微経験から開発エンジニアとして活躍するには? 転職1年以内にやるべき4つのことを新人育成のプロに聞いた【blue】
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IT人材不足が叫ばれる今、未経験からエンジニアへ転身する人が増えている。
しかし、未経験や実務経験が少ない微経験エンジニアは、システムの保守や運用、テストなどのフェーズを任されることが多く、なかなか開発業務に携われないケースも。
エンジニアとして思い描いたような成長が得られず、行き詰まりを感じてしまう人もいるのではないだろうか。
そこで、累計500名以上の若手を育成し、開発エンジニアとしてデビューさせてきた株式会社blue代表の後藤祐太郎さんにインタビュー。その独自の育成ノウハウが生まれた経緯と、若手エンジニアが開発の現場で活躍するためにやるべきことを教えてもらった。
元人事が「未経験育成を前提」にIT起業
もともと私は大学時代、通信系の営業会社でアルバイトとして働いていました。最初は人事部で雑用をやっていたんですが、そのうち責任者になって、部下も80人くらいに増えて。
大学では法学部で弁護士を目指していたんですが、アルバイト先の仕事がおもしろくなって中退。23歳で正社員になり、人事部の採用担当として働き始めました。
以前から技術には興味があったので、採用業務をやりながら次第に社内のインフラ周りも見るようになり、最後はIT部門に異動。当時の同僚や部下を誘い、26歳で立ち上げたのがblueです。創業当初から受託開発を中心に、さまざまな案件に携わってきました。
創業当時のメンバーにエンジニアはいなかったのですが、僕がプログラミング言語を七つほど使えたので、自分で教えればいいかなと。私は元人事なので、人をどう教育していくかを考えるのは専門ですしね。
未経験の人をちゃんと開発ができるエンジニアへと育てるために必要な期間は、半年から1年くらい。教育カリキュラムは少しずつ変えていて、創業当初はフロントエンド、次にバックエンド、今はJava、来年以降はC系言語を集中的に教えていく予定です。
当社では会社設立以降、約10年で累計500人以上のエンジニアを輩出してきました。そして、そのほとんどが開発エンジニアとして活躍しています。blueのエンジニアは、ゲーム開発、百貨店のECサイトの構築、銀行システムの開発などに携わっていて、案件のジャンルは非常に多岐にわたります。上場企業や官公庁などの大規模プロジェクトも多いですね。
「手に職をつけたい」という女性も多く、当社の男女比は4:6。エンジニアとしてのキャリアを当社からスタートしてくれる方がほとんどという、少し珍しい会社として成長してきました。
微経験でも活躍できるエンジニアに必要な4つの要素とは?
長年、若手エンジニアを育成していて、経験が浅いうちから活躍できる開発エンジニアになるために必要な要素が分かってきました。
特に、エンジニアになりたての「1年以内」にやった方がいいことを、順に4つ紹介します。
1.技術以外の“自分に欠けている部分”を知る
それなりに技術を勉強して、そこそこの技術力があるのに、なかなか開発に携われない、アサインされない……という人は、自分の「技術以外に欠けている部分」にも目を向けてみてください。
世の中的に、若手エンジニアが求められている開発プロジェクトは多いんですよ。でも実はそのとき、ずば抜けて高い技術力や豊富な経験はほとんどの場合求められていません。
それよりも、一社会人としてのコミュニケーション能力や社会常識、礼儀正しさなど基本的なビジネススキルを持ち合わせていることの方が大事。若手には、ヒューマンスキル(人間力)を期待する企業が多いのです。
当社では「パソコンに触ったことがない」くらいの未経験者も採用しますが、ヒューマンスキルさえあれば、チャンスを与えたくなるものです。
ですから、まずは自分の「人間力」に着目してみると、新しい気付きを得られるのではないでしょうか。
2.苦手なことを積極的に業務に取り入れる
