世界中で人気なJavaの魅力とは?言語の特徴や将来性などもあわせて解説
プログラミング言語の王道、Java。IT業界に足を踏み入れたことがない人も、耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか? 一方で、Javaはプログラミング言語の中では比較的古い部類に入るため、「今から勉強するメリットはあるの?」と悩んでいる人もいるかもしれませんね。
そこで今回は、Javaの特徴や将来性などを徹底解説。「今さら聞けない!」という内容も詳しく解説しますので、IT初心者はぜひ最後までご覧ください。
Javaとは?
Javaは、プログラミング言語の一つです。1995年に公開されて以降、業務システムやAndroidアプリ開発など幅広い場面で活用されており、200以上あるプログラミング言語の中でも特に人気の言語といえます。
それでは、Javaにはどのような特徴があるのか、どれくらい人気なのか、そしてJavaと名前が似ているJavaScriptと何が違うのかを確認してみましょう。
Javaの特徴って?
Javaの最も大きな特徴は「オブジェクト指向の言語」であることです。「オブジェクト」とは「対象」「物」という意味で、複雑化するプログラミングをもっと合理的かつ便利にするために生まれた考え方です。このオブジェクト指向の言語の登場により、作業の効率化や大人数での開発、類似品の開発が格段にしやすくなりました。
現在はJavaの他にもPHPやRuby、JavaScriptなどオブジェクト指向の言語は多数ありますが、Javaがリリースされた1996年(ベータ版のリリースは1995年)時点ではまだ珍しく、IT革命の黎明期を支えた言語ともいえます。
Javaってどれくらい人気なの?
Javaエンジニアはアジア圏だけでも約250万人いるとされています。またプログラミング言語の人気度を調査するTIOBE indexによると、Javaは常に上位にランクイン。比較的古いプログラミング言語でありながら今なお一線で利用されていることが分かりますね。さらに、2020年に発表されたPYPLのデータではJavaの検索割合はPythonに次いで2位と、他言語を圧倒的に引き離した結果になっています。
ソフトウエア会社として世界的な知名度を誇るOracle社も「Javaは、No.1のプログラミング言語と開発プラットフォームです。(中略)Javaは世界中の企業や開発者が真っ先に選択する開発プラットフォームの地位を堅持しています」と述べていることからも、Javaが世界中で利用される信頼性の高い言語だということが分かりますね。
JavaとJavaScriptって何が違うの?
結論から言うと、JavaとJavaScriptは名前が似ているだけでまったくの別物です。ざっくりいうと、Javaは業務システムや家電製品、Webサービス、Androidアプリなどさまざまな分野で活用されているのに対し、JavaScriptはWebページに動きを付けるために活用されることがほとんどです。
JavaとJavaScriptはまったく違うプログラミング言語でありながら、なぜ名前が似ているかというと、JavaScriptがJavaの人気にあやかろうと名前を拝借したから。ちなみに、JavaScriptは開発当初「LiveScript」という名前だったそうです。
Javaでできること
Javaは環境に依存しないという特徴があるため、業務システムからWebサービス、Androidアプリなど、「どんなものにも対応できるマルチな言語」といわれているプログラミング言語です。それでは、どのような開発に利用されているのか、具体的に見ていきましょう。
前述した通り、Javaは「大人数での開発」に向いており、安全性も高いため、大企業や公的機関などエンタープライズ領域の基幹システムや業務システムの開発に多く活用されてきました。さらにこれまで大手銀行や保険会社などの金融系システムではCOBOLが主流とされていましたが、保守コストの高さやCOBOLエンジニアの減少に伴い、Javaへの移行が進んでいます。
