キャリア Vol.920

MITからメルカリにやってきた20代AIエンジニアが放つ偉才っぷり「趣味でやってみたら天職でした」

AI等のテクノロジー で「売ることを空気に」することを目指すというテックカンパニー・メルカリ。同社では現在すでに国内外から集まった約40名のAIエンジニアが活躍しており、10月にはさらに約16名の新入社員を迎えるという。

そして今、メルカリの中でも特に偉才っぷりを発揮しているのが、AIエンジニアの松岡玲音(まつおかれいん)さん(27)だ。

株式会社メルカリ AIエンジニア 松岡玲音さん
株式会社メルカリ AIエンジニア 松岡玲音さん(@lain_m21
1992年生まれ。東京大学薬学部卒業後、アメリカの大学院へ渡り宇宙工学を専攻。その後、機械学習のロボットへの応用へ興味を持ち、マサチューセッツ工科大学(MIT)の航空宇宙工学専攻へ転学。ロボットAIなどについて研究を重ねた後、中退。2018年10月よりメルカリでインターンシップをはじめ、2019年1月に入社し、現職

メルカリに入社するまで「Pythonは独学で勉強しただけ」という松岡さん。入社半年余りですでにエース級人材として「出品価格推定」のモデリングや「レコメンドエンジン」の基幹システム、「エッジコンピューティング」など、メルカリの事業の中核となる技術に携わっているという。

松岡さんはどのようにして短期間でトップレベルのAIエンジニアへと成長したのだろうか。その軌跡を聞いた。

「日本に一時帰国します」
何気ないTwitterのつぶやきが引き寄せたキャリア

―― 松岡さんが、AIエンジニアになった経緯を教えてください。

学生時代は薬学部に所属していて、全くプログラミングの経験がありませんでした。でも、マンガ『宇宙兄弟』を読んだことがきっかけで宇宙工学に興味を持ち、アメリカの大学院へ進学することにしたんです。

当時は、NASAで働くことを夢見て、宇宙探査ミッションデザインなどのプロジェクトに取り組みました。そこでMATLABを使ったプログラミングはできるようになったんですが、より新しい技術を扱えるようになりたいと思い、その頃流行り始めたPythonを独学で学ぶことに。その時、機械学習の勉強も同時に始めたんです。

株式会社メルカリ AIエンジニア 松岡玲音さん
松岡さんは最近ギャル系ファッションに目覚めたそう

「ロボットAI」に興味が湧いてきたのはちょうどこの頃でした。それで、機械学習をロボットAIに応用する研究に取り組むべく、MITの博士課程に進学しました。でも、いつしか研究よりもスピーディに機械学習で世の中にインパクトを与えるようなことがしたいと思うようになりました。そこで出てきたのが、企業でAIエンジニアとして働くという選択肢です。

AIエンジニアに必要なのは、機械学習のアルゴリズムの知見、膨大なデータから仮説を立てて分析する力、そして、仮説を解決するエンジニアリング力です。機械学習モデルをビジネスに生かす問題解決力や実行力も不可欠なので、いろいろなことに挑戦したい自分にぴったりの仕事なのではないかと思いました。

――そこからなぜ、メルカリに?

Twitterがきっかけでした。

実は、MITの研究に飽きてしまって(笑)、いよいよ「中退しようかな」と考えていた時に、Twitterで「日本に一時帰国します」と呟いたんですよ。すると、メルカリを含めた3社からインターンやカジュアル面談のお誘いをいただいて。

――すごい! 思いもよらない声掛けだったわけですね。

株式会社メルカリ AIエンジニア 松岡玲音さん

はい。どの会社も面白そうだったので、声をかけていただいた3社全部でインターンをしてみました。その中でもメルカリは、開発力の高さが魅力的でした。いくら機械学習のアルゴリズムの知識が豊富で、データ分析のスキルが高くても、システム全体を構築して開発する力が高くなければ、自社のプロダクトに機械学習を生かすことはできませんから。

私自身、機械学習は独学で勉強していたので、もっと深めたいと考えていました。社内にスターエンジニアがたくさんいるし、自分自身の開発スキルも高められそう。そんな期待を感じられたのが、メルカリに入社した決め手でした。

メルカリなら保持しているデータは、お客さまが出品する時に投稿する商品画像、文字情報、ユーザーの行動ログなど、種類も量も桁違いです。サービスをより良くするための施策も、「売る・買う・決済」とそれぞれのシーンで山ほどある。AIエンジニアとして挑戦できそうなことが無限に溢れているこの会社なら、飽きっぽい私でも働き続けられるんじゃないかって思いましたね。

AIエンジニアの働き方には無限大の可能性を感じる

―― では、入社後はどんな仕事を担当していますか?

