若手エンジニアの変わりゆくキャリア意識~その2:世代別に見る「5年後のキャリア目標」と学習方法
モバイルファーストへの転換であったり、各種開発手法やグロースハックの普及など、技術を取り巻く環境に大きな動きがあった2014年。
エンジニア個人の働き方も、グロースハッカーやフルスタックエンジニアといった言葉がメディアを賑わしたように、技術に限らない幅広いスキルを求められるようになってきている。
そうしたトレンドの変化は、各世代のエンジニアが持つキャリア意識にも少なからず影響を与えているはず。今回、『エンジニアtype』では、転職サイト『@type』に登録しているエンジニア276名(有効回答数。2014年11月にWebアンケートにて調査。ソフト関連69.2% | ハード関連6.2% | その他24.7%)に対して、キャリア意識に関するアンケートを実施。得られたデータを年代別に分析してみた。
【レポートその1】では、会社に求めるものと転職行動についての結果を紹介したが、今回はアンケートデータを29歳以下、30~39歳、40歳以上の3つに分け、各年代のキャリアに対する意識を見てみよう。
高度な専門資格はキャリアアップにはつながらない?
「5年後のキャリア目標として、どれが好ましいですか?」という質問への回答を見ると、各年代で目標としていることの変遷が分かる。
29歳以下は「特定の技術スペシャリスト」が一番多く、30~39歳は「プロジェクトマネジャーになる」が一番多い。若い間に技術の専門性を深め、経験を積んだところでマネジャー職へステップアップする、というのは、現在もエンジニアの典型的なキャリアのようだ。
ただ面白いのは、40歳以上の回答。29歳と同じ「特定の技術スペシャリスト」が27.6%と、一番多い回答となっている。マネジメントをひと通り経験した後に、再び技術を極める道に戻ってくるあたり、エンジニアの性なのだろうか。
そうした「理想的なキャリア」を経るために、「スキルアップやエンジニアとしての知見を深める目的で注目していること」についてのアンケートも取得。
すべての年代で「技術やマネジメントに関する専門書を読む」が最も多い回答になった。体系的に物事を学ぶ上で、専門書がまだ主力だということが分かる。
「各種技術勉強会に参加する」が29歳以下で6.7%なのに対し、30~39歳が10.8%、40歳以上が10.9%と、30歳以上になると勉強会への参加率が高くなる結果に。歳を重ねた方が参加意欲が高くなるのは、技術知識の向上に加え「人脈作り」としても、勉強会が機能している証拠かもしれない。
また、「専門資格の取得に励む」と回答した人の割合は、29歳以下だと18.7%、30~39歳が14.6%、40歳以上が10.2%と年齢が上がるほど、取得意識が低くなることが分かった。キャリアを重ねるごとに、より抽象度の高い業務に取り組む場面が増えるからと推察される。資格の取得数やグレードアップ=ステップアップという単純な方程式ではないようだ。
ちなみに、このテーマに追加して「具体的に勉強しているものは?」という質問をしたところ、そのフリー回答結果には年代ごとに微妙な違いが垣間見えた。
29歳以下だと「UIや色彩心理学」、「JavaScriptでの開発手法」などとフロントエンド開発を意識した回答が目立ったが、30~39歳になると、「クラウドを使ったシステム構築」、「仮想化についての知識」など、より広範囲のソリューションについて勉強しているという声が多くなっていた。
加えて、30~39歳では「マネジメント手法」、「セミナーへの参加」、「同業他社、同職種との交流」などの回答も多く、技術だけでなくより幅広い知識の吸収を意識していることがうかがえた。
そして40歳以上になると、「市場動向」や「新しい開発技法の習得」など、より経営や組織づくりに近い観点からのスキルアップを意識したコメントが増えていた。この世代は立場上、事業をけん引するシチュエーションが多くなるからだろう。
今、29歳以下のエンジニアは、自分の先輩たちがどのような意識を持って仕事に取り組んでいるのか知ることで、今後やるべきことが見えてくるはずだ。逆に30歳以上のエンジニアにとっては、自分が20代だったころのキャリアへの意識と比べて、世代によるギャップを感じたかもしれない。特に、エンジニアでもUIやデザインへのこだわりを持つという傾向は、ここ数年で強まったものだ。
こうして異なる世代の考えや意識を知っておくことが、エンジニアとしての幅を広げ続けるきっかけになるかもしれない。
>> 若手エンジニアの変わりゆくキャリア意識~その1:会社に求めるものと転職行動
文/長瀬光弘(東京ピストル)
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