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小5でプログラミングに出会い、史上最年少スーパークリエーター、孫正義育英財団に。天才キッズプログラマー・大塚嶺5年間の急成長

ITニュース

7月から11月にかけて開催されている『BIT VALLEY 2021』。第2回「触れて、学んで、楽しむ」の中では、2017年当時、史上最年少でスーパークリエーターに認定された大塚嶺さんが登壇し、「【キッズプログラマーの5年後】16才の僕が“医療の課題をテクノロジーで解決したい”と思うまで」の講演を行った。

大塚さんは2016年、小学校5年生からプログラミングを始め、5年経った現在はイギリスに留学しながら「医療では解決できないことを、テクノロジーで解決する」をテーマに、アプリ開発などをしているという。彼は5年間でどのように成長し、今何を思うのか。

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大塚嶺さん

2016年、当時小学5年生でTech Kids School入学しプログラミングを習得する。視力が低下した曽祖父のためにアイトラッキングを使用したニュースを読みやすくするアプリ『らくらく読み読み』を開発。17年、未踏ジュニアに採択され、当時史上最年少でスーパークリエーターに認定される。18年、孫正義育英財団2期生に採択され、「Medical × Technology」の研究開発の活動支援をうける。20年よりイギリスに留学をし、「医療では解決できないことを、テクノロジーで解決する」をテーマにアプリ開発などの活動をしている

写真をきっかけにプログラミングにのめり込む

僕がプログラミングに目覚めたのは、小学校5年生の頃。きっかけは小学校3年生の時に買ってもらった一眼レフカメラで、さまざまな写真を撮影し、その写真を用いて創作などをするうちに、パソコンやプログラミングを使ったものづくりにも興味を抱きました。

当初は「写真日記」と題した自由研究作品を作り、カメラを動かしながら光が変化する様子を写したり、被写体を極限まで拡大してどんなふうに写るか実験したり、普通とは異なる面白い写真を撮ることにハマっていました。黒・白・グレーの3色のつまようじを刺してアインシュタインの画像を作る、なんてことも。

そんな活動を続けているうちに、やりたいことを実現するには、パソコンやプログラミングが必要だと感じるようになりました。

大塚さん

ちょうどその頃、Tech Kids Schoolの体験コースを通じてプログラミングを知り、小学校5年生から同校に月2回のペースで通い始めることに。しばらくして自分が思い描いたものをかたちにできる楽しさからプログラミングにのめり込み、通う頻度を月8回に増やして、アプリを自分なりに開発できるまでのスキルを身に付けました。

これは当時、夏休みの自由研究として作成した作品で、国旗の折り紙で折った大量の折り鶴を使って、原爆ドームを表現したものです。作品を作る過程で、スクールで習ったプログラミングを活用しています。パソコン上で原爆ドームの写真を拡大して、その上にグリッド線を入れ、それぞれのプロットが何色でできているかを調べました。

大塚さん

こちらはスクールの課題で作成したバスケットボールのゲームで、40秒で5回シュートが決まればクリアできるというもの。

スクールでは段階を踏みながら技術を教えてくれるだけでなく、「自分流にアレンジがしたい」という僕の要望にメンターが真摯に応えてくれたため、僕の中のプログラミングの世界が広がどんどんと広がった実感がありましたね。

大塚さん

「未踏ジュニア」に採択され、独自アプリを開発

その後、Tech Kids Schoolに紹介してもらった「未踏ジュニア」にエントリーして当時史上最年少でスーパークリエイターとして採択されました。「未踏ジュニア」とは、独創的アイデアと卓越した技術を持つ小中高生クリエイターを対象にした支援プログラムで、専任のメンター(PM)に相談しながら、約5カ月にわたり一つの作品を作ります。

当時僕が開発したのは、視力が低下した曽祖父のために作ったアプリ『らくらく読み読み』です。曽祖父は新聞などの文字が読めず、高齢のために手術も不可能で、眼鏡や拡大鏡を使っても新聞の見出ししか認識できません。この課題をどうにかしたいと思い、文字を読みやすくするアプリを企画しました。

大塚さん

このアプリには、文字の拡大機能、背景色などが変更できるスタイル調整機能、読み進めたところまで任意でマーカーが付けられる機能、視線を追跡して自動でマーカーが付く機能を搭載。

視線追跡機能は、世界最大手のアイトラッキング(視線計測・アイカメラ)技術を持つ、トビー・テクノロジー株式会社のデバイスを活用しています。この技術により、脳梗塞などの病気により手を使った細かい作業ができなくなった人でも、マーカー機能が利用できます。

また、誤読を防ぐために、読みやすいユニバーサルデザインフォントを使用しました。プログラムを書くにあたり、改行した際に「、」や「。」が文章の先頭に出現しない処理をすることには苦労しましたね。

