採用担当者はどこを見ている?
エンジニア転職「成功の仕様書」売り手市場が続くエンジニアだけれど、希望の企業の内定を得られるかどうかは別の話。そこでこの連載では、転職者・採用担当者双方の視点から“理想の転職”を成功させる極意を探る
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採用担当者はどこを見ている?
エンジニア転職「成功の仕様書」売り手市場が続くエンジニアだけれど、希望の企業の内定を得られるかどうかは別の話。そこでこの連載では、転職者・採用担当者双方の視点から“理想の転職”を成功させる極意を探る
経営の予算と実績を管理する“予実管理”に特化したクラウドサービス『DIGGLE』を開発・運営するDIGGLE株式会社。
創業から5年が経った今、『DIGGLE』では既に1,000社以上の登録企業を抱えているが、同社の社員数はまだ15人。サービスと組織のさらなる拡大を目指すスタートアップだ。
2019年1月、創業期の同社にジョインしたエンジニアの岡崎正徳さんは、「サービス開発に使う言語は入社後に覚えた」と語る。DIGGLEが採用した決め手は何だったのか。
岡崎さんから転職成功の極意を探るとともに、エンジニアの採用を担当する取締役CTOの水上駿さんから「創業期に必要なエンジニアの姿」について話を聞いた。
(1)会話で察した技術への強い興味関心
(2)これまでの経験や持ち得るスキルを過大評価しない姿勢
(3)「やりたいこと」「やりたくないこと」をハッキリと伝える素直さ
岡崎:自分の手を動かして開発をするのが好きだったのですが、前職ではプロジェクトマネジャー(以下:PM)になるキャリアパスしかありませんでした。
2015年頃から開発とPMを兼務するようになり、ほとんどコーディングができなくなってしまい……。近い将来現場から離れざるを得ない状況に、自分のやりたいこととの乖離を感じるようになりました。
また、前職・前々職とSlerで働いてきたことで、「自社サービスの開発をしてみたい」と思うようになったことも転職理由の一つです。自社サービスの開発ができて、なおかつコードを書くエンジニアとしての自分を求めてくれる会社を探そうと考えました。
岡崎:3社くらいですね。DIGGLEと似たような小規模のスタートアップを中心に面接を受けていました。多くても数十人くらいの企業だったと思います。
岡崎:Sler時代は大企業に常駐していたため、サービス全体が見えず自分が「こうしたい」と思っても手が届かないことへ歯がゆさを感じていました。
なので、サービス全体を見て自分が「こうしたい」と思ったところに手が届くような、インフラもバックエンドもフロントエンドも関係なくなんでもやらせてくれるような環境であることも転職先に求めていました。
岡崎:まずはメンバーの人柄です。面接ではCEOの山本、CTOの水上、創業メンバーのエンジニアと話をしたのですが、技術的な話やエンジニアの苦労話など、話し出したらとまらなくなるくらいすごく盛り上がったんですよ。この人たちとなら良いチームを築き、楽しく開発ができるだろうなと感じました。
あとは、スタートアップでありながらもただ壮大なビジョンを掲げるばかりではなく、現実的な課題に向けて実直に開発に向き合っている点も印象的でした。サービスの改善点ややるべきこともしっかり見えていて、自分にも手伝えることがあると感じることができたのは大きかったと思います。
岡崎:事前に『Prof』というWebサービスを使って簡単なポートフォリオを作成し、職務経歴書に自分の経験やスキルをまとめました。
岡崎:飾らず、ありのままの自分を出すことです。
今までの経験で身に付けたスキルがそのまま力になると信じていますし、付け焼き刃で面談に臨んでも結局バレてしまうと思います。万が一採用いただけたとしても、入社後に求められるレベルの仕事ができず評価を下げたり、つらい思いをしたりするのは自分ですからね。
水上:当時、当社の社員はCEOの山本と僕とエンジニアの3人だけだったので、採用要件は細かくは決めていなかったんです。量より質重視で、もしも「優秀なエンジニアの方とお会いできれば採用したいね」という感じ。
