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「人間らしく、人間を超える」最新ロボが続々登場。孫正義が投資する世界の注目スマボ企業7選

働き方

日本復活のカギは、スマートロボット、略して「スマボ」――。

2021年9月、ソフトバンクなどが主催する『SoftBank World 2021』の基調講演に登壇したソフトバンクグループ代表取締役 会長兼社長執行役員の孫正義氏は、「ロボットの時代とAIの時代をかけ合わせる、“スマボ” の時代がやって来る」と力強く語った。

>>スマートロボット1億台導入で労働力10億人相当に。孫正義が描く日本復活の構想

孫正義

本講演の中で孫氏は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1・2の出資先および今後出資を予定しているロボティクス企業の中から、「製造」「物流」「医療」「小売り・サービス」「事務作業」の五つの分野で実用化されているスマボ企業について解説。

各社が開発するロボットの特徴や、それらの普及によって各分野にどのような変革がもたらされるのか、孫氏が大きな期待を寄せる“スマボ企業”7社をピックアップしてご紹介しよう。

製造:Agile Robots

Agile Robots(思灵机器人)は、独ミュンヘンと北京に本社を構える2018年に設立されたスタートアップ。創業メンバーは、ドイツ航空宇宙センター(DLR)のロボット工学・メカトロニクス研究所(RMC)やハルビン工業大学など、国内外の著名な研究所の出身者で、ロボティクス開発企業の中で最も注目を集めるユニコーン企業へと成長を遂げた。

孫正義

画像提供:Agile Robots(思灵机器人)

Agile Robotsが開発するアーム型のロボは、自主開発のAIアルゴリズムと高精度のトルクセンサー技術により、従来のロボでは成し得なかった精密な作業を行うことを可能にしている。現在は、医療現場や製造現場などでこのアーム型ロボが活用されているという。

孫正義

同社のアームロボは高度な力制御機能を有しているため、接触を検知すると瞬時に動きを止めることができる。針状のデバイスでも風船や紙を破らない程度の接触にとどめることが可能。モーション学習で自らの動作を、作業にあわせて最適化させていく

孫氏によれば、「製造ラインの構築において2週間かかっていたことを、たったの4時間に短縮した事例もある」という。これまで人間の手で行われてきた精密な作業を同社のアームロボが代替すれば、作業時間はより長く、作業効率も格段に上がり、製造現場の生産性向上が期待できる。

物流:AutoStore

AutoStoreは、ロボットストレージシステムを提供するノルウェーの企業。下記は、AutoStoreのコンセプト動画で、同社のストレージシステムの革新性を伝えている。

AutoStoreのロボは、三次元倉庫の中を縦横無尽に走行し、専用コンテナから荷物を取り出して運んだり、格納したりすることができる。

また、出し入れの頻度が高いもの低いものをAIが学習し、頻繁に取り出すものは上の方にしまう、普段あまり取り出さないものは奥深くにしまうなど、効率的な在庫管理を実現。

スポーツブランドの『PUMA』でも導入され、AutoStoreの倉庫の様子を公開している。

「このシステムの導入によって、ある企業のピッキング数は約3倍、出荷数は倍増、人件費は半減したという実例もある」と孫氏。世界中の企業が続々とAutoStoreを導入していると紹介した。

物流:Berkshire Grey

米国・マサチューセッツに拠点を置くBerkshire Greyは、2020年の資金調達で話題になったスマボ企業。同年、2億6300万ドル(約289億円)という巨額のシリーズBラウンドを1月21日に発表した。

Berkshire Greyが開発するのは、高度なピックアンドプレースロボットだ。同社は、ロボットの活用で「高度な集中力を求められる作業の労働力不足を解消しつつ、eコマースの規模を70~80%増加させる」というビジョンを掲げている。

上記の動画で分かるように、工場などで活躍する同社のロボは、商品の形状、大きさ、弾力、重さなどをAIが検知し、それぞれの商品に合った力でピッキングを行ったり、積み替えや移動を行ったりすることが可能だ。

さらに、ロボット自身が最適なピッキング方法を学習し、作業を最適化していく。商品を傷つけたり潰したりせず、まるで人間の手作業のように柔らかくなめらかな動きを見せる。

