キャリア Vol.575

若手エンジニアが成長できる職場って? マネーフォワード辻庸介氏×メルカリ小泉文明が語る“会社選び”の判断軸とは【前編】

2016年2月16日(火)、株式会社キャリアデザインセンターが主催する『1st Career Summit』イベントが渋谷ヒカリエで開催された。本イベントのトークセッションに登壇したのは、マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻 庸介氏と、メルカリ取締役の小泉文明氏だ。両社とも、技術力の高いエンジニアを多数抱える企業だが、そんな企業の経営者は、若手が成長できる職場をどのように捉えているのだろうか。

二人が自身の経験を踏まえて語った持論は、今後のキャリアに悩んでいたり、転職を検討中の若手エンジニアにとっても、一ビジネスパーソンとして参考になる内容となっている。自分が成長するための職場環境とはどんなものなのか、改めて考え直すきっかけにしてほしい。

マネーフォワード 代表取締役社長 CEO 辻庸介(つじ・ようすけ)氏2001年に京都大学を卒業後、ソニー、マネックス証券を経て12年に同社を起業。ファーストキャリアを世界的メーカーで過ごした後、起業家となった

メルカリ 取締役 小泉文明(こいずみ・ふみあき)氏2003年に早稲田大学を卒業した後、大和証券SMBCの投資部門に就職。金融業界の大手で若手時代からミクシィやDeNAといったネット企業のIPOを担当。その後はミクシィの取締役執行役員CFOなどを経て、13年にメルカリの取締役となる

会社選びに失敗しないために身に付けておきたい3つの視点

(左から)メルカリ取締訳の 小泉文明氏と、マネーフォワード代表取締役社長CEO辻庸介氏

(左から)メルカリ取締役の 小泉文明氏と、マネーフォワード代表取締役社長CEO辻庸介氏

彼らのセッションを通じて挙げられた、会社選びのポイントは以下の3つだ。

【1】大手、ベンチャーを問わず「勝ち癖」の付いた組織を探す
【2】ビジネスの「起承転結」を見通せる職場を探す
【3】業種や規模で決めず、「人ありき」で決めるべく社員に会いまくる

社会人として、いかに自らが成長できる環境に身を置けるかで、その後のキャリアは変わってくる。そのために抑えておく上記3ポイントは、社会人としてのキャリアを考えた時に、ステップアップするための良い足場となるのだろう。

【Q1】なぜファーストキャリアで大手企業を選んだのか?

 私が新卒でソニーに入社したのには、キチンとした理由があったわけではないんです。不真面目な学生だったので、何となく当時のソニーという会社がかっこよく見えて……(笑)。

小泉 実際、超かっこよかったですよね。プロダクトもかっこいいし、社員も仕事ができて魅力的だったし、何よりグローバルな感じがしました。

 そうですね。その後マネックス証券を経由して現在のマネーフォワード設立に至るのですが、私のキャリアにおいてグローバルはテーマの一つにもなっています。

小泉 僕は、新卒で大和証券SMBCを選びましたが、理由はお金の勉強をしようと思ったから。もともと自分で事業をやりたいと思っていて、何をやるとしても「お金を稼がなければならない」、「お金の知識が必要だ」と考えて投資銀行への就職を決めたんです。そんな理由でよく受かったなって話ですけどね(笑)。

【Q2】もう一度就職活動するなら、大手とベンチャーどちらを選択するか?

小泉 僕は「大手かベンチャーか」という二者択一の判断軸じゃなく、やっているビジネスが「イケてるかどうか」で会社を選んだ方がいいと思っていまして。大手の中にも、イケてる会社とそうでない会社はあるし、ベンチャー企業でも同じ。メルカリみたいなイケてるベンチャーと、そうでない会社があるわけですよ(笑)。

そもそもベンチャーって、設立3年経っても残っている割合が大体10%程度なので、イケてない会社は生き残れない。他方、大企業も、最近は不祥事とかで危機を迎えるところがちらほら出ていますが、何年か前にその会社に入社した社員はこんなことになるなんて誰も想像してないはずです。

今は好調な会社だって、10年後どうなるかなんて分からない。そうなると、結局のところ「個人の実力を付けない限り未来は明るくならない」、「会社に依存したら終わりだ」という結論になる。

 ホント、そうですよね。

小泉氏 だから、大手企業に就職したとしても、それ以上に配属された部門が一番稼いでいる部門だとか、会社の中で一番イケてる部門なのか?の方が肝心で。もし、内定が出たのが大企業で、イケてる部門に配属されそうなのであれば、ベンチャーよりも大手企業を選んだ方が絶対にいいですよ。

 何でですか?

