Vol.392

「コミュニティ参加の最初の一歩に」女性Pythonistaたちが話す『PyCon JP 2015』ガイド

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『PyCon JP 2015』公式Webサイト

PyCon JP 2015』公式Webサイト

今年も、年に1度Pythonの使い手たちが海外からのゲストも交えて集う国内最大の祭典、Python Conference略して『PyCon JP 2015』が開催される(10月9~12日)。

以前に弊誌でも紹介したとおり、PyConは2003年にアメリカ・ワシントンD.C.で初開催されて以降、ヨーロッパやアジアの各地域へと広がりを見せ、日本でも2011年から定期的に開催されるようになった。

実行委員会による積極的な情報発信や、『ジョブフェア』のような独自企画のおかげもあり、Pythonユーザーの情報交換の場として定着してきた中、今年の特徴の一つとして注目されているのが、女性Pythonistaたちのトークセッションも複数用意されていること。

そこで今回は、世界的な女性Pythonistaコミュニティの日本支部である『PyLadies Tokyo』に参加する面々や、イベント当日に登壇予定の女性Pythonistaたちに、コミュニティ活動へ参加することになった経緯や、今年の『PyCon JP 2015』の見どころについて話を聞いた。

(写真左から)座談会に参加してくれたcocodripsさん、amacbeeさん、nobolisさん、moco_betaさん

(写真左から)座談会に参加してくれたcocodripsさん、amacbeeさん、nobolisさん、moco_betaさん

学習、趣味、ユーザーヒアリング…それぞれにとっての「コミュニティ」とは

―― 今回、お集まりいただいた4人のうち3人が、昨年の『PyCon JP 2014』で発足のアナウンスがあった『PyLadies Tokyo』の活動に参加されているということですが、その立ち上げの経緯を教えてください。発起人はamacbeeさんなんですか?

amacbee はい。『PyLadies Tokyo』の実行委員としても携わっていています。PyLadiesはアメリカやヨーロッパはもちろん、アジアでもシンガポールや台湾にコミュニティがあるんですね。それを知って、単純に「どうして日本にはないんだろう?」、「なければ作ろう」と思ったのが発足のきっかけです。

『PyLadies Tokyo』を立ち上げたamacbeeさん
『PyLadies Tokyo』を立ち上げたamacbeeさん

cocodrips 私は新卒1年目のプログラマーなんですが、学生時代にPythonへ興味を抱くようになって、“Python女子”はどこにいるんだって思いながら『PyCon JP 2014』に参加してみたんですね。そうしたら、予想以上にたくさんの女性Pythonistaに出会うことができて。『PyLadies Tokyo』の話もその時に聞いて、ちょくちょく参加するようになりました。

―― Qiitaに載っていた設立趣旨を読むと、PyLadiesコミュニティ (現在はPyLadies San Franciscoが全体のOrganizerも務めている) に許可を取らないと公式なコミュニティとして運営できないそうで。

amacbee そうなんです。本家とやりとりする中で、設立の趣旨や活動内容など、いろんな資料を作って明確にしていかなきゃならなくて。最初は「けっこう大変……」と思っていたのですが、心が折れそうになるタイミングで、本部から「最近メールが来なくなったけど、進んでる?」みたいなフォローが飛んで来るんですよ(笑)。そのおかげもあって、『PyLadies Tokyo』を立ち上げることができました。

―― 具体的にどんな活動を?

amacbee 1カ月に1回くらいの割合でミートアップを開いています。内容は、初心者向けのチュートリアルだったり、メンバー同士の顔合わせや交流が中心ですね。ガッツリ勉強会を催すこともあって、nobolisさんには2回ほど発表してもらっています。

―― nobolisさんがその際に発表された資料を事前にいただいたのですが、お仕事の研究テーマは「土壌由来温室効果ガスの測定」とけっこう難しそうな内容ですね。Pythonとの出会いは、よく言われるデータ解析のため?

nobolis ええ、そうなんです。だからコミュニティに参加する最初のきっかけは「学習」でした。私は農水省系の研究機関で研究員をしていて、Pythonに関しては最近やり始めた初心者。2年ほど前、研究で扱うデータ量が膨大になってきたのがきっかけで、ファイル処理や数値計算に便利そうという理由で始めたんです。

―― コミュニティへの参加は、やはり勉強になる?

nobolis そうですね。というのも、参考書やネットで一週間かけても分からなかったことが、一瞬で分かったりするんですよ(笑)。『PyCon JP 2014』に参加したのがきっかけで『Python mini hack-a-thon』に参加し、「分からないことは人に聞いた方が早い」と痛感しまして。それ以降、『Python mini hack-a-thon』や『PyLadies Tokyo』、『PyData.Tokyo』のようなコミュニティに頻繁に参加するようになりました。

コミュニティで「顔見知り」になったというnobolisさん(左)とcocodripsさん
コミュニティで「顔見知り」になったというnobolisさん(左)とcocodripsさん

amacbee 今、話に出てきた『PyData.Tokyo』が、今年5月にやった勉強会のお題が「自然言語処理」で。moco_betaさんは、その時にご自身で作ったKuromoji(Java製のOSS日本語形態素解析器)のPythonポートである『janome』についてLTされてましたよね?

