『カメリオ』のオープン・グロースハック
白ヤギコーポレーション
ビッグデータ解析やプログラミング、物理学から経営学など、あらゆる道を極めた者たちが集うハードコアなエキスパート集団。粗食に耐え、険しい山道も着実に上っていく白ヤギのように、苦難に負けず常に成長していく会社を目指す。2014年2月にローンチしたフォローメディア『カメリオ』をどうやって育てていくか模索中
【PR】 転職
『カメリオ』のオープン・グロースハック
白ヤギコーポレーション
ビッグデータ解析やプログラミング、物理学から経営学など、あらゆる道を極めた者たちが集うハードコアなエキスパート集団。粗食に耐え、険しい山道も着実に上っていく白ヤギのように、苦難に負けず常に成長していく会社を目指す。2014年2月にローンチしたフォローメディア『カメリオ』をどうやって育てていくか模索中
はじめまして、白ヤギコーポレーションです。われわれの開発しているフォローメディア『カメリオ』は、フォローしたテーマに関する重要なニュース記事やブログを高精度で自動収集してくれる、まったく新しい形の情報収集ツールです。
正式リリースは2014年2月。盛り上がりを見せるニュース・情報収集系アプリのジャンルでは後発のサービスになりますが、100万以上のテーマから自分の気になるものを選び、追いたい情報を欠かさずに追うことのできる「フォローメディア」という新しい切り口で注目を集めつつあります。
非常に競争の激しい環境下、『カメリオ』をスケールさせるにはいったい何をしたらいいのか。日々いろんな施策を試しては、頭を悩ませています。
なので、この【オープン・グロースハック】連載は、白ヤギコーポレーションの「すごい成功例」を披露するものではありません。
連載趣旨は、白ヤギコーポレーションによる『カメリオ』のグロースハックへの取り組みを広く世界に共有することで、新しい手法の開発に役立てるとともに、グロースハックに詳しい読者の皆さまから『カメリオ』のサービス向上に有用なツッコミやより良い手法を提案してもらう、というちょっと下心のあるもの。
飽和状態にあるアプリマーケットの世界の中心で、「白ヤギを助けてください!」と叫ぶ。そんなセカチュー的企画です。
毎回、『カメリオ』に関するデータを赤裸々に公開しつつ、脳味噌フル回転で考えた施策とその結果を紹介していきます。普通の企業なら絶対に公開しないであろうデータも思い切って公開し、グロースハックのノウハウ共有に一役買おうと思いますので、皆さまお付き合いください。
先日MOVIDAの勉強会でお会いしたKAIZEN platformの須藤憲司さんによると、まず最終目的となるゴール、KGI(Key Goal Indicator)を決めて、それを上げるためのレバーとなるKPI(Key Perfomrance Indicator)を見つけることが大切とのこと。
例えばFacebookはDAU(Daily Active User)を上げることがKGIで、そのKGIを上げるためのKPIは、「新規ユーザーが登録後10日以内に7人の友達とつながること」と設定していたそうです。正しいKPIを見つけることができれば、グロースハックの8割はできたようなもの、とおっしゃっていました。
と、いうことで、まずは『カメリオ』のKGIの設定からスタートです。
『カメリオ』の目指す姿は何で、そのためにはどういう数値を改善するべきなのか。わたしたちは『カメリオ』のKGIを
「継続的に使ってくれるユーザー数を増やすこと」
と定めました。そのためには、ユーザーをたくさん増やして、さらに増えたユーザーに飽きられず、毎日アプリを使ってもらう必要があります。
継続的に使ってくれるユーザー増をKGIとする場合、通常DAU(Daily Active User)を用います。しかし、DAUにはユーザーの気まぐれや曜日変動による「ホワイトノイズ」と、インストールの増加などによる「スパイクノイズ」の2つのノイズがあって、正確に毎日利用しているユーザーの数を測定できないとのこと(参考:『DAUを評価指標から捨てた会社の話』)です。
例えばコロプラはアプリをダウンロードして7日以上経過しているユーザーを対象に、さまざまな指標を測定しています(参考:コロプラ2014年9月期 第1四半期決算説明会資料)。『カメリオ』も同様に、アプリダウンロード後、一定期間以上経過したユーザーを対象に指標を設定した方が良いと考えました。
「継続的に使ってくれるユーザーを増やす」には、「新規ユーザーを増やす」ことも「継続的に使ってくれる」ことも必要になってきます。両方一緒にできたら最高なのですが、スタートアップでリソースがない場合、まずは「継続的に使ってくれる」こと、つまり定着率を上げることに力を注ぐべきでしょう。
定着率が低い時に新規ユーザーを増やしても、どんどんユーザーが離脱して結局ユーザーが残らないということが考えられます。つまり、逆にユーザーが定着することが確認できれば、あとは数を増やすだけです。