未踏ジュニアのPMや仲間たちから良い刺激を受けたことは、本当にありがたい経験でした。「未踏ジュニア」でスーパークリエイターに選ばれた後は孫正義育英財団の2期生にも選出され、支援をいただいています。日本人だけでなく、国境を超えて、分野も年齢もまったく違う精鋭たちが集まっているので、ここでも多くの刺激があります。

また、短期から長期まで、さまざまな海外留学も経験しました。中学1年生の夏休みにはアメリカのスタンフォード大学のITキャンプに参加、中学2年生の夏にはイギリスのボーディングスクールに短期留学。さらに、中国の深センや武漢にも訪れ、自分の視野がどんどん広がることを実感しました。

中学3年生の夏からは、イギリスのConcord Collegeというボーディングスクールに1年間留学し、数学、英語、化学、コンピューターサイエンス、統計学、生物学、物理学、演劇の授業を専攻しました。

大塚さん

目標は“医療とテクノロジー”を掛け合わせた課題解決

現在僕が目指しているのは、医療では実現できないことをテクノロジーで解決することです。

それは例えば、手術を受けることが難しい高齢者の手術を可能にするという医療的な意味ではなく、加齢により歩行困難な人に対してロボットなどのハードウエアを活用して歩きやすさを提供するといったこと。ハード、ソフトの両面のテクノロジーを使って、これまでの医療だけでは解決できなかったことを解決したいと思っています。

そのために、いくつか企業訪問もしました。その一つである株式会社アルムは、東京オリンピック・パラリンピックでも公式に使われているアプリ『マイSOS』や、コロナ禍で医療関係者に多く利用されているアプリ『Join』などを開発する、医療・ヘルスケア関連のモバイルICT事業を展開する企業です。

同社では海外政府との連携も必要なことから、すべてのやり取りを英語で行っているそうです。以前から英語は必要だと思っていましたが、プログラミングで自分のやりたいことを実現させていく上で英語は必須だと改めて感じました。

それも踏まえて最近友人とAI英会話アプリ『AIBOU』を開発しました。さまざまな状況でのロールプレイングができるのが特徴で、例えば、映画館に行ってチケットを買うというシナリオを選択すると、そのシーンに沿った会話ができます。

大塚さん

孫正義育英財団のメンバーとの共同開発では、コロナ禍で必要な防護用品が必要な場所に行き渡ることを目的としたWebサービス『Nolack(ノラック)』も手掛けました。防護用品が必要な人と、それを届けたい人をつなぐマッチングプラットフォームです。当時は、物資をどこかに寄付しようとしても必要としている人が分からないという状況が起きていたために開発に至りました。

私はどちらかというとフロントエンド寄りで、Swift、JavaScript、jQuery、Rubyといった言語を使って、iosやWebの開発をしています。

将来的にはXR分野にも関わりたいと思っているので、勉強を兼ねて『STATION』というARアプリの開発にも挑戦しました。これは、SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)が主催する、未知の価値に挑戦するプロジェクトを推進するプログラム「QWSチャレンジ」の一環です。「情報を空間へ設置する、インターネットを超えた情報提供の新しい形の実現」というコンセプトが採択され、渋谷の街歩きを楽しくするSNSの開発にチームで励んでいます。

大塚さん

これまでの経験を振り返り、自分が作りたいものを作ることも重要ですが、それ以上に、これからの世界で求められることを実現する大切さを痛感しています。プログラミングは未来のためのツールと捉えて、もっと極めていきたいです。

文/小林香織

アーカイブ

『BIT VALLEY 2021』概要

イベント名※全7回で開催

BIT VALLEY 2021 ~変わる働き方とカルチャー、変えるテクノロジー~

<各回タイトル(予定)>
#01 Local × Startup 『街とStartup』
#02 Hello, Tech! 『触れて、学んで、楽しむ』
#03 Welcome to New World 『テクノロジーが叶える新しい世界』
#04 Power of Digital 『最新DX事情 〜デジタルの力でより豊かに〜』
#05 Tour of Work From Anywhere 『WFAの可能性を探る』
#06 Build Another Career 『副業・兼業でキャリアを広げる』
#07 Guide to Work From Anywhere 『WFA環境の整え方』
※#05~#07の実施内容は、決定次第随時お知らせいたします。

・開催期間:2021年7月〜11月(予定)
・開催場所:オンライン(LIVE配信)
・対象:テクノロジーによる社会の変化に関心のある方
・参加費:無料 ※参加登録が必要です

主催
BIT VALLEY運営委員会
(株式会社ミクシィ、株式会社サイバーエージェント、
株式会社ディー・エヌ・エー、GMOインターネット株式会社)

後援
東京都、渋谷区

特別協力
東急株式会社、青山学院

・イベントURL:https://2021.bit-valley.jp/
・Twitter:https://twitter.com/bitvalley_jp
・ハッシュタグ:#bitvalley2021

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