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超売り手市場の今だからこそ「エンジニアは目先の年収アップに釣られるな」――360度評価に取り組むIT企業の社長・社員に聞く“後悔しない転職”の叶え方

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    エンジニアは今、空前の「売り手市場」にいる。特に、経験豊富で優秀なSEは各社で引く手あまた。転職を重ねれば、年収アップもしやすい状況だ。

    だが、ITプロジェクト支援・代行を行う株式会社プライム・ブレインズの代表、五反田基秀さんは、「転職先を選ぶときには目先の年収アップだけでなく、その会社の評価制度にもしっかり目を向けてほしい」と話す。

    五反田さんは、大手ユーザー系SIerでSE、本社での人事業務、PMなどを経験した後、プライム・ブレインズを創業。「エンジニアが長く働ける環境づくり」を掲げ、人事評価制度の改善を重ねてきた。現在は「360度評価」などを取り入れ、一人一人が納得感を持てる評価制度の構築を目指している。

    同社でクライアントのPM支援を行う釘宮さんは、元メーカー系SIerでSEとして働いていたが、「前職はエンジニアが評価されにくい社風だった」と本音をこぼす。個人の業績が分かりやすい営業職ばかりがスピーディーに昇進・昇格し、エンジニアの評価はないがしろにされていると感じていたそうだ。

    そんな釘宮さんも、「転職して後悔しないためには、自分にフィットする評価制度の会社を選ぶことが重要だと思う」と転職経験者として話す。

    では、どうすればそんな会社を見極めることができるのだろうか。お二人に話を伺った。

    五反田 基秀・釘宮武郎

    株式会社プライム・ブレインズ
    代表取締役社長 五反田 基秀
    (写真左)
    大手ユーザー系SIerでSEや人事部勤務、金融・証券系のPMなどを歴任。問題プロジェクトの立て直し、トラブル回避などを得意とする。2008年、プライム・ブレインズを創業。大手ユーザー系企業及び、大手SIerなどに対して、PM支援や技術支援などを行う

    技術支援サービス部 マネジャー システムコンサルタント 釘宮武郎(写真右)
    大学卒業後メーカー系SIerでSEとして5年間勤務。ECサイトの保守・運用業務を経験。2014年プライム・ブレインズに入社。現在は、金融系プロジェクトに関するPM支援を担当している

    >>会社HPはこちら

    エンジニアの評価は業績だけでは決まらない

    ――そもそも、「エンジニアの人事評価」に課題を抱えている企業は多いのでしょうか?

    五反田:多いですね。品質管理やトラブル対応など、エンジニアの仕事は数値化しにくいものが多いということが、人事評価を難しくしている原因の一つだと思います。エンジニアは一人で開発しているように思われがちですが、実際のプロジェクトはチームで行いますよね。すると、担当箇所は決まっていても、どこからどこまでがその人の成果なのか、線引きは簡単にできません。

    また、たとえPMや上司がメンバーの働きに目を配っていたとしても、全てのエンジニアの仕事を漏らさず把握するのは不可能でしょう。このような環境ですから、会社と本人の認識にはどうしてもギャップが生まれてしまうのだと思います。

    ――昨今、エンジニア採用の過熱もあってか、各社が給与体系や人事評価制度を見直し始めていますよね

    五反田:はい。ただ、私から見ると二極化している印象ですね。機械学習のような特定のスキルを持っていれば、新卒であっても年収1千万円を提示する大手企業も出てきましたが、経営者やマネジャーの主観だけで評価が決まってしまうようなケースも散見されます。

    ――釘宮さんは以前メーカー系SIerで働いていたということですが、人事評価について悩んだことはありましたか?

    釘宮:前職では、個人業績が分かりやすい営業職ばかりが評価されていました。一方、エンジニアは滞りなくプロジェクトを完遂させても、それは当たり前であるとされ、評価対象にはならなかったのです。特定の上司にアピールするのがうまい人が昇進するケースも多かったので、理不尽だなぁと感じていました。それが、転職を考えるきっかけの一つにはなっていますね。

    釘宮武郎

    五反田:私自身もSEだった頃、以前の釘宮と同じように理不尽な評価に疑問を抱き、上司に直談判したことがあります。「組織バランスを考えると、先輩を先に昇進させてやらないと」というのが上司の言い分でした。上司が部下の業績を評価する努力を放棄しているように感じ、非常に後味が悪かった記憶があります。
    そんな経験もあって、当社では「エンジニアが納得感を持てる評価体系をつくる」ということを大事にしてきました。

    人事評価制度はブラッシュアップし続けるもの

    ――では、実際にどんな評価制度を取り入れているのでしょうか?

    五反田:オーソドックスな「上長評価」に加えて、評価者の主観に偏らないように「360度評価」「管理職相互評価」という評価制度を取り入れています。また、部長以上の全員が集まる人材育成会議では、13分野に細分化されたスキル領域から、各エンジニアに合わせて適切なスキルアップ計画を策定するようにしています。

    「360度評価」は各エンジニアが自分に与えられた“総合ポイント”(持ち点)を、評価したい同僚に割り振るという仕組みを採用。管理職相互評価はマネジャー以上が半年に一度、自分の成果をまとめてお互いにプレゼンし合い、相互評価を行うという制度で、4~5年前に始めたものです。

    結果として、現在は評価において代表である私の意向で決められる範囲はとても小さくなりました。組織全体で見たときのアンバランスを調整するとか、低く出過ぎてしまっていると思われるケースで若干の加点を行うくらいです。結果として、評価者個人の主観的な判断が大幅に減り、また、当社の評価の考え方に対する理解が深まるなど、良い方向に変化していると考えています。

    ――釘宮さんは、前職と比較して人事評価に対する納得感を持てるようになりましたか?

