type転職エージェント シニアキャリアアドバイザー
中嶋千博氏
航空会社で客室乗務員を経験した後、人生の重要な転機に関われるキャリアアドバイザーに魅力を感じ、『type転職エージェント』へ。以来、IT領域専任のキャリアアドバイザーとして11年にわたり転職希望者をサポート。卓越したIT領域のマーケット知識とインプットされた転職ノウハウを武器に、転職希望者と並走するパートナーとして新しいキャリアの可能性を提案し続けている
ボーナスシーズン到来。評価に大満足!とはいかなかった人の胸に、ふと「転職して年収アップを・・・」という思いが過ぎる季節でもある。
転職市場における企業のエンジニア採用意欲は依然として高い。この景況感なら年収アップ転職の成功確率も上がっていそうなものだ。そこで、のべ3000人以上のIT・Webエンジニアのキャリアカウンセリングを実施してきたキャリアアドバイザー・中嶋千博氏に、直近のエンジニア転職動向を聞いた。
type転職エージェント シニアキャリアアドバイザー
中嶋千博氏
航空会社で客室乗務員を経験した後、人生の重要な転機に関われるキャリアアドバイザーに魅力を感じ、『type転職エージェント』へ。以来、IT領域専任のキャリアアドバイザーとして11年にわたり転職希望者をサポート。卓越したIT領域のマーケット知識とインプットされた転職ノウハウを武器に、転職希望者と並走するパートナーとして新しいキャリアの可能性を提案し続けている
「転職で年収が上がる可能性があるエンジニアの方は、決して少なくないですよ」
気になる年収アップ転職について、サラリとそう断言する中嶋氏。ボーナス支給時期になると、同じような業務に携わっている別の企業のエンジニアと話していて「えっ、俺の年収、低すぎ!?」と気付いたり、最近のエンジニア採用市場の盛り上がりを見聞きして「今なら自分も高く売れるんじゃ?」と思ったりしたことをきっかけに、中嶋氏のもとへ転職相談に来るエンジニアも多いという。
「実際、今携わっている仕事内容などを伺ってみると、確かにそれだけの業務をこなしていてその年収は相場よりも低いな、ということがあります。
例えば、SIer勤務の30歳前後のSEで、上流から下流まで一通りの開発に携わり、チームリーダーとしてマネジメント業務も多少なりとやっていて年収450万円という方などであれば、ケースバイケースではありますが、転職によって年収500万円以上を狙うことは可能だと思いますよ」
本人の能力やスキルレベルとは関係なく、そもそも給与レンジの低い企業というのは存在する。また、上が詰まっていたり、年齢的にマネジャーを任せるにはまだ早い、などの組織的な理由で昇進が適わず、年収がなかなか上がらないというエンジニアも珍しくない。
こうしたケースであれば、年収アップが十分に見込める求人案件が今の転職市場には存在する。一例を挙げると、SIerのチームリーダークラスで500~600万円、30代後半のマネジャークラスで700~800万円の年収を提示される求人案件も多いという。
「一方で、ご自身の年収が相場よりも低いと思われて相談に来られた方でも、話を聞いてみると適正年収だという場合も意外とあります。
さまざまなサイトで年収査定などができるサービスがありますが、システマチックに算出すると異常に高い年収額が出てしまうこともあるので、本当の相場感を知るには私たちのようなキャリアアドバイザーのカウンセリングを活用してもらった方がよいと思いますよ」
とはいえ、前述のような求人動向を見ると、年収アップの可能性は大!・・・と言いたいところだが、中嶋氏は釘を刺す。
「もちろん年収アップを目指すことは否定しません。が、私は転職によって一気に100万、200万の大幅な年収増を希望する方には、“覚悟”を問います。
給与とは、役割に対する対価です。対価を上げるとすれば、もちろん求められるモノが高くなることを意味します。年収を上げることで背負うリスクもまたあるんです」
転職によって、現職よりも高い成果を求められるポストに就き、キャリアも年収もアップしたいと望む、成長意欲の高いエンジニアの場合、実力値プラスαのポテンシャルを評価され、採用に至る例ももちろんある。
