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AI技術の発展でエンジニアの役割はどう変わる?「課題解決のプロ」として生き抜くためのヒント【CA長瀬慶重×メルカリ若狭 建】

働き方

AI技術が発達し、徐々にノーコードツールを活用する企業が増えている。技術のコモディティー化が進み、「誰もがコードを書ける」時代の到来が現実味を増していく中で、エンジニアの役割は今後どのように変化していくのだろうか。

AI技術を活用して各種サービスを成長させ、優秀なエンジニアを多数育成・輩出してきた日本の二大テックカンパニー、メルカリとサイバーエージェントの技術トップ二人に“未来のエンジニア像”について聞いてみた。

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株式会社サイバーエージェント
専務執行役員 技術担当
長瀬慶重さん(@lionbaby

通信業界での研究開発を経て、2005年サイバーエージェントに入社。「アメーバブログ」や「アメーバピグ」「ABEMA」などのサービス開発を担当し、2014年に執行役員、2020年に常務執行役員に就任。エンジニアの採用や、技術力をさらに向上するための評価制度などの環境づくりにも注力している。現在はサイバーエージェント専務執行役員(技術担当)を務める

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株式会社メルカリ
執行役員 CTO Marketplace 兼 取締役 Managing Director of Mercari India
若狭 建さん(@kwakasa

東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了。Sun Microsystems、Sonyでハードウエア(携帯電話・AV機器)関連のソフトウエア開発を担当。GoogleにてGoogle Mapsの開発に従事した後、2010年以降、Android OS開発チームでフレームワーク開発に携わる。Appleでのシステムソフトウエア開発、LINEでのLINEメッセンジャークライアント開発統括を経て、19年8月、Director of Client Engineeringとしてメルカリに参画。21年7月、執行役員 メルカリジャパンCTOに就任

AI技術の発展、デジタルネイティブ世代の台頭で「コードが書ける」ことの価値は低下

ーーAIブームがここ数年続いていますが、この1年でさらにAI技術が進化している印象です。画像生成、ノーコードなど、AIでできることが増えていく中で、エンジニアの仕事やキャリアにはどんな影響があると思いますか?

大予測

若狭:昨年は画像生成AI『Stable Diffusion』やAIチャットサービス『ChatGPT』などが話題になりましたよね。

AIサービスがこれだけパフォーマンスを発揮し、人々に活用されている様子を見ていると、エンジニアが自らコードを書く機会はこれから減っていく傾向にあると思います。

数年前から言われていることではありますが、いよいよ「コーディングだけできるエンジニア」の価値はこれまで以上に低くなってしまうでしょう。

一方、AIありきでどんなサービスやプロダクトを作っていけばいいかエンジニア自身が考えるような時代に本格的に突入していくのではないかと感じますね。

長瀬:それと関連して、加速度的に技術のコモディティー化も進んでいますよね。

最近は子どもたちのプログラミングスキルもすごく高くなっていますし、若い世代にとってプログラミングはより身近なものになっています。

サイバーエージェントグループが主催する小学生向けプログラミングコンテスト『Tech Kids Grand Prix』*では、小学生の子どもたちが自分たちの作りたいアプリを開発して、海外のプログラミングコンテストに出てしまうこともめずらしくありません。

*小中高生向けのプログラミング教室「Tech Kids School」を運営する会社(株式会社CA Tech Kids)が主催しているプログラミングコンテスト

彼らのようなデジタルネーティブ世代が数年後に社会に出てきたときには、若者たちのテクノロジーの知識ベースも上がっているし、各種AIツールもさらに発展しているはず。

そういう意味でも、エンジニアに求められる役割は今後「課題解決」の比重が大きくなっていくと思います。

エンジニアのミッションは課題解決。技術を学び続けて解決手段を増やす

ーー先ほど長瀬さんから「課題解決」の比重が大きくなるというお話がありました。若狭さんはどう思われますか?

