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エンジニアの中には、「PHPはもっとも簡単なプログラミング言語である」という話を聞いたことがある人は多いかもしれません。とは言っても、PHPに触れたことがない人にとっては「本当に簡単なの?」「そもそもPHPって何ができるの?」などと考える人もいるのでは?
そこで今回は、PHPの特徴やメリット・デメリットなどを徹底解説。「これからプログラミングを始めたい」という初心者はもちろん、「これからバックエンド領域について学びたい」というフロントエンドエンジニアも必見です。
PHPとは、スクリプト言語に分類されるプログラミング言語の一つで、特にWebアプリケーションやWebサイト開発の現場で使用されることが多い言語です。と言っても、Web系開発全般で使用できるわけではなく、得意分野・苦手分野もあります。
それではPHPは具体的にどのような特徴があるのか、人気や将来性はどれくらいあるのか、PHPと同様にWeb系開発で使用されるHTMLやJavaScriptとの違いなどを見ていきましょう。
PHPはHTMLに組み込むことでWebページに「動き」を与えることができます。またデータベースとの連携が得意なことから、サーバーサイド開発に適したプログラミング言語です。
PHPの元となる「Personal Home Page Tools(略:PHP Tools)」が生まれたのはIT革命黎明期の1994年。カナダ人のプログラマーであるラスマス・ラードフ氏が、Web上で公開している経歴書のアクセス履歴を調べるために開発したのが始まりです。
PHP Toolsは周囲の要望に応えるような形で改良が重ねられ、「FI(Forms Interpreter)」、「PHP/FI」などと名前を変えながら、IT革命を支えるプログラミング言語として地位を確立していきます。
その後PHPの開発には当時大学生だった2人のイスラエル人プログラマー、アンディ・ガトマンズとゼーブ・スラスキーも加わり、1998年に今のPHPに通ずる「PHP(Hypertext Preprocessor)3.0」がリリースされました。
2021年にW3Techsが発表したデータによると、世界中で公開されているWebサイトのうち、約79%のWebサイトにPHPが使用されているそうです。競合であるRubyやJavaが5%前後であることを考えると、PHPのシェアが圧倒的だということが分かります。
さらにGitHubが発表した「長年にわたるトップ言語」によると、PHPは第6位。PHPはリリースから20年以上もの間人気の言語として君臨していることが分かりますね。
PHPが他言語を圧倒するほど需要が高い理由は、Webサイトやブログの作成ができるCMS『WordPress』で採用されているから。
世界中で公開されているWebサイトのうち、WordPressを使って作られたWebサイトは約42%、利用者は約6000万人と言われています。WordPressを使いこなすにはPHPが必要不可欠であることから、今後もPHPの需要は続いていくと言えるでしょう。
またPHPはメールフォームや電子掲示板、ショッピングカートなど幅広い機能を実装することができ、世界最大級のSNS『Facebook』もリリース当初はPHPを使用していました。
既にPHPでリリースされたサービスは多く、その運用・保守も必要なことを考えてもPHPの将来性は高いと言えるでしょう。
WebアプリケーションやWebサイトの作成によく使われる言語としては、PHPの他にHTMLとJavaScriptが挙げられます。
HTML(HyperText Markup Language)は、「ここに見出しを入れて、ここに画像を入れる」といったように文書構造を指定するマークアップ言語の一つです。
HTMLだけでもWebページを作成することはできますが、簡単なデザインしか作ることができないため、単調なWebページになりがちです。HTMLにPHPを組み込むことで、よりリッチなWebページを作成することができるのです。
JavaScriptはPHPと同様にWebページを動的にするプログラミング言語です。前述したように、PHPはデータベースとの連携が得意なのでサーバーサイド開発で使用されることが多いのに対し、JavaScriptはユーザーが見える部分(=クライアントサイド)の開発を担うことが多い点が特徴です。
私たちが普段目にするWebサイトのほとんどを構成していると言っても過言ではないPHP。一見万能に見えるPHPですが、PHPにも他のプログラミング言語と同様にメリット・デメリットがあります。それでは、PHPはどのようなことができて何が苦手なのか、メリット・デメリットを一つずつ紐解いていきましょう。
PHPは構文がシンプルで、他のプログラミング言語と比較すると「変数の型を意識しなくていい」「配列の定義が自由」など制約が少ないのが特徴です。そのためPHPは学習難易度が低く、初心者が習得がしやすいプログラミング言語の一つと言われています。
PHPはC言語やJavaなどと構文が似ていると言われているため、まずは難易度の低いPHPを習得してプログラミング言語を学習するコツをつかんでから他言語の勉強を進めるのもおすすめですよ。
PHPはOSに制限がなく、専用の開発ツールも必要ないためWindowsやMacなどに標準搭載されている「メモ帳」や「テキストエディタ」でも開発ができます。
また通常プログラムを動かすには実行環境が必要ですが、PHPは手軽に実行環境を構築をするためのオンライン実行環境サービスが豊富にあるため、初心者が躓きやすい「環境構築」というフェーズをスキップすることが可能。