世の中にリリースされているAndroidアプリのほとんどはJavaで作られています。その理由はGoogleが提供するプラットフォームがJavaで開発されているから。日本ではiPhoneが主流となりつつありますが、世界的にみるとAndroidのシェアが高く、Androidアプリの需要は今後も充分にあるといえます。
Javaは他言語と比較すると処理速度が速いため、アクセス集中などによる負荷があるWebサイトやWebアプリケーションの開発にはJavaが活用されることが多くあります。Javaが使われているサービスとしてはTwitterやEVERNOTE、楽天などが有名です。
「ゲーム開発といえばC#」というイメージをお持ちの人が多いと思いますが、Javaでもゲーム開発はできます。「世界で最も売れたゲーム」として有名な「Minecraft」はJavaで作られたゲームの一つです。一方で、JavaにはC#にとってのUnityのようにゲームに特化した開発環境がないため、イチから自分でプログラミングをする必要があります。Javaでゲーム開発をするのは初心者には難易度が高いといえるでしょう。
今でこそさまざまな分野で活用が進むJavaですが、Javaのルーツは家電製品やカー用品などの組み込みシステム開発にあります。今でもブルーレイディスクプレーヤーやカーナビ、冷蔵庫やテレビなど多くの家電・カー用品でJavaが採用されています。特にIoT化が進む家電製品は安全性の高いJavaが採用される事が多く、IoTを支えるプログラミング言語の一つといっても過言ではありません。
Javaのメリット・デメリット
IT革命黎明期から存在し、今も多くのエンジニアに愛されているJava。「速度が速い」「大規模開発に向いている」「さまざまな分野で活用できる」などさまざまなメリットがある一方で、デメリットももちろんあります。それでは、Javaのメリット・デメリットを一つずつ確認していきましょう。
Javaのメリット1.OSに依存しない
プログラミング言語は、一般的に特定のOSでしか動かすことができません。一方でJavaはスローガンである「Write once,run anywhere(1度書けば、どこでも実行できる)」の通り、JVM(Java Virtual Machine)が入っているパソコンであればOSに関係なく動かすことができます。Javaあらゆる環境下で安定して動かすことができるため、多くの分野で重宝されているのです。
Javaのメリット2.処理の実行速度が速い
プログラミング言語は、プログラミングした文字列をコンピューターが理解できるオブジェクトコードに変換する方法に応じて「インタプリタ言語」と「コンパイラ言語」の二つに分けられます。一般的にコンパイラ言語のほうが処理速度が速いといわれており、Javaもコンパイラ言語の一つです。特にJVMの改良によってJavaの処理速度は格段に上がっており、高負荷な状況でも処理の速さが求められるシステム開発にJavaが選ばれています。
Javaのメリット3.安定性が高い
Javaはプログラミング言語の中でも、特にセキュリティを重視したオブジェクト指向の言語です。オブジェクト指向の仕組みさえ理解できれば、セキュリティコントロールがしやすいため、金融機関や公的機関などのシステム開発にも向いています。富士通やNEC、NTTデータなど、多くの大手SIerがJavaを搭載した製品を開発していることからも、Javaの安全性の高さが分かりますね。
Javaのメリット4.ライブラリ・フレームワークが豊富
先ほども述べた通り、JavaはIT革命黎明期から存在する比較的古いプログラミング言語です。長年最前線で活用されてきた言語だからこそ、先人たちによって研究されつくしており、ライブラリやフレームワークが豊富。通常なら開発に時間がかかる複雑なシステムであっても、ライブラリやフレームワークを使って効率的に開発できる点はJavaならではのメリットといえるでしょう。
Javaのメリット5.仕事に直結しやすい
