仕事にとことん没頭する人生もいいけれど、職場の外にも「夢中」がある人生は、もっといい。「偏愛」がエンジニアの仕事や人生に与えてくれるメリットについて、実践者たちに聞いてみた!
「筋肉は全てを解決してくれる」ベンチプレス115kg上げる“筋肉CTO”のデカすぎる情熱
か細くって、文化系な人が多い。エンジニアにそんなステレオタイプを持つ人は未だ少なくない。そんな中でひときわ異彩を放っているのが「筋肉CTO」こと、ファインディのCTO・佐藤将高さんだ。
佐藤さんが筋トレを始めたのは今から10年前のこと。現在はベンチプレス115kgを持ち上げるほど筋骨隆々となり、「週5日はジムに通わないと気が済まない」のだとか。
「“筋肉は全てを解決してくれる”。これ、本当のことなんですよ」と、一見ぶっ飛んだ発言をする真意を聞くと、その“筋肉愛”が佐藤さんのエンジニア人生に与えてくれたものが見えてきた。
筋肉部で染みついた「大きいことは良いことだ」
福島の大自然の中で育ち、アマチュア無線を通じて出会った両親の下、幼い頃からPCに慣れ親しんでいた佐藤さん。小学5年生にして自身のWebサイトを構築していたという根っからのデジタル好きだ。
「僕の地元は超がつくほどの田舎で、山の麓にぽつぽつと家があるような場所でした。そこで当時大好きだったカードゲームのトレードサイトや、ゲームの攻略サイトを作って遊んでいたら、1カ月で100万PVまで伸びて。小学校の同級生は7人しかいなかったので、自分の周りにいる人間の何倍もの目に触れられているんだ! と興奮を隠しきれませんでしたね。
そこから毎日PV数を追いかけて分析しながら、次々に新しいページを作って、最終的には40ほどのサイトを作っていました。進学のために上京してからは、当然のようにWebの世界で生きていく道を選びました」
大学時代にはITベンチャーのレアジョブでインターンを経験し、その後ITゲーム大手のGREEに入社。GREE時代にレアジョブで出会った山田さん(現ファインディ代表)と再会したことで、起業の道に進んだ。
「久々に山田とカフェで再会したことがきっかけで、一緒に起業しないかと誘われたんですよ。僕自身、もともとゼロからサービスを立ち上げて、多くの人に喜んでもらいたいという気持ちがあったので、取締役CTOとして共同創業することにしました」
実は、佐藤さんのCTOとしてのキャリアだけではなく、筋トレのきっかけをつくったのも山田さんだというから驚きだ。それは学生時代にまでさかのぼる。
「山田と一緒にタクシーに乗り込んだ時に、『佐藤くん、狭いよ!』と言われたんです。その言葉がショックで、始めはダイエット目的でジムに通いを始めました」
「最初は細マッチョを目指していたんですが、筋トレの知識を付けていくうちに、自分には“大きくする”方が向いていることが分かり、そこから一気にシフトチェンジしました。
実は僕、球技があまり得意ではなくって、スポーツが昔から全然上達しなかったんですよ。でも筋トレはやればやった分だけ結果が出る。具体的にどんなトレーニングをしたらベンチプレスが何キロ上がるようになったとか、成果が数値で分かること、自分の成長が目に見えることが楽しくてのめり込んでいきました」
GREE社内の部活動に「筋肉部」があったことが、佐藤さんをさらに“沼”にハマらせた。
「筋肉部で『大きいことは良いことだ』という価値観に毒されました(笑)。部内にはボディービルの有名な大会でファイナリストまで残った同僚がいて、その人がすごくカッコよかったんですよね。そこからどんどんハマっていき、自分の体質に合ったトレーニングは何なのかPDCAを回していきました。一つの答えがあるものに対し、方法論を考え、実践した結果を分析する。これってエンジニアの仕事にも通じていますよね……!」
筋トレに比べたら、つらいことなんて何もない