ヒューマンスキルの中で自分の欠けている部分に気が付いたら、それを補う努力も必要です。そのためには、業務の中で苦手なことにチャレンジするのが最適だと思います。
例えばコミュニケーション能力が欠けていると感じるなら、エンジニアとして営業同行をさせてもらったり、ヘルプデスクを担当してみたりするのもいいですよね。
当社でも、苦手分野を補えるような業務の割り振りを意識していて、エンジニアのコミュニケーション力を伸ばす目的で、あえて彼らに電話対応をしてもらうこともあります。そうすると、クライアントにエンジニアの人間力を高く評価いただき、次のチャンスも生まれてきやすくなるんですよね。
3.毎日勉強する「生活習慣」をつける
会社やクライアントは、エンジニアの「できること」に対価を払います。技術が足りなくてできない仕事はそもそも振られませんし、基本的には仕事中に新しい技術を獲得することは難しいと思った方がいい。そのため開発に携わりたいエンジニアは「自習」が必要不可欠になります。
いわゆるトップエンジニアの多くは技術が大好きで、休みの日も普通に一日中プログラミングをやったり、勉強会に行ったりするのも当たり前。ただ、一般の人が開発エンジニアになるための努力量としては、1日30分で大丈夫です。
パソコンを立ち上げてちょっとプログラムを書いてみるとか、専門書を読むとか、とにかく毎日30分、勉強の時間を設けてください。最初はつらくても、2週間ほど続けるとそれが生活習慣にまで落とし込めるようになります。
1日30分の努力を続ければ、誰でも開発エンジニアになれる。少なくとも当社ではそれで10年やってこれました。
若手の開発エンジニアはよく「ポテンシャル」が重視されるのですが、ポテンシャルとは何かというと、成長できる素地があるかどうかです。なので開発業務に関して「こんな勉強をしている」というだけでも、周りにポテンシャルを感じてもらえると思います。
またその成功体験があれば、今後も向上心を持ち続けることができます。そういった良い習慣・良いサイクルを生み出せれば、どこへ行っても活躍できる開発エンジニアでいられるはずですよ。
4.身だしなみをちゃんと整える
最近はIT業界にキラキラしたイメージも出てきましたが、エンジニアの中には「ヨレヨレの服で仕事に行く」「客先でもノーメイク」という人も珍しくありません。他の業界に比べると、まだそのあたりの感覚がズレている人も少なくない印象があります。
でも、やっぱり仕事をする上では見た目も大事なんですよ。これは美人とかカッコイイということではなく、ヒゲはちゃんと剃っているか、シワシワの服を着ていないか、といった清潔感があるかどうかの話です。
当社ではビューティーコーディネーター資格を持つ社員が、エンジニアにメイクやコーディネイトの基本や身だしなみの大切さを教える機会を設けているくらい、「ちゃんとした見た目」を重要視しています。
なぜなら、面接や面談で同じスキルレベルの二人がいたら、ほぼ間違いなく身だしなみの整った清潔感のある人が採用されるからです。逆に言うと、身だしなみを整えるだけで、仕事のチャンスが大きく広がると断言できます。
エンジニアは「努力が必ず実る職種」だ
当社ではこれらを意識しながら、独自の教育カリキュラムをもとに若手エンジニアを育成しています。最近ではリモート教育のノウハウも確立したので、地方エンジニアの育成にも力を入れていこうとも考えていますね。
最後に、この記事を読んでいる若手の方には、「エンジニアは努力をすれば確実に結果が出る」価値の高い職種だということはお伝えしておきたいです。
例えば営業職って、一概に時間をかければ育つわけではなく、資質によるところも大きいんですよ。でも、エンジニアは時間をかければ誰でも必ずなれるんです。
一人でも多くの未経験や経験の浅いエンジニアの方が、今回紹介した4つの要素を実行しながら、さまざまな現場で活躍できることを願っています。
取材・文/古屋江美子 撮影/桑原美樹
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