さらにPHPに対応しているサーバーは安価で性能が高いものが多いため、自分で環境構築をする際のコストも最小限に抑えられるメリットがあります。
PHPは人気かつ、長期間第一線で活躍するプログラミング言語です。そのためPHPに関するWebサイトや書籍などの日本語教材が豊富にあり、学習時に分からないことがあっても解決しやすいという特徴があります。
さらにノウハウやオープンソースのプログラムも多く公開されているため、効率的な開発が可能です。
PHPは多くのWebアプリケーションやWebサイトに使用されており、需要の高いプログラミング言語です。PHPエンジニアの求人はとても多いため、PHPを習得しておけば仕事に困らないと言えるでしょう。フリーランスとして活躍しやすいのも特徴です。
PHPはMySQLなどのデータベースとの連携が得意なので、情報をデータベースに保存・更新したり、大量のデータの中から必要なデータを瞬時に取り出すことができます。
さらにPHPはHTMLで記載したコードに直接組み込むことができるため、Webページ上にサーバーにある情報をWebサイト上に表示することも可能。この機能はECサイトの「商品検索機能」や飲食店サイトの「予約機能」などに活用されています。
PHPはWebアプリケーションやWebサイトに特化したプログラミング言語ですが、スマートフォンアプリなどWeb以外の開発には向きません。
そのため、「さまざまな分野の開発に携わりたい」という人はPHPに物足りなさを感じることもあるかもしれません。PHPで開発することができるサイトや機能は以下のようなものがあります。
・ブログ、掲示板サイト
・SNSサイト
・ECサイト
・会員登録・ログイン
・予約システム
・お問い合わせフォーム など
PHPはさまざまなサービスに使用されているため、その分不正アクセスされるケースがあるのがデメリットの一つ。セキュリティー面の脆弱さはPHPが懸念されるポイントとしてよく指摘されています。
バージョンアップにより改善された部分もありますが、事前に脆弱性をチェックするなどの対策は必要でしょう。
PHPの自由度が高い点はメリットでもありますが、エンジニアによって記述の仕方が異なったり、コードに不備があっても一見正常に作動してしまったりするため、エラーを見過ごしてしまいやすいというデメリットもあります。
この性質は「PHPは大規模なプロジェクトには向かない」と言われるゆえんの一つです。複数人でPHPを使って開発を行う場合、事前にコーディングルールを設けるなどの仕組みが必要です。
PHPは生産性が非常に高く、特に小規模開発での導入が多いのが特徴です。またPHPは「まずはサービスをリリースして、適宜修正していく……」といったようなスピード感が求められる場面でも活用が進んでいます。それでは具体的にPHPを使って開発された代表的なサービスを見ていきましょう。
世界トップクラスのシェアを誇るCMS、WordPressは、PHPを使って開発された代表的なサービスの一つです。WordPressを構築するのにPHPの知識が必要なのはもちろん、WordPressで作成されたサイトのカスタマイズをするためにもPHPの知識が必要不可欠。
PHP開発の案件のほとんどはWordPress関連と言っても過言ではないほど、WordPressとPHPは切っても切れない関係です。
グルメ情報検索サイト『ぐるなび』にはPHPのフレームワーク「Laravel」が使用されています。ぐるなびの飲食店検索機能や飲食店へ予約情報を伝えるFAXシステム(2018年にJavaへリプレイス済み)はPHPによって実装されています。
PHPはユーザーの登録や更新、ログイン、チャットなどの簡易的なメッセージのやりとりなど、一般的なSNSに必要な機能の開発が得意なプログラミング言語です。
世界最大級のSNS『Facebook』もリリース当初はPHPで開発されていました。その後同サービスはPHPを独自に改良した「Hack」という言語を使っています。
アメリカには日本よりも多くのPHP技術者が存在しています。アメリカに本社を置く『Yahoo!』も例外ではなく、PHPを作ったラスマス・ラードフ氏をはじめ多くのPHP技術者が多く在籍しており、ログインやショッピングカートなど各機能にPHPが使用されています。
Yahoo!は自社で起きたバグの検証結果や改修レポートなどを公式に提供したり、公式ミラーのサーバー提供をおこなったりとPHPコミュニティーに貢献していることでも有名です。
PHPは長年にわたって人気なプログラミング言語として浸透しており、将来性も高いことから「PHPを学びたい」と考えている人は多いと思います。
しかしいざPHPを学習しようとしても、「何から始めたらいいか分からない」という人もいるかもしれませんね。
PHPを学習する際に効率的な方法やPHPに関する資格などについて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
「PHPのメリット・デメリット」でも述べたとおり、PHPは構文がシンプルで分かりやすいため、初心者向きのプログラミング言語と言われています。また、PHPはコンパイル不要のインタプリタ言語なので、コードの確認や修正がしやすい点も初心者にやさしいポイントです。
PHPはC言語やPerl、Javaなど、他の言語の影響を強く受けているプログラミング言語と言われており、これらの言語を習得済みの人にとってPHPは特に学びやすい言語と言えるでしょう。
