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スキマバイトサービス・タイミーPdM「すぐ働けてすぐお金がもらえる」便利さを生んだ“省く”美学

スキル

No.1プロダクトに“スピード戦略”あり

「速い」をつくる技術

No.1のプロダクトには、必ずユーザー体験の「速さ」を向上させるためのこだわりと戦略がある。サービスのどこを速くするか、どのような技術でその速さを実現するか。各社のプロダクトの成長を支える「速さ」をかなえるテクノロジーと開発体制とは?全6プロダクトの「速い」をつくる技術を公開!

ユーザーの「働きたい時間」と企業の「働いて欲しい時間」をつなぐ、スキマバイトサービス『タイミー』。“すぐ働けてすぐお金がもらえる”という手軽さが人気を呼び、リリースからわずか3年で登録ユーザー数は200万人を超え、「スキマバイトNo.1アプリ※」となった。(※ショッパーズアイ実施「スキマバイトアプリサービスの実態調査)

その成長背景には、最短1時間後には働ける「スピーディーな仕事マッチング」と、仕事が終わってから最短15分で給与が受け取れる「即時入金」の仕組みがある。なぜタイミーはそれらを実現させられたのか? アプリ開発のプロダクトマネージャーを務める高石一樹さんに話を聞いた。

株式会社タイミー プロダクト本部 プロダクトマネージャー 高石一樹さん

株式会社タイミー プロダクト本部 プロダクトマネージャー 高石一樹さん

すぐに働けて、すぐに稼げる。
「単発バイト」にスピードをもたらしたタイミー

――はじめに、タイミーのサービスの特徴を教えてもらえますか。

タイミーは「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングさせるアプリサービスで、従来の単発バイト仲介のプロセスが短縮されていることが大きな特徴です。

今まで単発バイト仲介サービスでは、働きたい人は履歴書を企業に持参して面接を受けたり説明会に参加したりして、条件が合えば就業がスタートする、という流れが一般的でした。すぐにお金が欲しくてバイトをしているのに、応募して登録して、働いてお金がもらえるまで1カ月かかるなんてこともざらです。

ですがタイミーなら、ユーザーがアプリで本人確認を済ませたら、後は求人に申し込むだけ。極端な話、「時間が空いたから、1時間後に3時間だけサクッと働く」といった使い方もできます。

そしてもう一つの特徴は、仕事が終わったタイミングですぐに給料がアプリに反映されること。アプリ上で申請すれば、最短15分後には給料が振り込まれる仕組みです。

株式会社タイミー プロダクト本部 プロダクトマネージャー 高石一樹さん

リリース当初は学生向けを想定していましたが、今は社会人の方が就業後などに副業として利用してくれるケースも多いですね。

また、この仕組みは企業側にも大きなメリットがあって、例えば当日になって店舗スタッフが体調不良でバイトに来られないとか、急に大人数の予約が入ってさばききれないなど、すぐに働き手が欲しい場面でタイミーをご利用いただけています。

中には「募集開始から数十秒後にマッチングすることもある」という声もいただいていて、企業側からも手軽さを感じてもらえていますね。

――それだけマッチングが速いと、働き手の質を心配する声も挙がりそうですが……。

意外かもしれませんが、クライアントによる働く条件の設定やレビューの仕組みによって、持続可能なサービスを提供できているんですよ。性善説ベースな仕組みではあるんですけれども。

アプリにはユーザーと企業の相互レビュー機能があるので、雇用主と働き手が「職場はどうだったか」「働きぶりはどうだったのか」をお互いに評価し合うんです。それらの仕組みが抑止力になったり実際の職場環境改善に結びついたりするため、プラットフォームとしての質を維持することができるシステムになっています。

株式会社タイミー プロダクト本部 プロダクトマネージャー 高石一樹さん
――なるほど。従来のアルバイト仲介サービスとはスピード感が全然違いますが、なぜ「マッチングと入金まで」を速くしようと考えついたのでしょうか?

タイミーは、当社代表・小川の原体験から生まれたサービス。小川が大学生の頃、単発バイトがしたいけれど毎回説明会や登録会に行かなければならないのが不便だと感じたことからスタートしています。

ですから、マッチングや入金のスピードを速くすることは、このサービスの根幹です。

リリース当初から「すぐ働ける、すぐお金がもらえる」ことを重視していたので、即時振り込みシステムが完成していなかった頃は大変だったと聞いています。

ユーザーから「振込依頼」が届いたら、小川が近くのATMに走っていって、手動で振込みを行っていましたから(笑)

スピード感のカギは「無駄の排除」にあり

――現在では全ての工程をシステム化し、スピーディーなマッチングや給与受取が可能になりましたが、どのようにその「速さ」を実現しているのでしょうか?