Javaは基幹システムからWebサービス、組み込み開発までさまざまな場面で活用できるという汎用性の高さが魅力です。特にAndroidアプリ開発の現場ではJavaの使用率がかなり高く、求人数も豊富。実際にtypeに掲載されている求人数を見てみると、PHPが521件、Pythonが460件、C++は226件に対してJavaは827件。Javaを習得していれば仕事に直結しやすいということが分かりますね。 ※2021年7月9日時点
Javaのメリット6.勉強がしやすい
これまで何度も述べている通り、Javaはプログラミング言語の中では古い部類に入る言語です。多くの人が使っている言語だからこそ、国内での導入例や書籍・ネットの情報なども豊富にあり、効率的に勉強しやすいのが特徴です。Javaのコミュニティサイトも豊富にあるため、ある程度Javaの知識を身につけた人であれば独学でスキルを磨くことも可能です。
Javaのデメリット1.小規模開発が苦手
オブジェクト指向の言語であるJavaは、機能一つ一つに対してオブジェクトを作成する必要があります。そのため、小規模なシステム開発にJavaを使ってしまうと無駄にコードが長くなってしまったり、それによってエラーが発生する可能性が高まったりします。小規模な開発にはPythonやRuby、PHPなどを使用するのがいいでしょう。
Javaのデメリット2.学習難易度が高い
先ほど「Javaは文献やネットの情報が多いため、勉強しやすいこと」をメリットとして挙げましたが、Javaはルールや構文が多くあり、初心者にとって難易度の高いプログラミング言語です。そもそもオブジェクト指向の言語は概念を理解するのが難しいため、Javaを習得するには時間がかかることを覚悟しておいたほうがいいでしょう。一方で、JavaはC#やRuby、PHPなどのオブジェクト指向の言語との共通点が多く、Javaを習得することで他言語の理解も深まるメリットもあります。
Javaの学習方法
オブジェクト指向の言語の先駆けとして、IT革命黎明期から多くの場面で活躍してきたJava。求人数も多いため、エンジニアにとっては習得しておきたい言語の一つですよね。一方で、JavaはIT初心者には学習難易度が高く「どう勉強したらいいか分からない」という人もいるかもしれません。
Javaの学習難易度や勉強のコツ、さらにJava関連の資格について説明しますので、ぜひ自分に合った学習法を見つけ、Javaの習得を目指してみてください。
Javaの難易度ってどれくらい? 初心者でも始めやすい?
先ほども述べた通り、数あるプログラミング言語の中でも、Javaの習得難易度はとても高いです。そもそもオブジェクト指向の言語は「オブジェクト指向」という考え方を理解するのが難しいのですが、この部分を理解しないと正しく学習を進めることができません。
さらにJavaはルールや構文が複雑で覚えることが多く、習得に時間がかかる言語といわれています。初心者が初めにチャレンジする言語としてはあまりおすすめできませんが、Javaエンジニアはさまざまな場面で重宝されるため、習得しておいて損はないでしょう。
繰り返しますが、Javaを習得するにはオブジェクト指向についてしっかり理解し、基礎を固めておくことが大切です。この部分さえ理解しておけば、C#やRubyなど他の言語の習得速度も各段にアップしますよ。
Java初心者におすすめの勉強法は?
初心者がJavaを習得するうえで、もっともおすすめの勉強法はスクールに通う方法です。その理由は、スクールであればレベルや目的に合わせて受講でき、分からないことがあればその場で講師に質問することができるから。スクールはJavaを短期間で効率的に学びたいという人にぴったりの方法です。
初心者がJavaを学ぶ際、独学はおすすめしません。先ほども述べた通り、Javaは概念を理解するのが難しく、さらに覚える内容が多いため、独学だと間違った理解のまま時間ばかり消費してしまう可能性があります。
「いきなりスクールに通うのは不安」という人は、まずは『ドットインストール』『Protage』など無料のオンライン学習サービスを使ってみるのもおすすめですよ。
Java関連の資格ってどれくらいあるの?