プログラミング言語の難易度を調べてみると、PHPは必ずと言ってもいいほど「難易度の低い」に分類されていることが多いことからも、PHPは初心者向けのプログラミング言語だということが分かりますね。
これまで何度も述べている通り、PHPは初心者向きのプログラミング言語です。ある程度プログラミングの知識がある人や既にほかのプログラミング言語を習得済みの人であれば、書籍やWeb上で公開されている情報などから独学で習得を目指すことは可能です。
一方で、これから初めてプログラミング言語を学ぶ人が独学でPHPを習得するのは非常に難しいでしょう。できればプログラミングやPHPに詳しい人の下で、分からないことはその都度解決しながら勉強を進めていくのがおすすめです。
無料で利用できるオンライン学習サイトもあるので、ぜひ活用してみてくださいね。
また、PHPにはインストールの方法からよくある質問までをまとめた日本語の公式マニュアルがあります。「まずはお金をかけずにPHPを学びたい」という人は公式マニュアルもチェックしてみてください。
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「ただ勉強するだけではモチベーションを保てない」という人は、習得レベルに合わせて資格取得を目指すのがおすすめです。資格を取得すれば就職や転職の際にアピールにもなりますよ。
PHP関連の資格としては、「PHP技術者認定試験」と「Zend PHP Certification」の二つがあります。それぞれどのような特徴があるのかを解説しますので、自分に合った資格を目指してくださいね。
PHP技術者認定試験は、「一般社団法人 PHP技術者認定機構」が主催する民間資格で、PHP技術の習得度合いを測るために立ち上げられました。初級・上級(準上級)・認定ウィザードの三つのグレードがあり、初級は新人プログラマーを対象としています。
PHPに関する国内資格としてはもっともメジャーで人気の高い資格です。
Zend PHP Certificationは、アメリカのZend社が主催する国際資格で、試験内容も英語表記です。国内ではあまり知名度はありませんが、世界中で通用する資格なので将来的に海外で働くことを考えている人におすすめです。
問題の難易度はPHP技術者認定試験の初級と上級の中間程度と言われており、現在143名の日本人合格者がZend社のWebサイトに登録されています。
「PHPエンジニアに興味がある」という人なら、PHPエンジニアの需要はどれくらいあるのか、将来性や給料も気になるところですよね。PHP初心者が一人前のPHPエンジニアとして活躍するためのポイントも合わせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
PHPの人気は今後もしばらく続くと考えられており、PHPエンジニアの需要や将来性も高いと言えるでしょう。またPHPは、ITベンダーやシステム開発会社の新入社員研修でも多く採用されていることからも、案件数の多さが伺えます。
PHPの案件は比較的小規模なものが多く、クラウドソーシングでエンジニア募集をしていることも多いため、フリーランスとして活躍するPHPエンジニアも珍しくありません。PHPのスキルを着実に高めていけば、PHPエンジニアとして長く活躍できるでしょう。
2020年に発表された技術系デジタルメディア『日経クロステック』のデータによると、PHPエンジニアの平均年収は545万円。日本の平均年収411万円と比較するとPHPエンジニアの方が高い傾向にあります。
またフリーランスエンジニア向け案件検索エンジン『フリーランススタート』の調査によると、フリーランスのPHPエンジニアの平均年収は約786万円。
実務経験年数に応じた月の単価相場は以下の通りで、PHP経験が5年以上あれば年収1000万円も夢ではありません。
・PHP経験1年未満:月33万円前後 (年収390万円)
・PHP経験1年~2年:月39万円前後 (年収468万円)
・PHP経験2年~3年:月55万円前後 (年収663万円)
・PHP経験3年~5年:月65万円前後 (年収780万円)
・PHP経験5年以上:月78万円前後 (年収936万円)
市場価値の高いPHPエンジニアとして一線で活躍し続けるにはPHPのスキルに加えて+αの知識やスキルが必要です。例えば、PHPと同じくWeb系の開発で使われるHTML/CSS、JavaScript、データベースとの連携に必要なSQLなどを習得すると活躍の幅が広がりますよ。
PHPが使われるバックエンドの知識に加えてフロントエンドの知識も身に付ければ、フルスタックエンジニアとして活躍するチャンスもあるでしょう。デザイン面に興味があるなら、PhotoshopやIllustratorなどのスキルを身に付けるのもおすすめです。
またプログラミングだけでなくマネジメントスキルやクライアントとの交渉力を身に付け、要件定義や設計といった上流工程もできるようになればさらなる収入アップも見込めます。
世界で公開されているWebサイトのうち、約4割以上を占めるWordPressに採用されているPHP。将来性が高く、Web系エンジニアであればぜひ身に付けておきたいプログラミング言語の一つです。
さらに習得難易度が低く他言語へのスライドもしやすいため、PHPは「IT初心者がまず初めに身に付けるプログラミング言語」としておすすめ。PHPエンジニアの求人は常に多いため、「潰しのきくプログラミング言語」とも言えそうです。
文/赤池沙希
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