『Uber』の創業者であるTravis Kalanickも、「1日800人前後が利用していることを確認したらしばらくの間、ユーザー増には一切費用を掛けず、定着率をあげることだけを考えた」と関係者に話していたとのことなので、やはりいかに定着率を上げるかが大規模サービスを作る肝のようです。
そういうわけで、『カメリオ』は利用X日目のユーザーが過去Y日間の間にアクティブだったかどうかで「継続的に使ってくれているか」を測定します。
例えば、右の[図1]は利用を開始してX日目のユーザーのうち、直近2日間で『カメリオ』を1回でも使った人(アクティブユーザー)がどのくらいの割合いるのかを示しています。
ちなみに、使い始めた当日を「0日目」とカウントしています。これをDAF(Daily Active Fraction)と呼ぶ事にします。
これを見ると、利用開始して1週間目のユーザーのうち、35%が直近2日間で『カメリオ』を利用しているのが分かります。
それ以降は大体安定して同じ値になっているので、1週間経過しても定期的に利用しているユーザーはその後も安定して継続利用していることもわかります。この数値はもっと、もっと高めたいですね。
では、実際ユーザーはどのように『カメリオ』を使っているのでしょう。『カメリオ』を使い始めたユーザーの動きを見てみると、使い始めてから3日間での離脱が激しいです。
右の[図2]は、『カメリオ』を使い始めて14日目以降のユーザー(使い始めた日を0日目としている)が利用開始後、何日目から『カメリオ』をまったく使わなくなったかを示しています。
これを見ると、0日目に使って2度と使わない人がほとんどで、3日目以降は激しく離脱するということはなくなっています。
先日THE GUILDのUXデザイナー深津貴之氏にアプリを試して頂く機会がありました。「驚ける要素はあるアプリだが、驚きが1日目に出てくるとは限らない」というコメントを頂き、サービスの価値が分かるまで使い続けてくれない人が少ないのでは、というご意見を頂きました。
ダウンロードしたものの、すぐに『カメリオ』の使い方が分からなかったり、何がすごいのか分からないまま、使わなくなってしまっていると考えるのが妥当だと思われます。
そういうわけで、最初の3日間が勝負の分かれ目ということになり、KPIは最初の3日間のユーザー活動から決めるべきだということが分かります。
カメリオを使い続けてくれる「アクティブユーザー」と、途中で使わなくなってしまう「離脱ユーザー」にはどのような違いがあるのでしょうか?
【1】利用開始7日目以降でも使い続けているユーザー(「アクティブユーザー」)
【2】それまでに離脱したユーザー(「離脱ユーザー」)
に分けて、それぞれが『カメリオ』を利用開始してから3日目までに何をしたかを計測してみると、「テーマ登録数」「記事閲覧数」「記事のシェア」に大きな違いがあることが分かりました。
当初の仮説では、アクティブユーザーと離脱ユーザーの最大の差はテーマフォロー数だと考えていました。しかし、意外にも記事のシェアの差が一番大きかったです。
通常、ユーザーは「テーマをフォロー」→「記事を閲覧」→「記事をシェア」という動きをしますが、テーマのフォロー数での差は2倍程度しかないにもかかわらず、記事をシェアするところまでいくと活動の差が大きくなってきます。
アクティブユーザーと離脱ユーザーとでFacebookやTwitterのシェア数を比較すると、右の[図3]のように使い始めて最初の3日間で4~10倍も多いことがわかります。記事をシェアすると継続して使うというのは、いくつかの理由が考えられます。
● シェアしたいと思えるほど面白い記事が来ているので、毎日利用してしまう(←打ち手としてシェアしたくなるような記事をどんどん届けるべき)
● 『カメリオ』からシェアする事で、心理的に『カメリオ』が日常使うアプリとして認識される(←シェアしたくなるデザイン、導線を引くべき)
● そもそもテーマをシェアするタイプの人は『カメリオ』を継続して使う性格(←こういう性格のユーザーを故意にどんどん増やすという事は難しいので、これは打ち手がない)
この結果から、『カメリオ』のKPIをシェア数に定め、まずは、ユーザーが『カメリオ』を使い始めてから3日間以内に1度でも記事をシェアしてもらうことを目標にしようと思います。
次回は、KPI向上に向けて立てた仮説、打ち手、そして打ち手の実施結果を紹介します。お楽しみに。
白ヤギコーポレーションでは革新的な情報サービスを提供することで「深く知ることで、生きることを豊かに」の実現を目指しています。
カメリオの面白さに可能性を感じ、開発に携わりたいと思ったエンジニア、デザイナーの方は是非お気軽に白ヤギコーポレーションにご連絡下さい!
NEW!
NEW!
NEW!
タグ