CEO(Cief Exective Officer/最高経営責任者)
執行役員の代表。日本企業においては、社長や会長など実質的な経営責任者と兼用で担うことも多くあります。
「CTO=技術的な責任者」だと認識している人は多いと思いますが、具体的にどのような役割が求められ、CTOになるにはどのようなスキルやキャリアが必要なのかまで理解している人は少ないのではないでしょうか。
本記事では、企業におけるCTOの役割や必要な能力、そしてCTOになるためのキャリアパスなどを分かりやすく解説します。
※この記事は2022年4月5日に公開し、2024年7月31日に内容を更新しております
目次
CTO(Chief Technology OfficerまたはChief Technical Officer)とは、「最高技術責任者」のことで、元々はアメリカの製造業やIT企業などで設けられていた役職です。
近年では日本でも外資系企業やスタートアップのIT企業などを中心に置かれることが多くなり、エンジニアのキャリアの選択肢の一つとしても身近なものになりました。CTOは主に、技術戦略の立案・実行を通して企業全体の収益を高める役割を担うケースが多いです。
CTOの責任領域は、企業の規模やフェーズによって変化します。それぞれ見ていきましょう。
小規模・スタートアップ企業のCTOは、自らもプロジェクトメンバーの一員としてマネジメントをしたり、成果を最大化するための施策を立て、実行したりする役割を担います。ときにはエンジニアの採用業務なども行うため、業務内容は多岐にわたります。
一方で、比較的現場に近いポジションとなるため、責任領域がそれほど広くはない場合も。フェーズによって変わっていく経営方針に合わせて、プレイヤー兼マネジャーとして臨機応変に対応していくことが求められます。
中規模・大企業のCTOは企業の経営層としての責任領域が求められます。自らがプレイヤーとしてプロジェクトに関わることはほとんどないものの、責任者として現場をまとめたり、自社の戦略に基づいた技術方針の決定や、投資などの意思決定を求められたりします。エンジニアに影響力を与えられるような卓越した技術力とマネジメントスキル、経営視点が求められます。
では続いて、CTOの具体的な仕事内容について見ていきましょう。
CTOには技術分野の責任者として、自社の技術戦略を実行するために必要な技術力の確保や底上げが求められます。採用の場では既存社員とのバランスを考えながら求職者の技術力や人柄などを見極めることが必要です。
特に小規模・スタートアップ企業では、エンジニア一人における裁量が大きいため、採用の成否における影響力は大きくなります。採用後の育成も含めてCTOが関わることが多いでしょう。
CTOには技術者視点を活かし、必要な技術力の見極めや意志決定が求められます。例えば、新規事業を立ち上げる際の技術選定や既存事業の改善などもその一つです。
技術者のトップとして企業にとって最善の選択をすることが求められるため、自社の事業内容への理解はもちろん、市場動向における感度の高さなども必要です。
CTOには経営層の一人として技術で経営を支え、戦略的に活用することが求められます。品質の向上やコストダウンのみで利益を出すのではなく、企業戦略を踏まえた技術戦略を立て、技術経営(MOT:Management of Technology)することが必要です。
技術分野の最高責任者であるCTO。技術的な知識はもちろんですが、リーダーとして組織を率いる上で必要な能力やスキルはほかにもあります。
代表的な三つを紹介しますので、将来的にCTOへのキャリアを考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
CTOは技術者である一方、企業の役員として組織運営を率いるポジションでもあるため、事業・経営面を踏まえたマクロな視点で技術戦略を立案し、利益を生む方法を考える必要があります。
また立案した技術戦略を実行するために必要な教育環境やオフィス環境など、個々のエンジニアが能力を発揮できるような環境作りもCTOの役割の一つ。
コストやリスク面も考慮しながら、いかに利益を最大化するかという視点が大切です。
CTOは技術分野の最高責任者ですので、技術における豊富な知識やスキルは当然必要となります。
企業によっては自身もエンジニアとして現場で働くこともあるため、ビジネス視点だけでなく技術者としての知識や経験が求められます。
CTOは経営視点・技術力に加えてリーダーシップも求められます。技術戦略を実行するにはエンジニアの協力が必要不可欠です。
例えば、メンバーが納得感を持って働けるように経営方針や技術戦略をメンバーに理解してもらう、メンバーの能力に合った仕事を割り振る、困った時に相談しやすいように信頼関係を築く……など、チームが最大限パフォーマンスを発揮できるように、リーダーシップを持ってメンバー一人一人と関わることが大切です。
求人情報の検索エンジン『indeed』によると、日本のCTOの平均年収は「962万4228円(2024年6月13日時点)」だそうです。
同じくindeedによれば、プロダクト開発に関わる職種の平均年収は以下の通り。立場の違いからも、CTOの平均年収は他職種と比較して高い傾向にあることが分かります。
●プログラマー:445万6265円
●システムエンジニア:450万8502円
●プロダクトマネージャー:749万100円