小泉氏 会社の中でも突出して結果を残している部署って、やっぱり優秀な人が集まっているからです。結果を出しているのには理由があるし、何と言うか「勝ち癖」が付いている。勝ち癖が付いている部門にいさえすれば、勝ち癖の付いている先輩の秘訣みたいなものを盗めるわけですよ。

 なるほど。

(左から)メルカリ取締訳の 小泉文明氏と、マネーフォワード代表取締役社長CEO辻庸介氏

「もう一度就職するなら?」という質問に対して自論を展開する小泉氏
小泉氏 その業界の中でトップの部門ならば、新鮮で良質なビジネス情報も一番最初に入ってきます。そこで働く社員は、誰よりも多い情報を、俯瞰して見て判断できるわけです。そういう環境が手に入るのであれば、僕はベンチャーより大企業を選びます。

まぁ、この理屈は大企業だけでなくベンチャーにも適用できますけど。ベンチャーならどこも一様に「若いうちからいろいろ経験できる」というわけじゃなくって、結果を出しているベンチャーに行くということが一つの勝ちパターンなんじゃないかと思います。

ちなみに、イケてる・勝ち癖の付いている会社に入社したとして、3年間くらい働いてもそれ(=勝ち癖)を学べなかったら、その後、身に付くようになるとは到底思えません。だから、最後は「そこでどんなノウハウを吸収していくか」が大事になるんじゃないでしょうか。

例えば、ある案件を取るための、数社によるコンペがあったとしましょう。負けている部門にいると、「どうせ次のコンペも勝てないだろう」という空気があって、言い訳の多い人生が始まってしまうわけですよ。

一方、結果を出し続けている部門の社員は、実際は自分の提案内容とは関係ない部分~例えば会社の製品やサービスそのものが良いとか~で勝っているんだとしても、「自分の提案でまたコンペに勝った!」という良い勘違いが生まれてくるんですよね。

そうやってどんどん勝ち癖を付けていくと、自然と「勝つための手段」を考えるようになるんです。負けた時の言い訳を考えるのではなく、ね。

なので、そういった環境があるのはどの会社なのか?という視点で会社を選ぶのが良いと思いますよ。

 小泉さん、メチャメチャ良いこと言いますね。就活の神になれそう(笑)。聞いていて本当にそうだなと思いました。

私の意見はほどんど小泉さんと同じなのですが、学生の時って、会社とか社会とか、自分に何ができるのかとか、そういうことが何も分からないじゃないですか。だから、まずは大手・ベンチャーどちらでもいいから、心の動いた会社に入ってみたらいいんじゃないかと思います。

私が就職した当時、就職ランキングの1位とか2位にいたソニーに入社したことで、みんなに「良い会社に入ったね」と言われました。私もカッコイイ会社だと思っていたし、実際にとても良い会社でした。

ただ、めちゃめちゃ仕組みが整備されているからこそ、私がいろいろ提案をしても組織の壁に苛まれて突破できない、ということがありました。当時の私が力不足だっただけなんですが、そのころに、「全てにおいて揺るぎないルールが決まっている中で、自分は10年後もここで働いていていいのかな?」と思ったのを覚えています。

もっと早く、いろんな仕事のやり方を学べる環境で力を付けたいと。そう思って、マネックスに出向したんです。

「人は強くない」というのが私の持論で。強くないので、環境に適応するんだと思うんです。でも、会社に入り、「5年後には自分はあの先輩のようになっているかも」、「10年後にはこの先輩みたいになるのかな?」とキャリアパスが何となく分かってきた時、将来の自分に照らし合わせてみると違和感を持つ瞬間もあるんですね。

こういう感覚が、キャリアを作っていく上では大切なんだと思います。

【Q3】新卒時代、大手企業で得られた経験の中で、現在も活きていることは?

小泉 やっぱり、会社のネームバリューという強みは大きかったですよ。

僕の仕事はIPOを目指す企業とのやり取りだったんですが、どこの会社も、新卒1年目の時から社長が直接相手をしてくれたんです。若いうちにそういう経験を積めるというのは、大手企業の看板があったからこそだなと思います。

若いころは実力が追いついていないので、会社の看板を使った方が良いと思うんですね。さっき話した通り、強いチームに入れば入るほど優秀な人と会えますし、その方たちから得られるものってかけがえのないものですから。

(左から)メルカリ取締訳の 小泉文明氏と、マネーフォワード代表取締役社長CEO辻庸介氏

今の仕事でも活きている経験としては、ビジネスをやる時に相手のキーマンが誰なのかが何となく分かるということでしょうか。商談とかミーティングに入って、30分もしないうちに、「この人がどうやらカギを握っているんだな」というのが分かってくるんですよ(笑)。そうしたら話は早い。

 私の場合は、「事業が回る」というのがどういうものかを理解できたことですね。ソニーという世界に市場を持つ会社で、事業を企画してモノを作り、実際に売ってお金がグルグル回っていくプロセスを目の当たりにしました。その結果、「ビジネスってこうやってできていくのか」というのが、感覚で分かるようになったんですね。

マネーフォワードを起業してからは、なおさら「あの時は良い経験をしたな」と思うようになりました。ああいう感覚は、本を読んでもなかなか得られないと思います。

ただ、大事なのは、実際にそのプロセスを自分が主導して回していけるかで。私自身、ソニーにいた時にできなかったことをマネックスに出向してから経験できた。いろいろしんどかったですけど、その分すごく伸びているという実感を得られたので、やっぱり人間は経験なんだなと思いますね。

>>【後編記事へ続く】“勝ち癖”のある企業はこう見抜く! マネーフォワード辻庸介氏×メルカリ小泉文明から“成長したい”若手エンジニアへの助言
取材・文・撮影/蛯原啓貴(編集部)

※こちらの記事は『キャリアデザインタイムズ』より一部編集の上、転載しております

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