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技術トレンドの変化が激しいWebの世界。「何から学べばいいか分からない」30代エンジニアの悩みに澤円・えふしん・藤倉成太が回答

働き方

    今回お悩みを寄せてくれたのは、Webサイトの開発・保守を担当されているY.Nさん。新しい情報や技術が溢れるWeb業界において、習得する知識の優先度をどのように決めればいいのか悩んでいるそう。

    澤円さん、藤川真一(えふしん)さん、藤倉成太さんからのアドバイスとは?

    エンジニアtype 公式メンターズ

    エンジニアtype 公式メンターズ

    圓窓 代表取締役 澤 円さん
    日本マイクロソフトの業務執行役員の経験を経て、現在でも複数のベンチャー企業で顧問を務める。キャリアのスタートはCOBOLプログラマー。「プレゼンの神」の異名を持つ

    BASE 取締役EVP of Development 藤川真一さん
    『モバツイ』開発者。想創社の創業者。BASEでCTOを経て現職。今は組織マネジメントに専念している。通称えふしん

    Sansan株式会社 CTO 藤倉成太さん
    ミドルウエア製品の導入コンサルティングや米国・シリコンバレーで現地ベンチャー企業との共同開発などを経験後、SansanのCTOに就任

    Y.Nさんの質問:新しい知識や技術を何から学べばいいのか分かりません

    Y.Nさん(30歳/男性)

    現在、Webサイトの開発・保守を担当しています。最近の悩みは、新しい知識を習得する際に、何から学ぶか決められないことです。スキル習得の優先度をどうやって設定し、自分のキャパシティーをどう広げていけばいいのか、迷ってしまいます。マネジメントスキルを上げる必要も出てきているのですが、どうにも食指が動きません。

    澤さんの回答:自分がどうありたいか、「Being」から優先順位を考えて

    澤さん

    何から学べばいいのか自分は「どうありたいか」という「Being」の考え方を大切にしてみてください。「ありたい自分」に正直になると、優先的に学びたい物事が必然的に浮かび上がってきます。

    ハーバード・ビジネス・スクールでは、学びのフレームワークのアップデートというのを進めているそうです。

    もともと学びというのは、「Knowing」(知ること)が重要でした。これは、あらゆる物事を「知る」ということにコストがかかる時代だったからですね。

    ネットのない時代には、学ぶためには多くの書物に触れるか、知識の豊富な人から話を聞くしか方法がありませんでした。

    しかし、ネットの登場により「知る」ことのハードルが下がり、次に「Doing」(行動すること)が重視されるようになりました。つまり「超実践主義」です。

    とにかく手を動かす。プロダクトやサービスを作る。すぐにリリースする。フィードバックを受けてすぐ直す。アジャイル開発などは、まさにこの考え方の延長線上にありますね。

    しかし、今では「Being」(どうありたいか)が重視されています。「自分はどうありたいのか」を考えることが、最も必要であるという考え方です。

    ありたい自分に正直になると、学びたい物事は必然的に浮かび上がってきます。何から学ぶか、何のスキルを身に付けるか、優先順位が付けられずにいるのであれば、まずは「自分はどうありたいか」に忠実に従って行動すればいいと思います。

    自分の外側にある価値観で何をすべきか判断すると、後悔しがちですし、何より不健康な疲労に苛まれます。自分がどうありたいか、ご自身の内側の声にじっくり耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

    えふしんさんの回答:「不確実性を楽しむ」気持ちを取り戻して

    えふしんさん

    技術の変化を楽しめる気持ちもWebエンジニアに必要なスキルだと思います。若手の頃のような新鮮な気持ちを捨てていないか、新しい技術に対して純粋にワクワクできているか、自分の胸に問い掛けてみては?

    これは、変化の激しいWebの技術に身を投じている多くの人に起こる現象だと考えています。

    一例ではありますが、若い頃は見るもの全てが新鮮で知らないことばかりなので、目の前にあるものをどうにか取り入れるというアプローチをします。

    一方で、経験をそれなりに積んでくると、話題になっている技術を過去の技術と比較して、どうしても既視感を抱きますし、「どうせ、この技術は未来はこうなるよね」などと見切ってしまいがちです。

