株式会社システム・リノベイト 代表取締役社長
佐田浩志さん
千葉県生まれ。1998年に岡山理科大学・理学部を卒業後、大阪のSI企業に就職。グループウェア事業のプログラマー業務を皮切りにオープン系システムのコンサル業務、プロジェクトマネジャー業務などに従事する。その後、大手一部上場のSIに転籍となり、大阪での開発責任者を経て退社。2013年5月、システム・リノベイトを創業
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コロナ禍をきっかけに、「働く場所」に対する人々の意識は大きく変化した。
リモートワークの拡大により、「会社や客先に行かなくてもいいなら、好きな場所で暮らしたい」と転居や移住を考えるエンジニアも増えている。
一方で、社員同士が離れた場所で働くことによるデメリットが表面化するケースも多い。
社内のコミュニケーションが減ったために、課題や悩みをすぐに相談できず孤独に陥り、モチベーション管理が難しくなったと感じているエンジニアは少なくない。
そんな中、好きな場所に住む選択肢を提供しつつ、仲間と一緒に仕事ができる環境を実現しようと取り組んでいるのが、受託開発やSESを手掛けるシステム・リノベイトだ。
本年度中に東京、大阪に次ぐ第3の拠点を福岡に開設。その後も機を見て各地に拠点を広げていく計画だという。
同社は創業当初から社員同士のつながりやコミュニケーションを大事にし、客先でもエンジニア一人での常駐は避けてチームで社員を派遣するなど、仲間が同じ場所に集まって仕事をすることにこだわってきた。
リモートワークでも人とつながることは可能になった今、あえて地方にリアルのオフィスを構える意義とエンジニアが仲間と対面で働くメリットについて、代表取締役社長の佐田浩志さんに聞いた。
株式会社システム・リノベイト 代表取締役社長
佐田浩志さん
千葉県生まれ。1998年に岡山理科大学・理学部を卒業後、大阪のSI企業に就職。グループウェア事業のプログラマー業務を皮切りにオープン系システムのコンサル業務、プロジェクトマネジャー業務などに従事する。その後、大手一部上場のSIに転籍となり、大阪での開発責任者を経て退社。2013年5月、システム・リノベイトを創業
「リモートワークについては、手痛い失敗を経験しているんです」
新型コロナウイルス感染拡大による混乱が続いた当時を振り返り、佐田さんはこう打ち明ける。社員の健康と安全を守るため、リモートワークに切り替えたものの、対面のコミュニケーションで社員同士の信頼関係を築いていたシステム・リノベイトでは、リモートワークにおける社内の雰囲気醸成に苦労したという。
「経営者として、会社と社員、そして社員同士の信頼関係を大事にしてきました。信頼できる仲間がいれば、『この会社で働いていてよかった』と社員に思ってもらえるからです。
私は毎日出社すると、オフィスを回って社員全員の表情や態度などの雰囲気を確認するようにしていました。毎日直接確認することで普段と雰囲気が異なる場合も感じ取ることができます。
その際に気になる人がいれば、直接声を掛けたり、上司にそっと伝えたりと、こちらから歩み寄ってケアすることを心掛けていました。
ところがリモートワークになったことで、お互いの顔を見てコミュニケーションする機会は激減し、人とのつながりを感じにくくなってしまった。
自宅にこもって一人で仕事をするスタイルにより、人とのつながりがもたらすメリットが薄れてしまい、離職率が上がる原因になりました」
つながりを感じられることの重要性を痛感した佐田さんは、「仲間と一緒に働く」ワークスタイルに戻していく決断をする。
仲間と顔を合わせるようになり、対面のコミュニケーション量が増えたことで、システム・リノベイトが大切にしてきた信頼関係を土台とする社風は完全復活。再び社員の定着率は向上した。
一般にIT業界では組織全体の生産性や業務効率の向上が最優先され、エンジニアも時間や労力の削減につながるリモートワークを歓迎する傾向が強い。
「たしかに、リモートワークは効率が良い。リモートワークでもつながりを感じることはできるし、うまく運用すれば信頼関係も構築できる」と前置きした上で、それでも同社がリアルなコミュニケーションにこだわるのは、「エンジニアの幸福度」を最優先に考えているからだ。