なお、上場企業や開発組織の規模が大きい組織においてはCTOの年収は1,000万円を超える例も少なくなく、外資系企業を含めると3,000万円台に至るケースもあるようです。CTOは責任領域の大きさに伴って、高い年収を望めそうです。
CTOと同時期に日本に浸透した言葉として、CEOやCOO、CFOなどがあります。これらは「CxO」と総称されますが、CTOとはどのような違いがあるのでしょうか。ほかにもCTOと混同されやすい肩書を含めて解説していきます。
CEO(Cief Exective Officer/最高経営責任者)
執行役員の代表。日本企業においては、社長や会長など実質的な経営責任者と兼用で担うことも多くあります。
COO(Chief Operations Officer/最高執行責任者)
CEOに次ぐ企業における2番手のポジション。CEOの決めた方針に従って業務オペレーションを確立したり戦略を実行する役割を担います。
CIO(Chief Information Officer/最高情報責任者)
社内の情報を管理する情報システム部門のトップ。企業によってはCTOと兼務することも少なくありません。
CFO(Chief Financial Officer/最高財務責任者)
経営管理、経理、財務部門のトップ。企業における財務戦略の立案、執行をおこないます。
CMO(Chief Marketing Officer/最高マーケティング責任者)
企業のマーケティング活動全般を統括する責任者。市場調査、広告、プロモーション、ブランド戦略など、顧客との接点を最適化するための戦略を策定・実行します。
CPO(Chief Privacy Officer/最高個人情報保護責任者)
企業の個人情報保護対策を統括する責任者。個人情報の適切な収集、管理、利用、保護の方針や手続きを策定し、法令遵守とセキュリティ対策を確実に行う役割を担います。
CKO(Chief Privacy Officer/最高知識責任者)
企業内の知識管理やナレッジマネジメントを統括する責任者。企業の知的資産を有効に活用し、情報の共有や知識の活用を促進することで、組織全体のパフォーマンス向上を目指すポジションです。
VPoE(Vice President of Engineer/エンジニア組織のマネジメント責任者)
プロジェクトの成功やサービスの発展を目指し、エンジニア組織をマネジメントするポジション。技術的な側面よりも、チームビルディングをリードする役割を担います。
CTOを設けている企業は増えているものの、CTOになる方法が分からないという人は多いのではないでしょうか?
CTOはスキルさえあれば必ずしも与えられるポジションというわけではなく、CTOになる際は主に転職・昇進・起業のどれかを選択することになります。それぞれ詳しく解説していきましょう。
CTOになるのにもっとも近道なのが、CTOの募集をしている企業に転職することです。入社後すぐにCTOとしてのポジションが用意されている企業もあれば、「CTO候補」としての募集をしている企業もあります。CTOに転職する際は年収や待遇はもちろん、着任後の状況も詳しく確認しましょう。
例えばCTOとして着任後にメンバーの採用などチームビルディングから始めるのか、既に開発チームがある企業にCTOとしてジョインするのかによって働く環境は大きく変わります。
また技術者としての役割も求められるのか、主に経営層としての責任を負うのかなどによっても活かせる経験やスキルは大きく変わるため、注意が必要です。
自社にCTOのポジションがある場合は、昇進することでCTOのキャリアをつかむことが可能です。
自社のエンジニアの中でトップクラスの技術力を保持しているのはもちろん、マネジメントや経営に関する知識も求められるため狭き門ではありますが、社風やエンジニアチームの雰囲気などを理解した上でCTOになる分、着任後のギャップが少ない点は大きなメリットと言えるでしょう。
CTO着任後にギャップが生じるリスクを避けたい場合や自社にCTOのポジションがない場合、自身の志が明確にある場合は自分で起業をしてエンジニアチームをイチから作り上げていくのも一つの手です。
既に事業として成立している企業に属するのと比較すると安定性はありませんが、自身で組織を育てていく醍醐味も感じられるでしょう。
CTOの需要増加に伴い、実際にCTOとしてのキャリアを持つ講師による講座や転職支援を行うサービスも生まれています。
まずは体系的にCTOについて学びたいという場合は講座を受講してみてもいいでしょう。受講後は転職支援を受けることができるため、第三者の視点を交えながら転職先を探すことも可能です。
技術戦略は企業の成長において欠かせないものです。その上で、技術戦略の責任者となるCTOは企業の生死を左右するポジションといっても過言ではありません。
その分大きな責任が伴いますが、成果をあげた時の達成感や経験値は大きく、やりがいのある役職であることは間違いないでしょう。
一言でCTOと言っても、企業規模や求められる責任領域によって難易度は異なるため、CTOに興味のある方はどのような働き方が自分に合っているのか、まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか?
文/赤池沙希、江副杏菜 編集/エンジニアtype編集部
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