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「オンライン時代、オフィスは何のためにある?」CA、DeNA、GMO、ミクシィが登壇!『BIT VALLEY 2021』イベントレポ

ITニュース

サイバーエージェント、DeNA、GMOインターネット、ミクシィのITベンチャー4社が集まり、「企業の垣根を越えて、日本のIT産業の発展を後押しする」をビジョンに掲げ、2018年7月に発足した『SHIBUYA BIT VALLEY』。以降、毎年イベントが開催されいてる。

今年の『BIT VALLEY 2021』は、2021年7月〜11月にかけてオンラインで開催中。本記事では、7月20日に実施された「#01 Local × Startup『街とStartup』」の8つのセッションのうち、「BIT VALLEY 2021 Keynote 変わる働き方とカルチャー、変えるテクノロジー」の内容をレポートする。

メガベンチャー4社の役員や取締役が登壇し、コロナ禍における働き方や価値観の変化をフランクに語った。

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株式会社サイバーエージェント 常務執行役員(技術担当)
長瀬慶重さん(@lionbaby

通信業界での研究開発を経て、2005年サイバーエージェントに入社。アメーバブログやコミュニティサービスなどの開発を経て、現在は新しい未来のテレビ「ABEMA」の開発本部長を務める。15年に執行役員に就任、20年に常務執行役員(技術担当)に就任(現任)。「技術のサイバーエージェント」の実現に向けて、エンジニアの採用や組織開発にも注力している

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株式会社ディー・エヌ・エー 常務執行役員 CTO
小林篤さん(@nekokak

法学部法律学科からエンジニアへ転身し、2011年にDeNAに入社。Mobageおよび協業プラットフォームの大規模システム開発、オートモーティブ事業本部の開発責任者を歴任。2018年より執行役員としてDeNAのエンジニアリングの統括を務め、19年より常務執行役員 CTOとしてより経営レベルでの意思決定にかかわることと、技術・モノづくりの強化を担う

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GMOペパボ株式会社 取締役CTO
栗林健太郎さん(@kentaro

GMOペパボ株式会社取締役CTO、ペパボ研究所々長。日本CTO協会理事。情報処理安全確保支援士(登録番号:013258)。東京都立大学法学部政治学科卒業後、奄美市役所勤務を経て、2008年よりソフトウェアエンジニアに。12年よりGMOペパボ株式会社勤務。現在、同社取締役CTO。新技術の研究開発およびセキュリティに取り組む。20年に北陸先端科学技術大学院大学に入学し、社会人学生としても活動

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モデレーター
株式会社ミクシィ 取締役CTO 村瀬龍馬さん(@tatsuma_mu

高校卒業後、ゲームの専門学校に半年在籍するも「早く働きたい」という想いから、2005年に株式会社イー・マーキュリー(現:株式会社ミクシィ)に入社。SNS『mixi』の開発に携わる。09年に1度退職したが、13年に復帰し、『モンスターストライク』の開発部署に異動、XFLAGのエンジニア全体を統括した後、18年4月、執行役員CTO就任。19年6月、取締役就任

リモート前提になり、「働き方」はどう変わった?

村瀬:今回は、「人・施設・世の中の変化と未来」について、各社の見解を伺います。まず“働く人”に関して、コロナ禍でオンラインとオフラインで価値観は変わりましたか?

小林:エンジニア観点でいくと実はあまり変わっていません、もともとオープンソースをやっている人が多く、基本リモートでのやり取りなので。一方「チームで仕事をする」という観点では、今までずっとオフラインでやっていたところからは大きな変化があったと思いますが、具体的な仕事のやり方だったり、同じ価値観の持ち方だったりはそこまで変わってないですね。

長瀬:私はものづくりをする上で、リアルで近くにいながら意見を交わして膨らませていくことの大事さに、こうした状況に置かれて改めて気付きましたね。

栗林:リモートが世間の当たり前になったのは良かったです。僕は以前からミーティングにもオンラインで参加していたのですが、それまでは他の全員がオフライン参加の中僕だけリモートだといないもの扱いされてしまうということがあったので(笑)

村瀬:一人がリモート、その他の人がリアルだと、リモートの人は空気になってしまいますよね。

栗林:リモート前提になったことで、東京拠点=本社、地方拠点=サブという感覚もなくなりましたね。フラットになって社内環境が良くなった気がします。

村瀬:メイン・サブ感みたいなのがなくなったことで、そこで働くエンジニアもキャリアの考え方が変わったんじゃないかと思うんですけど、そのあたりは皆さんいかがですか?

