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1000万円稼げるフリーランスエンジニアになるには? 年収・案件に恵まれるために覚えておきたい2つのこと
「手に職」の代表格ともいえるエンジニアには、キャリアパスの一つとしてフリーランスに転向して生計を立てるという道がある。
どこもかしこもエンジニア不足を叫んでいる昨今はフリーランスに対する引き合いも多く、やりようによっては自由に働きながらサラリーマンより高収入を得ることも可能だ。
とはいえ、長く会社勤めをしてきた人にとって、フリーランスへの転向にはある種の恐怖が伴うのも事実である。市況が変わって契約を打ち切られたら仕事はなくなり、報酬以外の面で正社員ほど優遇されることはほとんどない。かつ、多くのエンジニアは単価交渉を含めた「営業活動」が苦手という側面もある。
そんな中で、とある書籍が注目を集めている。2016年11月に発刊された『エンジニアがフリーランスで年収1000万円になるための稼ぎ方』を執筆したのは、フリーランスエンジニアの大和賢一郎氏。日立製作所でエンジニアとして14年働いた後に独立し、現在は書籍名の通り年収1000万円超を稼いでいる。
この本が興味深いのは、著者の大和氏は独立してすぐに現在の収入額を得たわけではないという点。むしろ、独立直後は収入が激減したという。
配属先の事業所が閉鎖したのをきっかけにいくつかの部署を転々とするようになり、「今の市況ならフリーでもやっていけるだろう」と2012年に退職した同氏は、その後個人で営業活動をしたり、クラウドソーシングを使って仕事を探していた。
しかし、独立前の考えが甘かったことをすぐに思い知らされる。約1年間は生活が安定せず、知り合いづてに会社を紹介してもらっても「何かあった時に頼むね」で終わってしまう。そのため、一時は失業給付をもらって急場を凌いでいたそうだ。
こういった窮状から現在の収入額まで伸ばすことができた理由は何だったのか?大和氏同様に「営業活動が苦手」というエンジニアにとって、特にヒントになるのは、【エージェントの活用】と【案件の選び方】だ。
その大和氏が現在利用しているフリーランス専門エージェント『geechs job(ギークスジョブ)』が昨年末に開催したイベント「俺流の賢い稼ぎ方」の模様から、彼がフリーランスとして生活する中で得てきた知見を紹介しよう。
専門エージェントを利用するのは「案件獲得」以外のメリットも
まず、大和氏が独立当時に保有していたスキルを紹介しておきたい。なぜなら、同氏が持っているスキルそのものは、ごく一般的なものだからだ。
・HTML/CSS/JavaScript
・Perl/Ruby/PHP/Java
・MySQL/Linux
・サーバ仮想化や上流工程の経験
中でも得意なのはPHPだそう。例えば最近流行りの機械学習のようなエッジな領域を強みにしているわけではない。にもかかわらず、年収1000万円の壁を突破することができたのだ。
そんな同氏が現在メイン業務として携わっているのが、とあるECサービス企業のサーバサイド開発。この仕事は『geechs job』に紹介され、収入の多くをこの常駐案件から得ている。
独立後、ほぼ“空白の1年”を過ごした大和氏は、案件を紹介してもらうためにいくつかのフリーランス専門エージェント会社を訪ねて回った。その結果、『geechs job』が最も自分に合っていると感じたという。同社を選んだポイントはこうだ。
「案件紹介がスピーディーだったのと、経験とのマッチング精度が高かったのが決め手です。他に相談したエージェント会社の中には、『エンジニアならどの案件でもできますよね』みたいなところもあって驚きました。でも、geechs jobさんはスキルの棚卸しから付き合ってくれて、『あなたのスキルレベルだと案件としては○○があって、価格相場は□□くらい』と丁寧に試算してくれたんです。それで好感を持ちましたね」
この「自分の価格相場を知る」機会は、個人で営業活動をしているとなかなか得られないものでもある。エージェント会社を利用するメリットは、案件獲得や企業との交渉サポートだけではないと大和氏は続ける。
「フリーランスになると、諸々の手続きで契約書類を確認・作成したり、報酬の支払い期限について各社に確認を取ったりするのも自分でやらなければなりません。が、こういった事務処理の進め方についても専門のエージェントにサポートしてもらえるのは便利だと感じました」
