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インパクトは国内テック業界全体へ。メルカリが注力する技術基盤強化「RFSプロジェクト」の真相【塚 穣】

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市場規模1兆円を超えるリユース市場において、業界の覇者として躍進を続けてきたメルカリ。「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」という揺るぎないミッションを掲げる同社は、今年で創業9年を迎える。そんな彼らが次のステージとして見据えるのは、世界に引けをとらない「グローバルテックカンパニー」の地位だ。本特集では、進化を続けるメルカリの現在地と未来をお届けする

2021年10月から、サービス・機能開発の基盤を強化するRFSプロジェクトを始動したメルカリ。

RFSとは「Robust Foundation for Speed」の略で、メルカリグループ全体の非連続的な成長を支えるため、ビジネスの共通基盤に潜む複雑な技術的課題の解決と抜本的な強化を図るのが、このRFSプロジェクトの目的だ。

メルカリ

RFSプロジェクト詳細ページ

同プロジェクトの責任者を務めるのは、塚 穣さん(Director of Developer Productivity Engineering)。12年間務めた前職のヤフーでは、同社がベンチャーから大企業へと成長し、日本を代表するテックカンパニーへと駆け上がっていくドラスティックな変化を目の当たりにしてきた。

「メルカリがこれからGAFAと並ぶグローバルテックカンパニーの地位を目指すには、今後絶え間ない変化に耐え得る、しなやかなエンジニアリング組織をつくることが不可欠」だと塚さんは言う。

RFSプロジェクトの推進、つまり技術基盤の強化は、メルカリの今後にどんなインパクトを与えるのか。詳しく話を聞いた。

株式会社メルカリ Director of Developer Productivity Engineering塚 穣さん

株式会社メルカリ Director of Developer Productivity Engineering
塚 穣さん(@mtsuka

ヤフーで数多くのサービスを運用した経験を活かし、プラットフォーム開発やSRE部門の立ち上げなどを行う。2019年8月にメルカリ入社。Microservices PlatformチームのEngineering Managerを経て、20年1月よりDirector of Developer Productivity Engineering

技術基盤強化にシフト。世界を目指す上で、「勝負の時」がきた

――2021年10月に発足したRFSプロジェクトの発足背景は何だったのでしょうか?

もとをたどると、「技術基盤への投資はより早い段階から始めた方がいい」というのは、1年ほど前からCTOの若狭さんとよく話していたんですよ。

これはメルカリに限らないことですが、どんな会社でも新機能の開発に力を入れたくなるじゃないですか。

その方がお客さまや社会に対して「より良いサービスになっています」と分かりやすく伝えられますし、エンジニアも貢献できている実感を得やすいですから。

ただ、スタートアップのうちはそれでいいのですが、ずっと新機能のリリースに注力し続けてしまうと、あるタイミングから基盤がボトルネックになり、プロダクトがスケールしにくくなってしまう。メルカリにも、この数年でそういうタイミングがきていました。

そうした中で、先日エンジニアtypeで公開された当社CEOのJeffの記事でも語られていたような「真のグローバルテックカンパニー」を目指すなら、技術基盤の強化は欠かせません。

以前、自社のメディアで「マーク・ザッカーバーグに会ったときに『資金が集まってもう一度挑戦できるとしたら何に投資するか』と聞いたら、『早い段階で半分以上のリソースをプラットフォームに投資したい』と即答された」というような話をしました。

つまり、テクノロジーで世界的に影響を与える企業ならば、それほどまでに基盤への投資を重視するんです。

特に『メルカリ』の開発組織ではマイクロサービスとモノリシック、モジュラーモノリスと多様な機能が混在しています。今後より自由に、伸びやかに機能開発していくには、ベースとなる基盤が整っていることは必須条件です。

そうした話を経営層と若狭さんとで議論した末、2021年10月から本格的に動き出すことになりました。

株式会社メルカリ Director of Developer Productivity Engineering 塚 穣さん
――塚さんは、前職のヤフーでもプラットフォームの強化を手掛けた経験があるそうですね。

