大介さん
大学卒業後、日本オラクルに入社。受発注や売上・在庫管理、経理、人事などの社内システムのDB構築を担当後、アメリカのBIツールを扱う企業に入社し、日本支社の立ち上げに参画。その後、ベンチャーキャピタルのサンブリッジにて、韓国エクセム社のデータベースプロファイリングツール『MaxGauge』の日本展開責任者を務める。日本エクセム設立に伴い、CEOに就任
すべてのシステム開発において、DBの存在は欠かせないものだが、そもそもなぜ「DBエンジニア不要」の声がささやかれているのか。
「現在、日本のDB開発に主に利用されているのは、Oracle Database、SQLServer、MySQLとPostgreSQLの4種類です。最近ではMySQLの利用者が増えていますが、その理由はインストールが簡単でセットアップすればすぐ使えるから。また、AWSなどの操作が容易なクラウドサービスを利用するケースも多く見られます。
こうした背景の中、『MySQLを使用すれば、DBは簡単な設定で使えてしまうもの』と認識されつつあります。企業でシステム開発を行う時も、スモールスタートの場合はMySQLで事足りてしまう。実際に、予算がなかったり、汎用化されたDBでもスタートできたりする中規模以下のシステムでは、MySQLを使ってさくっとDBを作ってしまう傾向があります」
だが、実際にはそう単純な話ではないという。
「リリース当初はそれで済んでも、5〜10年経てばデータ量が増えたり、ユーザーが増えたりするので、MySQLなどのDBでは運用に耐えられなくなります。それに、そもそもビジネスで使う場合は、細かい機能まで対応できるようなDBを設計しなくては運用ができません。そのため、主に大規模案件では、専門知識を持つDBエンジニアの存在が必須なのです。
実際にDBのスペシャリストであるわれわれの顧客は、7割がOracle Databaseを利用しており、2割がSQL、1割がOSSです。しかし先述した通り、最近は『DBは簡単なもの』と認識する傾向もありますし、DB開発・設計に関する専門知識を重要視してきた世代はすでに40代となっているため、相対的にDBエンジニアが減ってきています。需要が高まり続けている理由は、そこにあるのです」
とはいえ、進化版のOSSやクラウドサービスなどが新たに登場する可能性もある。そうなった場合の変化について後藤さんに尋ねると、「DBが完全にツール化されるとは思えない」と答えた。
「結局、システムを作るのは人間ですし、AIに設計段階から作業を任せられるまでにはかなりの時間を要するでしょう。こうした背景から、DBを設計する人間が不要になることはしばらくあり得ないというわけです」
DBエンジニアは不要どころか、今後ますますニーズの高まる「狙い目の領域」だと後藤さんは話す。
「現在、DBエンジニア需要はますます高まっていますし、相当先の未来まで、その需要はなくならないでしょうね。それに、DBエンジニアが携わるのは予算の大きい大規模案件がほとんどなので、給与水準もそれだけ高まると思います。今後、何らかの専門性を高めたいと考えている人には、狙い目の領域なのではないでしょうか」
では、現時点でニーズの高いDBエンジニアとは、どのようなスキルを持った人材なのだろうか。
「第一に挙げられるのは、『非機能要件まで考慮して設計できるスキル』。加えて、作ったらそれで終わりではない、『運用を意識した設計』ができることも必要です。
これらのスキルを身に付けるには、DBの運用そのものに関わっていくことが重要です。これだけITが進化しても、大規模システムにはトラブルや性能問題が必ず発生するもの。そういったトラブルに対処し、問題を解消する仕組みをどう作っていくかという観点を持つことが、良い設計の第一歩となります」
「作って終わり」ではなく、運用までのことを考えて設計を行う姿勢は、グローバルの舞台においてもエンジニアの強みになると続ける。
「海外では『運用ではトラブルが起こる』ことが前提で、開発チームもそれに対処できるかたちでつくられていることがほとんどです。そのため、設計から運用までに携わり、柔軟にトラブルシューティングできる人材が重宝されている。今後は日本企業もそういった考えにシフトしていくと思いますし、運用を踏まえて先回りする、設計から運用時まで対応できる人材は市場価値も高まるでしょうね」
続けて、エンジニアがDB領域の仕事を手掛けることの醍醐味についても語ってくれた。
「システムの専門領域を決める際に『開発かインフラか』『構築か運用か』と考える人は多いと思います。一人のエンジニアが全ての領域で万遍なく経験を積むことは難しいですからね。しかしDBエンジニアの仕事では、システム開発における全てを意識せざるを得ないため、自然と広い領域の理解を深めていくことができます。DBエンジニアの仕事の醍醐味は、こういった『開発とインフラの中間』的な部分を経験できることではないでしょうか。
データをどう連携させて構築し、どうコントロールすればシステム全体がうまく回るのか。どのシステムをどこに引き継いで動かし、どう運用していけばビジネスがうまく回るのか。そういうところまで、幅広く、深く考えることが必要になる仕事ですから」
では、これからDBエンジニアを目指す場合には、どのような経験が必要とされるのか。
後藤さんは、「インフラのみならず、開発側のエンジニアでも、キャリアチェンジの可能性は十分ある」と話す。
「当社の面接を受ける人は、ネットワークの構築やサーバの仮装化などを経験し、DBに興味を持ったというインフラエンジニアも多いですし、SQLに携わる中でDBを操作する面白さに気付いたという開発出身の方もいます。
技術的なことは入社後に身に付けていくことができますし、まずはDB運用に携わりながらOJTで理解を深め、実践的な提案ができるようになります。ですから、他職種からの転身でも全く問題はないですね。特に『自分で何でもやってみたい』と思う人には、向いていると思いますよ」
また同社で働くDBエンジニアは、韓国エクセム社のDBプロファイリングツール『MaxGauge』を活用することで、コンサル的な視点・発想力をも伸ばしている。
「当社では、DBを通じて、クライアントのシステム全体、ビジネス全体を考えた提案ができるようなエンジニアを育成しています。エンジニアのキャリアの終点はPMだと考えている人は少なくないと思いますが、ビジネス全体を見通した提案ができるようにスキルを磨けば、PM以外のキャリアアップを実現できる、というのが私の考え。そういった意味で、DBエンジニアは、エンジニアが描く新たなキャリアのモデルになり得ると思います」
最後に後藤さんは、自社のDBエンジニアに対する想いを語ってくれた。
「個人的には、当社のエンジニアには『会社に属すより、会社を利用して成長しよう』くらいの気持ちを持っていてほしいと思っています。『3〜5年の経験を積んだら他の会社に行くつもり』の人の方が成長できるものですしね。……まあ、本当に実現されると困るので、もしそのときが来たら、会社に『もっと給料を上げてほしい』などの条件交渉をしてもらいたいですが(笑)。もちろん双方の努力が欠かせませんが、そうやってお互いに高め合っていく関係になれるのが理想です」
大手企業で働くことが、「安定」とは限らない時代。後藤さんは、エンジニアは転職前提でスキルを磨き、キャリアを築いていくべきだと語る。
「私たちの経営母体である韓国エクセムは、まさにそのような意識を持ったエンジニアが多い会社です。韓国では『DBエンジニアの登竜門』に位置付けられ、韓国エクセムからサムスンなどの国内大手メーカーに転職するエンジニアもいれば、そこからまた戻ってくる人もいる。日本エクセムもそのように、DBエンジニアの精鋭を輩出していける存在を目指していきたいと思っています」
取材・文/上野真理子 撮影/赤松洋太
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