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「エンジニア占い師」に聞いた、キャリアの掛け算で見える未来。2021年に自分の可能性を広げるには?

働き方

    新しい技術が次々と生まれては消えていくエンジニアの世界。「これさえ身に付けておけば安心」というスキルはもはやないと言ってもいい状況の中、「キャリアの掛け算」に挑戦し、自分の可能性を広げることに成功したエンジニアがいる。

    今回ご紹介するのは、「エンジニア占い師」のオガティさん。平日の日中はエンジニアとして働き、それ以外の時間で個人向けの占いや、占いブログの執筆などを行っている。

    オガティさんはなぜ、占いを学び始めたのか?「エンジニア占い師」となったことで、自身のキャリアにどんな影響があったのだろうか。 自ら開発した占星術ソフトを怪しく光らせるオガティさんの歩みを聞いた。

    フリーランスエンジニア×占い師 オガティさん

    フリーランスエンジニア×占い師 オガティさん

    2006年よりSESで組み込みエンジニアとして働く。14年に占星術講座に通い始め、翌年からエンジニアと並行して占い師の活動を開始。16年、自ら企画・開発を手掛けた占星術ソフト『microcosm』をリリース。18年、独立してフリーランスエンジニアに。現在は通常の開発業務と並行し、占い関連の開発案件も対応している

    「運勢ってどういう理論で決まるんだろう?」と疑問に思っていた

    ーーオガティさんは何がきっかけで占いを学び始めたのですか?

    もともとSESで組み込みエンジニアとして働いていたのですが、「この世界には自分の手の届きそうにないレベルのエンジニアがたくさんいるな」と感じていて。31、2歳になった頃には「エンジニア35歳限界説」を耳にするようになり、エンジニア以外の自分の方向性も探ってみるために、ブログを始めたんです。

    ーーそのブログでは、どのような発信をしていたのですか?

    最初はエンジニアとして、技術の話を中心にブログを書いていました。

    でも、当時参加していたブロガーのはあちゅうさんが解説していたオンラインサロンで、自分の意見が他人に影響を与えるような経験を何度かしたことがあって。

    それがきっかけで技術以外の話題を扱ったブログも書くようになり、だんだんと「自分にしか書けないブログにするにはどうしたらいいだろう?」と考えるようになったんです。

    そんな時に知人のセミナーに参加したところ、「春夏秋冬理論」という理論を扱っていて、興味を持ちました。

    ーー春夏秋冬理論?

    簡単に説明すると、人生には12年の周期があり、3年ごとにやるべきことが変わるという理論です。「冬」の3年は作物が育たないので、あまり活動するべきじゃない。「春」の3年でタネをまき、「夏」の3年で伸ばして「秋」に収穫する、というように、運気の流れに乗ることで自分自身を成長させることを推奨しています。

    面白いなと思って調べてみると、占いが元になっていることが分かって。占いをビジネスに取り入れるということが面白いなと思い、プロの占星術師みけまゆみ先生の『西洋占星術講座』に2年間通って占いの基礎知識を身に付けました。

    ーー講座に2年も通うとは、かなり本気ですね。もともと占いには興味があったのでしょうか?

    そうですね。雑誌の占いでも「射手座はこうなる」「牡羊座はこうなる」とか書いてあるじゃないですか。それを見て、「運勢って一体どういう理論で決まっているんだろう?」と思っていたんですよね。

    とはいえ、最初は占い師になるつもりなんて全然なかったんです。占いを勉強すれば、自分の具体的な強みが分かるんじゃないかと思っただけで。

    フリーランスエンジニア×占い師 オガティさん

    自分のためだけじゃなくて、人のために占いをやるようになったのは、スキルマーケットの『ココナラ』を利用したことがきっかけです。学んだことを実践してみるために、占いを受けたい人を無料枠で募集してみると、準備していた3枠がたった1~2時間で埋まってしまって。

    ーー占いってニーズが高いのですね。

    そうなんです。こんなに求められているなら力を入れてやっていきたいなと思い、気付いたら「エンジニア占い師」になっていたという感じです(笑)

    占星術ソフトを自主制作。占い界をデジタル化できる希少な人材に

    ーー素人目から、占いとエンジニアリングは相反するもののようにも思えるのですが、実際はどうなのでしょうか?

    星占いは天文学が元になっているので、頭の使い方としてはエンジニアと似ている部分もあります。学んでみると奥が深くて、研究対象として非常に魅力的です。

    ーーオガティさんは占いのどこに魅力を感じているのですか?