ええ。あくまで当時のヤフーの話ですが、開発組織の体制が「逆三角形型」に近い構図になっていたんですよね。逆三角形の上側がフロントエンドなどのユーザーに近いところで、下側がインフラ、という構造です。

通常、開発要求は各機能のフロント側からバックエンド、インフラへと落ちていきますよね。つまりフロントエンドの人数が多い逆三角形型だと、フロントエンドから寄せられる多大な要求を、インフラチームが引き受けきれなくなってしまうわけです。すると改善が進まないし、下側がボトルネックになってしまいます。

これを、「三角形」とはいわずとも、台形くらいまでにしましょう、というのが当時のヤフーの試みです。

株式会社メルカリ Director of Developer Productivity Engineering 塚 穣さん

端的にいうと、CTOのトップダウンで、フロントエンドからインフラ側へ数百人単位の部署異動を行ったんですよ。

かなり強引なやり方だったとは思いますが、企業のサステナビリティーや、企画を実現に向けていくという意味でのコストパフォーマンスを高める上では、一つの正しい選択だったのではと思います。

――これに近い話が、メルカリでも起きているのでしょうか?

今のメルカリがこのまま何もしなければ、似たような問題に行き着いてしまう可能性はあると思っています。

もちろん、メルカリとヤフーでは状況が違うので、単純な比較はできません。でも、気付いた時には「もう手が付けられない」という状態に陥ることは、可能な限り事前に避けたい。それは、当時と今で共通していることです。

その上で、「開発のボトルネックを率先して排除していくためにも、技術基盤にしっかり投資しましょう」というのが、RFSプロジェクトを本格的に進めることになった経緯です。

「計測なくして改善なし」全てを数字で示せる組織へ

――プロジェクト発足から約3カ月が経ちましたが、具体的にはどのようにRFSプロジェクトを進めているのでしょうか。

今ある仕組みを解き明かし、不明瞭なところを明らかにし、改善する。この積み上げですね。

例えば、どんなIT企業にも、人が辞めて知見が失われたままだけど動いているシステムってあるじゃないですか。Web系だったら割と普通のことで、こんな言い方はアレですが、みんな拝みながらそれを使い続けていたりしますよね。

そういったものの蓋を開けて、勇気をもって解析する。時には仕組みが作り込まれ過ぎていて、改善が難しいシステムなどもありますが、そういうものも含めて最適な形に作り直していきます。

それから、「計測」も欠かせません。

僕はこのプロジェクトのいわゆる「現場総監督」なので、説明責任があります。

「この機能を改修したけど、実際に意味があったのか」といったことから、「これだけコストをかけて基盤強化に踏み切ったけど、その価値があったのか」というところまで、全て理屈で説明できなければいけないわけです。

そのためには数字が必要。数字が取れなければ改善したかどうかの結果が分からないので、何となくの雰囲気で語ることになってしまいます。でも、雰囲気や仮説が重なると、もはや妄想の世界だから、何も良し悪しの判断ができませんよね。

ヤフー時代の上司だった宮坂学さん(現東京都副知事)が当時「No measurement, No improvement(計測なくして、改善なし)」としつこいほどに言っていたのですが、まさにそういうことなんです。

曖昧さをなくし、エンジニアリング組織全体のあらゆるアクティビティーの全てを数字で測ることができるようにする。それも、RFSプロジェクトの大きな目的の一つです。

株式会社メルカリ Director of Developer Productivity Engineering 塚 穣さん
――全てを数字で測れるようにする。かなり難しいことのようにも思いますが、いかがですか?