「私が考える“幸せ”の定義は、『自分は誰かの役に立っている』と思えること。その実感があれば、自分は生きる価値があり、この場所にいていい存在なのだと感じられる。それってとても幸せなことですよね。
オンラインでも人の役に立つことはできますが、困っている人や悩んでいる人が自分から発信しない限り、それに気付くことは難しい。
仲間と一緒に働いていると、ちょっとした機微や何となくいつもと雰囲気が違うといった変化も感じ取れます。
仲間のそんなちょっとした変化を見逃さずに、日々助け合ったり教え合ったりすることで、“必要とされている実感”を得られますし、孤独や寂しさを感じることがなくなり、幸福度は上がると考えています」
若手のエンジニアは、自分の技術力が向上したり、給与やポジションの高い仕事に就いたりすることが“幸せ”だと考える人も多い。
佐田さんは「もちろんそれも大事な要素であり、当社も重視している部分」としつつも、「本人が気付いていないだけで、実は誰もが人とのつながりを求める心を持っている」と語る。
「『困っている人がいたら助けてあげたい』『自分が知っていることは教えてあげたい』という気持ちは誰にでもあるもの。だから人とつながりを持てる環境さえ用意すれば、おのずと他人のために行動します。
実際に弊社でも、新卒の社員が悩んでいると、半年前に入ったばかりの第二新卒の社員が声を掛けて相談に乗ったりするんですよ。
誰かに面倒を見てくれと頼まれたわけでもないのに、後輩のことをすごく気に掛けてくれる。それはやはり誰かの役に立ちたい気持ちがあるからでしょう。
相手の悩みが解決されて笑顔になってくれれば、自分もうれしい。結果的に自分も幸せになれるのです」
さらには社員同士の横のつながりをこれまで以上に深めようと、一昨年から同好会制度を導入。バスケットボールやフットサル、音楽や料理など、同じ趣味を持つ社員たちが集まり、仲間と余暇の時間を楽しんでいる。
もともとシステム・リノベイトでは、社長や役員から若手までが参加する懇親会を開くなど、仕事以外でも社員同士が交流する場を積極的につくってきた。
「仕事以外の場で役職者を含めて社員同士が自発的にコミュニケーションを築いていく……今時こんな会社は珍しいかもしれません。
しかし、採用面接を経て弊社を選んだメンバーは積極的に同好会に参加する傾向があります。それだけでなく、数か月後には自ら率先して同好会の輪を広げていることが多いんです。
こう話すと、私が出社や社内行事にこだわっているように見えるかもしれませんが、それは少し違っていて。
社員たちが幸せを感じられる環境と社風を提供することを貫いてきた結果、今のスタイルに行き着いただけにすぎないのです。
社員の幸福度を最優先すること。これは、創業以来ずっとぶれない経営のコンセプトです」
コロナ禍を経て、社内のつながりとコミュニケーションの重要性を再認識したシステム・リノベイトは、今年また新たな一歩を踏み出そうとしている。
それが福岡支店の開設だ。これは同社にとって、東京、大阪に続く三つ目の拠点。他にも事業機会を見込めるエリアがあれば、各地に拠点を増やしていく方針だ。
「福岡にゆかりがあるわけではないのですが、支店立ち上げにこの地を選んだのは、自分たちにとって知らない土地だったから。
知らない土地には、新しい出会いがあります。新しい出会いを重ねていくことで、自分たちにフィットする環境が広がり続けていく……私はそう感じています」
最近は都市部のIT企業がリモートで地方の案件を受けるケースも珍しくないが、社内のつながりだけでなく、顧客との関係を深めるためにも、現地に拠点を置くことが必要だと佐田さんは話す。
「弊社はお客さまの立場になって考え、WinWinの関係を築くことを経営理念としています。相手のWinを考えるには、やはり信頼関係を深めることが不可欠。
コミュニケーションを重ねて相手のことを知り、『このお客さまのために役に立ちたい』と思える関係をつくる必要があります。
そのためには私たちが現地に根を下ろし、じっくり腰を据えてお客さまと向き合うことが重要です。
確かにリモートで仕事を受ければ、オフィスを構えるコストがかからないといったメリットはありますが、私たちはそれ以上に人との信頼関係を大事にしたい。そのコンセプトは拠点が増えても変わりません」
