アイキャッチ

「スマホで2択」が女子高生の新たなブーム!? アンケートアプリ『aorb』が10代女子にウケる理由

働き方

    NEXTユニコーン企業で働くエンジニアたちに体当たり取材!NEOジェネレーションなスタートアップで働く技術者たちの、「挑戦」と「成長」ヒストリーをご紹介します

    今回紹介するのは、写真で簡単な2択アンケートを実施できるアプリ『aorb』を提供する株式会社マスカチだ。女子高生を中心に利用の輪を広げているという、人気の背景に迫る。

    「スマホで2択」が女子高生の新たなブーム!? アンケートアプリ『aorb』が10代女子にウケる理由【NEOジェネ!】

    株式会社マスカチ(左)代表取締役 池田純平氏 (右)開発エンジニア 佐藤巧実氏

    『aorb』とは

    『aorb』とは

    2択アンケートアプリ『aorb』

    「aとbなら、どっちがいいと思う?」

    そんな2択のアンケートを、不特定多数のユーザーに向けて簡単に実施できるアプリ『aorb(アオーブ)』が、女子高生を中心に人気を呼んでいる。

    質問して、回答して、結果を見るだけというシンプルな機能。質問に必要な手順も、写真を2枚選んで張るだけという手軽なものだ。写真を1枚にして、その評価を2択で聞くこともできる。

    思うように回答が集まらないことも多かった従来のQ&Aサイトなどと違い、『aorb』は回答率100%を実現している。一つの質問に対して平均で70個の回答が付くといい、このレスポンスの良さが好評の要因となっている。

    運営する株式会社マスカチの代表取締役、池田純平氏によれば、ユーザーは世界20カ国に約8000人(2014年6月時点)。継続利用者の約半分が10代で、そのうち6割が女性。つまり、女子高生に最も人気があるということになる。

    2013年12月のリリース以降、毎月200%以上のペースで回答数が増え続けており、2014年6月現在で累計160万回答を超えたという。

    アイデアの出発点:求められているのは「情報」より「意見」

    アイデアの出発点:求められているのは「情報」より「意見」

    「情報よりも意見が欲しいという市井の声が『aorb』の発想につながった」と振り返る池田氏

    2013年8月に創業したマスカチだが、現在に至るまでには、2度の代表交代、メンバーの離脱、そしてピボット2回と、紆余曲折を経ている。

    「当初は、『aorb』とはまったく関係ないサービスを構想していました。一つ目は、EvernoteやDropboxなどのクラウド上に散らばったファイルを集めるサービス。二つ目は、検索が苦手な人のために代行して、メールで答えを知らせるサービス。どちらも全然ニーズがなくて、断念した経緯があります」(池田氏)

    だが、このピボットを通じて市井の声に耳を傾けたことが、後に『aorb』を発想する知見をもたらした。

    「情報は自分で検索して手に入れることができるけれども、『意見』であれば欲しい。そういう声があったんです。これなら、と思いました」(池田氏)

    意見を募るサービスとしては、それまでにも『Yahoo!知恵袋』をはじめとするQ&Aサイトがあった。ただ、こうしたサイトは回答の一つ一つに質が求められるあまり、なかなか数が集まらないという“弱点”があった。

    「回答の質よりも数を追求しているサービスがほかになかったので、うちは『意見×数』で勝負することに決めました。数を集める上で最も重要なのは、回答者が答えやすいということ。2択でのアンケート、理解するのに時間が掛からない写真での投稿という今の形は、比較的すんなりと決まりました」

    開発のポイント:実測よりもユーザーの体感スピードを重視

    開発のポイント:実測よりもユーザーの体感スピードを重視

    「ユーザーの体感スピードを重視して作り込んだ」というAndroid開発担当の佐藤氏

    マスカチの開発は2頭体制。iOS版を池田氏が、Android版をSIer出身の佐藤巧実氏が担当する。

    回答数が自然と積み上がる仕組みを、どうやって実現したのか。「ポイントは『触っていて気持ちいい感覚』です」と佐藤氏は明かす。

    「1人のユーザーにたくさん回答してもらうためには、ストレスを感じることなく、次の質問へと進んでいけることが大切です。その状態を僕らは『触っていて気持ちいい感覚』と呼んで、一番重視しました」(佐藤氏)

    どうしても時間が掛かってしまうサーバ側との通信は、アニメーションが流れている裏で行うことで、複雑なロジックに頼ることなくスピード感を演出した。つまり、追求したのは実測スピード以上の体感スピードだ。

    リリース当初、スワイプアクションを採用していた回答方法も、「分かりにくい」というユーザーの声を受けて、ボタンを押す形に修正した。

    「問題なく分かると答えている人も、実は3割が間違った方向にスワイプしていたんです(苦笑)。体感スピードを重視するのであれば、迷わせている時点でダメ。すぐに修正に取り掛かりました」(佐藤氏)

