(※)Kotlinとは
Javaの統合開発環境であるIntelliJ IDEAで有名なJetBrainsが開発した静的型付けのオブジェクト指向プログラミング言語であり、コンパイルされたコードはJava VM(仮想マシン)上で動作する。Google社がAndroidアプリの開発言語として正式サポートしており、現在注目度の上がっているプログラミング言語である。
「趣味でここまでやっちゃうの?」なエンジニアが集結したイベントに潜入してみた【趣味テックLT大会レポート】
愛する二次元アイドルと一緒にプログラミングを学ぶ男、VR技術で“嫁”を呼び出す男、ジャンク品を買い集めて自らゲームを作る男……。IT技術を駆使した趣味に没頭するエンジニア約50名が、2019年10月25日(金)に開催された『趣味テックLT大会』(主催:株式会社ガイアックス)に集まった。
同イベントでは、10名のエンジニアが自らの趣味を5分程度でプレゼン。会場内には、発表内容に関連する制作物などが多数展示されており、来場者の目を引いていた。
今回のイベントの醍醐味は、自分が没頭している趣味を、普段は出会えないエンジニアたちとシェアできること。たとえ初対面だったとしても、「趣味に没頭している」という共通点を持つ参加者同士が生み出す空気は温かく、会場は終始、笑いと熱気に満ちていた。
当日、LTを行ったエンジニア10名の発表テーマ以下の通りだ。
1.Blender2.8によるキートップの自作
2.AWSを用いた2次元画像・コスプレ画像の識別
3.競技プログラミング用の自動化ツール開発
4.女児向けアニメファンのためのデータベースとLOD
5.色んな業者に無理だと言われたカーナビのロック解除
6.ドラマレビューサイトを作ったらドラマに詳しくなった話
7.推しの二次元アイドルと一緒にKotlinを勉強できるサイト
8.車の空いたスペースにスピードメーターを自作
9.Looking Glass(3D)による初音ミクの3D投影
10.ジャンク品(昔のゲーコンなど)を安く購入してUnityでゲーム開発
タイトルを見ただけでも、ジャンルが多岐にわたるということがお分かりいただけるだろう。
中でもエンジニアtype編集部が注目したのは、「推しの二次元アイドルと一緒にKotlinを勉強できるサイト」 「Looking Glass(3D)による初音ミクの3D投影」 「ジャンク品(昔のゲーコンなど)を安く購入してUnityでゲーム開発」の3つだ。当日、これらの展示スペースには、多くの参加者が足を止めていた。
続けて、これらが一体どんなものだったのか、どんなエンジニアがどんな思いを込めてつくっているものなのか、具体的に紹介しよう。
二次元アイドルと一緒にKotlinを勉強できるサイト
■登壇者:にしこりさぶろ~さん@subroh_0508
にしこりさぶろ~さんは、自分の大好きなゲームキャラクター、『アイドルマスターシリーズ』の登場人物である音無小鳥(おとなしことり)と一緒にペアプログラミングができる、Kotlin(※)学習サイト『小鳥さんの自習室』を作成。
「大好きなキャラクターと一緒にプログラミングの勉強ができれば、スキルも磨けてやる気も上がる。まさに一石二鳥だなと思って」と、にしこりさぶろ~さんは笑顔で話す。
『小鳥さんの自習室』自体も、ほぼ100%Kotlinで作られている。
>>『小鳥さんの自習室』の資料はコチラ
「Javascriptを使用した方が良い場面もあったけれど、Kotlinでの実装にこだわりました」とにしこりさぶろ~さんは言う。なぜなら、そこには小鳥さんとKotlinへの愛と情熱があるから……!
好きなものと向き合う時間は苦にならない。だからこそ、目先の効率を重視するよりも、飽きずに自分が取り組めるものを選ぶ方がいいというわけだ。これは、普段の仕事にも生かせる考え方かもしれない。
Looking Glass(3D)による初音ミクの3D投影
■登壇者:シロフードさん@sirohood_exp
シロフードさんは、2019年3月に行われたイベント『第1回Looking Glassハッカソン』で優勝し、Looking Glass Factory社の『Looking Glass』(※)を入手。 3Dホログラムディスプレイでボーカロイドの初音ミクを立体的に投影する『みくちゅあがーでん』を作った。
『みくちゅあがーでん』の由来は、「箱庭(ミニチュアガーデン)+初音ミク」だそう。シロフードさんは「いい名前でしょ?」と自信をのぞかせる。
また、シロフードさんがYouTubeにアップしたこちらの動画もあわせてご覧いただきたい。
「好きな角度からミクさんを眺めたり、音声認識で簡単なアクションをしたり、手を動かすとLeap Motionで頭を撫でたり出来ます。それに、ミニライブも実装しました。“ミク廃”にはたまらないはず!」(シロフードさん)
#みくちゅあがーでん
ライブモードでステージ追加しただけでめっちゃ映えた pic.twitter.com/vSZUYr8lpd— シロフード (@sirohood_exp) October 26, 2019
「今後もボーカロイドイベントとか、オフ会とか、xR関係のイベントなどで積極的に展示していきたい。これを『見に来た』と言ってもらえるとすごく嬉しい」と、シロフードさんは語った。
ジャンク品を購入してUnityでゲーム開発
■登壇者:Godanさん@godan09
「ジャンク品は良いことばかり」と言い切るGodanさんは、休日は秋葉原などリサイクルショップが多くある街へと繰り出し、ジャンク品を買い集めている。狙いは、安く手に入れた物で、ゲームをつくることだ。
Godanさんは、ジャンク品の良さを次のように語る。
「壊れても経済的なダメージが少ないからイジり倒せるし、ニッチなもので『これは!』と思えるものに出会えるとテンションが上がりますね。今回展示しているこのスケートボード型のコントローラーも、2000年の発売時は1万円くらいしていたはずなんですが、僕がリサイクルショップで見つけた時は、100円でした。『これは絶対買いだな(笑)』って」
GodanさんがUnityによる実装で新たに生み出したゲームは、会場で特に注目を集めていた。「1日で作ったものとは思えない。クオリティーが高過ぎる」という感嘆の声も参加者の中から聞こえてきた。
宝探し感覚で材料を探し、資金をかけず自分の好きなゲームを作って遊ぶ。「今すぐやってみたい」と思ったエンジニアも多いはずだ。
「趣味のシェア」がエンジニアの世界を広げてくれる
趣味を突き詰めるエンジニアたちのLTは一人たった5分という短い時間だったが、興味深いものばかりだった。実際、会場では発表者にさまざまな質問が寄せられ、あちらこちらで会話が生まれていた。
また、「趣味をシェアする楽しさ」も、本イベントで感じたことの一つだ。趣味を通じて知り合った仲間との出会いが、自分の世界をますます広げてくれる。今回のLTに登壇したエンジニアたちの姿を見たことで、そう実感できた。
趣味はニッチなものでもいい。同じ趣味を持った人を探さなくてもいい。何かに熱中している者同士であれば、すぐに親しくなれる。
では、どうやって自分の趣味をシェアするか。今回のようなイベントを探し、足を運んでみるも良し。SNSで自分の趣味を定期的に発信してみるも良し。小さなことからでもシェアを始めると、思いもよらない出会いや学びが得られるはずだ。
ぜひ、あなたの趣味も、友人、同僚、世界に向けて発信してみてほしい。これまでとは違った景色が見えるかもしれない。
>>次回イベント情報はコチラ!
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取材・文・撮影/川松敬規(編集部)
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