キャリア Vol.846

境界線はどこにある?CTO、VPoEになれるエンジニアとなれないエンジニアの違い【及川卓也×FiNC南野×WAmazing舘野】

2019年3月6日、クライス&カンパニーが定期的に主催するセミナーイベント「クライス汐留アカデミー」が開催された。同イベントのテーマは、「CTO、VPoEになれるエンジニアとなれないエンジニアの違い」。

ここ数年で、CTOやVPoE(VP of Engineering)のポジションを新たに設置する企業が増えてきた。CTOは、企業の技術戦略や技術選定を担う最高技術責任者。VPoEは、技術組織のトップとして採用から社内制度の設計まで、エンジニアのマネジメント全てを統括する役割を持つ。

若手エンジニアの中には、エンジニアリング組織のトップを担う両ポジションを目指す人も少なくないだろう。

同イベントでは、クライス&カンパニーの顧問を務める及川卓也さんをモデレータに、FiNCTechnologies代表取締役CTOの南野充則さん、WAmazing共同創立者であり取締役CTOの舘野祐一さんが登壇。エンジニアのマネジメント経験も豊富な3人が考える、CTO、VPoEに向いているエンジニアの特徴とは?トークセッションの内容を一部ご紹介しよう。

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Tably株式会社 代表取締役 及川卓也さん(@takoratta)早稲田大学理工学部を卒業後、日本DECに就職。営業サポート、ソフトウェア開発、研究開発に従事し、1997年からはMicrosoftでWindows製品の開発に携わる。2006年以降は、GoogleにてWeb検索のプロダクトマネジメントやChromeのエンジニアリングマネジメントなどを行う。15年11月、技術情報共有サービス『Qiita』などを運営するIncrementsに転職。17年6月より独立し、プロダクト戦略やエンジニアリングマネジメントなどの領域で企業の支援を行う。19年1月Tably株式会社を創業。クライス&カンパニー顧問。「トップエンジニアが拓く道」でエンジニアへのインタビュー記事連載中

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WAmazing株式会社 共同創立者 取締役CTO 舘野祐一さん(@hotchpotch) 2006年、株式会社はてなに入社。ソーシャルブックマークサイト、はてなブックマークのサービスリニューアルのリードエンジニアを務め、その後エンジニアリングマネージャとしてチームビルディングからサービスの開発・改善に努める。10年、クックパッド株式会社に入社し、技術基盤の整備やビッグデータ基盤の導入等を行う。12年同社技術部長、14年同社執行役CTO。役員就任中には技術部門のトップ兼経営メンバーとして、技術面からクックパッドの成長を支える。16年、共同創立者CTOとしてWAmazingに参画し、「日本を楽しみ尽くす」サービス作りを行っている。18年、WAmazing中国法人を上海に設立し、中国法人代表も務める

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株式会社FiNC Technologies 代表取締役CTO 南野充則さん(@tentenmitsunori) 東京大学工学部卒。大学在学中にヘルスケアスタートアップ、株式会社MEDICA及びCDSystem株式会社を創業。東京大学在籍中に北京大学で開催されたスマートグリッド分野における国際学会で世界一の座を争い「BEST STUDENT AWARD」を受賞する。2016年8月に、国内初となるウェルネス・ヘルスケア領域に特化した人工知能研究所「FiNC Wellness AI Lab」を設立。2017年、ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指す団体、「日本ディープラーニング協会」最年少理事に就任。2018年9月にFiNC Technologies 代表取締役CTOに就任し、現在に至る

目の前のコードが生み出す、ユーザーへの価値を考えろ

及川 最近注目のポジションであるCTOやVPoEですが、いずれも経営側のポジションです。一般的なエンジニアが事業に対して熱意を持ったり、経営視点を持つためにはどうすればいいでしょうか?

南野 一番大切なのは、どれだけユーザーを喜ばせることができるかを考えてみることだと思います。自分がユーザーだったら、何をされると嬉しいか、自分のサービスを使っているユーザーがどういう人なのかを相手の立場に立って考えてみること。あるいは、ユーザーにインタビューしてみるのもおススメです。コードの裏側にある、ユーザーの顔を想像してみるところから始めるといいと思います。

舘野 同感です。一行一行のコードの価値が、どこに繋がっているかを考えられることは重要ですよね。どれだけ技術が好きでも、自分が今手掛けているコードを、単なる技術で終わりにしてはいけません。必ず何らかのアウトプットに繋げるという意識は大切です。

このコードでユーザーの行動を変えてコンバージョンを上げようとか、スタッフの負担を減らそうとか、コードの先にある「価値」を考えられると、視野が広がり経営視点を持つことに近づくのではないでしょうか。

及川 なるほど。自分の書いているコードが何に貢献するのかを考える癖をつけるということですね。

CTO・VPoEに向いているエンジニアとは?

