「中級レベルのエンジニアなら生き残れる」生成AIの進化に負けない理系人材の能力とは?【今井翔太が回答】
トランプ政権誕生に伴うアメリカのAI巨額投資、
中国発DeepSeekショック、AIエージェントの台頭……
2025年も初っ端からAI関連の速報や技術進化が止まらない。
「こんなこともできるのか!」という衝撃が走るたびに、「もう理系人材は要らないのでは」と理系人材の終焉が頭をよぎる方も多いのではないだろうか。
東大・松尾豊研究室出身で、著書『生成AIで世界はこう変わる』(SBクリエイティブ)がベストセラーになっているAI研究者の今井翔太さんもXでこうポストした。
GPT-4oレベルのが出てくるくらいにAI技術が発展すると,今までの上位層がやっていたようなタスクも含めて「AIを使えば大体みんなすごいことができる」状態になるので,今までみたいに「嫌なやつだけど仕事はできる」人は淘汰されて,「人格がいいだけで差分になる」という世界がくる気がします
— 今井翔太 / Shota Imai@えるエル (@ImAI_Eruel) May 14, 2024
「AIを使えば大体みんなすごいことができる」世界線では、これまで理系人材が提供してきた専門的な知見や技術の需要が低くなる。では一体、どんなスキルが求められるのか。若きAI研究者に、生成AIの最新動向と未来予測をもとに、論じてもらった。
※本記事は2024年8月21日に公開し、2025年1月29日に一部情報を更新しています。
AI研究者,博士(工学,東京大学)
今井翔太さん(@ImAI_Eruel)
1994年、石川県金沢市生まれ。東京大学大学院 工学系研究科 技術経営戦略学専攻 松尾研究室にてAIの研究を行い、2024年同専攻博士課程を修了し博士(工学、東京大学)を取得。人工知能分野における強化学習の研究、特にマルチエージェント強化学習の研究に従事。ChatGPT登場以降は、大規模言語モデル等の生成AIにおける強化学習の活用に興味。生成AIのベストセラー書籍『生成AIで世界はこう変わる』(SBクリエイティブ)著者。その他書籍に『深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト)公式テキスト 第2版』(翔泳社)、『AI白書 2022』(角川アスキー総合研究所)、訳書にR.Sutton著『強化学習(第2版)』(森北出版)など
少し勉強したくらいじゃ、まず勝てない
━━生成AIの発展により、理系人材の立場が危うくなると言われています。今日は理系人材の行く末について、今井さんの考えを伺いたいです。その前に、生成AIの現状と課題、今後数年の見通しから伺えますか?
今の生成AIの言語性能は、東大の大学院生と同レベルです。ここでいう言語性能にはプログラミングも含みます。プログラミングは、生成AIの中でも特に応用が進んでいる分野。ということは、ちょっと勉強したくらいのエンジニアでは現時点でもまず勝てません。
とは言っても、まだハルシネーションの問題はあります。プログラミングにおいても誤った出力をすることが起こります。これは生成AIの基盤技術であるニューラルネットワーク、大規模言語モデルという仕組みで、そもそも解決できるかは明らかになっていません。
なので、出力されたコードを最終的に確認する役割を担う、一定ラインを超えたエキスパート人材の需要は残るでしょう。
少し未来的な話をすると、生成AI単体の出力ではなく、生成AIが外部ツールを使うといった例も出てきています。
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文/鈴木陸夫 編集/玉城智子(編集部)
【書籍紹介】
話題の生成AI、どこまでなにができる?
AIって結局、どんなしくみで動いているの?
最新テクノロジーで私たちの仕事は奪われる?
AIで働き方や生活がどう変わるのか知りたい…
そんな不安や疑問、そして未来への興味関心に応える
今井翔太さんの著書『生成AIで世界はこう変わる』(SBクリエイティブ)がベストセラー中!
●目次
第1章 「生成AI革命」という歴史の転換点――生成AIは人類の脅威か? 救世主か?
第2章 生成AIの背後にある技術――塗り替わるテクノロジーの現在地とは?
第3章 AIによって消える仕事・残る仕事――生成AIを労働の味方にするには?
第4章 AIが問い直す「創作」の価値――生成AIは創作ツールか? 創作者か?
第5章 生成AIとともに歩む人類の未来――「言語の獲得」以来の革新になるか?
特別対談 松尾豊×今井翔太 生成AI時代に求められるスキルとマインドとは?
今井さんよりコメント
東大での活動で得たChatGPT等の言語モデル、拡散モデル、マルチモーダル、エージェント活用、労働/文化の影響の全知見を載せました!更に、師であり政府AI戦略会議座長の松尾豊教授との「師弟対談」も収録しています。ぜひご一読ください。
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