日々流れてゆく膨大な情報量の中からおいしいネタを敏感に察知し、ネット界隈を賑わせてくれるWeb業界の異端児・村上福之氏。同氏独自の経験と価値観から、「キャラ立ちエンジニア」の思考回路を紐解いていく。
お金を稼ぎたいプログラマーが本当に考えるべきは、コード一行あたりの市場価値【村上福之】
スマホブーム、ソーシャルブームが一段落して、次の山は何か分からない今日このごろですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
個人的には、今後、お金がほしいプログラマーが考えるべきなのは、次のトレンドうんぬんよりも、一行あたりの市場価値だと考えています。
僕は、プログラマーは平等ではないと思っています。言語や習得技術によって、その市場価値が大きく変わります。テクノロジーの市場価格は、その難易度よりも、需要と供給で決まるケースの方が多いです。
例えば、COBOLプログラマーの単価はPHPプログラマーより圧倒的に高かったりします。あんな大文字ばっかりのレガシーくさい言語の方が、単価が高いのです。
理由は、かつてCOBOLを書いていたプログラマーがすでに高齢化してしまった上に、COBOLを必要とするクライアントは金融系が多く、お金を持っているクライアントだからです。
一方、PHPを必要とするのは主にネットサービスで、みんなから文句を言われつつ、最も使う人の数が多いWebプログラミング言語になっています。で、Webでメシを食っているクライアントは、金融系よりも金払いが良くないことが多いです。
また、ガラケーのソーシャルバブルの時などは、コンソールゲーム機でバリバリの3D演算エンジンが書けるプログラマーよりも、Flash Lite1.1で大量のswfを吐き出せるプログラマーの方が年収が高かったりしました。
当然、技術的には、前者の方がレベルは高いですが、後者の方が需要があったんです。
今アツい「レガシー×最新技術」のスキルセット、その理由は…
そういえば、ある日、日本最大手のSI会社から「村上さん! BREWの保守できますか? 今、業務用のガラケーの保守でBREWを書ける人が誰もいないんです!」と電話が掛かってきたことがありました。
おそらく、一時期auさんが売りまくっていた法人用のガラケーに、管理ソフトウエアを作りこんで何千台も納品したのはいいけど、誰も保守できなくなってしまったのでしょう。
たかだか10年も経っていないプラットフォームでも、大手SIが人を見つけるのに困窮するのです。
このように、プログラマーの単価というものは、需要と供給の関係、およびそのプロダクトが生み出す経済性に関連します。
そんなわけで、最近、レガシー案件、または、レガシーからオープンやクラウドへの移行案件が熱かったりします。後者で必要なのは、新しいことも古いことも知っている人です。こういう人はさらに少ないので重宝されます。
なぜエンタープライズの話をしているのかというと、スマホやソーシャルの「コンシューマ開発」はもう一段落して、コンシューマの世界で培われたクラウドやスマートフォンやソーシャルのテクノロジーを、エンタープライズで活用する動きがけっこう面白いことになっているからです。
しかし、内容が内容だけにブログやTwitterで出てこないので、誰にも共感されないのが悲しいところです。
歴史は繰り返されるんですよ。人生、面倒くさいですね。
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