転職Vol.761

「マークアップエンジニア不要論」は本当か? えふしんさんに聞いてみた【エンジニア転職ウワサの真相】

教えて、えふしんさん! 「エンジニア転職」ウワサの真相

世の中にある噂や、アップデートされない業界の常識に翻弄されず、自身の手でキャリアを選び取っていけるエンジニアになるには? 数々のWeb系企業で活躍してきた”えふしん”こと藤川真一(BASE株式会社 取締役CTO)さんに、エンジニアにまつわる気になるウワサについて聞いてみた!

BASE株式会社 取締役CTO 藤川真一(えふしん)氏
BASE株式会社 取締役CTO 藤川真一(えふしん)氏
FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にGMOペパボへ。ショッピングモールサービスにプロデューサーとして携わるかたわら、07年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。10年、想創社を設立し、12年4月まで代表取締役社長を務める。その後、想創社(version2)を設立しiPhoneアプリ『ShopCard.me』を開発。14年8月からBASE株式会社のCTOに就任。2017年9月に慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科博士課程を単位取得満期退学、2018年1月博士(メディアデザイン学)取得、同学科研究員。

【ウワサ2】技術の進歩によって、マークアップエンジニアは不要になる?

「HTMLで書く」ということ自体は、Webブラウザが存在する限り残るでしょう。Webブラウザは簡単には死なないとも思います。

ただ、HTMLが書けるだけだと、Webを作る中のほんの一部しかカバーできません。その一部に当てはまる役割はどのくらい必要とされるのか。今よりも減る可能性はあるでしょうし、その中に自分が残れるかどうかは分かりません。さらにいえば単価の方も2000年ごろのHTMLは1ページ約10万円で売れたけれど、今はページ1000円程度の案件の話も聞きます。Webがもたらす価値はページ10万円の頃より向上しているハズなのに、それに逆行するようにページの単価が下がっているというのが皮肉な話です。

結局のところ、技術が生き残ったとしても、それに携わる仕事が続くかは、誰にも保証できないんです。JavaScriptを一切使わずPhotoshopの画像をHTMLに変換する仕事は、自動化を妨げている問題が解決されれば解決できてしまう。全く仕事がなくなるというよりは全体として縮小していくという考え方でしょうか。全員の仕事がなくなるということではなく、業務プロセスに関する、なんらかしらの付加価値を得ていないとその仕事に従事できないというのは起きうる問題だと思います。付加価値とは大規模プロジェクトを回すプロジェクト管理スキルを持っていることや、人を育てることができるなどを示しますが、技術としては周辺技術を含めて、その人に任せればよいUXを実現できるなどの期待を提供できることも付加価値と言えるでしょう。

技術トレンドを地道にチェックし、「これだ!」と思ったものを試してみる

そんな中で現在マークアップエンジニアとして働いている人にアドバイスをするとしたら、技術の変化や動向をチェックして、自分の技術が足りないならば広げる努力をすること。これに尽きると思います。

例えば僕が見ていて一番キレイに変化をしていったのは、GUILDの深津貴之さんです。今は『note』を運営するpiece of cake 社のCXOとしても活躍されています。もともと僕の認知ではFlashのクリエイターでしたが、iOSが出てきた時にスマホアプリを自分で開発して、UIデザイナー、ユーザーエクスペリエンス支援を軸とした会社をつくった。

今はユーザーエクスペリエンスのアドバイザーという立場で仕事をされていますが、こうやって連続しながら立ち位置を転換していくっていうのは理想的ですよね。

変化をするためには時代の空気を読むことが重要ですが、技術トレンドなどの情報を得る方法はさまざまで、僕は決して情報収集に長けている方ではないけれど、SNSの投稿を眺めていると、どこに風が吹いているのかがなんとなく見えてきます。例えばTwitterを見ていると、海外で働いている日本人のエンジニアがマシンラーニングの話をしているのが目立つことがありました。あぁ、皆勉強してるんだと、何となく空気感を感じ取る。

ただ、これはある種の賭けのようなもので、「ここに風が吹いている!」と思ったけれど、現実には話題だけで終わったりして外れることもあるんです。経験を重ねると、過去の失敗に疲れてしまって、新しい技術が出てきても、即座にがっつくのはやめておこうと考える人は山ほどいます。でも同じ技術を初めて見た若い世代は、失敗経験がないので、単純に取り掛かるタイミングで負けます。これが若い世代の方が最新技術で活躍する秘訣です。

さらにややこしいのが、最近は会社の規模感がまちまちで重要視すべき技術も細分化されてきているんですよね。例えば、Webサービスを分割して機能分割する技術トレンドであるマイクロサービスに取り掛かるのは、一定規模のサービスの存在が必要です。そしてこれらは組織の分割などとセットで行うものですが、まだできたてホヤホヤの明日をもしれぬスタートアップのベンチャーが、最初から運用コストのかかるマイクロサービスの設計に取り掛かるのは得策ではありません。

今の時代は、「次はこの技術だ!」っていうことが言いにくい。そんな中で新しい技術に取り組んだ結果、やっぱり違った……なんてこともあると思います。IoT、ブロックチェーンや機械学習も自分のビジネスに関係ない人が触ってみたけど、さっぱり難しくてわからなかったみたいに言われる代表例ではないでしょうか。かといって何もしなければ乗り遅れてしまいますから、技術トレンドにアンテナを張って、地道にチェックし、「これだ!」と思ったものを試してみる。残念ながら、こればっかりは近道も正解もないですね。

【ウワサ1】はこちら>>SIer崩壊説って本当?

取材・文/天野夏海 撮影/赤松洋太

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