「実力値よりも少し上の仕事に就けば、もちろん報酬は大幅に上がります。でも、転職して職場環境も仕事内容も変わる中で、さらに役割まで変わるとなると、なかなか大変なのも事実です。入社後の周囲の見方も期待値が高くなりますし、プレッシャーも大きい。すべてを理解した上で、それでも挑戦する、という覚悟が必要です。
一方で、やはりそこまでの大きな変化には不安を感じるという方には、転職直後はソフトランディングでき、将来的に給与を上げていける可能性の高い企業をご紹介することが多いですね」
転職当初は大幅に年収が上がらなくとも、成果の出しやすい慣れた役割でスタートし、着実に実績を積み上げていくことで昇進・昇格を実現し、段階的に年収を引き上げていく。そんなふうに1年後2年後の年収アップを見据えた転職が、実は最もリスクの少ない確実な“年収アップ転職”と言える。
「求人企業によっては、実際に中途入社した社員のその後の給与アップ事例などを具体的に開示してくれる場合もあります。
キャリアアドバイザーの方で、評価制度の内容や、人事のタイミングなどを熟知している求人企業もありますから、求職者の方の実力値や転職時期などを鑑みて、十分入社後の年収アップが期待できそうな時には、転職時の年収額だけで判断しないようアドバイスしています」
ここまで“年収アップ”にフォーカスして話を進めてきたが、エンジニアの場合、転職でかなえたいことの筆頭に挙がってくるのは、やはり「やりたい業務に就く」ことだという。
「変わらず多いのは、『新しいテクノロジーに携わりたい』という声です。今ですと、IoT、AI、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、データアナリティクスなどの領域が人気です。『自社でもやろうと思えばできるが、第一人者がいないので、その道のプロフェッショナルがいる会社でやりたい』という方が圧倒的に多いですね」
その他にも根強いのは、「自社サービス開発に携わりたい」「SIerからWeb系企業へ転職したい」などの意向だというが、いずれも転職市場が活況の今ならかなう可能性は高いという。
「新しい分野にチャレンジするには、今はチャンスだと思います。転職時に大事になるのは、『やりたいのだけど今やれていない』というその“ギャップ”を埋める努力をどれだけしているかを求人企業へ伝えること。
よく『現業務でやっているわけじゃないから』と、自己学習の努力を職務経歴書に記載しない方がいるのですが、これは非常にもったいない。社外のセミナーに参加したり、自宅に開発環境を設けてちょっと触ってみた、などの事実は自己PR欄などに明記しておくべきです。
求人企業側から見たら、『やりたい!』とただ言っているだけの人よりも行動に移している人の方が、当然ながら本気度を感じますから」
転職先の選び方や自己PRのちょっとした工夫で、年収アップとやりたい仕事の両方を手に入れられる可能性もグッと上がりそうだ。さらにもう一押し、転職成功確率を上げるテクニックはないだろうか?
「小手先のテクニックなんてないんですが(笑)。あえて今この時期で言うなら一つ、来年春くらいの転職を考えている方なら、年が明ける前の12月中に求人への応募を始めてみることをお勧めします。
一般的な動向として、新年が明けて『よし、今年こそは!』と転職活動を始められる方が多いので、1月以降は求職者の数が増える傾向があります。逆に年末は、『何だかんだと忙しいし、年が明けてからにしよう』という方が多いので、当然ながらライバルが少ない時期と言えます。
求人企業の目に留まりやすいタイミングとも言えますし、何より来年に備えて転職市場の傾向を探るつもりで、年内に動き出してみるといいのではないでしょうか」
望むキャリアも年収も、手に入れるためにはまず自分の対外価値を知るところから。来年こそ新たなチャレンジに踏み出したいと思うなら、今年の仕事納めは「転職活動のスタート」で締めくくってみてはいかがだろうか。
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取材・文/福井千尋(編集部) 撮影/杉江優実(編集部)
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