    それ故に、技術を比較する物差しを見失ってしまい、新しい知識の習得に対しても鈍感になってしまう人が多いのです。

    昨今、アンラーニングという言葉が出てきています。

    アンラーニングとは、一度学んだ知識や価値観を意識的に捨て去り、再び学び直すこと。個人的に、30代エンジニアには特に重要な考え方だと思います。

    若い頃に持っていた「あらゆる技術にワクワクしいていた新鮮な気持ち」を捨てていないか、ぜひ自分の胸に問い掛けてみてください。

    変化が激しく、表面的な技術スタックの移り変わりが激しい世界においては、常に若い人の方が分かりやすく強いという印象がありますよね。モダンなパラダイムを受け入れるための柔軟性が、若い人の方が高い傾向があるからでしょう。

    一方で、これまで培った落ち着きみたいなものは経験者の強みですが、可視化されにくい上に、最悪老害扱いされることもあります。そこは表に出さずに技術の変化を楽しめる気持ちを持つことが、Webエンジニアにとって大事なスキルの一つかなと思うところはあります。

    結果は成果物で出していけばいいので、まずは「不確実性を楽しむ」という新鮮な気持ちを取り戻してみるよう心掛けてみてはいかがでしょうか? きっと、学びに対する重たい腰も上がるようになる気がします。

    藤倉さんの回答:「やらなければいけない」を「やりたい」という気持ちに切り替えて

    藤倉さん

    「食指が動くものにしか向き合わない」というのも一つの手です。学ばなければならないから学ぶのではなく、自分がやりたいからやるという気持ちに切り替えることができれば、より充実した日々を過ごせるはず。

    個人的な話をさせていただくと、私はこれまで食指が動くものにしか向き合ってきませんでした。

    特に理由はないけれど興味があるもの、現在ないしは近い将来に自分の業務で必要になってくるもの(その知識がないと自分が困るもの)は貪欲に学習してきました。周囲から求められるものについても、自分がそれに「応えたい」と思えるのであれば、スキル習得や学びに対して積極的になれました。

    ただし、これは私が「好きなことしかやらない人間」というわけではありません。自分がやるべきことを、好きになるのが得意なのだと思います。

    自分が本当に貢献したいと思える事業に携わるとか、自身の成長と会社の成長が重ねられるような場所に身を置くことができていれば、そこでやることも、期待されることも、全ては自分の欲求に重ねることができます。

    お悩みの文面からは、今の仕事が面白くないと感じているわけではなさそうです。もし仕事に意義を感じられているのであれば、ワクワクを感じられるものに目を向けてみるといいかもしれませんね。

    学ばなければならないから学ぶのではなく、自分がやりたいからやるという気持ちに切り替えられれば、日々充実した時間を過ごせるのではないでしょうか。


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    株式会社圓窓 代表取締役
    澤 円さん(@madoka510)

    立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、日本マイクロソフトに転職、2020年8月に退職し、現在に至る。プレゼンテーションに関する講演多数。琉球大学客員教授。数多くのベンチャー企業の顧問を務める。
    著書:『外資系エリートのシンプルな伝え方』(中経出版)/『伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』(ダイヤモンド社)/『あたりまえを疑え。―自己実現できる働き方のヒントー』(セブン&アイ出版)※11月末発売予定
    Voicyアカウント:澤円の深夜の福音ラジオ メルマガ:澤円の「自分バージョンアップ術」 オンラインサロン:自分コンテンツ化 プロジェクトルーム

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    BASE株式会社 取締役EVP of Development
    藤川真一(えふしん)さん(@fshin2000

    FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にGMOペパボへ。ショッピングモールサービスのプロデューサーのかたわら、07年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。10年、想創社を設立し、12年4月まで代表取締役社長を務める。その後、想創社(version2)を設立しiPhoneアプリ『ShopCard.me』を開発。14年8月BASE株式会社のCTOに就任。19年7月から現職

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    Sansan株式会社 CTO
    藤倉成太さん(@sigemoto)

    株式会社オージス総研に入社し、ミドルウエア製品の導入コンサルティング業務に従事。赴任先の米国・シリコンバレーで現地ベンチャー企業との共同開発事業に携わる。帰国後は開発ツールやプロセスの技術開発に従事する傍ら、金沢工業大学大学院(現・KIT虎ノ門大学院)で経営やビジネスを学び、同大学院工学研究科知的創造システム専攻を修了。2009年にSansan株式会社へ入社し、クラウド名刺管理サービス「Sansan」の開発に携わった後、開発部長に就任。16年からはプロダクトマネジャーを兼務。18年、CTOに就任し、全社の技術戦略を指揮する

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