キャリアVol.16

[特集:ITエンジニアの価値って何? 2/3] HTTPの仕組みを説明してもらえば、技術力の程度はだいたい分かる

企業のリクルーティングエージェントとして活躍する八反田氏は、「活躍できる人材」を、「①変化するマーケットへの認識」、「②変化対応力」、「③熱狂」、「④仮説思考・行動」の4つの視点で見極めているのは、前述の通り。

では、実際にアプリベンダーで採用に携わる人々は、面接でどこに注目しているのだろうか? また、エンジニアが己の価値を高めるにはどう行動すべきか? これらの疑問を明らかにすべく、KLab、GMS、Synphonieと、ソーシャルアプリ業界をけん引する3企業でエンジニア採用を担当するキーパーソン3名に、前出の八反田氏を交え、座談会を行った。

特集 ITエンジニアの価値って何
(左より)八反田智和氏/株式会社GMS 取締役CTO 池田秀行氏/株式会社Synphonie リード・エンジニア 前田博敏氏/KLab株式会社 取締役 第2開発部部長 天羽公平氏

八反田 まず伺います。皆さんの会社では、どのくらいのペースで採用をしているんですか?

池田 GMSは、昨年だけで100人くらい採用しました。そのうち3分の1ほど、約30人がエンジニアです。

前田 Synphonieは創業から2年あまりですが、社員数は50人以上に増えました。エンジニアも、1年で20人程採用しています。

天羽 KLabも昨年、ソーシャルアプリ要員だけで25人のエンジニアを採用しました。

八反田 やはり、ソーシャルアプリ業界の勢いは凄いですね。ところで、何回くらい面接して採用を決めていますか?

池田 1回だけですね。開発部の部長が面接して、それで決定です。この業界ではスピードが大切。何度も面接し、時間をかけすぎる必要はないと思っています。

天羽 弊社も、僕が面接をして1回で決めることが多いです。

八反田 なるほど。1回の面接で決める企業が多いんですね。そういえば、5次面接まである企業では、選考途中の人材を何度も他社にさらわれたという話を聞いたことがあります。優秀なエンジニアは、どの企業でも欲しい。他社にとられる前に採用しようというのは、自然な流れでしょう。そういえば、天羽さんは、たった1分で採用・不採用を決めたこともあるって聞きましたよ(笑)。

天羽 いや、それはない(笑)。でも、5分で採用を決めたことはあります

前田 へえ! 僕は最低でも20~30分はかけますね。あまりに短いと、応募者に申し訳ない気もするし。そんな短時間で、どうやって人材を見極めているんですか?

天羽 弊社ではエンジニアの採用タイプを3つ設けています。1つ目は技術そのものをけん引するタイプ。これは、横断的に活動するタイプで全体の1割もいません。2つ目はチームリーダータイプで、こちらは2割くらいですね。そして残りの7割が、実際にサービスを作っていく人です。このうち1番目の「技術力で周囲を引っ張るエンジニア」で、飛び抜けている人は少し話をすれば、分かることがあるんです。

八反田 なるほど。では、技術力をどうやって見分けるんでしょう?

天羽 一般のエンジニアは、ツールの使い方は知っています。でも、なぜツールが動いているか理解している人は少ない。例えば、WebサービスはHTTPというプロトコルの上でやりとりしていますよね。ソケット(IPアドレス、ポート番号)を張り、そこにプロトコルをしゃべっているということです。このようなことをどこまで理解しているのか、面接ではそんなところを質問します。

フレームワークの発達によって(池田氏)
フレームワークの充実によって、Webの本質を知らない人が確実に増えている(池田氏)

池田 ああ、僕も同じですね。最近はフレームワークが充実してきて、Webの開発は簡単になっています。だからこそ、本質の部分を知らない人にも、モノは作れてしまうんです。ところが、そういう人はトラブルが起こったり、深く調べなきゃいけない場面にぶつかったりすると弱い。

天羽 問題が起こってエラーメッセージでググり、解決法がヒットしなければもうお手上げ、だと困りますね。

池田 Webの仕組みやHTTPの核心を理解していない人は、応用が利かないですね。ですから、面接では本質的な部分を聞くことにしています。

前田 僕も同じです。面接では、「HTTPの通信ってどういう風に動いているか説明できる?」などの質問をすることがありますね。

天羽 僕が知らない技術分野について、話をしてもらうこともあります。分かりやすく教えることができたら、技術に明るいだけでなく、頭も良い人なんだと思います。

八反田 技術力をアピールするなら、小手先の知識ではダメ。本質への理解力が試されるというわけですね。

他力本願かどうかは、「会社に何を求めているか」で判断する

八反田 では、技術力以外に求める素養はなんでしょうか?

