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給与額に関わらず人生充実? 週休3日を選択したエンジニアたちが明かす「自分らしいワークスタイル」の見つけ方【ヤフー×サイボウズ】

働き方

働き方の多様化が進む中、注目を集めている選択的週休3日制。2021年に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」(いわゆる骨太の方針)に盛り込まれ話題となったワークスタイルだ。

『エンジニアtype』がエンジニア経験者を対象に行ったアンケート調査によると、7割以上が「週休3日制で働きたい・働いている」と回答。現在、週休3日制には「給与維持型」「給与減額型」「総労働時間維持型」の3パターンが存在するが、「給与維持型」を希望する人が63.2%と最多だ。

Q.週休3日制についてどう思いますか?一番近いものを選んでください

週休3日

Q. いずれのパターンで働いていますか・働きたいですか?

週休3日

週休3日制の三つのパターン

・「給与減額型」給与・総労働時間が共に減る
・「総労働時間維持型」給与・総労働時間ともに変わらない
・「給与維持型」給与は変わらずに総労働時間が減る

増えた休みの過ごし方については、「趣味の時間を増やしたい」という意見のほか、「スキルアップのための勉強にあてたい」「副業がしたい」など、仕事に役立てたいという声が目立った。

では、週休3日の働き方を実践しているエンジニアたちは、実際のところどのようなワークライフバランスを築いているのだろうか。

ヤフー、サイボウズで週休3日で働くことを選択したエンジニア2人に、「自分に合った働き方」をかなえる方法について聞いた。

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ヤフー株式会社 ローカル統括本部
佐藤 葉瑠妃さん

2011年に新卒でヤフーへ入社し、『Yahoo!不動産』『Yahoo!トラベル』などのシステム開発や運用に幅広く携わる。18年7月から産休・育休を取得し、続けて2児を出産。22年4月に復職し、以降週休3日制で勤務中。現在は『Yahoo! MAP』の企画・開発・運用を担当

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サイボウズ株式会社 開発本部
川嶋 一寿さん

1994年に神奈川県川崎市の鉄鋼メーカーのシステム子会社に入社。業務アプリ開発などに携わる。99年に静岡にUターンし、ソフトウエアベンダーへ転職。2019年に静岡からフルリモートで働くことを条件に東京の会社へ転職し、スマホアプリ・EC2サイトの開発に従事。20年から副業として専門学校でコンピューター関連の非常勤講師をスタート。22年7月にサイボウズへ転職し、週休3日で勤務しながらグローバル版kintoneの運用全般を担当中

週休3日を選んだ理由は「育児」と「副業」

――ヤフーの佐藤さんとサイボウズの川嶋さんは、どちらも週休3日で働いていると伺いました。 現在のワークスタイルを選択した背景を教えてください。

ヤフー佐藤:私は2人の子どもの産休・育休を経て2022年4月に復職したのですが、子どもが幼いうちは急な体調不良も多いと聞いていたので、何かあっても対応しやすいように週休3日を選択しました。

私が選択したのは、労働日数が減る分、給与・総労働時間が共に減る「給与減額型」の週休3日制です。ヤフーではワークスタイルを月ごとの申請で変えることができるので、気軽に選択できました。

現在は、土日に加えて金曜日を休みにしていますが、業務では『Yahoo! MAP』の開発や運用を担当したり、企画チームに混ざって数値分析を行ったりとさまざまな経験を積んでいるところです。

サイボウズ川嶋:私は22年の7月にサイボウズに転職し、静岡からフルリモートで働いています。入社当初から週休3日です。

前の会社に在籍していたころから専門学校でコンピューター関連の講義を受け持つ非常勤講師の副業をしていたので、転職時も「副業OK」の会社を条件にしていました。その中で、サイボウズなら、週休3日が選択できると知ったんです。

給与については前職と同等の額を提示していただいたので、年収で見ると週休2日で働いていた頃と変わりません(※)。

入社してからは、業務改善プラットフォーム『kintone』のグローバル版の運用全般を担当しています。

※サイボウズではフルタイム勤務が標準ではなく、それぞれが希望する働き方と期待できる成果を宣言し、マネージャーと相談の上で給与を決定している

――週休3日になると勤務時間が減るので、業務量の調整はある程度必要かと思いますが、週休2日で働いている人と進めるプロジェクトなどで支障はないのでしょうか?