長瀬:会社としては、以前よりもエンジニアがキャリアについて考える空気が増したように感じていまして。自分の将来や会社が今後どうなるんだろうというようなことを考える人が増えた気がします。

村瀬:それはコロナの影響で? それともリモートになったことで通勤時間などが減って余裕ができたから、とか?

長瀬:時間が増えたからかな? キャリアを考えるための時間が取れるのはいいことかもしれないですね。

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小林:私は最近、郊外に引っ越して生活が変化したことで、働き方やプライベートへの向き合い方が変わったという人を見掛けることがあります。

村瀬:今、エンジニアはリモート前提でキャリアを考えるんでしょうか。

小林:そう思います。地方にいながら、東京の大きな仕事もしやすくなっていますしね。そういう意味では自分が働く会社の軸なんかも変わってきている気がします。

村瀬:どの場所で働くかも含めて、自分たちのキャリアや住む場所、生き方を考える機会が増えたんですかね。各社、都心から引っ越した方はいますか?

長瀬:私の周りでは、都心から離れるというよりもリノベーションや住宅購入など、住む場所に投資する人が多い印象はあります。

栗林:うちは地方や郊外に引っ越した人、結構います。在宅ワークによって家をちゃんとしないと、という人が増えたようで。弊社の社長も自分で家を建ててましたよ。

小林:地元に帰ったり、渋谷から横浜や鎌倉に移ったり、自分が働きやすい場所に引っ越した人はいましたね。

コロナ禍での「採用方針」「面接」の変化

村瀬:「出社をしない」前提でキャリアを考えるエンジニアも増えているということは、各社ともフルリモート前提の採用をしていかなければならない気がするんですが、今後強化しますか? もともと強化していましたか?

栗林:GMOぺパボの場合は去年からフルリモートの採用を始めていて、今後も続けます。ただ、例えば四半期の報告会や納会などにはリアルで参加してもらう予定でいます。そうした一定の制約や条件を決めた上で進めていくと思いますね。

長瀬:サイバーエージェントは「リアルでコラボレーションして一緒に仕事をすることが会社の競争力である」と捉えていて、このことはコロナになった直後に代表の藤田がブログに投稿してもいるんです。そのため5日のうち3日はリモート、2日は出社のようなハイブリッドでいきたいなと。基本は、この考えに賛同してくれる方を採用したいですね。

というのも、今までの人間関係の“資産”でリモートワークが成立していると僕らは感じていて。新しい人が入社したときに、どのようにチームワークを成立させるかが大事で、その際にコミュニケーションや余白の重要性は会社の根幹だよねという話はよくしています。

小林:DeNAではフルリモート前提での採用はやっていませんが、業務上集まらないといけないときは必ず来てくださいという前提のもと、地方在住の方を採用するケースはあるのかなと。地方にも優秀な方が多くいますし、弊社の事業にコミットしたいという意思がある方なら、個別に働き方を調整しながらという感じです。

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村瀬:コロナ禍ではオンライン面接が中心になったと思いますが、見るポイントなどは変わりましたか?

小林:見るポイントはあまり変わらないですかね。ただ、zoomで面接する中であえてチャットでやり取りしてテキストコミュニケーションがうまくいくかを確かめることはあります。オフラインだと「チャットでやりましょう」ってなかなかできないので、そういう意味では面接の手法としてやりやすくなりましたね。

栗林:僕も大きな変化はありませんが、強いていえばコミュニケーションスキルをより深く探るようにはなったかな。具体的には論理的説明能力や、コンセプトから理解して説明する能力といったところを深掘りして受け答えができるかどうかに着目しています。

長瀬:サイバーエージェントではエンジニアの評価制度に、技術的な習熟度以外にオーナーシップ、フォロワーシップを明確に定義していて、各グレードごとに明示的に高さを設定しているんです。オンラインの面接ではオーナーシップを持って取り組む姿勢があるか、周囲を応援、サポートするような人間的なコンピテンシー(フォローシップ)を持っているかをより深く話すようになりましたね。

村瀬:ミクシィでもオンライン面接をやっているのですが、面接中に「ググってみて」と調べてみてもらって、調査能力を見られるようになったのが良かったですね。あと録画されている前提でしゃべるみたいな。オンライン面接では場合によってこちらから手助けもできちゃうので、そういうのも踏まえて楽しいなと思っています。

オンライン時代の「オフィス」のあり方

村瀬:オンラインで働くことが定着しつつある中で、各社、オフィスは何のためにあると捉えていますか?