Berkshire Grey社のロボットを活用したことにより、ある企業では「荷おろしの時間が9割、人件費が7割、倉庫面積が3割それぞれ減少した実績がある」と孫氏は紹介。AutoStoreと同様に、物流業界の常識を覆す企業だと語った。

医療:CMRサージカル(CMR Surgical)

CMRサージカル(CMR Surgical)は、腹腔鏡検査などを行うための手術用ロボットを開発する英国拠点のスマボ企業だ。

孫正義

画像提供:CMR Surgical

医師は人体に直接メスを入れることなく、操作ボックスの中で手術器具を取り付けたロボットアームを操る。

孫正義

画像提供:CMR Surgical

このロボットアームを活用することで、手術時間の短縮ができ、人間の手で行う手術よりも開腹サイズも小さくできる。そのため、患者への肉体的な負担を減らす効果もあるという。

同社の手術用ロボは、「糸を通す」「縫う」などの細やかな作業を医師の操作の下で正確にこなしていく。

導入の効果としては、「合併症が5割、感染症が6割減少、さらに入院期間が7割短くなったという事例もある」と孫氏は明かす。

入院期間が短くなれば、その分の入院費用も安くなるため、金銭的にも患者の負担軽減につながるだろう。

小売・サービス:KeenOn Robot

2010年に設立された中国の自動配送ロボット開発企業、KeenOn Robot(擎朗)

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中国・武漢の病院にて。患者への食事の配膳や院内の消毒作業を行う同社の配送ロボ。院内で24時間働く(画像提供:KeenOn Robot)

同社が開発する自動配送ロボは、コロナ禍の非接触需要に後押しされ、医療施設のみならず飲食店など小売・サービス分野での導入が爆発的に進んだ。

同社のロボは自立走行、障害物の自動回避、エレベーター乗降機能を搭載。マルチセンサーと最新のSLAM技術のおかげで、停止位置の誤差は10mm程度に抑えられる。

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自動配送ロボット『ピーナッツ』。配送完了のお知らせ音や、喜怒哀楽を示す表情も豊か。ユーザーとのコミュニケーションもとれる(画像提供:KeenOn Robot

また、飲食店やホテル、医療施設での配膳作業のほか、ショッピングモールや空港、公共施設などでガイド役を務めることも。画面に行き先を入力すれば、スムーズに目的地まで誘導してくれる。

今後、私たちの暮らしの中にますます溶け込んでいきそうなロボットの一つだ。

事務作業:Automation Anywhere

米国カリフォルニアに本社を構えるAutomation Anywhereは、ホワイトカラーの生産性向上を目指すRPAソフトウェア開発企業だ。

2018年3月に日本法人を設立。国内では大手企業を中心に、製造業、金融、保険、流通などの間接部門(人事や経理など)での導入が進んでいる。

同社のRPAを使用すれば、ユーザーはルールに基づくビジネスプロセスを学習、模倣、実行できるソフトウェアロボット、いわゆる「ボット」を容易に作成することができる。

単純作業、ルーチン業務を自動化していくことで、「人間はよりクリエーティブな業務にシフトできる」と孫氏。「人間が本来やるべき仕事にようやく集中できる時代がやってくる」と、期待を語った。

ますます進化するロボ。スマボの可能性はさらに広がる

孫正義

そのほか、孫氏は最注目のスマボ企業の一つとして、米国に拠点を構えるBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)が開発する人型ロボット『Atlas』を紹介。

軽快なステップに絶妙なバランス感覚、華麗なバク宙など、『Atlas』の動きには人間らしさと、人間を超えた性能が同居している。

同社が開発するロボは、荷物の運搬、災害現場など危険地域での作業など、活用範囲が非常に広い。

2021年初めには、ロボットたちによる軽快なダンス動画も話題になった。ロボットとは思えないしなやかさやリズム感、キレのあるイキイキとした動きを見せている。

今後、こうしたスマボの進化と浸透とともに、私たちの暮らしはよりいっそう便利で創造的なものになっていくだろう。

また、こうした豊かな社会のつくり手になれるのが、エンジニアであることは間違いない。スマボ開発に携わるチャンスがますます広がる今、成長の可能性を存分に秘めたブルーオーシャンに飛び込んでみるのも、刺激的な経験になるはずだ。

取材・文/栗原千明(編集部)

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