ヤフー佐藤:私の場合、週休3日な上に時短勤務なので「ミーティングに参加しづらい」という点に最初は課題を感じましたね。

ただ、支障という程のものはありません。今は、自分がいなくても問題なく進行するミーティングは定例では参加せず、全員参加が必要な場合は私の勤務日・勤務時間内で調整してもらっています。

また、自分の働き方を周囲の人に知ってもらうために、メールの署名に時短かつ週休3日勤務である旨を明記しておいたり、関係者には初対面のあいさつなどで伝えるようにしたりと工夫しています。

チーム内でも「佐藤さんは金曜日はいない」ということが定着しているので、プロジェクトの進行が滞ることもないですね。

サイボウズ川嶋:私もミーティングや定期作業の日程はあらかじめ調整してもらうようにしているので、今のところは困ることなく働けていますね。

サイボウズ

ヤフー佐藤:あとは、スケジュールに余裕があるプロジェクトにアサインしてもらうようにしています。

締め切りまで2~3日しかないようなタイトなタスクだと対応が難しいので、自分のためにも、一緒に働くチームメンバーの負担にならないためにも、長期のプロジェクトに取り組めるように調整してもらっているんです。

ただ、締め切りが長くてもダラダラと取り組まないように気を付けています。勤務日数が少ないからこそ、アウトプットを確実に出していくことが大事。

仕事を早めに片付けられたときは、「手が空いています」と積極的に仕事を取りに行くようにしています。

勤務日数が少ないからこそ「周囲に頼る」を怠らない

――週休3日になったことで、働きやすさは変わりましたか?

ヤフー佐藤:もともと育児と両立するために選択した週休3日でしたが、安心感は想像以上に大きかったですね。

子どもは少し無理をすると体調を崩しがちですし、週の後半は子どもも疲れてくるので、特に体調が不安定。

ですが、今は金曜日は私も仕事が休みなので、子どもの様子が少しでもおかしければ心置きなく休ませることができます。

もちろん看護休暇もありますが、その場合は急に仕事を休むことになりますよね。仕事に遅れが出るので「今日はあのタスクを進めるはずだったのに」と、きっとモヤモヤしていただろうなと思います。

ヤフー

サイボウズ川嶋:私は今も専門学校の講師を続けているので、週休3日になったことで、そちらの仕事により専念できるようになりました。

前職の会社も副業への理解はありましたが、完全な週休3日制だったわけではないので、専門学校で講義をした後に本業の開発業務に戻らなければならないこともありました。やはり疲れますし、頭の切り替えが大変でした。

今は、本業が休みの日に講義を入れているので、副業にも集中できています。講義が終わった後は、来週のカリキュラムを準備する時間に使っています。

――働いている時間やチームメンバーと関わる時間が減ることで、情報のキャッチアップが遅れそう……というイメージがあったのですが、実際のところどうでしょう。エンジニアとしてのスキルアップには苦労しませんか?

ヤフー佐藤:私の場合、産休・育休も4年間と長期だったので、社内システムが刷新されていたり、開発言語やリリース手順がガラッと変わっていたりと、持っていたスキルが通用しなくなっていたことも多かったんですよ。なので、キャッチアップやスキルアップには日々奮闘しています。

サイボウズ川嶋:私は転職したばかりなので、覚えることが多くて大変ですね。開発言語というよりは、プロダクトへの理解を深めるためにはまだまだ時間が必要と感じています。

――勤務日数の少なさをカバーするために、何か工夫していることはありますか?

