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元とび職社長がエンジニアと挑む建設業界の大変革。63兆円市場の未来を握る一手とは?

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NEOジェネレーションなスタートアップで働く技術者たちの、「挑戦」と「成長」ヒストリーを紹介します!

職人求人や工事の受発注が無料でできる日本最大級の建設業界マッチングプラットフォーム『ツクリンク』を運営するツクリンク株式会社

IT化が進まず古い体質が残る建設業界の中でも『ツクリンク』に登録する建設業者は現在56,000社を超え(2021年11月時点)、注目を集めている。

ツクリンク

同社では、建設業界のDXを加速させることにより、これまで業者同士のつながりに頼ってきた受発注をWeb上でマッチングさせるだけでなく、プロ同士の評価を基にしたスコアリングによって技術力のある職人が正当な評価を受けられるような社会の実現を目指す。

とはいえ、建設業界は市場規模約63兆円の巨大市場。国や地方自治体、大手ゼネコンなどのプレーヤーが主導する中で、古くから続く業界の慣例を変えるのは容易ではないはずだ。

では、それをどのように実現しようとしているのか。とび職を経てIT業界で起業という異色の経歴を持つ代表の内山達雄さんと、取締役(CTO)の中村杏さんに聞いた。

ツクリンク

(写真右)ツクリンク株式会社
代表取締役社長 内山達雄さん

大学中退後、とび職として働き始める。建設会社の管理職を経てフリーのWebデザイナーに転身。起業家家入一真氏のイベントをきっかけに集まった仲間と2012年にハンズシェア(現ツクリンク)を創業。13年に「ツクリンク」のサービスを開始

(写真左)取締役CTO 中村 杏さん
大学院卒業後、ゲーム会社を経てツクリンクに参画。エンジニアとしてプロダクト開発をしながら、チームの統括を任される。現在は事業全体のマネジメントを担当する

職人たちが、「将来に夢を抱ける」建設業界をつくりたい

――そもそもなぜ「建設業界のマッチングプラットフォーム」という事業に目をつけたのでしょうか。やはりとび職時代の経験から?

内山:そうですね。ただ、最初のきっかけはちょっと違って。今でこそ当社では「建設業界の構造を変え、豊かな未来をつくる」という大きなミッションを掲げて『ツクリンク』を運営していますが、実は、最初からこの事業をやろうと決めていたわけではなかったんです。

そもそもの始まりは、「ITで何か面白いことがやりたい」という思いで当時集まっていた仲間たちとビジネスコンテストに挑戦しようとしたところから。アイデアを出し合ってはみたものの、出てきたのは誰でも思いつきそうなものばかりで。

もっと「自分たちにしかできないことはないか」と考えて、かつて僕がいた建設業界を舞台にすることにたどり着きました。建設業界とITという組み合わせであれば他の人はなかなか思いつかないだろうし、過去の経験から業界の中にある課題や、サービスのイメージがつきやすかったんです。

幸いそのコンテストに入賞して500万円の出資を受けられることが決まったものの、その時は「出資」が持つ意味すら分かっていませんでした。

単に賞金がもらえるくらいの気分でいたのですが、実際出資されるということは、僕たちの事業が失敗すれば出資者はお金を失うことになる。それを理解してから、真剣に取り組むようになりましたね。

――とび職時代に感じていた建設業界の課題とは?

内山:建設業界は多重下請けの構造で、末端になるほど「人一人が一日働いていくら」という世界です。「人」に当たるものは「誰でもいい」とされてしまうことも多く、職人さんの技術力が対価に反映されることはほとんどありません。

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それって健全じゃないですよね。職人さんからすれば、自分の技術を磨いても収入に反映されないわけですから、当然その仕事に未来を感じられなくなってしまいます。

IT業界でいうSIやSESにも似たような多重下請け構造がありますが、それでもスター技術者になればそれなりの収入が得られるし、高く評価してもらえるという希望があります。でも、今の建設業界にはそれがないんです。

だから日本の若者は建設業界で働きたがらないし、慢性的な人手不足。そうすると外国人労働者を雇うことになるわけですが、それもいずれ限界が訪れます。

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――というと?

内山:例えば、かつて建設現場には中国の方の割合が多かったのですが、今はベトナムなど東南アジアの方が増えているんですよ。なぜなら、中国は経済成長によって賃金が上がったため、わざわざ日本の建設現場で、安い給料で働く必要がなくなったから。日本の建設現場はそうやって「安く働いてくれる人」をいまだに探しているのが現状なんですよね。

もちろん外国の方々が日本で働くこと自体が悪いわけではありませんが、「安い労働力を海外に求め続けるだけ」の構造は間違っていると、僕は感じています。このままでは、気付いたときには日本の建設現場には何の技術も残っていない、ということにもなりかねません。

