『DX時代の最強PMOになる方法』著者・甲州潤が教える
エンジニア時代に知りたかった「開発現場の難所」突破のコツ「キャリアアップをしたいエンジニアはPMOという選択肢もアリ」と著書『DX時代の最強PMOになる方法』で伝える甲州潤さん。エンジニアからキャリアをスタートし、現在ではPMOとして多くのIT利活用や経営相談をこなす甲州さんが「今だから言える、エンジニア時代こうしていればよかった」と思うスキルや考え方、プロジェクトの進め方を実体験をもとに紹介していきます!
『DX時代の最強PMOになる方法』著者・甲州潤が教える
エンジニア時代に知りたかった「開発現場の難所」突破のコツ「キャリアアップをしたいエンジニアはPMOという選択肢もアリ」と著書『DX時代の最強PMOになる方法』で伝える甲州潤さん。エンジニアからキャリアをスタートし、現在ではPMOとして多くのIT利活用や経営相談をこなす甲州さんが「今だから言える、エンジニア時代こうしていればよかった」と思うスキルや考え方、プロジェクトの進め方を実体験をもとに紹介していきます!
みなさん、はじめまして。
株式会社office Root代表取締役の甲州潤(こうしゅう じゅん)と申します。
フリーランスのエンジニアとして、10年以上活動した後、法人化。企業のIT戦略立案・実行支援、 情報システムの導入・マネジメント支援をはじめ、さらにはIT利活用から経営に関わる相談まで幅広く携わっています。
現在は、パートナーのエンジニアを400名ほど抱え、多くの企業さまのプロジェクト支援を行っています。今回は、私がどんな経歴をたどってエンジニアになったのか、そしてなぜ連載をさせていただくに至ったのかお話しします。
株式会社office Root(オフィスルート)
代表取締役社長
甲州 潤(こうしゅうじゅん)
国立高専卒業後、ソフトウェア開発企業でSEとして一連の開発業務を経験し、フリーランスに転身。国内大手SI企業の大規模プロジェクトに多数参画し、優秀な人材がいても開発が失敗することに疑問を抱く。PMOとして活動を開始し、多数プロジェクトを成功へ導く。企業との協業も増加し、2020年に法人化。さまざまな企業課題と向き合う日々。著書『DX時代の最強PMOになる方法』(ビジネス教育出版社)
今思い返してみると、エンジニアに興味を持ったきっかけは、中学生の頃学校で受けたパソコンの授業にあると感じています。「もっとパソコンを使ってみたい」そう思い、私は高専に進学することを決めました。同級生の多くは普通科の高校に進学していきましたが、周りのことはさして気になりませんでした。別に将来なりたい職業があるわけではない、何ならどんな職業があるのかもわからない、だけどきっと「情報処理を学んでおけば、仕事に困ることはないはずだ」そんな考えも高専への進学を強く後押ししてくれました。
高専に進学後、より専門的な勉強や実践的な経験を経て、「ゲームを作るエンジニアになりたい」という希望が湧きました。日本の有名なゲーム企業への就職も検討したものの、SI企業へ就職しました。
その理由は、Web、ネットワークといった特定の領域ではなく、情報システム全体をカバーするSI企業なら上流から下流までひと通り経験できると思ったからです。高専での学びを活かせるかどうか、自分に足りないことも見えるのではないか、と考えたからです。
私はSI企業に3年在籍しましたが、振り返ってみると「大規模プロジェクトに関われた」経験が大きなメリットだったと感じています。
プロジェクトを通して、一連の工程や関わる関係者の多さ、つまづきやすいポイントを具体的に把握できるようになりました。それらを理解しておくことで、他のプロジェクトに応用することもできました。
「大は小を兼ねる」これはプロジェクトの経験においてもそう言えると思います。
研修後、初めて配属されたプロジェクトでは、テスト業務を担当しました。さまざまな会議にも出席し、資料作成などのプログラミングではない、付帯業務を必死に覚えていた記憶があります。
会議のメモをとって整理した後、先輩に「これで会議の内容はあっていますか?」と聞いたり、アドバイスをもらったりして徐々にプロジェクトの流れをつかんでいったのです。
そのおかげか、入社後1年程度でサブシステム部分の構築を任せられるようになりました。
任せられる仕事が増えると、周りの先輩たちがどんな動きをしているのか見えてきます。その中でも私は、何人もチームメンバーを抱えて、レビューやチェックをしている先輩を尊敬していました。
ある日のこと、その先輩が私に「このプログラムの修正をやってみて」と言うのです。そのソースコードは1000行くらいでした。しかし、詳しく内容を見てみると、同じような処理が多く、条件分岐の処理にも無駄がありました。シンプルなプログラムコードを修正すると、結果的には300行くらいに収まったのです。この時の体験によって私は自信をつけることができました。