いえ、測ろうと思えば、何だって測れるんですよ。測れないと思っていることに関しては決めの問題で、一つ基準をつくったら、そこから相対的に見ればいい。

例えば、あるイシューを解決するリードタイムを測る場合、イシューが起票されて、プルリクエストがあってレビューされて、デプロイされるまでの時間を測る。その期間が短ければ短いほど、生産性が高いと言えますよね。

あるいは、ある一定期間の中でこなせたタスクの数が多ければ多いほど生産性が高いと言えるでしょう。

他にも、このマイクロサービスが1PVあたりに稼いでるお金はいくらかなのか、その1PVあたりのコストはいくらかかってるのか……とか。

こんなふうにあらゆることを継続的に計測することによって、チームやシステムのパフォーマンスを常に見ることができるし、機能が改善できたかどうかを本質的に知ることもできるようになるんです。

メルカリは、「プロブレムソルバー」が育つ土壌に

――「全てを数字で見る」を徹底すると、人事評価や開発の考え方などにも影響範囲が広がりそうですね。

そう思います。メルカリは以前から、人も事業も全て「数字で評価をする」ことを重視してきましたが、それがよりシビアにはなるでしょうね。

開発面では、エンジニアからすると指標がハッキリするので判断しやすいという反面、よりいっそうサボれなくなるとは思います。

例えば、これまでは「この機能を作りたい」といった目的で機能開発をすることができたかもしれないけれど、今後はそうはいきません。

機能開発の提案を通すなら、「ここの改善が寄与しているかどうかを測るためのメトリクスはこれで、このメトリクスを〇%向上させます。そのためにこの機能をリリースして、結果を見ます」という説明をエンジニアがしなければいけない。

機能を作ること自体には1円の価値もなくて、それによって何をどれだけ改善するかが重要なんですよ。そして、今後はそれが全て明らかになる。

エンジニア一人一人が数字を元に説明する能力を磨いていかなければいけないし、マインドセットを変えていく必要があると思います。

株式会社メルカリ Director of Developer Productivity Engineering 塚 穣さん

でも、こうした過程を経験することは、エンジニアにとってメリットも大きいと思うんですよね。

エンジニアリングはあくまで問題を解決するための手段なので、解決した問題のインパクトが大きければ大きいほど価値がある。

数字を元に提案したり、効果について考えたりすることができるようになると、より価値の大きい仕事ができるようになるはずなので。

つまり、「プロブレムソルバー(問題解決者)」としてプロフェッショナルになれると思うんです。

もともとメルカリのエンジニアには、難しい問題を解くことが好きな人が多い印象はありますが、そういう人たちの思考もスキルもよりいっそう洗練されていくのではないでしょうか。

――なるほど。まだ始まったばかりのRFSのプロジェクトですが、完遂した先にメルカリはどのような変貌を遂げていると思いますか?

技術基盤が整うことによって、まずはプロダクトが作りやすくなりますよね。これまで発生していた基盤部分のボトルネックや、関係各所との調整コストがかなり低減されるはずですから。

すると、メルカリグループ全体が、よりお客さまへの価値貢献にコミットしやすくなると思います。

そしてこれは、エンジニアのキャリア構築の面でも有利に働くはずです。というのも、技術基盤に投資しているテックカンパニーでは、エンジニアが成果を出しやすいんですよ。

例えばGoogleやAmazonのエンジニアって、大体1~2年で次の会社に移る人も多いじゃないですか。それは、それほど短期間でも「良い成果を上げて良い評価を得て、報酬が上がる」というサイクルが実現できるから。ほんの1~2年在籍しているだけで、ネクストキャリアに有利な実績を残せるからです。

メルカリが今、技術基盤の強化に注力するということは、これから先にそういう未来が訪れるということを意味します。

さらにいえば、メルカリで育ったプロブレムソルバーたちが続々と輩出されていくことで、未来のユニコーン企業が生まれたり、世界のテックカンパニーと互角に勝負できる日本企業が増えたりしていくかもしれない。

今回のRFSプロジェクトは、メルカリの社内だけにとどまらず、日本のテック業界全体にも寄与するのではないか。そう期待しています。

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取材・文/石川香苗子 撮影/赤松洋太 編集/河西ことみ(編集部)

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