僕自身も大学を中退してとび職を始めてから建設会社の管理職まで経験しましたが、この「業界の闇」が嫌になって辞めた経緯があるんです。しかし、ツクリンクを始めたことをきっかけに改めて建設業界を外から見てみると、課題の大きさや深さ、それを日本の将来のために変えていくことの必要性がよく分かったんですよね。

――中村さんは建設業界のバックグラウンドがありませんが、なぜエンジニアとして「この業界を変えたい」と思われたのでしょう。

中村:正直なことを言えば、はじめは「建設業界の課題を解決したい」という高い志を持って入社したわけではありませんでした。でもエンジニアとして『ツクリンク』に関わりながら建設業界を見るうちに、日本の建設技術や職人さんたちの腕の高さと、そこに評価が伴っていない現状が分かってきて。

「衣食住」と言いますが、中でも「住」は人間の生活にとって基盤となるものです。寝る時も働いている時もほとんどの人は何らかの建物の中にいますし、道路だって職人たちの手によって作られている。

それに、大きな地震で都心部のインフラが麻痺したり、最近だと道路が陥没してしまったりというトラブルがたびたびありますが、日本では早ければ半日、遅くとも数日で復旧することがほとんどですよね。

こうしたインフラを陰で支えているのも、建設業界で働く人たちです。にも関わらず、現場の職人さんの声を聞くと、必ずしもそれに見合った賃金を得ているとは言い難い。

そうした建築物の作り手たちがやりがいや幸せを感じられなければ、その上で生活している私たちの幸せにもつながらないのではないか。そうした考えから、ツクリンクでは職人さんたちが目指したいと思えるような未来を提示できる世界をつくることを目指しているんです。

具体的には、職人さんたちが仕事に対して正当な報酬を得られるようにして、さらには目標となるエースプレーヤーのような人が生まれるような仕組みをつくっていきたい。それが、今の僕らの目標です。

エンジニアの「問題解決思考」を活かした独自機能

――職人がその人の技術力に見合った正当な対価を得るためには、どんなことが必要なのでしょうか。

内山:いろいろと段階があるとは思いますが、まずは元請けの発注者側やエンドユーザーが、職人さんたちの仕事の価値をちゃんと理解することからだと思います。

例えば皆さんが家を買うとき、どこの不動産会社から買うか、立地や間取りがどうなっているかなどはよく調べると思いますが、「その家を建てる人がどんな職人なのか」はあまり気にしないし、気になったとしても分からないことが多いはず。

けれども、建築現場では設計通りに施工できないことがしばしば出てくるものです。実はそうした際の調整は現場の大工さんたちに一任されていて、その人の腕次第で最終的な建物の出来は確実に変わってくるわけですよ。

僕らも現場で職人さんから「こういう問題を工夫して上手く処理した」なんて話を聞くことがありますが、だからといってそれが対価に反映されることはほとんどありません。極論、経験と技術を持って最善を尽くした人と適当にごまかした人で、金銭的な差がつかないのが実情です。

でも、言ってしまえばそれは当たり前で、なぜなら今は発注者や購入者がそうした事実を知る手段がないから。だから、まずはエンドユーザーに向けて職人の持つ価値を情報として提供するのが、僕らのミッションです。

それが伝われば、頑張っている職人さんを幸せにすることができて、職人さんたち自身の意識も次第に変わってくるのではないかと思っています。

――建設業界というと、まだIT化が進んでいないイメージです。発注者だけでなく、職人さんたちにも『ツクリンク』を使ってもらうためにどのような工夫を行っていますか?

中村:まず、「使いやすさ」という意味では、あまりデジタルサービスに慣れていない人でも直感的に使えるようにシンプルな機能や操作性、デザインを心掛けていますね。

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中村:それから、基本使用料を無料にしている点もこだわっている要素の一つです。一定数以上メッセージを送る場合は有料プランへの登録が必要なのですが、無料範囲でもマッチングは可能なので、心理的な使いやすさにはつながっているのではないでしょうか。

また、必要に応じてオプションメニューも用意。募集を上位に表示させるメニューや、「支払い保証(工事代金あんしん保証)」のサービスを提供しています。

特に支払い保証は画期的で、建設業界にも未払いのトラブルが起きることが度々あります。マッチングサービスを通じて初めての業者や職人とやり取りをするとなればなおさら不安が付いて回りますが、当社がそこを保証することで、これまでに依頼をしたことがない業者や職人さんにも安心して依頼をすることができる仕組みです。

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中村:さらに、『ツクリンク』を使ってもらうためには現場の職人さんや元請け業者の方に「知ってもらう」ことも欠かせません。なので開発してからしばらくは、ツクリンク自体の開発と並行して、建設業者の方のHP制作だったり、システム開発も行いながら、建設業者の方から信頼を得るという草の根的な活動もしていました。

おかげさまで広告運用はほとんどしていないにも関わらず、利用者の数や工事案件の投稿数が徐々に増え、それによって会員数が順調に伸びる良いサイクルができ、今では登録業者の数が5万社を超えました。

