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ノーコードツール『ペライチ』が“営業ゼロ”で急成長した背景に見る「ユーザーと触れ合うエンジニアの強さ」

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中小企業に向けた「世界で一番カンタンなホームページ作成サービス」を開始し、5年後には会員登録数25万人を突破。2020年9月にはラクスルから4.9億円の資金調達を行い、2021年10月には『Notion』からWebサイトが作れる『Wraptas(旧Anotion)』を事業買収。

スマホ対応のホームページをノーコードで作れる事業者向けサービス『ペライチ』を運営する株式会社ペライチは、今勢いのあるスタートアップの一つだ。

この『ペライチ』、実はサービスを広める営業が一人もいないという。エンジニアが大多数を占める組織で、ユーザーに向き合い、プロダクトを磨くことを何より重視し、口コミで成長してきた。

そこで、ペライチCTOの香月雄介さんと、Wraptas開発者で10月よりペライチにジョインした渡邊達明さんにインタビュー。

ユーザーの声を直接聞き、プロダクト中心の開発をすることは、エンジニアにどのような成長をもたらすのか。取材を通じて見えたものは、これからの時代に欠かせない、普遍的な力だった。

ペライチ

【写真右】株式会社ペライチ 取締役CTO 香月雄介さん(@katsukii
新卒で制作会社にiOSエンジニアとして勤務。その後フリーランスを経てペライチを共同創業。CTOとしてプロダクト開発および開発組織のマネジメントに注力
ブログ:背筋を伸ばしてスタートアップするブログ

【写真左】フロントエンドエンジニア 渡邊達明さん(@nabettu
新卒で富士通に入社、WindowsOSのカスタマイズ業務に従事。面白法人カヤックに転職した後、株式会社クリモを創業、2020年10月に『Wraptas』をリリース。21年10月、『Wraptas』をペライチに事業譲渡し、ペライチに入社

営業ゼロで『ペライチ』と『Wraptas』が広まった理由

――ペライチには営業がいないと聞きました。創業してからずっと営業はゼロなんですか?

香月:そうですね、これまでに「積極的に顧客開拓をする」という役割の営業は一人もいませんし、今後も営業部門を作る予定はありません。

営業に近いところだとマーケティング担当者がいますが、兼務と今月入社予定のメンバーを合わせて、全部で3名。正社員は約40人いて、アルバイトや業務委託を含めると約50名のメンバーがいますが、そのうちの約半数がエンジニアです。

――2020年5月に会員数20万人、今年10月には35万人を突破したと発表がありました。営業がいない中、ここまで順調に成長できた理由は何でしょう?

香月:創業から3年ほどは主に口コミでサービスが広がり、登録者が増えていきました。初めて広告を打ったのは確か2018年ごろだったと思います。

世の中的にも働き方改革や副業解禁などの動きがあり、個人事業主や副業の会社員が増えたタイミングにもハマりましたね。

渡邊:ペライチができた当時、私は新卒で入社した大手メーカーにいましたが、はたから見ていても順調そうだなという印象でした。

――口コミで新規会員が増加するサイクルができた、最初のきっかけは?

香月:2016年に始めた「サポーター制度」が大きかったですね。エヴァンジェリストみたいな感じで、ペライチを使いこなしているユーザーさんを「サポーター」として公式に認定する制度です。ペライチが好きで、共感してくださっているサポーターさんが全国にサービスを広めてくださいました。

現在は全国460人以上のサポーターさんがいらっしゃって、日本各地で勉強会やワークショップを開催してくださっています。

ペライチ
――サービスをリリースした1年後には熱心なファンがいた、と。ファンになってもらえた要因をどのように考えていますか?

香月:サービスでお客さまの課題を解消することを何よりも重視していたからだと思います。創業メンバーはペライチに関するツイートを全てチェックしていましたし、サポートも力を入れて丁寧にやっていました。

特に開発チームでは、プロダクトの改善スピードを意識していましたね。サポーター制度が始まってからは、新機能をいち早くサポーターさんにお知らせして反応を見たり、実際に機能についてヒアリングをさせていただいたりもしています。サポーター制度によって、ユーザーさんの課題をより多く知れる優位性がありました。

――ユーザーのニーズに応じたプロダクト改善を続けたからこそ、口コミで広がったわけですね。同じくノーコードツールの『Wraptas』はどのように広まったのでしょう?

