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「世界と日本の差は、技術力じゃない」サイバー藤田晋がエンジニアに告げる“クオリティーに妥協しない企業”のススメ

#働き方

今、“IT人材不足”がさまざまな業界で叫ばれている。政府の試算によると、2020年には約31万人、2030年には約79万人もの人材が不足するという予測も(出典:経済産業省「ITベンチャー等によるイノベーション促進のための人材育成・確保モデル事業」)。

そんな中、エンジニアの需要はますます高騰。ビッグデータやIoT、人工知能など、先端IT技術に携わる知識を持つ技術者は、引く手あまたの状況だ。

しかし、「エンジニアの未来はどこに行っても明るい」と前置きした上で、「エンジニアは、クオリティーに妥協しない会社を選んでほしい」と話す人がいる。サイバーエージェントの創業者であり、同社代表取締役の藤田晋さんだ。

では、「クオリティーに妥協しない会社」はどうすれば選べるのか。そこで働くエンジニアのキャリアに与える影響とは?

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株式会社サイバーエージェント 代表取締役 藤田 晋さん

1998年、24歳でサイバーエージェントを設立し、2000年に当時史上最年少社長として26歳で東証マザーズ上場、14年9月に東証一部へ市場変更した。 創業から一貫して、インターネット産業において高い成長を遂げる会社づくりを目指し、「21世紀を代表する会社を創る」を会社のビジョンに掲げる

世界1位のプロダクトをつくらなければ、存続すらできない時代

グローバリゼーションが進むに連れ、企業が海外進出するハードルは昔に比べると圧倒的に下がりました。この変化は良いことのように見えますが、実は「諸刃の剣」です。

かつては海外で勝負しようと思ったら、現地法人を設立するなどのアクションが必要でした。しかし今は、AppleやGoogleが運営するストアにアプリを登録するだけで、誰でも簡単に世界進出ができる。企業だけでなく、消費者も世界中のアプリに容易にアクセスできます。

こうした状況では、「世界1位のプロダクトを開発できれば、世界中の人に使ってもらえる」可能性がある一方で、「世界1位になれなければ国内の市場にすらそっぽを向かれてしまう」リスクがある。

企業が生き残るためには、世界水準のクオリティーで商品・サービスを開発するしか道がない。今はそういう時代です。

ところが皆さんもご存知の通り、日本のIT産業は海外に比べると相当遅れを取っています。世界と日本の差を生んでいるのは、技術力ではありません。「世界で戦っていく」意識の有無でしょう。

藤田晋

全世界からさまざまな人材が集まるシリコンバレーで開発するエンジニアと、日本人しかいない状況で開発するエンジニア。それぞれの環境の差が世界に対する意識の差をもたらしている面はあると思います。

では、全ての日本企業が世界から目を背けているかというと、そうではない。企業のトップが「グローバルな舞台で勝負できるだけのクオリティーを実現しなければならない」という考えを持ち、組織全体にその価値観が浸透している企業は、少ないけれども存在します。

エンジニアとしてやりがいを持って働き続けたいのなら、そのような企業を見極めなくてはなりません。

クオリティーに妥協しない会社の見極め方

商品・サービスの開発において、世界基準のクオリティーを追い求める会社が日本に少ないのは、それが決して簡単なことではないからです。納期や資金、人材など、さまざまな要素が絡む中で、「アウトプットを絶対妥協しない」という仕切りを、まずはトップがしなくては実現しません。

サイバーエージェントでは、僕自身が妥協を絶対に許しませんが、エンジニア自身も妥協したがりませんし、僕の言うことに素直に従う社員ばかりではありません。ただそれは、一人一人が自分たちのプロダクトについて真剣に考えている証でしょう。

藤田晋

クオリティーに妥協せず、世界1位を本気で目指す会社かどうか。それは、その企業のプロダクトを見れば分かります。

例えば、グループ会社のCygamesが2021年2月にリリースしたゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』。このクオリティーは、一朝一夕に実現できるものではありません。

藤田晋

元々は2018年にリリースする予定だったのですが、完成度に納得できず、当初の予定からリリースを2年以上も延期して完成させました。計画を変更してでも品質にこだわったのは、中途半端なものをつくったところで意味がないから。われわれはゲームだけでなくの全てのプロダクトにこうした考え方で向き合っています。

そして、クオリティーにこだわる会社には、テクノロジーに対するリスペクトがあります。これはつまり、テクノロジーをより重要視する“テックファースト”な視点を持っているかということでもあります。

「クオリティーより納期優先」という価値観の会社に入ってしまったら、どんなに給料が高くてもやりがいは得にくいのではないでしょうか。

エンジニアの技術や仕事を正しく評価してもらえる会社に入ることは、満足して働いていくために非常に大切な要素です。

「テクノロジー」と「クリエイティブ」の融合が最大の競争力になる

また、私は数年前から「テクノロジーとクリエイティブで勝負する」と全社に向けて宣言しました。先ほどからお話ししてきた、“クオリティー最優先”の企業文化を社内に根付かせるためです。

では、なぜ「テクノロジー」と「クリエイティブ」なのか。それは、この二つを高いレベルで融合させることが、企業にとって最大の競争力になるからです。

藤田晋

テクノロジー「だけ」、クリエイティブ「だけ」が優れたものは世の中にたくさん存在します。しかし、消費者が今求めているのは、デザインもユーザビリティーも優れた、技術とクリエイティブの両方がセットになったプロダクトです。

Appleの創業者スティーブ・ジョブズは、クリエイティブのセンスが良いだけでなく、テクノロジーにも長けていた。だからこそ、これだけ世界中で受け入れられるプロダクトを開発できたのです。しかし、彼のように両方に長けた存在は、そうそういません。

強いて言えば、日本のゲーム会社は昔から技術とクリエイティブを融合させるのがうまかった。しかし、それ以外の分野では、残念ながらまだまだです。

エンジニアの皆さんも、「テクノロジーとクリエイティブの融合がどの程度進んでいるか?」という視点で企業を見てみると、新たな気付きがあるかもしれません。

自分が輝ける場所を、自分の目で選んでほしい

エンジニアとしてキャリアを歩む上では、自社プロダクトの開発とクライアントワークの違いについても意識しておくといいと思います。

クライアントワークにはさまざまなメリットがあります。たくさんのお客さまと関われますし、バリエーション豊かなプロダクトを開発できる。身に付くスキルの幅も、経験値もどんどん広がるでしょう。

一方で、自分たちのプロダクトを開発する仕事には、他に代えられない面白さがあるのも事実です。

藤田晋

手掛けたプロダクトが市場で評価されれば、その人の市場価値は当然上がりますし、「〇〇をつくった人だ!」と認知してもらうこともできる。こうした手応えは、エンジニアに想像以上に大きなやりがいをもたらします。

インターネット産業が産まれてから20年以上が経ちますが、この世界ではいまだに刺激的な変化が起き続けています。どこに就職しようが、エンジニアの未来は明るい。でもせっかくなら、より自分がやりがいを持てるところで仕事をした方がいい

周囲に流されるのではなく、自分が輝ける場所を、自分の目で選んでほしいと思います。

>>サイバーエージェントのキャリア採用情報はこちら

取材・文/一本麻衣 撮影/赤松洋太 編集/大室倫子

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