    それはやっぱり、未来を見通せるところですね。最初は「なんでこんなことまで分かるんだ!」っていう得体の知れない部分があるんですけど、学んでいくと、「なるほどな~」と納得できるんです。

    ーー失礼な質問かもしれませんが、オガティさんは実際に未来を当てたことってあるのでしょうか?

    そうですね。去年書いた占いを見返してみたら、「2020年は全世界的に影響が訪れて、僕らは動きづらくなる。普通には生きられない」と書いていました。

    ーーえっ、それってもしかして……!!

    当時は予想していなかったのですが、コロナ禍のことを意味していたのかなと思います。普段から自分の将来も見ているんですが、たまに当たりすぎて自分で怖くなることがあります(笑)

    ーーすごいです。どうやって占っているんですか?

    占星術師はみんな、パソコンのソフトを使って「ホロスコープ」という星の位置を示した図を割り出し、その結果をそれぞれが自分なりに解釈した内容に落とし込み、人に伝えています。

    ただ、一般的に使われているソフトはあまり使い勝手が良くなくて。エンジニア目線で言うと、モダンじゃないんですね。そこで、自分で『microcosm』(マイクロコズム)という占星術ソフトを半年から1年かけて作りました。

    フリーランスエンジニア×占い師 オガティさん
    ーーそれはまさに、エンジニアと占い師のスキルを掛け合わせなければできないことですよね。

    そうですね。これとは別に、星の位置を計算で使えるツールを作って、インド占星術師の方に販売したケースもあります。

    さらに、占い師の方からWebサイトの制作依頼を受けたこともありますね。その方は自分に相談する前に普通のWeb制作会社に依頼したそうなんですが、1000万円近くの見積もりを出されたと話していました。おそらく制作会社は占星術のことをよく知らないから、難しそうだと判断されたんだと思います。

    でも、僕は彼女の欲しいものや作り方がすぐ分かりましたし、そんなに工数も掛からなそうだったので、数十万円で対応しました。その占い師の方は「奇跡が起きた」って喜んでいましたね(笑)

    ーーオガティさんが奇跡を起こしたのですね(笑)。占いの知識とシステム開発のスキルを両方持ったエンジニアはきっとかなり希少ですよね。

    おそらく、日本に数人……というレベルではないでしょうか。占い関連の開発は、占いの知識があるとかなりやりやすいので、占いも開発もできる人間の需要は確かにあると感じています。

    新しい軸を見つけるには発信活動が効果的。「他人の意見を気にしてはいけない時代が来る」

    ーーオガティさんは普段、どんな生活を送っているのですか?

    週5日働いて、土曜日の朝に来週の占いを執筆しています。最近はWeb媒体での執筆の仕事も増えてフルタイムで働きづらくなってきたので、本業は週4日に減らす方向で検討しています。

    ーーうれしい悲鳴ですね。オガティさんのようにスキルの掛け算でキャリアを広げたいと考えているエンジニアは、どうすればもう一つの軸を見つけられるでしょうか?

    それは難しい質問ですね……。よく「オススメの副業ありますか?」と聞かれるんですが、副業って探すものじゃなくて、自然と生まれるものだと思うんですよ。私は結果的に「エンジニア占い師」というニッチな掛け合わせになりましたが、最初からこのかたちを目指したわけではなかったので。

    ただ、自分の経験から言うと、発信活動を積極的にやるといいのかなと思います。自分の周りでは、発信が実を結んで副業につながり、知名度が上がっている方が多いので。ブログが読まれるように自分自身を尖らせていく過程で、チャンスを掴めるのかもしれませんね。

    ーー自分の好きなことや興味のあることを、思い切って発信してみるのが大事なのですね。ただ、人からどう思われるかを気にして、エンジニア以外の側面を発信することに抵抗のある方もいると思うのですが……?

    そこは気にしてはダメです。

    占いの話になりますが、これからは他人の意見を気にしたらいけない時代がやってくるんです。「誰かがこう言っているから」とかではなく、ありのままの自分を発信する。それが結果的に、自分のキャリアの可能性を広げることにつながるんじゃないかと思います。

    フリーランスエンジニア×占い師 オガティさん
    ーーなんだかすごく説得力がありますね。オガティさん、ありがとうございました!

    取材・文/一本麻衣 撮影/赤松洋太 

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