渡邊:ペライチと同じで、ユーザーさんの「簡単にできました」というツイートから利用者が増えていきました。

――アルのけんすうさんもツイートしていましたね。

渡邊:Wraptasは『Notion』に書くだけでWebサイトが作れるサービス。NotionユーザーはITリテラシーが高い層ですが、Webサイトを作るには人手も時間もかかりますし、管理も大変です。Notionで楽に編集できたら、Webサイトの運用コストは格段に低くなる。それでユーザーさんがついてくれたと思います。

ユーザーと向き合うと、当事者意識を持たざるを得なくなる

――ペライチは月に一回は何かしら新機能を発表していますよね。こういった企画はエンジニアが出すのでしょうか?
ペライチ

(参考)新機能・サービス向上 リリース一覧より

香月:そうですね。プロダクト開発の大きな流れとして、トップダウンとボトムアップ、両方から企画は立てています。

半期から年間にかけてのプロダクトロードマップをプロダクトマネジャーが作り、その計画をもとに「何を作るか」が開発チームに降りてきますが、意見は現場からもどんどん上げる仕組みにしていて。

「こう改善した方がいいんじゃないか」「この機能があればお客さんのベネフィットが上がるのでは」といったGitHubのイシューは現場でも立てられるようになっています。それをロードマップに反映させることも随時やっていますね。

渡邊:私は10月にジョインしたばかりですが、開発チームがプロダクト中心に動いているのはすごく伝わってきます。営業がいない分、エンジニアがそれぞれ自立していて、「プロダクトをどうやって良くしていくか」を中心にチームが進んでいく。

営業から機能開発の依頼があったとか、プロダクトオーナーがトップダウンで決めたからではなく、エンジニアが中心となって満足度を上げるための案を出している印象です。

ペライチ
――目の前の開発に夢中になるあまり、サービスを使うユーザーや、事業全体にまで意識が向きにくいというエンジニアの声もしばしば聞こえてきます。特にtoBサービスは、開発者が顧客理解を深めるのが難しい面もあると思うのですが、いかがですか?

香月:当社では「ユーザー目線で課題解決をしよう」を行動指針として掲げていて、エンジニアがユーザーさんとの接点を積極的に持つことを推奨しています。なので、最低でも入社後必ず一度はユーザーさんと関わる場への参加をするよう定めていますが、それ以上に自発的に参加をする人が多いですね。

コロナ以前は全国のサポーターさんが集まる「サポーターサミット」というオフラインイベントを年1〜2回行っていて、徳島や北海道など、全国の開催地にエンジニアも同行していました。「ユーザーさんが抱える課題をいかに解消するか」といったワークショップに入り、一緒にディスカッションをさせてもらうこともあります。

他にも、カスタマーサポートのメンバーでは分からないようなユーザーさんからの技術的な問い合わせを、持ち回りでエンジニアが対応することもしています。お客さまの困っている声を直接聞くことで、自発的に改善点を上げられるようになるエンジニアが増えました。

また、時にはその問い合わせ内容が、自分が作った機能が原因になっていることもあるわけです。すると、当事者意識を持たざるを得ないというか、積極的に機能改善に取り組むようになりますね。

――ユーザーと接点を持つ前後で、エンジニアの意識や仕事への取り組み方が変わるわけですね。

香月:はい、めちゃくちゃ変わりますね。ユーザーさんの解像度がどんどん上がっていきます。

当社が想定しているユーザーは、例えば地方の商店街でお店を営むおじいちゃん、おばちゃんのような方たち。簡単に言うとITリテラシーが低い人ですが、それだと無意識に「自分よりも無知な人」という感覚を持ってしまうこともあります。

でも、実際にユーザーさんと触れ合ってみると、皆さんそれぞれがその道のプロフェッショナルであることが分かる。「こんなにすごい人たちだったんだ」というリスペクトが自然と湧きますし、だからこそ、そんなすごい人たちがITリテラシーを持っていないがゆえに機会損失している状態を「もったいない」と感じられるようになります。

――心から、ユーザーに肩入れしたくなるわけですね。

香月:ええ。そして、世の中にたくさんあるノーコードツールの中で、ペライチの強みは優しい使い勝手にあると思っています。ノーコードと言っても、それなりにITリテラシーがなければ使えないサービスが多いからこそ、「難しくし過ぎない」ことを常に意識して、使い勝手を良くするための改善に開発チームは取り組んでいます。