前田 Synphonieは現在、ソーシャルアプリ事業に集中しています。だから、ソーシャルアプリの開発経験は重視しますね。ただ、仮に経験や技術力がそれほどなくても、熱い思いを持っている人なら、「この人なら頑張ってくれそうだ」と期待します。

池田 GMSでも、情熱の有無は重要なファクターです。ただ、ほとんどの人は応募書類に「やる気があります」って書くので、書類選考では判別できません。そこで面接では、「現在、具体的にどんな勉強をしていますか?」などと聞いています。自分から勉強する姿勢がまったく見えない人は、ちょっと厳しいですね。中には、他業界からの転職なのに、ソーシャルアプリのことをまったく下調べせずに面接に来る人もいますよ。そういう場合は、申し訳ないですが、即NGです。

天羽 他力本願な人より前のめりな人が魅力的ですね。例えば、僕は「どんな会社で働きたいですか?」、「会社に何を求めていますか?」という質問をすることがあります。福利厚生や労働環境ばかりを挙げる人は、会社に頼る意識が強そう。一緒に働いても、主体的にサービス構築に取り組むイメージが湧きませんね。逆に、自分を高められる会社で働きたいなど、「前のめりな姿勢」の人には惹かれます。

「どんなプロジェクト経験があるか」よりも、「何を主体的に行ったか」の方が大事(前田)
「どんなプロジェクト経験があるか」よりも、「何に主体的にかかわったか」が重要(前田氏)

前田 僕は、「最も『やってる感』のあった仕事は何ですか?」と聞くことが多いですね。応募書類上ではいろいろな仕事に携わったと書いていても、面接で聞いてみると、実はほかの人を手伝っただけというケースもあるんです。自らが主体的にかかわり、充実感を覚えながらやり切ったプロジェクトに関して、深掘りして聞くようにしています。

天羽 同じような意味で、「業務以外で取り組んでいるものは?」という質問をすることがあります。やる気のある人は仕事時間以外でも、積極的にアクション(自分への投資)をしていることが多いですね。また、人によっては趣味で楽しんでいる分野の方が、価値の高い経験だったりすることもありますね。

池田 八反田さんも指摘しているように、この業界はとにかく動きが激しい。ですから、あらゆる状況にキャッチアップし続けなければならないんです。また、コンシューマー系のゲームは、ユーザーがより楽しめるように、常に改善していかなければなりません。その原動力は、やはり情熱だと思うんですよね。時には、現在の技術力より、情熱などのポテンシャルを評価して採用するケースだってあるんです。

技術力は人並みでも情熱と論理的思考力があれば採用も
八反田 そのほかに、面接で必ず確認する「エンジニアの価値」はありますか?

天羽 僕は「論理的思考力」の有無を確かめます。これは、八反田さんが言うところの「仮説思考・行動」に重なる部分が大きいでしょう。

八反田 なぜ、論理的思考力が重要だと思うのですか?

天羽 情熱があっても、やみくもに突き進むだけでは、なかなか結果は出ません。例えば新しいソーシャルゲームを作る場合でも、過去に生み出されたほかのゲームなどを参考にしながら、筋道を立てて正常進化させることが有効だと考えます。「このサービスはなぜヒットしたのか?」、「このゲームは、どうして多くのユーザーを引きつけたのか?」などという問いに対し、ロジカルに分析して自分たちのサービスに取り入れる力は、エンジニアが持っているととても有効だと考えます。

前田 もし、情熱も論理的思考力もあるが、技術力が足りない人が応募してきたらどうしますか?

高い論理的思考力と情熱があれば、エンジニアとして大成できると語る天羽氏
論理的思考力と情熱があれば、「技術追求型」とは別の優れたエンジニアになれると語る(天羽氏)

天羽 技術力がまったくダメダメだったら、やはり採用はできませんね。でも、最低限の技術力があり、情熱と論理的思考力が優れているという人なら歓迎します。技術そのものではなく、技術を活かしてサービスを形にすることに興味を持ち、高い事業目線でサービス構築にコミットするエンジニアは十分に活躍できるはずですから。

八反田 技術を追究したいエンジニアと、サービスを形にするのが楽しいというエンジニア。どちらもアリだということですね。

天羽 はい。技術志向でもサービス志向でも構わないんです。大事にしているのは、目的を達成するためにどれだけ気持ちを入れられるかという部分ですね。

八反田 確かに。根幹部分が一緒で、どちらに枝分かれするかということですよね。転職するエンジニアの立場になると、どちらも持っている人は、面接する相手によってプレゼンテーションのやり方を変える方がいいかもしれませんね。技術面に関心の深いボスが相手なら技術力をアピールする方が良いし、ビジネス寄りなCTOが相手ならそういう文脈でアピールする方が良い。そこがズレていると、志望する企業にまったくはまらないという危険性もありますね。

(3/3に続く)

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