長瀬:リアルでコラボレーションするための場所として捉えています。

小林:まったく同じです。オフラインならではの価値があるので、それをみんなで共有する場所。

栗林:GMOインターネットグループ代表の熊谷が、「ビジネスは戦、オフィスは武器」って言ってました。

村瀬:精神的な孤独感を払拭する場所でもあるので、戦うための場所というのは間違いないかもしれないですね。そういう意味ではオンラインでの雑談の場ってすごい工夫が必要だなって思っていて、雑談をうまくする術はありますか?

長瀬:Web会議の冒頭に、5分ほどアイスブレイクを意図的に入れるぐらいですかね。誰かに話を振ったり、勝手に話して盛り上がったりして、さぁ本題みたいな。

小林:弊社でもWeb会議前の雑談、ありますね。あと、テキストでの雑談も重要だと思っていて、誰でも入れる自分のTimesチャンネルを作って、今自分がやっていることを積極的に共有したり、いきなり大喜利を始めてみたり。結構、チャンネルにいる人が大喜利に乗ってくれます。そんなふうにすごく意識して、昔よりはコミュニケーションの場を作ってますね。

栗林:コロナ前は、トイレの帰りなどにオフィスをぐるっと周って、見掛けた人に「よっ、最近どう?」と話しかけていたんです。今はそれができなくて、僕自身も新しく入ってきた人のバックグラウンドが分からなくなってきたので、最近「CTOが訊く」というインタビュー企画を始めました。2週に1度くらい話を聞きたい人をZoomでインタビューしながら他の人にもその人のことを知ってもらうみたいな。

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村瀬:面白いですね。ちなみに各社さん、そういう工夫をした結果、雑談は足りてますか? まあ、足りないとは思うんですが。

長瀬:結論、(オフラインをオンラインには)置き換えられない。

村瀬:弊社も足りないと言われてますが、私自身はずっとチャットコミュニケーションの人なので、なんともいえないなって。とはいえ、既にオフラインの場で信頼関係やその人ごとの話し方、声のテンションなどのインプットができているから、オンラインになっても送られてきたチャットはその人の声で再生されるみたいなことがある。だからそうしたインプットは重要ですよね。あとは、オンラインでのオンボーディングや研修のコツでいうと、どうですか?

長瀬:サイバーエージェントでヒットしたのは、新卒に対する内定者期間中の相互理解を1年かけて徹底的にやったこと。以前は、東京に近い人だけが参加しやすい状況でしたが、オンラインになったことで、首都圏以外の内定者も参加できるようになり、かなり良かったですね。

小林:最近はオンラインでプロジェクトマネジャーやクラウド系の研修をやっているんですけど、一度に約20人が参加して、座学後にワークをするんですよ。ワークではブレイクアウトルームに分かれて話をして、また集まる、といったやり方をするのですが、オンラインではオフラインであった部屋移動などがなくなり、スムーズになったかなって思っています。

栗林:弊社ではSlack上にオンボーディングチャンネルを作ることよって、部署を超えて先輩・後輩の関係ができていますね。メンターだけが負担するのではなく、会社全体でオンボーディングを支えるのが目的。これはコロナ前からの取り組みですが、コロナ禍はより密になりました。

村瀬:各社とも、意識してオンラインの会話を変えていったんですね。弊社も新卒研修はすべてオンラインにして、それなら会議室いらないよねってことで、中途採用でも何でも、社員の誰もが見られるようにアウトプットしています。

小林:研修などは録画して各々が空いた時間に見られるので、時間が使いやすくなりましたよね。研修で生まれた質問や意見は、チャット上で送るようにすればリアルタイム参加していない人も確認できますし。

村瀬:私はそういうのは2倍速で見てますね。

各社のデジタル化。テクノロジーで何が変わった?

村瀬:各社この2年ほどで、テクノロジーで変えたもの、変わったものはありますか?