その際に重要なのも、やはりエンジニアがユーザーさんとリアルな接点を持つことです。自分たちの親世代、もしくはそれ以上の世代の方たちにサービスを使ってもらってヒアリングをさせてもらい、「全然分からないんだけど」というフィードバックをたくさんもらうようにしています。

ペライチ
――サービスの作り手であるエンジニアはITの専門家ですから、ITが苦手な人が感じる「難しさ」を理解するのはきっと大変ですよね。

香月:おっしゃる通りで、例えば最初のアカウント登録後のテンプレート選択画面から進めない人がいたりする。そういうのは実際にユーザーさんと接点を持たなければ分からないことです。

最近だとZoomを使っていますが、以前は実際にオフラインで、ペライチを使っているところを後ろから見せてもらい、操作しながら思っていることを全部話してもらうこともしていました。「面倒くさい」とか、「ここはどうすればいい」とか、そういうのも全部口に出していただいて(笑)

そうやって改善をしていますが、それでもまだ難しいと感じる方に向けて、サポーター制度で補えることも当社の強みですね。

――ユーザーとの対話を通じて、プロダクトに向き合わざるを得ない状況が生まれる。自然とプロダクトマネジャーとしてのスキルがつちかわれていきそうです。

香月:間違いなく、プロダクトのあるべき姿を考えられるようになっていきます。最近はエンジニアからプロダクトマネジャーになる方も多いですが、実際にエンジニアの延長線上にプロダクトマネジャーのキャリアはあると思いますね。

ユーザーとの距離が近いほど、ものづくりの良いサイクルは回しやすい

――エンジニアが自らユーザーと接しながらプロダクト開発をすることで、どのような力が身に付くと感じていますか?

香月:課題設定力ですね。エンジニアは基本的に技術が好きで、技術力を高めることに対するモチベーションが高い人が多いと思います。当社にもそういうエンジニアはたくさんいますが、事業の側面から見ると、自分たちが作ったサービスの先にいるお客さまに価値を提供して、初めて売り上げが立つ。

そのためには、お客さまときちんと接して、課題の解像度を上げることが不可欠です。それによってサービスや事業の課題設定力が磨かれますし、それができて初めて、手段としての技術を使うことができます。

――「技術にモチベーションを感じるエンジニア」の場合、中にはそこに興味を感じられない人もいるのでは?

香月:むしろ、自分たちのサービスで何を解決するのか、そしてその目的に対して正しい価値提供ができているのか、そういうことを実感しながら働けるとモチベーションはさらに上がると思います。

例えば『ペライチ』サポーターサミットではエンジニアがサポーターの皆さんに自己紹介をする場面もあるのですが、「この機能は自分が作りました」と言うと皆さんがワッと湧くんです。これは気持ち良いですよ(笑)

渡邊:エンジニアは多くの場合、ユーザーから遠くなりがちです。私は新卒で入った大手メーカーでパソコンを作っていたんですけど、一つのパソコンを作る人が2000人いたこともあって。お客さまがどう使っているか、その製品に対してどんな思いを持っているのか、そういったことが全く分からない状態でした。

同じように、自分の技術の先にいるユーザーの顔が浮かばないからこそ、技術に没頭しているエンジニアは少なくないかもしれません。でも実際は「誰かの困りごとを解決するためのテクノロジー」ですから、ユーザーから感謝のフィードバックを直接もらえれば、うれしいと思うんですよ。

だからこそ、ペライチで働き始めて、自分が作ったものに直接フィードバックが得られる環境は気に入っています。もっと良いものを作るために技術力をアップさせたいと思えますし、技術力が上がればより良いサービスが作れて、ユーザーが喜んでくれる。

そういうサイクルは、ユーザーとの距離が近いほど回しやすいなと思います。

ペライチ
―― 一方で、ユーザーの声は必ずしもプラスではないですよね。時には不満やお叱りの声もあるわけで。

香月:やりがいを感じるのと同時に責任がのしかかるのは、表裏一体ですよね。マイナスな声に真摯に向き合いつつ、「もっとサービスを良くしていくんだ」というやる気の源泉に変えていく思考が重要だと思います。

渡邊:「この機能が駄目だ」という批判的な意見、一般的には嫌がられるのかもしれないですけど、私はむしろうれしいですね。それって、改善すべき点を教えてくれているわけで、むしろ「サービスに期待してくれているんだな」とモチベーションになります。

すぐに直して即返信したら、「こんなに早く対応してくれてありがとうございます」と言っていただいたこともあって。ユーザーさんの期待に応えるチャンスととらえられると思います。

