エンジニアtype×App Ape共同企画「Androidスマホ総研」
激しい競争が繰り広げられる群雄割拠のスマホアプリ市場で、エンジニアやプロデューサーが勝ち残るためのノウハウをお届けする連載。FULLER株式会社が提供するおよそ10数万にのぼるAndroidOS搭載の端末管理アプリ利用者の利用状況をレポーティングするサービス『App Ape』で得られた調査結果から、アプリの企画・開発に役立つノウハウを抽出、提供していく
エンジニアtype×App Ape共同企画「Androidスマホ総研」
激しい競争が繰り広げられる群雄割拠のスマホアプリ市場で、エンジニアやプロデューサーが勝ち残るためのノウハウをお届けする連載。FULLER株式会社が提供するおよそ10数万にのぼるAndroidOS搭載の端末管理アプリ利用者の利用状況をレポーティングするサービス『App Ape』で得られた調査結果から、アプリの企画・開発に役立つノウハウを抽出、提供していく
FULLERが提供しているおよそ10数万にのぼるスマホ端末管理アプリ利用者の利用状況を、レポーティング形式でまとめて開発者に提供していく『App Ape』との共同企画の第一回は、「有料アプリ」にフォーカス。
■『App Ape』のサービス紹介はコチラ
スマホユーザーの有料アプリ保持数やアプリを購入するために支払った金額、さらに人気有料アプリの特徴分析などから、有料アプリに対する需要や、無料アプリとはひと味異なる企画開発に関するノウハウをつかんでほしい。
有料アプリに関する調査結果を紹介する前に、無料・有料問わず、スマホアプリ全般に関する概況を簡単に紹介しておこう。
『App Ape』によると、2013年6月末で通信キャリア3社(docomo/au/SoftBank)のスマホ利用者のうち、アプリ所持数は平均53.7個。キャリア別で見ると、最も多いのがauで56.4個。次いでSoftBankが55.8個、docomoが49.0個となっている。
【補足資料】Androidスマホユーザーの年代別「平均アプリ所持数」比較
次に、所持数の多いアプリのカテゴリについて。全通信キャリア利用者の平均アプリ所持数が最も多いのは、圧倒的に「ツール関連」で14.02個。次いで多いのは「コミュニケーション」の6.86個、「ゲーム」の4.28個、「メディア&ビデオ」の3.36個)という順で続いている。
MAU(Monthly Active User)から見た人気のアプリは、全キャリアを通じて1位がLINE。2位がYouTube。各キャリアの公式アプリを除けば、3位がFacebookという結果に。4位以下は、TwitterやLINE関連のゲーム、マクドナルド公式アプリ、パズル&ドラゴンズなどが名を連ねた。
ここで、話を本筋である「有料アプリ」に戻そう。
同じく『App Ape』の調査によると、2013年6月時点での全通信キャリア利用者の有料アプリ所持率は、平均で32.53%。およそ3人に1人の割合で、有料アプリをインストールしていることになる。
キャリア別で見ると、その割合が最も高いのがauで47.5%。次いでdocomoが30.8%。SoftBankが13.7%。さらに、この有料アプリ所持率の推移を今年4~6月の時系列で見てみると、4月時点の有料アプリ所持率は平均で31.6%だったのが、5月で31.9%。6月で32.5%と微増している。
次に、スマホユーザー1人当たりの有料アプリの平均購入金額(※アプリ内課金は含まない、今年4~6月中の平均値)を調べると、全通信キャリアを通じての平均は514.5円。
キャリア別で見ると、その割合が最も高いのがSoftBankで570.15円。次いでdocomoが529.5円。auが443.8円となっている。
この調査時期でSoftBankユーザーの有料アプリ平均購入金額が他キャリアと比較して高いことについて、『App Ape』データアナリストの大野康明氏は、「2012年にソフトバンクは有料アプリを無料キャッシュバックするキャンペーンを行ったことがあり、それが有料アプリをインストールするきっかけになったのかもしれない」と分析する。
続いて、有料アプリを購入したことがあるスマホユーザー(平均32.5%)のうち、いくつの有料アプリを所持しているかを調査した。
全通信キャリアを通じての平均は1.47個。所持数が1つというユーザーが全体の77.12%に上り、2個が12.82%、3個が4.68%となっている。
なお、キャリア別に見ると6月中最も有料アプリのインストール数が多いのがdocomoで1.51個。次いでsoftbankが1.49個。auが1.37個となっている。
では、「平均インストール数1.47」という“狭き門”の有料アプリの中で、人気のアプリとはどんなものなのだろうか。まず、カテゴリ別に見ていくと、こちらも今年4~6月の3カ月間で有料アプリのインストールが多かったTOP3分野は
1位:「カスタマイズ」
2位:「アーケード&アクション」
3位:「カジュアル」
という順に。個別のアプリインストール数ランキングでは、
1位:『大空ヘクタール農場』
2位:『Minecraft – Pocket Edition』
3位:『Akinator the Genie』
となっている。
前出の大野氏はこの結果について、「カスタマイズのカテゴリは、壁紙やアイコンきせかえツールなどが入っており、ユーザーは『自分の端末で個性を出す』ためにはお金を出す傾向があるのではないか?」と分析する。
また、「一度ダウンロードして、その後何度でも使いたくなるアプリ」の特徴を探るために、MAU(Monthly Active User)でのランキングを分析してみると、全キャリアを通じて
1位:『あにまるバッテリー』
2位:『Akinator the Genie』
3位:『ATOK (日本語入力システム)』
という結果に。4位以下は『Minecraft – Pocket Edition』、『g電話帳Pro』などが名を連ねている。
上位にランクインしているアプリの特徴について、大野氏は「例えばMAUで1位の『あにまるバッテリー』は、バッテリー残量をかわいい動物たちが教えてくれたり、Wi-Fiのオンオフ画面にショートカットできるアプリ。このように、日常よく使うツールアプリとゲームアプリが上位に来るのが特徴」と人気の秘訣を分析。
また、有料アプリのMAUを時系列で見ると「上位勢はほとんど変動していないものの、『あにまるバッテリー』のMAUの高さは顕著である。よりスマホライフを充実させるタイプのアプリが、有料でよく起動されるアプリなのではないか」と分析する。
最後に、スマホアプリ開発では見逃せない、AndroidOSのバージョンシェアについて触れておきたい。
2013年6月時点での全通信キャリア利用者のAndroidOSのバージョンシェアは、[4. 0. 3]~[4. 0. 4]が50.4%と最も高く、続いて[2. 3. 3]~[2. 3. 7]が31.8%、[4. 1. X]が15.0%という結果に。キャリア別で見てみると、docomoは他キャリアと比べて、4.0系と4.1系の割合が大きい。
OSのバージョンに左右される機能を搭載したアプリを開発するエンジニアは留意しておきたい。
・調査内容:通信キャリアごとのAndroid端末利用者の利用動向調査。
・調査対象者:FULLER提供アプリケーションのパネルユーザー(以下、調査対象者)、上記対象者の中からランダムで10万件。
・調査方法:調査対象者から取得した以下の情報を利用。
[1]端末情報(通信キャリア、端末モデル、Android OS)
[2]アプリ利用情報(インストール、アンインストール、起動回数)
・調査期間:2013年4月~2013年6月
文/岡 徳之(Noriyuki Oka Tokyo)
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