「良いエージェント」を見つけるためのアドバイス&上手な活用法
大和氏が考える「良いエージェント会社の見極め方」は以下だそう。
→雑な作りだとエンジニアとして不安になるから。
→少なすぎると「長く続く事業なのか?」と不安になるから。
→案件数は企業の営業力に比例するが、案件マッチングの精度はヒト依存するから。
また、報酬面で良い案件を紹介された場合でも、事前に「これまでの紹介実績」や「紹介した人の稼働時間」、「過去にあったトラブル(あれば)」などについて聞いてから請けるかどうかを判断するという。安定的に収入を得るためには、長く常駐できそうな案件を選ぶことが大事だと考えているからだ。
こういった「事前調査」がしやすいという点を目的に、エージェント会社と付き合うのもアリだろう。
「ただ、事前に確認しても常駐先との相性まではさすがに分かりませんから、僕の場合、初めて入る案件ではだいたい3カ月程度の契約を結ばせてもらうようにしています。その後良かったら延長、合わなかったら契約終了できるようにするためです」
同じ額を稼ぐのにも、「高単価な短期案件」より「長期案件+副業」を選ぶ理由
収入の話に戻すと、この契約延長時に初めて単価アップの交渉を行うのがベターだと大和氏は経験談を語る。
「当たり前の話ですが、まずは仕事で信用を得てからの方が、月額単価を上げる交渉をしやすくなります。それに、キチンと仕事のアウトプットで信頼関係を築くことは、単価アップ以外の面でも必要。長期でやり続ける≒仕事に慣れる≒負担が減るので、副収入を得るための他の仕事もやりやすくなるんです」
実際に、大和氏は先述の常駐案件以外に、平日の夜や土日を使ってプログラミングスクール『CodeCamp(コードキャンプ)』の講師を務めているそうだ。もちろん、書籍執筆の仕事も副収入の一つとなっている。
(※大和氏は『エンジニアがフリーランスで年収1000万円になるための稼ぎ方』以外にも過去5冊の書籍を執筆している)
書籍の仕事に関しては、「もともとブログを書くのが好きで、SNSを含めWeb上での情報発信をやっていたのがきっかけで依頼が来た」という。こういう突発的な依頼にも応えられる土台づくりが、長い目で見た時により良い収入基盤となるのだ。
「特定の案件に依存しないという意味でも、複数の仕事を掛け持ちできるようにしておくのは大切です。個人的には、同じ100万円を稼ぐとしても、月100万円の短期案件を取りに行くより月80万円の長期案件を続けながら20万円程度を副業で稼ぐスタイルの方がオススメです」
複数の仕事を回し続けるコストはそれなりに高く付くような気もするが、大和氏いわく、「面白いと思える仕事ならば普通にこなせる」とのこと。
「常駐案件だけでも食ってはいけますが、せっかく会社を辞めてフリーになるからには、いろいろやってみることができるという権利を思いっきり行使する方がいい。それが新しいスキル習得につながり、開発業務にも活きてきます。このメリットは、長く稼ぎ続ける上で見逃せない点です」
最後に、どんなタイプのエンジニアがフリーランスに向いているかを聞いてみると、「やっぱりプログラミングを生業にすることが楽しいと思える人」という答えが返って来た。
「ベテランになると管理職にならざるを得ないという会社はいまだに多いでしょう。マネジメント業務が増えてコードを書く仕事が減ってしまったり、PCの前より会議室にいる時間が長くなることに苦痛を感じてしまうタイプの人は、フリーランスに向いていると思います」
ただし、フリーランスに転向した後の単価アップをしやすくするには、プログラミングのみならず後進育成やチームリーディングの経験もアピールした方がよいと『geechs job』のエージェントは補足していた。
「実際にチームリーディングを任されるかどうかはさておき、フリーランスエンジニアを雇用する側の企業はスキル以外にも『セルフマネジメントができる人かどうか』や『チームで仕事ができる人かどうか』を気にするものです。それらができる人であるという証拠として、管理職の経験やチーム運営に関わった経験を経歴書などに記しておくのも案外大切です」(geechs jobのエージェント談)
総合すると、【コードを書くのが好き】+【多少のチーム貢献は厭わない】というタイプのエンジニアが、フリーランスのマーケットでも重宝されるということなのだろう。
取材・文・撮影/伊藤健吾(編集部)
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