実はマッチングも、給与振込に関しても、技術的に特別なことはしていないんですよ。一般的なレコメンドのアルゴリズムだったり、銀行のAPIとつないで自動処理していたりするだけなので、おそらく他社とも変わりはないと思います。

ただ、プロダクト開発においては「何でもかんでも速くしない」ことにはこだわっていて、開発チームでは「簡略化していいところとそうでないところ」の見極めをかなり慎重に行っています。

――簡略化していいところと悪いところ?

はい。例えば、本人確認のフローや面接工程などは簡略化してもいいと考えています。

従来のように時間をかけて履歴書を記入して面接を行っても、仕事が合わなくて離職する人は後を絶ちませんよね。結局、「その仕事が合うかどうか」はやってみないと分からないものです。

なので、本人確認は写真を送るだけ、その募集に必要なスキルなどの条件を満たしているかどうかは自己申告、選考を行なわずに早く申し込んだ人から仕事を獲得できる仕組み、など「実際に働くまでのフロー」は短くしても問題ないと考えています。

逆に簡略化したらダメなのは、相互評価の制度や仕事を探すフロー。ここに必要以上にスピード感を求めると、タイミーを通じて行なう単発バイトがただの「時間の切り売り」になってしまいます。

株式会社タイミー プロダクト本部 プロダクトマネージャー 高石一樹さん
――時間の切り売りとは?

僕たちは、タイミーを単なる「アルバイト紹介アプリ」ではなく「時間を価値に変換するサービス」だと考えているんです。

今まで単発バイトや短期バイトって、あくまで「一時的な仕事」で、その人が頑張った証やスキルを溜めることは難しかったと思います。けれどタイミーでは、働き方に関わらず、「自分の価値」が溜まっていくようにしたいなと。

例えば、タイミーで今まで巡り合わなかったような業界・業種の仕事を体験して人生の可能性を広げる機会にしたり、企業から良いレビューをもらうことでその人のキャリアを積み上げられるようにしたり。僕たちが目指しているのは、そんなサービスなんです。

だからこそ、「何でもいいから仕事を決めるようなUI/UX設計にはしない」とか、「ササっと適当に相互評価できるようなシステムは作らない」ようなところは徹底していますね。

――なるほど。サービスのミッションやバリューを考えた時に、速くすることが効果的なものとそうでないものを判断しているんですね。

そうです。それと開発チームでは、「働くまでの無駄なフロー」を改善することと同じくらい、「そもそも無駄な開発をいれない」ことも意識しています。

プロダクト作りに「本質的ではない開発」を入れてしまうと、無駄に機能を増やすことになりますし、開発チームのリソースも無駄に割くことになってしまう。

「こんな機能があれば便利だな」というアイデアがあっても、タイミーは「徹底的にシンプルだからこそ、すぐに働ける」ことがサービスの根幹であるわけです。だからこそ「この開発は本当に必要なのか」は徹底して考えますね。

それに、サービスが古くなったときに機能を追加し過ぎていると、技術的負債が溜まってしまうケースも多いですよね。それを見越して、出来る限り改修の少ないサービスにするのも意識しているところです。これは私が、エンジニアリングにルーツがあるプロダクトマネージャーだからかもしれません。

「あったら良さそうなもの」を足し算することは正解じゃない

株式会社タイミー プロダクト本部 プロダクトマネージャー 高石一樹さん
――高石さん自身は、プロダクト作りにおける「速さ」をどのようなものだと考えているのでしょうか?

何でもかんでも速い方がいいわけじゃない」というのが僕の考え。なぜなら、プロダクトに大事なことって、ユーザーにとって価値があるかどうかですから。

タイミーの場合、企業側は「期待に沿った仕事をしてくれる人がすぐに来るのか」、働き手にとっては「いい仕事にすぐ巡り合えるか」が求められていること。

そのためにできることを考えた上で、速さが最初にくるのではなく、「必要があって初めて速さを取り入れる」ことが大事なのかなと思います。

――あくまでユーザーニーズを突き詰めた結果の速さですね。

単純にユーザーの声を直接受け取って機能に反映すると、逆にうまくいかなくなるケースもありますけどね。

例えば「検索がしづらい」と言われたからといって、愚直に検索機能を用意しても、結果的にユーザーのやることが増えてしまう。それでは当社のコアバリューである「すぐに働ける」から遠ざかってしまいます。

もちろんユーザーの声に耳を傾けないわけではなく、機能の追加以外で、社内のオペレーションフローの改善だったりマーケティングによる施策などで改善できることは考えるんですよ。ただ、すぐにプロダクト上で解決しようとしないように気を付けていますね。

繰り返しになりますが、プロダクトに「あったら良さそうなもの」って、無限にある。ただそれを足し算することが必ずしも正解ではないはずです。

何がプロダクトのコアバリューなのか、そのためには速さは、必ずしも必要ではない。それをメンバー全員で認識することが大切だと思います。

取材・文/キャベトンコ 撮影/赤松洋太 編集/大室倫子

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