今回エンジニアtype編集部では、20代~30代のSEを対象に年収の実態を調査。不況が深刻化するとも言われるwithコロナ時代、SEが希望年収を叶えるためのポイントを全4記事にわたって解説する
求人票に書かれていない“あるポイント”が年収アップ転職のカギに。20代SEが年収400万円以上を叶える方法
一定のスキルや経験が培われた20代後半のSEの中には、「転職をして年収アップを狙いたい」という人も多いのではないだろうか。
そこでエンジニアtypeでは、転職サイト『type』に登録する20代後半(25~29歳)SE職を対象に現在年収と希望年収を調査。以下の数値となった。
20代後半のSEの、現在年収と希望年収
現在年収の平均:395.8万円
希望年収の平均:412.3万円
※本調査は、弊社の個人情報保護方針に則り、個人を特定できない範囲でデータを抽出しております
現在年収の平均は300万円台にとどまる一方で、希望年収の平均は400万円を超えている。
『type転職エージェント』のキャリアアドバイザーとしてエンジニアの転職支援にあたっている青田有貴さんは、「20代SEが応募できる年収400万円以上の求人は、コロナ禍の現在でも多くある」と話す。
では、そうした求人の採用条件とは? 20代のうちに希望年収を叶えたいSEが、年収アップ転職を実現するための秘訣を、現在の市況感とあわせて教えてもらった。
type転職エージェント キャリアアドバイザー
青田有貴さん
IT・OA業界での法人営業職を経験。その後、キャリアデザインセンターへ入社。IT派遣部門のキャリアコーディネータなどを経て、type転職エージェントのキャリアアドバイザーに。専門領域はIT・Web業界
年収400万円は、“独り立ち”の基準
当然募集条件にもよりますが、20代SE向け求人の多くは、想定年収「350万円~500万円」というように、400万円以上を含むケースが多いです。
20代で年収400万円は、コロナ禍においても、選考の中できちんと評価が得られるよう工夫をしていけば、決して高望みではなく、妥当な希望だと思います。
はい、あります。
例えば、二次請けや三次請けのSESといった会社にいる場合、そもそも商流上、間に複数の会社が入ることなどから年収が上がりにくくなっているケースがあります。
そうした会社で働きながらも、さらにエンジニアとして市場価値の高いスキルや経験を身に付けていれば、転職で年収をグッと上げられる可能性は高いです。
その反面、今、指示をされないと動けないようなレベルの人は、下積みの期間が必要です。即戦力とは見なされにくいため、入社後も一定の下積み期間は発生する可能性があり、いきなり年収400万円を目指すのは厳しいでしょう。
ただ、今の会社ではエンジニアとしての経験が伸ばせないなど、今後長期的に改善されることがないのであれば、将来の年収アップを考え、早期に経験が積める環境へ転職を検討するのも一つの手です。
そうですね。年収400万円って、SEとしてある程度“独り立ち”できているかどうかの基準になる年収だと思います。
「このフェーズの経験が多い」とか、「この技術が得意」とか、「お客さんとのコミュニケーションや提案が得意」ということでも構いません。
他の人のサポートがなくても完結できる領域があって、その部分だけでも即戦力になれるのならば、20代であっても年収400万円は十分期待できます。
「後輩2人の面倒を見た」。それも立派なリーダー経験
はい。でも、実はそれだけではまだ不十分です。
求人票には「求めるスキル」として書かれていないけれども、実際は企業が20代のエンジニアを採用する前に必ずチェックしていることがあるんです。
一つは、リーダー経験の有無。もう一つは、業務改善への取り組みをしてきたか。つまり、チームや組織に対する仕事をしてきたかどうかという点です。
この二つは、職務経歴書には必ず書くべきポイントになります。
何も大規模なプロジェクトのリーダーや、役職としてのリーダー、主任などを経験していなければならない、というわけではありません。
「後輩2名の面倒を見ていた」、「一部の作業の進捗管理を担当した」といった内容でもいいんです。人と人との調整事を処理したり、揉め事にもうまく対応するといった、リーダー的な動きをした経験があることが大切です。