さまざまな仕事にチャレンジしたいという意向を汲んでもらい、4~5つの複数業務を平行して任されています。メインはメルカリのUXを改善するための機械学習施策に携わり、一方で「メルペイあと払い」の改修のためにPHPやGo言語などを用いたバックエンド開発も担当しています。

株式会社メルカリ AIエンジニア 松岡玲音さん

当社のメインサービスである『メルカリ』に関しては、出品してから売れるまでのフローをできる限り簡略化する「「AI出品」の精緻化」に取り組んでいます。具体的には、画像認識の技術によって、商品名だけでなく商品の型番・製造年など細かい情報まで判別できるよう、精度を高めるプロジェクトです。

他にも、スマートフォン上で機械学習を完結させる「エッジコンピューティング」や、「メルカリ」の根幹である「レコメンドエンジン」の基幹システム、それから「価格サジェスト機能」の拡張といったプロジェクトにも関わっています。

仕事が多岐にわたるので、任されているポジションもプロジェクトによってさまざま。PMとして自分で企画を立ててプロジェクトを進めていくこともあれば、AIコンサルタントとして仮説を立てて緻密なデータ分析を求められることもあります。現場の最前線で、バックエンドやインフラ開発をするいちエンジニアとしての役割も重要です。

――まさに、「あれもこれもやりたい」という希望が叶っているわけですね。

そうです。さまざまなプロジェクトに携われる今の働き方なら、仕事の広がり方も無限大!とても自分に向いていると感じます。

それに、メルカリは「マイクロサービス」という開発体制を採用しているので、機能ごとに開発組織が独立していて、自由度が大きいのも特徴。裁量が大きく、エンジニアが理想とする自由な環境が整っています。ただ、その代わりにリリース日を遵守することや、プロジェクトのKPI、OKRを達成しなければならないという責任も伴います。個々人が自分の意志を大切にしながら、責任を持って働くことを尊重してもらえる環境はうれしいですね。

――AIエンジニアとして働く醍醐味をご自身はどう感じていますか?

株式会社メルカリ AIエンジニア 松岡玲音さん

先にも申し上げたのですが、AIエンジニアには、機械学習のアルゴリズム開発業務もあるし、分析業務もある。手掛ける業務範囲が広く、ものづくりの側面からも、ビジネスの側面からも、多角的にユーザーや社会にインパクトを与えられるのが一番の魅力なんじゃないかと思います。

そして、個人的には機械学習やデータに対する好奇心を、思う存分満たせるところも気に入っていますね。

本気でAIエンジニアを目指すなら?
リアルなデータの分析→機械学習モデルを使った開発に挑戦してみよう

―― いま、AIエンジニアの需要はすごく高まっていると思うのですが、これからAIエンジニアを目指す人にはどのような準備が必要でしょうか?

これからAIエンジニアにキャリアチェンジしたい人は、さまざまなデータを分析し、機械学習モデルをどんどんつくってみることをお勧めします。

私自身もそうでした。まずは機械学習プログラムのコンペ『Kaggle(カグル)』に出るところから始めて、Kaggleでシェアされているコードを参考にしながら、「商品の売れ筋を予測するモデルを作れ」とか「文章の誠実さを判定するモデルを作れ」といったさまざまなお題を解いていったんです。

とはいえ、『Kaggle』にあるデータは、実際の業務での機械学習システム構築とは大きく異なります。本気でAIエンジニアを目指すなら、実際に流通しているリアルなデータを分析して、機械学習モデルを使ったプロダクトやサービスを開発してみると良いのではないでしょうか。

例えば私の場合は、ビットコインの取引所からデータを引っ張ってきて、リアルタイムに受発注できる自動取引システムをつくりました。私自身もこのシステムを使ってビットコインでの投資をしていたので、損をしないよう血まなこになってエンジニアリング力を磨きました(笑)

株式会社メルカリ AIエンジニア 松岡玲音さん

もちろん、AIエンジニアになりたい人やAIエンジニア向けの勉強会に参加して基礎力を磨くのもいいと思いますし、副業で機械学習を用いたプロダクトをリリースしたりするのもスキルアップに繋がるはずです。

――今、メルカリでもAIエンジニアはますます増やしていくところなんですよね?

そうですね、AIエンジニアに限らずですが、今、現場に足りないのはゼネラリストとして活躍できる人だということがよく言われています。アルゴリズム、エンジニアリング、ビジネス、そのすべての分野で能力を発揮できる人が求められているようです。私自身も、それぞれの分野でまだまだ足りていないスキルがあるので、一つ一つ丁寧に磨いていきたいですね。

<関連情報>
>>もう少し初歩的な「AIとビジネス」が知りたい方はこちら

取材・文/石川 香苗子 撮影/吉山泰義

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