及川 お二人はCTOとして経営や人材育成に関わっていますが、どういうエンジニアがCTOやVPoEに向いていると思いますか?

南野 CTOに向いていると思うのは、戦略思考が強い人ですね。企業戦略の中で、技術選定をすることができて、自社の優位性を客観的に考えられる人だと思います。

一方でVPoEに向いているのは、組織や人が好きな人。細々としたしんどい局面がたくさん出てくるので、人が好きという条件は外せないと思います。

舘野 CTOやVPoEって、楽しいと思える人がやると楽しいんですけど、そうでない人がやると大変な話がてんこ盛りで、なかなかやり切ることができないんです。会社に溢れている“大変なこと”を、技術の力で解決するのがCTOで、エンジニアリング組織で解決するのがVPoEだと僕はそれぞれの役割を認識しているんですが、凄く大変なことも多いので、エンジニアに積極的に勧められるかというと、必ずしもそうではありません。やっぱり、適性はあると思います。

CTOについては、技術が好きなことと、それを価値に変換するのが好きな人。VPoEは、南野さんがおっしゃるように、人事組織にコミットしたい人にとっては楽しいと思います。ただ、そこに苦手意識を持つエンジニアは多いので、そういう人がなってしまうと、繊細な人間関係の問題に胃が痛くなることもあると思います。人と関わることが好きなエンジニアはマッチすると思うので、チャレンジしてみてほしいですね。

及川 チームで成果を出したいと考える人は、マネジャーの道を極めてミドルマネジャーになるという選択肢もありますよね。そういう場合は、マネジャーとしてやっていくのか、CTOやVPoEを目指せばいいのか迷いそうですが、いかがですか?

舘野 それは、全ての人が社長を目指す必要はないということに通じると思います。一般的な管理職として十分に責務を果たして、前向きに良い仕事をしていくマネジャーも組織には必要です。

南野 事業部長という選択肢もありますよね。事業の数字とエンジニアリング、両方が好きでコミットできる人には向いているはず。自分は何が好きで、どう働いていきたいのかを中長期的に決めた方がいいと思います。

舘野 マネジメントは、一回経験してみないとその面白さも大変さも分からないものです。マネジメントを経験して、またエンジニアに戻る、その両方をカジュアルに行き来するというキャリアもこれからはあっていいと思います。まずは、ほんの1、2年でもいいからマネジメント経験を積んでみてはどうでしょう?絶対に無駄にならないですから。

CTO・VPoEは、技術力だけではやっていけない

及川 最後にずばり聞きます。自分のキャリアについてさまざまな視点で考えた結果、CTO、VPoEになりたいと思う場合、どんなアクションが必要になりますか?

舘野 まずは、CTO、VPoEとして実際に活躍している人に会いにいきましょう。なぜかというと、経営視点を学びたいなら、実際に経営に近い存在の方と話してみることが大切だからです。

2013年頃に、当時の社長から「君が経営側に回ったら、何ができる?」というお題をもらったことがあるんです。そこで数十人ぐらいのCTOやCEOに、たくさん声を掛けて会いに行きました。その時、ほとんど会ったことのない人でも快くOKしてくれて、たくさんのインプットを得ることができました。色々な方の思考プロセスを知れたのはとても大きかったですね。

及川 会いたいという熱意があれば、快く応じてくれる人は少なくないですよね。そういう意味では、人脈は重要ではないと思います。

南野 同感です。一番近い存在でもある、社内の経営陣と話してみることから始めてもいいのでは?それから、今後のキャリアパスを、仮でもいいから描いてみること。仮で描いたキャリアパスをベースに、似たようなキャリアを実際に歩んでいる人と話してみる。そうすると、次にやるべきことが少しづつ分かるようになると思います。

及川 CTOにしてもVPoEにしても、人に会って自分の考えを筋道立てて説明する力が必要だということですね。僕自身も、外資系企業に勤めていた際に、マネジャーとして求められていたのは社内外をつなぐネットワーキングでした。つまり、組織が必要とする人材を、自分の力で呼び込み、課題解決に協力してもらえるよう説得するのが重要な仕事の一つだったんです。

お二人も仰っている通り、CTOもVPoEも、技術力だけではやっていけないポジション。経営者視点を持ち、リーダーとして課題解決をしながら会社全体を引っ張っていけるかどうかが問われます。そこをやりたいと思えるか、やってみた結果「向いている」と思えるか、実践や経営層とのコミュニケーションの中で見極めていけるといいですね。

取材・文/石川 香苗子 画像提供/株式会社クライス&カンパニー

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