ヤフー佐藤:基本的なことに聞こえるかもしれませんが、分からないことがあったら周囲に頼るようにしています。

週休2日だった育休取得前は、仕事で行き詰まっても「自分で調べた方が勉強になる」という考えに固執していました。ですが、勤務日数が減ったことで「悩んでいる時間がもったいない」ということに気が付いたんです。

今は、少しでも早く疑問を解消して仕事のパフォーマンスを高める方が大切だと思うようになりました。

サイボウズ川嶋:佐藤さんの考えに同意です。まだまだサイボウズのプロダクトに関する知識が足りないので、分からないことだらけ。なので、分からないことはすぐに聞くようにしています。

教えてもらう立場だからこその気付きかもしれないのですが、新人が情報をキャッチアップするための仕組みがもっと効率化できそうだな、と思っていまして。

なので、学びを生かしてチーム内に蓄積しているノウハウをドキュメント化しようと計画中です。

まとまったドキュメントがあれば、働き方に関わらず、今後入ってくるであろう新人全員のキャッチアップの時間が短縮されるはずですからね。

サイボウズ

ヤフー佐藤:ドキュメント化の重要性は、今の働き方になってから私も感じているところです。

私が休みの時に「佐藤さんの仕事、どうなってる?」と迷惑を掛けないように、自分の仕事はドキュメントにまとめて見える化しています。

周囲が私の仕事状況を一目で分かるようにまとめているので、私がいないせいで業務がストップしてしまうこともなく、役立っていますね。

自分に合った働き方は、主体的に動いて手に入れる

――週休3日を選択して良かったと感じるのは、どのような点ですか?

サイボウズ川嶋:先ほどもお話ししたとおり、副業の専門学校講師の仕事により熱心に取り組めることになったことですね。

専門学校では、本業では使っていない技術の講義を担当することもあるので、私自身の学びにもなっています。知識の幅が広がり、エンジニアとしてのスキルアップにつながっている実感があるんです。

専門学校では、高校を卒業したばかりの生徒たちと関わることができるのもとても楽しく、いい刺激をもらえています。

サイボウズではフルリモート、専門学校では対面と、異なる働き方を並行して行える点もメリハリが付いていいですね。

ヤフー佐藤:私の場合、休みの日は仕事を忘れて育児や自分の時間として使っています。

リフレッシュできる時間があることで、無理をせず、心身共に健康に働ける。安心してヤフーで働き続けることが出来ますし、間接的にパフォーマンス向上につながる点に、週休3日の魅力を感じます。

――お話を聞いていると、週休3日に限らず時短勤務やフルリモート、副業と、さまざまなワークスタイルを掛け合わせて自分らしい働き方を実現していることが伝わってきます。自分に合った働き方を見付けるために、工夫したことはありますか?

ヤフー佐藤:最近はさまざまな働き方が可能な会社があると思いますが、制度があっても、その存在を知らなければ使えません。なので、積極的に情報を取りに行くことが大事だと思います。

私は入社後に週休3日を選択できる「えらべる勤務制度」ができたので社内広報のタイミングで知ることができましたが、後から入ってきた人たちは、自分で調べないと知らないままになってしまう可能性もじゅうぶんありますよね。

ワークスタイルへの希望があるなら、まずは身近な自分の会社の制度を詳しく調べてみるとよいと思います。

ヤフー

サイボウズ川嶋:私にとっての「自分に合った働き方」は週休3日制による副業の充実です。ただ、副業というチャレンジができるのは、安定した本業があってこそ。

まずは「これならば続けていける」という安定した本業を確立させることが、自分の好きな仕事、理想の働き方を実現する第一歩になると思います。

前の会社もサイボウズも副業が解禁されていますが、以前は20年以上にわたって副業禁止の会社に在籍していました。

サイボウズへの転職時には「副業OK」を条件にしていたとお話ししましたが、会社選びにこだわってよかったと感じています。

私は前職時代にたまたま始めた副業によって、仕事、人生がより豊かになりました。現在の本業週4日、副業週1日という働き方がとても気に入っています。

※調査データ(グラフ)は、小数点第2位以下は四捨五入しているため、合計しても100にならない場合があります

取材・文/古屋 江美子 編集/秋元 祐香里(編集部)

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