@type編集部が回避法をレクチャー! エンジニアの“転職失敗”体験談
「転職に失敗したエンジニア」たちのエピソードを、@type編集部のアドバイス付きで紹介。先人たちの経験談から、‟失敗転職”の回避法を学んでいこう
@type編集部が回避法をレクチャー! エンジニアの“転職失敗”体験談
「転職に失敗したエンジニア」たちのエピソードを、@type編集部のアドバイス付きで紹介。先人たちの経験談から、‟失敗転職”の回避法を学んでいこう
29歳(男性・年収450万円)Dさんのケース
19歳 情報処理の専門学校を中退後、ソフトウェア制作会社に契約社員として入社(年収360万円)
22歳 システム開発会社のエンジニアとして、正社員で入社(年収450万円)
26歳 先輩と独立し、会社を立ち上げるも3カ月で退職(年収0円)
27歳 システム開発会社のエンジニアとして正社員で再就職(年収450万円)
転職活動期間:半年(独立準備)
希望条件:給与アップ
妥協した条件:社員数が自分含めて2名
今回紹介するDさんは、19歳でソフトウェア制作会社へSEとして就職。3年働いた後、システム開発会社に年収90万円アップで転職した。
「当時は年収を上げたくて転職したので、さらに市場価値の高い人間になろうと張り切っていました。その時に、新人の私をマンツーマンで指導してくれたのが、後に私の人生のキーパーソンになる人です」
システム開発会社によくある、いわゆる「メンター制度」。4年ほど、メンターの先輩の元で働いていたある日、「一緒に独立しないか」と誘われた。
「若かったこともあり、私に声を掛けてくれたことが純粋に嬉しかったんです。そのことが自信にもつながりましたし。入社時からほとんど改善されない給与面に不満があったので、それほど深く考えず、先輩の話に乗ることにしました。
でも、後から分かったことでしたが、先輩には私以外、声を掛けるような人がいなかったみたいです。彼は一匹狼タイプで、気を許して本音で語り合うことが苦手だったので。そこで白羽の矢が立ったのが、自ら育てた私だったということでした」
独立といっても、多額の資本金を用意したり、何人ものメンバーを集めたわけではない。先輩とDさん、たった2人の小さな有限会社だった。先輩の自宅が、作業場兼事務所になったのは、自然な流れだ。
「前の職場との退職交渉や、独立後のクライアント開拓といった独立準備は、半年ほどかけて、先輩が全て一人で進めてくれました。おかげで、スタート当初から、大手企業の開発案件を受託することが決まっていたんです。しかも、客先常駐ではなく、自社開発。ビジネス面のことは何も分かりませんでしたが、もう大船に乗ったような気持ちでしたね」
ところが、何のルールもない2人だけの会社。すぐに不満が生まれてきた。
「安定した会社員から環境が変わり、想像以上に苦しくなりました。狭い部屋で一日中先輩と2人きり。黙々と長時間作業するのは、とても気が詰まるものでした」
「先輩も同じような気持ちだったのでしょう。独立してから、彼の態度が豹変してしまったんです。もともと気性の激しい人ではありましたが、今まで以上に人あたりが厳しくなり、毎日のように八つ当たりされました。
しかも、会社運営に必要だからと給料も支払ってもらえず、貯金を切り崩す日々。そんな状態が続いて、たった3カ月で、私の気持ちは押しつぶされてしまいました」
その後すぐ、先輩との会社を辞めたDさん。「勢いだけで行動してしまった自分を悔やんだ」と、深いため息をついた。
「まさか3カ月で辞めることになるとは思っていませんでした。自分の甘さを痛感しましたね。先輩を恨んでも、あとの祭り。自己責任ではあるのですが、とても苦しかったです。
金銭面はもちろん、何より精神的なショックが大きかったです。30歳を前にして、自分は一体何をやっているのだろうと自信を失い、すっかり人間不信になってしまいました。その後、半年間は何をするにも気力がわかず、まるで脱け殻のようでした。
その後運良く会社員として復職しましたが、給与は不満だった前職と変わっていません……」
働き始めてしばらく経つと、会社からの評価に不満を持ったり、逆に、これまでの実績に自信がついてきて、「独立したら、明るい未来が待っているのでは……」という気持ちになる人もいるでしょう。特に今は、独立している人やフリーランスとして活躍するエンジニアも多い時代ですから、彼らに憧れを抱くこともあるはずです。
しかし、自分の中に、どうしても独立したいという「内的動機」がない場合、独立してから大きな不満を抱えることになりかねません。
20代で独立・起業して成功した人は「新しいビジネスの可能性に気付いて起業した」、「新卒時に就職に失敗したから、第二新卒サービスを手掛けることにした」、「勉強してこなかったことがコンプレックスで、オンライン学習サービスを立ち上げた」など、自分の中に「独立したい」「このビジネスをやりたい」という、強い意志を持つケースが多いのが特徴です。
Dさんの場合は、特段やりたいビジネスがあったわけでなく、先輩に誘われ、内容を吟味することもありませんでした。このように、給与、待遇、会社からの評価といった現状から“逃げるため”の独立では、長続きしないでしょう。
また、起業の先輩たちは、「独立を考えている人は、『これだ』と思うものが見つかるまで、目の前のことにがむしゃらになった方がいい」と口を揃えます。人生をかけて取り組む事業というものは、試行錯誤するうち、徐々にブラッシュアップされて、その輪郭が見えてくるのだそうです。
計画性なしに次のステップに進むのではなく、自分の現状やスキル、やりたいことを吟味して、自分らしいキャリアを描いていけるといいですね。
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文/石川香苗子
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