    釘宮:はい。プライム・ブレインズに入社して5年になりますが、ありがたいことに年に一度のペースで昇格していて。「こんなに評価していただいていいのだろうか」と恐縮するくらいです。

    何よりうれしいのは、上長とのフィードバック面談のときに、管理職や同僚からのコメントを聞けること。自分では当たり前と思っていたことを、高く評価していただけていることに気付くことができたり、何気ない行動が会社やプロジェクトへの貢献につながっていると実感できたりするので、とても励みになります。評価された部分については、今後も積極的に伸ばしていこうという気持ちにもなりますしね。

    五反田:ただ、人事評価制度は常に改良を続けていくべきもの。時代に合わせる必要もありますし、会社の状況によって内容を柔軟に改良していくべきだと考えています。

    釘宮:360度評価は、社員同士がしっかりお互いの仕事を見るようになるので良い面も多いですが、「評価のタイミングで目立つことをした人」に評価が集中しやすいという面もありますよね。半年くらい前の出来事となると、忘れてしまうこともあるので……。

    何か良いアクションをした社員がいたら、タイムリーに評価をしていけるような仕組みをつくれたらいいなとは思いますね。

    五反田:そうですね。まだまだ改善の余地はあると思います。

    五反田 基秀・釘宮武郎

    「どんな人が評価されますか?」という質問に答えられない企業には要注意

    ――お二人は、エンジニアが転職するときには年収だけでなく、会社の評価制度も重視すべきだとお考えですよね。その理由を改めてお教えください。

    五反田:多くのエンジニアは、転職活動中に求人票の「給与欄」をまず最初にチェックすると思います。確かに気持ちは分かりますし、高い報酬で自分を迎えてくれる企業に移る選択をするのは悪いことではありません。ただ、入社してから数年経っても、昇給・昇格もせず給料も据え置きだったらどうですか? きっとまた不満を抱えることになるはずです。

    釘宮:目先の年収アップも悪くはないけれど、もっと長期的に自分がそこでキャリアアップしていけるかどうかをイメージすることが大事ですよね。

    五反田:自分をしっかり評価してくれる会社に出会えれば、入社後に大幅に年収を上げることだって夢じゃない。だから、入社時の年収だけに惑わされてしまうのはもったいないと思うんです。

    ――意外と、その視点は見落としがちですよね。では、どうすれば自分を正しく評価してくれる会社に出会えるんでしょうか?

    五反田:まずは、「自分がどんなエンジニアになりたいか」というビジョンを明確に描くことから始めるべきだと思います。一つの技術を極めていきたいのか、マネジメントも技術力もコミュニケーション力も磨いて総合力で勝負したいのか。

    例えば当社の場合は「お客さまの課題を根本的に解決できる人」が必要とされているので、必然的に何か一つの専門性があるだけでは不十分であり、加えて「総合力の高い人」が評価されるような環境です。

    総合力とは、技術力のみならず、お客さまの意見に耳を傾け自分の意志を伝えられるコミュニケーション力、部下や後輩を育成する力などを含みます。釘宮の場合も、当社で徐々にスキルを積み上げ、「総合的なスキルバランス」を高めてきたことで、より当社のロールモデルに近づいてきています。そしてそれこそが、高い評価につながっているのです。

    一方で、総合力より専門性を重視する企業もあるでしょうし、尖った個性を求めている企業もあるでしょう。要は、その会社が今どこに向かっているのか、そのためにどんな人材を欲しているのかという背景によって、誰が評価されるのかは異なります。

    ですからエンジニア側も、「自分のなりたい姿」と「転職先の企業が必要としているエンジニア像」が重なるかどうかを確認しなければいけません。

    ――その確認は、どうすればできるのでしょう?

    釘宮:求人票などに評価制度について書かれていても、実際に運用されているのか分からない会社も多いですよね。ですから、自分と近いキャリアの社員がどのようにステップアップしているのか、面接のときに実績やモデルケースを確認してみるべきだと思います。

    もしも、それを聞いても採用担当が何も答えられないような会社だとしたら、エンジニアが適正に評価してもらえるかどうか怪しいのではないでしょうか。

    五反田:そうですね。面接の時にはっきりと「何を大事に評価しているのか」「どんなことが評価につながるのか」積極的に聞いてみた方がいいでしょう。もちろん、その会社に自分がどう貢献したいと思っているのか、意欲をしっかり伝えた上で、というのが大前提ですが。

    また、ここで大切なのは、無理に会社の方針に自分を合わせようとしないこと。自分の気持ちを偽って入社後にミスマッチを感じ、すぐ辞めることになるなら双方にとって不幸ですから。

    五反田 基秀

    五反田:改めて言いますが、エンジニアが幸せに働いていけるかどうかは、入社してすぐ決まるものではありません。2年~3年働いたときに、自分がどういうステージに立てているのか。それによって、良い転職ができたかどうかが決まると思います。後悔のない転職をするために、まずは自分の目指す姿をイメージすることから、ぜひ始めてみてください。

    取材・文/石川香苗子 撮影/吉山泰義

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