    こうした地道なリサーチとチューニングを繰り返した結果、現在では、ユーザーあたりの1日平均回答数は200~300回に上る。中には1日2000回答を記録する「ヘビーユーザー」も現れ、「運営するこちらの想像を超えた没入感があるみたいです」と佐藤氏も舌を巻いている。

    結局、女子高生の気持ちは女子高生にしか分からない

    結局、女子高生の気持ちは女子高生にしか分からない

    「結局女子高生の気持ちは聞かなければ分からない」と口をそろえる2人。キャッチコピーの「どちらにせよ、聞いた方が早い」は、そのままマスカチの運営方針となっている

    順調にファンを増やしている『aorb』だが、その使われ方は、開発陣が当初想定していたものとは少し違う様相を呈しているという。

    「2枚の写真を張って、どちらがいいかを相談する使い方がメインになると考えていましたが、実際には、いわゆる自撮り写真を張って、みんなの感想を聞く人が多かった。もちろん、こういう利用の仕方も想定はしていましたが、半分以上というのは想定外ですね。承認欲求を満たしているとでも言うんでしょうか。確かに、Facebookで平均70いいね!をもらえるユーザーなんて、なかなかいないですからね」(佐藤氏)

    「自撮り写真への反応を集めて承認欲求を満たす」という使い方は、利用の多い女子高生ユーザーとの親和性が高そうだが、「正直、実際のところはよく分からない」と2人は口をそろえる。マスカチのメンバーは、全員が20代~30代の男性。女子高生のリアルな気持ちを探ろうにも、どうしても想像の域を出ない。

    「対女子高生最適化」という問いに対して池田氏が出した答えは、「分からないことはとにかく聞いて、細かくチューニングするしかない」という割り切りだ。

    「うちは起業当時から、音楽や教育といった明確なテーマがないんです。あるのは、ユーザーが求めるものを200%、300%提供していくという姿勢だけ。女子高生の気持ちは結局、女子高生にしか分からないんです。サービスを運営していく中で、その思いをいっそう強くしています」(池田氏)

    ユーザーからのフィードバックや数値の分析はもちろん、オフィスが渋谷にあるという立地条件を生かし、女子高生への街頭アンケートも行った。『aorb』のキャッチコピーである「どちらにせよ、聞いた方が早い」は、そのまま、マスカチの運営方針にもなっている。

    こうした調査を基に修正してうまくいった例は、枚挙に暇がないという。もともとはユーザー登録時にメールアドレスを入力する必要があったが、ニックネームと年齢、性別だけで登録できる仕様に変更したところ、登録率は50%から70%まで上昇した。

    「質問を投稿したことのある人の定着率は、投稿せずに回答だけしている人の10倍」というデータを基に、チュートリアルに質問の投稿を取り入れたところ、質問率は30%、定着率は20%アップした。

    「寄せられた意見が、必ずしも多くの人の意見を代表しているとは限らないので、全体を見て調整しなければならない難しさはあります。だから、『みんなにすぐ聞ける』というサービスの軸だけはブレないように、いつも気を付けています」(池田氏)

    将来的にはBtoBへのサービス展開も視野に

    新規ユーザーの継続率は約60%。一般的なモバイルゲームの水準をクリアしていることから、今後は定着率の向上、ユーザー数の拡大に力を入れていく方針だ。

    その施策の一つとして、6月9日に実装されたばかりの新機能が、知り合いだけに投稿を公開する「プライベートモード」。

    アンケート結果はもともとLINEでシェアされるケースが多かったといい、ユーザーからは早くから「プライベートモード」搭載が待望されていた。「今度の週末、どこで遊ぶ?」といった質問を友人に投げかけ、LINEで結果をシェアする、といった利用法が想定されているようだ。

    さらに、将来的にはBtoBの分野に進出することも視野に入れているという。

    「企業のA/Bテストやマーケティングのツール、商品の写真に対して『欲しい』と回答したユーザーにのみURLを案内するといった、ECサイトへの導線としての利用も検討しています」と構想を話す池田氏はしかし、ここでも「ユーザーの声を聞いて、柔軟に対応するという姿勢を変えるつもりはありません」と付け加えることを忘れなかった。

    「どちらにせよ、聞いた方が早い」の信念は、マスカチの面々の骨の髄まで染み入っている。だからこそ、『aorb』の可能性に迷うことなく懸けることができているのだろう。

    取材・文/鈴木陸夫(編集部) 撮影/竹井俊晴

    Xをフォローしよう

    この記事をシェア

    RELATED関連記事

    RANKING人気記事ランキング

    JOB BOARD編集部オススメ求人特集





    サイトマップ