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プログラミング学習の「やる気」はこう作る~プログラミングチャレンジwithモンスターストライク・レポ

スキル

    プログラミングに限らず、何かを新しく学ぶ時には「モチベーション」がカギを握る。

    筆者がこれまでの取材で見聞きした印象では、PCすら一般に普及していなかった1970~90年代に少年~青年期を送っていたプログラマーにとって、初期のプログラミング学習でモチベーションとなっていたのは「自ら書いたコードでHello worldすること」や「マシンそのものを動かすこと」だったという人が多い。

    それに比べ、近年の若者プログラマーにとって学びのモチベーションとなっているのは「日ごろ触れているWebサービスやアプリ」であることが多く、それらを自分でも作れるようになる点が楽しさであると話す。

    ただ、今も昔も、同じようにプログラミングを学ぶ少年・少女の初期衝動を掻き立ててきた対象が一つだけある。それは「ゲーム」である。

    プレイしたゲームを自分でも作ってみたい、もしくはもっと面白くするためにHackしてみたいという欲求は、ビデオゲーム世代もファミコン世代もスマホ世代も、皆が持ち得るものなのだろう。

    そんな思いを新たにした体験会が、6月25日、東京・渋谷で開催された。小学生向けのプログラミングスクール『Tech Kids School』を運営しているCA Tech Kidsが、人気スマホゲーム『モンスターストライク』の開発・運営元であるミクシィXFLAGスタジオと共同開催した『プログラミングチャレンジ with モンスターストライク』だ。

    学習スピードを速める「好循環」とは

    『プログラミングチャレンジ with モンスターストライク』当日の様子

    『プログラミングチャレンジ with モンスターストライク』当日の様子

    イベント名にもなっているように、当日の「教材」はモンストの愛称で知られる大ヒットゲーム。CA Tech Kidsは、小学生にただプログラミングスキルを教えるだけではなく、「モノづくりにおけるプロセスの楽しさ」そのものを体感してもらうことを目的に、過去にもゲーム会社とのコラボレーションで企画~開発ワークショップを催してきた(参照記事は以下)。

    >> わずか15分で709個のアイデアが~Tech Kids CAMPで知った、プログラミング教育で大切なこと

    >> 任天堂のクリエイターが教える「面白さ」の作り方

    この日も、ゲーム好き、モンスト好きの小学生約30名が、ワークショップに参加。山形県や石川県から上京してきた子どももおり、定員に対して約4倍の応募があったということからも、その人気がうかがえる。

    そして、何より驚いたのが参加した小学生たちの集中力と、学習スピードの速さである。ワークショップでは、モンストの醍醐味の一つである「ひっぱりハンティング」のゲーム開発に取り組むカリキュラムのほか、実際にモンスト開発に従事しているXFLAGスタジオのエンジニアによる仕事紹介タイムなども用意されており、実質的な開発時間は2時間弱だった。

    にもかかわらず、ほとんどの小学生が事前に運営側が用意した“秘伝の書”(ゲーム開発用のオリジナル教材)を読みながら

    【1】ボール(プレイヤーが指で引っ張って敵にぶつけるアイコン)を動かす
    【2】クリア画面を作り、ゲーム画面とつなげる
    【3】ボールを敵モンスターと味方キャラクターの画像に差し替える
    【4】オリジナルゲームにする(敵の数を増やしたり、BGMを付けたり、友情ビームを出せるようにしたりetc.)

    というステップを完遂。短時間のワークショップ用に各種の開発環境が事前に設定されていたとはいえ、自らXcodeを立ち上げ、(iOSアプリのプログラミング言語である)Objective-Cをいじりながらゲームアプリを作っていくさまは、大人顔負けだった。

    完成したゲーム画面のデモ風景。参加者によってクオリティの差こそあれ、「平均値」は高かった

    完成したゲーム画面のデモ風景。参加者によってクオリティの差こそあれ、「平均点」は高かった

    CA Tech Kids代表取締役社長の上野朝大氏も、「今回は『モンスト』という大人気ゲームが教材だったので、いつも以上に参加者の集中力が高かったと思います」と述べていた。

    ただし、この学習スピードを支えていたのは、参加者たちのモチベーションだけでない。

    この日はCA Tech Kidsのメンターだけでなく、XFLAGスタジオのエンジニアたちもワークショップの指南役として多数参加しており、分からない点があり挙手する子どもをすぐさまサポート。「鉄は熱いうちに打て」とはよく言ったもので、

    疑問にぶつかる→メンターがフォローする→できなかったことができるようになる→プログラミングが楽しくなる

    という好循環の中で学んでいく子どもが多いように見えた。手取り足取り教えることが本質的な学習を促すかどうかは意見が分かれるところだろうが、少なくとも、「学びのモチベーション」を維持させる効果は大きいといえるだろう。

    その結果、ワークショップの最後に行われた体験会(参加者同士が作ったゲームをプレイし合う会)では、本家モンストとほとんど変わらないようなクオリティを披露する子どもがいるなど、XFLAGスタジオのエンジニアたちも驚きの声を上げていた。

    大人になればなるほど、子どもたちの吸収力には勝てなくなるという現実はあるものの、

    ■ 作りたい・学びたいと思う対象を見つける
    ■ 疑問を紐解いてくれるメンターを見つける
    ■ アウトプットを披露し合える仲間を探す(ある種の競争意識が学習意欲を高めるからだ)

    の3つについては、プログラミングを学ぶ大人も「やる気」を維持する上で参考になるだろう。

    学びの瞬間は孤独かもしれないし、何かに没頭すればするほど周りは関係なくなるものだが、人は独りより2人、2人より多数の方が強くなれるのだ。それが、同じ目的を共有し合える仲間ならなおさら。

    取材・文・撮影/伊藤健吾(編集部)

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