長瀬:これまでペーパーレスの会議に何度かトライした時期があったんですが、なかなかうまくいかなくて。でも今回、強制的に変更せざるを得なくなって、デジタルにシフトしました。

小林:弊社はペーパーレスに加えて、経営会議も含めて全てWeb会議になりました。時間が合わせやすくなったことで、任意の人も入りやすいですし、議論がしやすくなりましたね。

栗林:デジタル化と自動化が進んだかなと。弊社では『GitHub Enterprise』を活用して、何でもかんでもそれに乗せる、どんどん自動化してSlackに投げるなどを実施しています。カスタマーサポートでは例えばGoogleのデータスタジオを使ってグラフ化しています。全職種で自動化・ビジュアライズして、オンラインでのコミュニケーションをスムーズにしようとしています。

村瀬:それは一斉にやることで、抵抗感もなくノリノリで変化していきました?

栗林:アーリーアダブターみたいな人がいますね。「おもしろそうなことやってんな」「便利じゃん」って感じで、他の人も始めるという。

村瀬:各社さんにも、そういうエバンジェリスト的な人はいますか?

小林:やっぱりエンジニアなど、一部の人に偏る気はしますね。

村瀬:そうですよね。ちなみに弊社はVPNを極力やめたいと思い、アクセスプロキシを用意して、ネットワーク信頼性を社内外ともに強められたかなと。オンライン化により証跡が残りやすくなり、経営会議などもやりやすいので、私的にはうれしいです。

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将来どうなる? 各社の未来の見解

村瀬:最後に、エンジニアだけじゃなく、IT業界に携わる人に向けて、「将来を見据えて、こうするといいよ」という一言をお願いします。

長瀬:技術がコモディティ化することで、今後はエンジニアに限らず、よりたくさんの人が技術の恩恵を受ける時代になってくると思います。それらをうまく楽しく使って、社会がもっと豊かになればいいですし、どんどん情報をシェアして、お互いに高め会えるような社会になればいいですね。

小林:『BIT VALLEY』の取り組みもまさにそうなんですが、1社でやるのではなく、複数の会社が集まって、それぞれの強みを発揮するみたいな。1社でまかなうのはしんどいことでも、企業を超えたコラボレーションで実現できる時代だと思っています。なんでも自分でやらなきゃ、一人ではできないと後ろ向きにならず、できる人を探してたどっていくアクションを起こしてほしいし、われわれもコラボレーションによって、いいものを作っていきたいです。

栗林:今までの強いられたワークフロムホームから、働く場所を選んで自由に働ける世の中になっていくと思います。本当の意味で自由な働き方、それに基づいて、ビジネスやサービスを伸ばしていくところに注力するようになっていくのかなと。自分自身もそういう世の中でがんばっていきたいですね。

村瀬:そうですね。今回の『BIT VALLEY 2021』を通じて、誰もが自分で仕事を選べる、人生においての楽しみを見つけるためのきっかけになればと思っています。今年はテクノロジー、DX、キャリアなど、テーマを分けて全7回のイベントを開催します。ぜひ、気になるテーマに参加してもらえたらうれしいです。

文/小林香織

アーカイブ

『BIT VALLEY 2021』概要

イベント名※全7回で開催

BIT VALLEY 2021 ~変わる働き方とカルチャー、変えるテクノロジー~

<各回タイトル(予定)>
#01 Local × Startup 『街とStartup』
#02 Hello, Tech! 『触れて、学んで、楽しむ』
#03 Welcome to New World 『テクノロジーが叶える新しい世界』
#04 Power of Digital 『最新DX事情 〜デジタルの力でより豊かに〜』
#05 Tour of Work From Anywhere 『WFAの可能性を探る』
#06 Build Another Career 『副業・兼業でキャリアを広げる』
#07 Guide to Work From Anywhere 『WFA環境の整え方』
※#05~#07の実施内容は、決定次第随時お知らせいたします。

・開催期間:2021年7月〜11月(予定)
・開催場所:オンライン(LIVE配信)
・対象:テクノロジーによる社会の変化に関心のある方
・参加費:無料 ※参加登録が必要です

主催
BIT VALLEY運営委員会
(株式会社ミクシィ、株式会社サイバーエージェント、
株式会社ディー・エヌ・エー、GMOインターネット株式会社)

後援
東京都、渋谷区

特別協力
東急株式会社、青山学院

・イベントURL:https://2021.bit-valley.jp/
・Twitter:https://twitter.com/bitvalley_jp
・ハッシュタグ:#bitvalley2021

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