――『ツクリンク』では「工事代金あんしん保証」の他にも、認証制度やトラブル報告などの安心安全の仕組みに力を入れていらっしゃいますね。
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内山:やはりプロダクトを使うのは「人」ですから、使ってもらえるサービスになるためには高いレベルでの信頼が欠かせません。そのため、「この事業者はちゃんと保険に入っているので安心ですよ」といった情報を、認証制度でしっかりと示しています。

さらに「真っ当に仕事をしている業者・職人の市場評価を高めること」を目的に『ツクリンク』を運営していますから、いい仕事をプロ同士の評価やスコアリングなどで称える仕組みと同時に、トラブル報告機能によって不正などの悪い行いを排除する仕組みも作りました。

具体的には、利用者から「トラブル報告」がきたら、僕らが両者の話を聞きに行って、どちらかに問題があればアカウント停止などの処置をするというものです。

アナログかつ地道な作業で時間はかかりますが、そうやって積み上げたものがサービス、ひいては登録業者の信頼にもつながると考えてのことです。『ツクリンク』を5年間使い続けている業者は、それだけで「その間、一度もトラブルがない業者」だと証明できますからね。

そんなふうに、『ツクリンク』自体を信頼の基盤にしていくことができればと考えています。

――こうした独自の機能はどのように発案しているのですか?

中村:全員でアイデアを出し合うことがほとんどですね。ツクリンクでは、プロダクトを作る際には特定の人が主導するのではなく、プロダクトマネージャーやエンジニア、デザイナー、さらにユーザーと直接接点のある営業やCS(カスタマーサクセス・サポート)まで全社で部署の垣根なくアイデア出しをしています。

ですから、エンジニアもコードを書くだけではなく、「どうすればユーザーにとって望ましいのか」という施策の部分まで含めて考える必要があります。

――エンジニアもアイデアを出すのですね。

中村:僕は、エンジニアこそ「問題解決のプロ」になれると思っているんですよ。

プログラムは不具合があればエラーログが上がってきて、そこに対して対策を考えますよね。同じように、サービスも何か上手くいかないことがあれば、ユーザーの声が挙がってきます。それを解決するために何ができるかを考えて、実行する。「施策を考える」のはエンジニアの仕事の範囲外にも思えるかもしれませんが、プロセスは同じなはずなんです。

実際、そうやって目の前のコードに向き合うだけでなく、自分の領域や考え方を越境させられる人が伸びていくエンジニアだと考えていますし、ツクリンク自体がベンチャー企業ですから越境できる人ほど活躍していますね。

ツクリンク

「建設業界」だからこそ、エンジニアの腕が試される

――今後、『ツクリンク』をどのように進化させていく予定ですか?

内山:職人さんたちの価値を「見える化」していくことは、これからもさまざまな形で進めていきたいと考えています。企業単位でユーザー評価を出すことは今でも実現できていますが、今後は職人個人の評価を出せるところまでやっていきたいですね。

中村:僕は、ユーザーが案件の内容や予算によって最適な相手を選べるようなマッチングの仕組みづくりに取り組みたいと思っています。

方法は条件分岐から機械学習、ディープラーニングの活用までいろいろ考えられますが、技術にはこだわらず、あくまでユーザーが使いやすく満足でき、現実的な価値を提供できることにこだわって進めていきたい。

そのためにも、手段ではなく目的にこだわれるエンジニアを仲間にしていけたらと考えています。

――歴史ある巨大な業界構造の変革、ミッション達成までの道のりは長そうですね。

内山:そうですね。やはり国や大手ゼネコンのような巨大プレーヤーがいる業界ですから、一朝一夕は変わりません。

でも、ツクリンクを始めてから、僕らと同じように「建設業界を良くしたい」と思っている同志が業界の中にたくさんいることも分かったんですよ。だから、建設業者さんから「いい取り組みだね」と言っていただけることもありますし、徐々に大手企業も含めて前向きに掲載をしていただけるようになってきています。

会社やサービスを運営する上では「自分たちが利益を得る方法」だけを考える方がずっと簡単なことかもしれませんが、それでは日本の建設業界は暗くなるばかりです。業界の人たちが同じ方向を向き、みんなで業界変革に挑めれば、きっと状況は改善するはず。まだまだ課題は山積みで時間はかかるでしょうが、そこに挑み続けていきたいと思っています。

中村:IT業界で働くエンジニアの中には、建設業界はやや遠いと感じられる人もいるかもしれません。でもIT化が進み切っていない業界で、かつ市場規模が大きいからこそ、ここでしかできないことがたくさんあります。「業界変革」という挑戦に興味があるエンジニアなら、大きなやりがい感じられると思いますよ。

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取材・文/高田秀樹 撮影/赤松洋太 編集/河西ことみ(編集部)

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