若狭:そうですね、もともと僕は「エンジニアのミッションは課題解決」だと考えていますが、そういう意識は今後ますます大切になっていくんだろうなと思います。

極端に言えば、コードを書かずとも問題を解決できるならそれがベストだし、コードを消すことでミスを減らしたり、生産性が上がったりすることもある。

次々に登場する新しいテクノロジーをどう課題解決のために使うかを判断できる人でいることが重要です。

そのためには、あらゆる技術に触れて、自分の課題解決の手段を増やしていく必要があります。そして、無数にある手段の中から最適なものを柔軟に選びとる目も必要になるでしょう。

これらの資質が、エンジニアにとって今後さらに重要になるのではないかと思いますね。

ーーその他、これから需要が高まる技術領域についてお二人はどう見ていますか?

若狭:ブロックチェーンや機械学習などの領域はもちろん、セキュリティー対策はほとんどの会社で喫緊の課題になっていますから、サイバーセキュリティー分野に専門性を持つエンジニアの需要は今後さらに高くなるはずです。

長瀬:あとは、職種で言うとバックエンドエンジニアのニーズは引き続き高いですよね。

ご存じの人も多いと思いますが、今はあらゆる業界がDXブームで、IT企業に限らずさまざまな企業でバックエンドエンジニアが必要とされています。

今は違う領域でエンジニアリングをしていても、バックエンドの知識を身に付けるだけで重宝されることが多いはずです。

大予測

ーーその時々でニーズの高い技術が変わっていくので、そこは常にキャッチアップしていく必要がありますね。

長瀬:はい。今に始まったことではありませんが、エンジニアにとってリスキリングの能力はよりいっそう欠かせないものになっていくと思います。

これだけ新しい技術が次々に登場する時代にあって、課題解決のための手段を自分の中に増やしていくためには、学び続ける姿勢と努力が欠かせませんからね。

「まず自分でやってみる」知識を得て“知った気”で終わりにしない

ーー自分の中に課題解決の手段を増やしていくために、新しい技術を学ぶことに加えて、エンジニアがやった方がいいと思うことは?

若狭:新しい技術やフレームワークが登場してそれを知識として「知った気」になって終わりにするのではなく、とにかく自分で触ってみる、やってみることですね。

例えば、「このフレームワークは使ったことがないのでやめます」ではなく、まずはそれを使って試しにやってみて、そこからどうだったのかを検証すること。

「これまではこういうやり方でやってきたから」とか、「常識的に考えてこうだろう」というスタンスでいる限り、せっかく得た新しい知識が、実際には自分の課題解決手段にならないことが多いんです。

目指すべき理想を実現する上で、特定の手段に対する不要なこだわりは捨て、最終的に解決すべき課題だけに集中する。そのような姿勢を保つ努力ができるといいのかなと思いますね。

長瀬:僕からは、対ユーザー、対サービス、対クライアントなどあらゆる場面で意思決定者の一人として働き掛けていくようなオーナーシップを発揮することをおすすめします。

課題解決能力を伸ばすには、自分が仕事に対して主体的であることが欠かせません。

このプロジェクトを成功させるにはどうしたらいいか、より良い開発組織をつくるにはどんなアクションが必要か……。そうやって、目的達成に向かって何をすべきか、日々の仕事の中で自分なりに考える癖をつけていけるといいですね。

サイバーエージェントでは近年、組織全体で開発チームの生産性向上に取り組んでいるのですが、この取り組みを通して若手エンジニアたちがオーナーシップを磨き、成長していることを実感しています。

どんな業務でもかまわないので、「目的を決める」「手段を決めて実行する」「結果を分析・検証する」「改善策を考えて実行する」あるいは「他の策に切り替える」。こうしたプロセスを自分で決めて仕事を回してみてください。

これを繰り返しているうちに、自然とエンジニアにとって必要不可欠な課題解決能力が磨かれていくと思います。

取材/夏野かおる 編集/玉城智子(編集部)

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