Java関連の資格はたくさんありますが、特にに有名なのは以下の三つです。中には初心者でも習得可能な難易度の低い資格もあります。自分のレベルを把握をしたい人や学習成果をチェックしたい人はぜひ受けてみてはいかがでしょうか。
Oracle社が主催するJavaの技術料や知識を計る試験です。Bronze、Silver、Goldの三つのレベルがあり、それぞれJava初心者向け、開発初心者向け、開発中・上級者向けの内容となっています。特にBronzeは、エンジニア向けの試験ではないので、これからJavaの勉強を始めたい人にもおすすめ。SilverとGoldは国際資格です。
サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催する民間資格です。3級、2級、1級の三つのレベルに分かれており、3級と2級は筆記試験、1級のみ実技試験があります。Javaのプログラミング能力を計る試験なので、より実践に近い試験といえるでしょう。
一般社団法人IT職業能力支援機構が主催する、Androidの知識や開発スキルを計る試験です。自分の希望するキャリアなどに合わせて「アプリケーション技術者認定試験」か「プラットフォーム技術者認定試験」のどちらかを選択して受験しましょう。民間資格ではありますが、世界160か国で実施されており、世界でも通用する資格の一つです。
Javaエンジニアの現状&将来性
せっかくプログラミング言語を習得するなら、将来性の高い言語を学びたいものですよね。Javaはプログラミング言語の中では古い部類に入るため、「Javaは時代遅れなのでは?」「新しい言語も増えているし、Javaの将来性は低そう」と感じる人もいるかもしれません。Javaエンジニアを目指そうか迷っている人は、Javaエンジニアの需要や年収、将来性などを一つずつ確認していきましょう。
Javaエンジニアってどれくらい需要があるの?
常に新しい技術が生まれ進化し続けるIT業界において、20年以上前に生まれたJavaは古い言語といってもいいでしょう。一方で求人数の多さからも分かるように、Javaエンジニアの需要は今なお高い傾向にあります。その理由は、Javaは古い言語だからこそ多くの開発実績があり、他の言語よりも信頼性が高いから。業務システムやWebサービス、Androidアプリなど幅広い分野で活用できる点もJavaが重宝されるゆえんでしょう。
Javaエンジニアの給料って?
Javaエンジニアの平均年収は523万円と言われており、日本人の平均年収436万円と比較するとJavaエンジニアのほうが高い傾向にあります。一方でJavaエンジニア全体の給与幅は349~968万円と幅広く、経験やスキルによって大きく変動することが分かります。
Javaは日本ではメジャーなプログラミング言語ということもあり、エンジニアの数が多いのが特徴です。需要は高いため職に困ることはあまりないものの、Javaエンジニアとして市場価値を高めるには「実務経験5年以上」「マネージャー経験」などの経験を積み、スキルを常にアップデートしていくことが大切です。
Javaエンジニアの将来性は?
結論からいうとJavaエンジニアの需要は高く、将来性も期待できるでしょう。Javaの需要が今後も高い理由としては、汎用性や堅牢性、信頼性の高さや大規模開発が得意……など、さまざまな理由が挙げられますが、1番はAndroidデバイスの増加によって今後Androidアプリの開発ニーズがさらに増えることが見込まれているからです。さらにIoTやAI分野などの最新技術にもJavaの活用が進んでおり、Javaを主力言語として採用する企業も増えていくことが予想されます。
仮に今後Javaの性能を上回るプログラミング言語が登場し、Javaによる新規開発が減ったとしても、Javaで開発された既存システムの保守業務は必ず発生します。Javaが簡単に他の言語にとってかわられることは考えにくいでしょう。
Javaをマスターし、マルチなエンジニアに
Javaの特徴やメリット・デメリット、将来性などさまざまな角度から解説しました。Javaは初心者にとって学習難易度が高いというデメリットはあるものの、求人数の多さから見ても分かるように常にニーズが高く、「学んでおけば間違いないプログラミング言語」といっても過言ではありません。Javaを習得していれば、他の言語の習得に役立つ点も嬉しいですよね。
もし「潰しがきくプログラミング言語」を学びたいなら、Javaがおすすめ。ぜひJavaを習得し、マルチなエンジニアとしてキャリアを築いてみてはいかがでしょうか?
文/赤池沙希
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