moco_beta はい。私は出不精なもので、こういったミートアップでお話させていただくのは初めてで緊張したのですが(笑)。

―― では、moco_betaさんにとっての「コミュニティ」って何なのでしょう?

moco_beta 自分でツールを作って公開すると、「使ってくださる方がいらっしゃるなら、そのフィードバックがほしい」となるので。実際、ミートアップではたくさんのご意見をいただけてありがたかったです。今回の『PyCon JP 2015』でも、PyData.TokyoでのLTと同じテーマ「Pythonで作って学ぶ形態素解析」でプロポーザルが通過し、お話させていただくことになりました。

小学生から還暦を過ぎたご高齢者までがPythonを学ぶ時代

―― moco_betaさんからトークセッションのお話がありましたが、『PyCon JP 2015』では皆さんがいろいろと発表されるご予定と聞いています。どんな内容になるのかを予告してもらっていいですか?

cocodrips 私は『強くなるためのプログラミング ―プログラミングに関する様々なコンテストとそのはじめ方―』というセッションでお話させていただく予定です。Pythonは学生時代に知って、「芸術作品みたいに美しい言語!」と思ったのがきっかけでハマったんですけど、仕事ではあまり使っていないので、「プログラミングコンテストに参加してみよう!」というお題でお話しさせていただこうと。仕事では使っていなくても、プログラマーとして腕を磨きたいっていうエンジニアの人にPythonの魅力を知ってもらいたいなと思っています。

―― Pythonは、何も勉強や仕事目的だけじゃないと?

cocodrips そうですね。仕事では先輩たちに負けても、コンテストじゃ負けねーぞという意味も込めて(笑)。

nobolis PyLadies Tokyoは初心者の方のご参加も多い一方、cocodripsさんやamacbeeさんのようにすごくスキルがある方も大勢参加していますし、目的もそれぞれです。私はamacbeeさんたちと一緒に「PyLadies Tokyo-初心者女性向けPython体験ワークショップ開催の裏側」というセッションに登壇させていただく予定ですが、「Python女子だけで集まりたい」とか、そういうメッセージではなく、多様な方が多様な目的で集まっているコミュニティの雰囲気を知ってもらい、気軽にコミュニティ活動をしてもらえるようになってほしいという思いでお話ししたいと考えています。

moco_beta 私は今回、OSSのドキュメンテーションビルダー『Sphinx』のコミッタである清水川貴之さんのセッションを楽しみにしていて。広く使われているソフトウエアのメンテナー、開発者の話を直接聞けるのは、コミュニティに参加する魅力の一つだと思います。

―― 皆さんのお話を伺っていると、コミュニティへの参加は技術力やスキルアップの目的以外にもさまざまなんだと感じます。

nobolis 実際、PyLadiesのワークショップには、お母さんと一緒に小学生くらいの子が参加したりしてましたよね?

amacbee あと、還暦を過ぎた方が、「自分で介護用ロボットを作るんだ!」と言って勉強会に参加されていたこともありますよ。

cocodrips それすごい!

amacbee 私はPyLadiesのトークセッション以外に、『RailsGirls』や『Java女子部』、『DjangoGirls』の代表の方々と「いま求められるコミュニティの多様性と未来」と題するパネルディスカッションをやらせていただくのですが、最近はコミュニティの存在意義みたいなものが「技術力向上」以外にも広がっているよね、というお話がしたいと打ち合わせをしています。

―― じゃあ、男性Pythonistaにもぜひ聞きに来てほしい?

amacbee はい、ぜひぜひ!

―― それでは最後に、今年の『PyCon JP 2015』の注目ポイントも踏まえながら、Pythonコミュニティの魅力について教えてください。

今年のトーク一覧を見ながら盛り上がる4人

今年のトーク一覧を見ながら盛り上がる4人

amacbee 今回の『PyCon JP 2015』のトークセッションは、4足歩行ロボットの制御とかマインクラフト、3Dデータモデリングに関する内容など、Web系だけじゃなくいろんな方面に幅が広がった印象ですよね。

cocodrips PyConでおなじみ、Isoさんのセッション「Pythonで作る俺様サウンドエフェクター」とかも、どんなお話になるのか楽しみじゃないですか?

amacbee あとは、Python 3.5 で導入予定の型ヒントについてのセッションも聞きたいなと。

―― この話、続けるとすべてのセッションが聴講候補として出てきそうですね(笑)。

amacbee でも、Python界隈は今盛り上がってるし、楽しいと思いますよ。私は高専の出身で、高専時代はハード系の組込みが卒業論文だったんですね。Pythonに触れるようになったのは大学へ進んでからなのですが、深く知るにつれて、データ処理やデータ解析だけではなくて、もっと幅広い分野に応用できる言語だなっていう思いが強くなりました。それに、Pythonはプログラミングの初心者でも気軽に身に付けられるハードルの低さが特徴なので、エンジニアじゃない人にも広く知ってほしいですね。

nobolis それは、もともとPythonistaじゃなかった私の経験からも言えます。一度ライブラリやツールを活用する方法を覚えてしまうと、びっくりするぐらい使えるようになるんです。

―― 今日はありがとうございました。

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