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3割の力で作って、新聞やテレビで紹介され、生活費くらいのお金が入るネタサイトの作り方【連載:村上福之】

働き方

    日々流れてゆく膨大な情報量の中からおいしいネタを敏感に察知し、ネット界隈を賑わせてくれるWeb業界の異端児・村上福之氏。同氏独自の経験と価値観から、「キャラ立ちエンジニア」の思考回路を紐解いていく。

    プロフィール画像

    株式会社クレイジーワークス 代表取締役 総裁
    村上福之(@fukuyuki

    ケータイを中心としたソリューションとシステム開発会社を運営。歯に衣着せぬ物言いで、インターネットというバーチャル空間で注目を集める。時々、マジなのかネタなのかが紙一重な発言でネットの住民たちを驚かせてくれるプログラマーだ

    先月、『Japan Changer(現在サイト閉鎖中)』という一回4800円の有償サイトを作ったら、テレビや新聞で紹介された上に、けっこうお申し込みが来ました。赤字ですが。

    また、先日、『BackGuy』という9800円の爆買い検索サイトを作ったのですが、たいして宣伝もしていないのに、大学生の生活費くらいのお金が入ってきました。4時間くらいで作ったので、非常に効率が良かった気がします。

    ぼくはこうした課金ネタサイトをたまに作ります。そこで、最近僕が実践している「ネタサイトの作り方」について、備忘録的に書いてみたいと思います。

    ネタサイトの作り方その1: アイデア、DB設計を手書きでメモ

    まずは適当にアイデアをノートにメモします。アイデアはいつ降りてくるか分からないです。

    『Japan Changer』は、原発や安保のデモに冷やかしで参加していた時に思い付きました。爆買いの比較サイトである『BackGuy』は、成田空港で日本製の化粧品を箱買いしている中国人ツアー客を見て思い付きました。

    落書きのようなメモですが、実はこれでだいたい設計が決まります。

    最近、ぼくの仲良しのGMOの人が頑張っているので、初めてオールSSDクラウドの『ConoHa』を使ってみることにしました。

    普段は、さくらインターネットのレンタルサーバを使うことも多いです。レンタルサーバをバカにする人が多いですが、大ヒットしないことを前提に開発している時は、変にAWSやVPSを使うよりも、レンタルサーバの方がセキュリティ的にもパフォーマンス的にもいい時があります。

    ノートに殴り書きしたメモ

    ノートに殴り書きしたメモ

    DBの設計もメモします。ぶっちゃけDBができたら、後の画面設計とかしません。なぜならネタサイトだからです。褒められたもんじゃありません。

    DB設計のメモ。ネタサイトのレベルであれば、これくらいで問題がないと思う

    DB設計のメモ。ネタサイトのレベルであれば、これくらいで問題がないと思う

    ネタサイトの作り方その2: コードをもりもり書く。なるべくPHPで

    ある程度設計が固まったら、ブラウザでCloud9を起動して、いきなりコードをもりもり書きます。

    サーバの言語はPHPが多いです。運良くヒットした時、日本の大きな会社にサービスを売却するのに便利なのはPHPだからです。

    Cloud9は素晴らしいです。感動します。無料でいきなりクラウド上のオンラインIDEとサーバを用意してくれます。ApacheとMySQLとRubyとPHPとGitくらいは普通に入っています。

    昔は、オンラインIDEは遅くてダメなものが多かったのですが、Cloud9だけは別格です。テキストエディタすら立ち上げません。3割くらいの力でネタサービスを作るには最強の環境です。

    オンラインIDEでは珍しく、ターミナルも叩けますので、普通にGitもwgetも使えます。apt-getもできます。

    開発に、もはや「テキストエディタいらず」の革命を起こしたCloud9

    開発に、もはや「テキストエディタいらず」の革命を起こしたCloud9

    あと、ネタサイトなんでもう、CSSとかは書きません。

    最近はBootstrapもMatrial DesignのCDNがあるので、直リンクでそれを貼って終わりです。プロトタイプ以外で使うなと書かれてますが、すみません、無視して本番サイトでも使っています。

    ぼくの人生はプロトタイプです。

    ネタサイトの作り方その3: 書いたコードをGitでデプロイ

    思い付くままコードを書いた後は、そのままConoHaにGitでデプロイします。要するにCloud9をテストサーバにして、ConoHaを本番サーバにしているのです。

    もっと楽にデプロイしたい人は、公式ドキュメントにはAzureやGoogle App EngineとHerokuなどのデプロイ方法が載っていますので、その方が楽だと思います。請求金額が従量制なので、(転送量が無課金な)日本でサーバを作ります。

    多くの開発ブログや勉強会などでは、「いかに大量のトラフィックをさばくか?」について論じられています。また、そういったSlideshareなども多数見かけます。が、個人開発のサービスはまずヒットしないし、一カ月以内にユーザーからも作者からも忘れ去られるので、それを前提に開発します。

    ヒットしてからクラウドに移行しても、遅くないです。特にConoHaはプリペイド式なので、事前に2000円ほど払っておけば、作った本人が忘れてしまっても、事前に課金したお金が底を尽きるとサーバが消滅するので、ネタサービスでは便利です。

    ぼくは、人生において自分に期待しないことは大事だと思っています。傷付かないからです。

    ネタサイトの作り方その4: 決済方法を決める

    最初はPayPalにします。PayPalのUIはゴミクズ以下ですが、審査もへったくれもなく、postで僕のメアドと金額などなどのパラメータを投げるだけでクレジットカード決済フォームに飛ばしてくれる上に、ちゃんとコールバックも投げてくれるので楽です。

    審査なしの決済はSpikeやGumroadなどいろいろありましたが、結局、これが一番楽でした。同時進行で他の決済会社に審査を出したりもします。PayPalは、たまにコールバックが掛かってくるのが非常に遅いです。1時間遅れたことがありました。

    トラブルの元なので早めに卒業したいです。

    ネタサイトの作り方その5: ドメインはヒットしてからの取得でOK

    昔はいちいちドメインを取ってましたが、最近は、ドメインなんか取ってもみんな検索するので、もうネタサービスごときでドメインなんか取りません。サブドメインで十分です。

    ドメインなんて、ヒットしてから取って、リダイレクトか何かすればいいのです。

    ぼくがネタサイトを定期的に作る理由

    ぼくがネタサイトを定期的に作る理由は2つあります。

    一つは、スモールサービスを短期的に作ると、企画・開発・運用をひと通り経験できますし、その際、新しい手法を入れてみる良い機会になるからです。

    短期間でも新規で作ると、新しい手法やインフラに着手するいいきっかけになります。

    もう一つは、ごくまれに売却できることがあるからです。ぼくは昔、サイトを一晩で作って150万円で売却したことがありました。二匹目のドジョウを狙っていますが、あまり上手くいったことがありません。

    ぼくの人生はプロトタイプですから、また気まぐれに新しいサイトを作るかもしれませんし、作らないかもしれません。

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