筋トレ開始から10年。現在、佐藤さんは“筋肉CTO”として社外にその存在を知られるようにもなっているが、筋トレに夢中になることは佐藤さんの仕事や人生にはどんな好影響があったのだろうか。
「会社員時代は、筋トレによって規則正しい生活が送れる、身体的なコンディションも良くなるとだけ思っていたんです。けれど会社を立ち上げた後、筋トレはむしろメンタル面にとても良い影響があると実感するようになりました。
会社として新しいチャレンジをする時って、すごくエネルギーが必要ですし、想定外の問題が発生したり、期待と違う結果になったりすると、精神的にもしんどくなるもの。変な話ですが、そんな時も『筋トレのハードさに比べれば全然マシ!』と思えちゃうのだから不思議なものです。それにもし仕事での判断が間違っていて失敗しても、『筋トレみたいにまたやり直せばいいじゃん』とポジティブに考えられるようにもなりました」
根性論のようにも思えるが、これは理論的にも証明されていると佐藤さんは続ける。
「筋トレをすると、幸福感をもたらすセロトニンや、アグレッシブになれるテストステロンが体内から分泌されます。だからつらいことがあっても動じなくなり、失敗しても立ち直っていけるんですよね」
「それに何があっても『自分には筋トレがある』と思えるようになったのも大きいです。筋トレ界の有名な言葉で、『筋肉は全てを解決してくれる』というものがありますが、これって本当にその通りだなと思うんですよ」
佐藤さんが「筋トレ好きのCTO」を名乗ることで、同じく筋肉を愛するエンジニア仲間も増えていったという。
「『筋肉エンジニア』というコミュニティーがあって、そこで新しいつながりも広がっていきました。2017年には仲間を集めて『筋肉.swift』というイベントも開催してファインディ社でスポンサードしました。イベントの内容自体はswiftの技術について話し合うものですが、プロテインで乾杯し、最後の集合写真は全員が上半身裸になって撮影するという(笑)。70名近いエンジニアが集まってくれたので、もう一大勢力と言っていいのではないでしょうか」
「それに自分のTwitterなどに“筋肉CTO”というプロフィールを載せているので、最近は良くも悪くも『あの筋肉の人ね』と認識されるようになりました」
筋トレの時間を確保するために、日中は効率良い仕事を目指すように
佐藤さんは「もはや筋トレしないと気持ち悪いと感じる体になってしまった」そうで、多忙な中でも週4〜5日、朝のジム通いを続けている。
「1日ごとに、足・背中・胸・肩・腕……と鍛える部位を変えながら、毎日1時間以上は筋トレに費やしています。どんなに仕事が忙しくても、心置きなく筋トレができるようにしたいので、朝早く起きてジムに行き、早く寝るために日中は仕事に集中するサイクルができ上がっています。生活リズムが整っているので、仕事の効率も良いんですよ」
“筋肉CTO”として、筋トレの効果を仕事にも活かす佐藤さん。仕事も、筋肉も、目指しているものはずっと高くにある。
「会社も筋肉量もまだまだやるべきことや課題があります。今後も筋肉CTOとして、組織拡大や組織づくりにフォーカスしながら、今あるプロダクトをもっとグロースさせていきたいと考えています。仕事も筋トレも、『昨年、超えられなかった壁を超えたい』『過去の弱かった自分に打ち勝ってやる』という強い思いを持っていきたいですね。筋トレの方は具体的に、この1年でベンチプレス130Kg、デッドリフト170Kg、バーベルスクワット170Kgを目指していきます」
仕事と筋トレへの情熱を燃やし続ける佐藤さん。何かに対する強烈な愛や情熱は、その人の人生や価値観をポジティブなものに変えてくれる。そこに惹かれて良い仲間も集まってくる。佐藤さんの筋肉がもたらしてくれたものは、計り知れない。
取材・文/上野真理子 撮影/桑原美樹 編集/大室倫子
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