「学生上がりで20歳そこそこの人間が社会に出て、本当に役に立てるのかな?」という思いがずっと消えませんでしたが、「プログラムが適切に動くよう、やるべきことをやればいいんだ」「だから、エンジニアとして地道に経験を積んでいこう」と気持ちを切り替えることができたのです。
会社員3年目、とあるプロジェクトに参画した時のことです。「私はフリーランスでこのプロジェクトをやってるんですよ」という方に出会いました。
「会社員でなくてもプロジェクトに入れるんだ!」と驚いた私は、フリーランスエンジニアの道を考え始めたのです。
フリーランスエンジニアになりたかった大きな理由は、「自分の評価も給与も全部自分で決めたい」「携わる仕事も自分で選択したい」という思いが強くなっていったこと。ご存じのようにエンジニアは、一つのプロジェクトに3ヶ月から長いと年単位で入ることになります。そのため、会社員として一度プロジェクトに入れば自分の進退について、考える必要もないのです。ある意味”安定、安泰”。だけど私は自らチャレンジすることを諦めたくありませんでした。
その思いがつのり、私は2008年、フリーランスエンジニアとして活動をスタート。ありがたいことに、キャリアを順調に積み上げていくことができました。
フリーランスとして数年経験を積んだ後、私は次のステップとして「PMOをやってみたい」という思いが強くなっていきました。
なぜなら、優秀なエンジニアが何人もいるのに失敗してしまう大規模プロジェクトを幾度となく目にしてきたからです。
個々のメンバーのしていることはそれぞれ間違っていません。
ですが「話が噛み合っていない」「要望が正確に伝わっていない」「マネジメントが機能していない」だけで、プロジェクトがうまく進まないのです。逆にそこさえ解決できれば、プロジェクト関係者全員が、実力を最大限に発揮できると感じました。それなら自分がその役割を担ってみたいと思ったのです。
しかし当時は「10年エンジニアを経験してようやくマネジャーになる」というのが常識。「PMOをやりたい」と言っても「甲州君はまだ若いんだから、せめてリーダーをやってからPMOになりなよ」「もっと経験を積んだ方がいいよ」となかなか声を掛けてもらえなかったのです。
しかもフリーランスは会社員と違い、実績が全て。実績がない中で、「PMOをやりたい」と言いつつも企業から声が掛からないのは当然なのです。
でもどうしてもPMOの仕事をしてみたい。
どうすればいいんだろう。
私は初めて、壁にぶち当たったのです。
しかし、それでも自分で切り開くしか道はありません。
そこで、PMOの若手ポジション枠を狙い、ひたすら企業に応募し続けました。「マネジメントの実務経験はありませんが、資料作成やシステム開発の進め方は把握しています」「会議の進行や議事録の整理、案件管理もできます」ということを言い続けた結果、「先輩PMOのサポートポジション」としてプロジェクトに参画するチャンスを得たのです。
ここで私は、PMOとしてどんな風にタスクが下りてくるのか、メンバーにどんな指示をすれば良いのか、チームメンバーにスムーズにプロジェクトを進めてもらうために、どんな仕組みを整えればいいのか……を学んでいきました。
この経験が基礎となり、以来私は多くのPMO案件を扱うことになったのです。
高専卒業後、さまざまなプロジェクトに携わり、キャリアアップを積んできました。
これを読んでくださっている皆さんも、1エンジニアとして、努力されていることと思います。
会社員として、またフリーランスとしてプロジェクトに携わった立場から、皆さんに1つでも有益な情報を提供したいと思い、『エンジニアtype』で連載させていただくことになりました。
次回からは、エンジニアに必須のスキルや、伝わるプレゼン術、またプロジェクトを成功に導くために押さえるべきポイントなどを具体的にお話しさせていただく予定です。
みなさんにとって役立つような記事をお届けしていきます!
どうぞよろしくお願いいたします。
『DX時代の最強PMOになる方法』
著:甲州潤
▼こんなエンジニアはぜひお読みください。
・今の仕事に不満を持っていて、現状を変えたいと思っている
・給料をアップしたい
・エンジニアとしての将来が不安だ
・キャリアアップをしたいが、何をしたらいいかわからない
・PMOに興味がある
・PMOとして仕事をしたい
【目次】
第1章 一番稼げるIT人材は誰か
第2章 これからはPMOが1プロジェクトに1人必要
第3章 SEとPMOの仕事は何が違うか
第4章 稼ぐPMOになる7つのステップ
第5章 優秀なPMOとダメなPMOの見抜き方
第6章 PMOが最低限押さえておきたいシステム知識とスキル
第7章 システムは言われた通りに作ってはいけない
第8章 どんな時代でも生き残れる実力をつけよう
>>>詳細はこちら
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