地方に拠点が増えれば、社員のキャリアや働き方も選択肢が広がる。
例えば現在は東京で働いているが、将来的には実家のある地方に戻りたい。そんなライフプランを描いている人にとって、地方に拠点があれば夢をかなえるためのオプションが一つ増えることになる。
「弊社の若手社員に福岡出身者がいるのですが、新たな拠点を福岡につくることを発表した時に、『故郷に戻る選択肢を持てる』と喜んでくれました。
福岡の事業が軌道に乗ったら現地での採用も積極的に行い、自分に合った土地で地元の仲間たちと顔を合わせて一緒に働ける環境を整えたいと考えています」
最近は住みたい土地への移住に興味を持つ若い世代が増えている一方で、「キャリアアップするには東京で頑張るべきではないか」と迷う人も多い。
だが佐田さんは「長い人生を考えたとき、新しい土地に移ることは決してマイナスにならない」と話す。
「私自身がさまざまな場所で過ごした経験から、土地によって文化や価値観はかなり異なると感じています。
例えば仕事においても、東京はビジネスの規模が大きく競争が激しいだけに、企業や個人も成果主義や上昇志向を重んじる傾向が強い。
それに対し、地方では人との関係性を重視し、一度つながりを持った相手と長く付き合っていこうとする人情味がまだまだ残っているように思います。
もちろん東京の土地柄が合う人もいるでしょう。でもそんな環境に疲れ、心がすり減ってしまう人もいるかもしれない。その場合は別の土地に移ることで、自分に合う環境が見つかる可能性もあります。
それぞれの性格や価値観に合う場所で暮らすことで、精神的にも安定した状態で働けます。自分が住みやすいと思える土地なら、仕事以外の時間も充実してワークライフバランスも取りやすい。
場所の選択肢を広げることで、自分にとって幸せな働き方や暮らし方に出会える確率は高まるのではないでしょうか」
エンジニアたちが幸せに働けるフィールドの構築に挑み続けた結果、全国への拠点立ち上げへと行き着いた佐田さんだが、彼自身はどのように自らの「幸せな働き方」を見つけたのだろうか。
「私は千葉県で生まれ、茨城県の高校に通い、岡山県で大学時代を過ごし、新卒で大阪のIT企業に就職し、東京で起業しました。
どの土地でも新しい出会いがあり、そのたびに視野が広がり、価値観がアップデートされて、自分の成長につながった。
人生の中でたくさんの人と出会い、助けられたり、支えられたりしたからこそ、今の自分がある。
こうやって振り返ってみると、私は自分から新しい出会いをつくることに心が躍り、そこから得られる学びに幸せを感じるんだなと思います。
新たに拠点をつくる福岡では、どんな人とのつながりが生まれるだろうと今からワクワクしています」
自分にとっての幸せな働き方を言語化できていないエンジニアが、転職先を選ぶときに持つべき視点について、佐田さんは「自分はどういう時にワクワクするのか、『素直な気持ち』と向き合うといい」とアドバイスする。
「自分はどんなときに心が躍るのかをまずは言語化してみて、それを転職先を見極める条件へと落とし込んでいくと、自分が幸せに働ける企業を見極めるヒントになると思います。
その上で、自分の本音と真剣に向き合ってくれる企業を選べるといいですね。
残念ながらエンジニアをコマ扱いする企業も存在します。コロナ禍で弊社を離れた社員から、『スキルアップしたいと思って転職したが、今の会社はエンジニアの声を聞こうとせず、一方的に仕事を与えるだけで成長の機会もない。
システム・リノベイトがいかにエンジニアを大切にする会社だったか、今になって気付きました』と言われることもあります。
個人の性格や価値観に寄り添おうとせず、エンジニアを単なるマンパワーとして扱うような環境で働いても幸せにはなれません。
選考の中で自分が働く上で大事にしていることを伝え、コミュニケーションを通じてその思いに歩み寄ってくれる会社をぜひ選んでいただきたい。それが幸せに働くための方法ではないでしょうか」
取材・文/塚田有香 撮影/小黒冴夏 編集/光谷麻里(編集部)
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