その時に何に悩み、どんな工夫をして乗り越えたのかといった成功体験をアピールすれば、「この人はちゃんと成長していけそうだな」と面接官にイメージしてもらいやすいので、選考を通過する可能性は高まります。
そうですね。マネジメントは「ヒト・モノ・カネ」の管理と言われていて、そのうち「カネ」の管理は20代で経験するのは難しいかもしれません。でも、「ヒト」や「モノ」の管理は、チームや組織で仕事をする中で20代でも自分次第で学んでいくことができます。
こうした経験は、ゆくゆく大きなプロジェクトに携わる中でも必ず生きますから、リーダーの役割は率先して経験しておいた方がいいでしょう。
はい。新技術の習得姿勢ももちろん大切ですが、開発は基本的にチームで進めるものです。スペシャリスト志望であっても、一人で完結しない仕事をする以上は、基礎的なリーダースキルの有無は確認されると思っておいた方が良いですね。
憧れとやる気だけの“無謀な転職”で年収アップはできない
手っ取り早いのは、一次請けの企業への転職を狙うことです。
ただし、一次受け企業は顧客へ直接提案を行うため、これまでに上流工程の経験を積めていないと難しいかもしれません。
その場合は、自分の強みを正しく理解し、評価されやすい企業を見極めて受けていくことが重要です。
今まで使ってきた技術環境や、業界・業務知識を生かせる案件がある会社を受ければ、多少不足するスキルがあっても、技術環境の経験や業界業務知識の面では「経験者≒入社後早期にキャッチアップできる」と見なされやすくなります。
例えば、これまでに金融系の開発を手掛けてきた場合は、金融業界と取引がある会社に転職すれば評価は高くなりやすい、といったことなどです。
そうですね、入社時から年収を上げる転職がしたいなら、即戦力として評価を得て採用されることが絶対です。企業からすると、未経験の方に年収を出して採用し、入社後育成期間も必要になるのであれば、新卒採用で十分事足りてしまいます。
ところが、過去の経験を無視した“無謀な転職”をする方も20代には多くいらっしゃいます。
はい。過去の経験から得た自分の強みをベースに、自分が評価されるか、何をアピールできるかで会社を選ぶのではなく、知名度のある会社への憧れや、やる気だけで押し通そうとしてしまう人も少なくありません。
それで「年収も上げたい」というのは、無謀と言わざるを得ません。
ただ、経験不足であったとしても、20代の場合は勉強姿勢や伸びしろを評価して採用してくれる可能性はあります。
例えば業務ではニッチな技術しか習得できていないのなら、業務以外で新しい技術をちゃんと勉強している姿勢を示したり、自己学習でできるようになったことをアピールをするのが有効です。
そうです。経験不足を勉強姿勢で補うことができるのは、20代の特権ですね。ただし「勉強しています」とは口だけで、実際は何も勉強していないと、面接ですぐに見破られますから、注意してください(笑)
エンジニア採用は厳選傾向に。転職活動の注意点は?
採用を継続している企業はありますが、全体的に求人数は減っています。
新卒を採用している会社では、夏ぐらいまでは第二新卒の採用を抑える方針が続くでしょう。また、一部の会社では既存社員が待機になっているために、中途採用を完全にストップしている会社もあるのが現状です。
一方で、今採用市場に残っている企業は、比較的体力のある会社だと言えますね。コロナショック以前から、ITエンジニアの採用ニーズ自体は高かったことや、大型連休が開け先行きが見えてきたこともあり、WEB面接等で採用活動再開する企業も増えてきており、明るい兆しも見え始めています。
コロナショックによって厳選採用の傾向は強まっているので、「この人を採用するメリットがある」と思ってもらえるポイントを明確に伝えることが大切です。
まずは自分のスキルや経験を整理し、技術力だけでなく、業務への取り組み姿勢や工夫も併せて伝えられる状態で面接に臨んでください。
そうとは限りません。20代で100点満点の方なんてほぼいません。弱みは20代のSEには絶対にあるものですから、遠慮する必要はないと思います。
大切なのは、強みと同じくらい弱みを正確に把握し、リカバーする姿勢があること。たとえ今は100点満点からは程遠い実力だとしても、それができていれば、「20代で年収400万円」は決して届かない目標ではありませんよ。
取材・文/一本麻衣
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