上司の目線から「課題設定力」は磨ける

―― もしもこの記事の読者が大企業や縦割りの組織で働いている場合、ユーザーと直接接点を持ちたいと思ってもかなわないこともありそうですよね。例えば、渡邊さんの前職のような環境です。

香月:そういう時、まずは上司の目線で「何が課題なのか」を考えてみるといいと思いますよ。

例えば上司のミッションが売り上げを上げることであれば、もとを辿るとユーザーニーズの把握が重要になります。だからこそ、上司の指示の源流をたどるというか、「何が本質的な課題で、なぜこれを指示されているのか」を考えることで、意識が変わっていくはず。

これはエンジニアに限らずですが、ユーザー目線での課題設定力は非常に重要です。上司から指示されたものをいかに早く、クオリティー高く仕上げるかに目が行きがちですけど、それは「課題解決力」。

エンジニアの技術力もそうで、「技術を高める=課題解決力を高める」こと。一つ視点を上げて、課題設定力を磨くことに目を向けると、仕事そのものに対する見方が変わるはずです。

――ノーコードをはじめ、課題解決力の部分はテクノロジーで置き換えやすい部分でもあります。そういう意味でも、エンジニアが課題設定力を持つことの重要性は増していきそうですね。

香月:そう思います。そして、一つ先ほどの話に付け加えるなら、上司の目線に立つ際に、上司の言うことを盲信し過ぎないことも大事。上司が設定した課題が間違っていることがないわけではありませんから。

例えば、何らかのWebサービスで「売り上げが下がっている」という課題の原因を要素分解すると、解約率が上がっている、課金率が下がっているなど、複数出てきますよね。その中から上司が解決すべきポイントを設定するわけですが、それが本当に正しいのか。上司が間違っている可能性まで考えて、自分で仮説を立て、3カ月後、半年後に出た結果と仮説を照らし合わせてみるといいと思います。

渡邊:課題に対する仮説を立て、それを検証するのは一番力がつきますよね。僕は昔から個人でものづくりをしていて、妻が困っているサービスを作ったら、同じようなことで困っている人がいて、サービスを使ってくれたことがありました。

大企業でユーザーと接点を持つのが難しいのであれば、そうやって個人で身近な人のためのサービスを作ってみるのもいいと思います。一人で作っている以上は想像でしかないので、ユーザーと接することで解像度が上がって、フィットしたものが作れるようになると思いますよ。ユーザーと直接話すと課題感がよく分かりますから。

――最後に伺いたいのですが、ユーザーに向き合うプロダクト開発に、向き不向きのはあると思いますか?

香月:いえ、誰にでもできると思いますよ。「できない」と感じているとしたら、それは意識や体制の問題で、環境によって変わるはずです。

そういう意味では、ペライチはユーザーさんに向き合う環境を意識して制度や開発体制を設計しているので、ユーザーとリアルな接点を持ちながら仕事がしたいエンジニアには最適です。そして、ユーザーの課題を解決するためには技術力も重要ですから、勉強会も社内で奨励しています。

ペライチ

香月:実はWraptasの事業買収をした理由の一つも、開発チームの技術力向上なんです。

――というと?

香月:これはスタートアップあるあるですが、ユーザーさんへの付加価値の提供を優先するあまり、これまでは技術トレンドを追う優先順位がどうしても下がってしまっていて。でも、これからはもっと視野を広げて、技術面でもエンジニアのモチベーションが上がる組織を目指したいと思っています。

渡邊さんはトレンドの技術に明るくて、特にフロントエンドの技術はうちが使っている技術よりもずっと先端をいっている。ぜひ彼と技術交流をしていきたいですね。

また今後はグローバルも視野に入れて、よりスケールさせていこうとしているところ。Notionはグローバルで使われているサービスなので、Wraptasとの連携がグローバル展開の足がかりになると思ったことも、事業買収の理由でした。

渡邊:Wraptasやこれまで個人で開発したサービスは、リソースの関係でゼロからイチにすることはできても、そこからスケールすることがあまりできていませんでした。ペライチと一緒になったことで、グローバルも見据えてグロースしていけるのが楽しみです。

香月:ペライチは自社サービス。その分、自分たちの思想を大事にしたカルチャーを守りやすいのが強みです。ユーザーさんに向き合うことを中心に据えながら、プロダクト中心のテックカンパニーを目指していきます。

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取材・文/天野夏海 撮影/赤松洋太 編集/河西ことみ(編集部)

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