プロダクトを0→1で作るタイミングだったので、技術力があることはマストで、コードの読み解きや課題の理解、領域問わず主体的に手を動かせるエンジニアを仲間に迎えたいと思っていました。
あとは、社員が少ない分、カルチャーフィットも重視視していましたね。将来的に会社を支えるコアメンバーになってくれるエンジニアと出会えることを期待していました。
水上:DIGGLEには「飾らずに素直にものごとに臨もう」というカルチャーがあります。なので、自分が何を経験してきたか、どういう人物なのか、正直に伝えられるかどうかを見ていました。
特に、得意なことや苦手なことを自分で把握していて、言語化できる人なのかどうかはしっかり見させていただく部分です。
水上:はい。先ほど岡崎からもあった通り、「飾らない姿」が印象的で。自分を偽らず、ありのままで面談に臨んでくれたのは、とても好印象でした。
最初にお話しした時点では、「フロントエンドの経験があまりない」「vue.jsやJava、C#の経験はあるが、御社で使用しているReactやRailsを使用したことはない」など、経験やスキルについて包み隠さず話してくれて。
開発におけるスキルマッチを、事前にギャップなく把握することができたのは良かったですね。
岡崎:だから『DIGGLE』で使用しているReactやRailsなどの言語は入社後に一から覚えたんですよ。ReactやRailsができる人はいっぱいいたはずなのに、そんな中で「よく僕を採用しましたね」と言ったら、「そこはやればできると思ったから」と言われたのが印象的でした(笑)
水上:エンジニアリングの基礎がない人や技術に興味がない人は、面談でお話ししてもあまり会話が発展しないのですが、先ほど岡崎も言ったようにすごく会話が盛り上がったんですよ。それで、彼は基礎がしっかりあるから、新しい言語を覚えることは全く問題ないなと思ったんです。
それに、「マネジメントはやりたくない、コードが書きたい」とハッキリ言われたことが印象深くて(笑)。どういうタイプのエンジニアなのか、すぐに理解できました。
また、使ってきた言語は違えど、スキル的には何も問題なかったですし、入社後もしっかり手を動かしてくれそうという信頼もある。
一方で、「やりたくない」とは言いつつも、SIerでのマネジメント経験は中長期で組織が大きくなったときに生かせる可能性が高いと感じ、採用を決めました。
岡崎:インフラもバックエンドもフロントエンドも横断的に行えること。組織の縦割りがない分、サービス全体を見て企画・開発に関われること。1〜3カ月という短いスパンで新しい機能をリリースするため常に手を動かせること。望んでいたことは、どれもできていると感じます。
加えて、『DIGLLE』のサービス内容は経営に深く関わるものなので、クライアントの成長に貢献できると思うとやりがいは大きいです。
岡崎:現在、エンジニアのメンバーが6人いるのですが、全員が自律、自走する能力を持っていることですね。
僕は「マネジメントはしたくない」と言って入社しましたが、現在のメンバーはマネジメントする必要がない人たちばかりなんです。
“落ちているボール”があれば誰かしらが気付いてすくい上げ、押し付け合わずに自分でどうにかしてしまう。そういう環境なので、僕自身も開発に集中できています。
岡崎:スクラムマスターをエンジニア全員で順番に回しているのはすごく大きいと思います。
スクラムマスターの役割の中には、落ちているボールを拾ったり、各種リマインドを行ったりすることも含まれます。みんながスクラムマスターを経験することによってタスクへの意識が自然と向くようになり、スクラムマスターが声をかける前に落ちているボールに気付いて拾ったり、リマインドされる前に各人が作業を終わらせたりといったことが当たり前になった。その結果、いまやほとんどマネジメントする必要がないチームになったのかなと。
水上:スクラムマスターを順番に回すアイデアは前職の時に試してみてすごく良かったので、DIGGLEでも創業時から取り入れていました。
スクラムマスターを専任にすると、どうしてもみんなその人に依存して頼り切ってしまいます。でも、全員がスクラムマスターのつらさを身を持って体験すると、常に協力的になれる。結果的にどんなに小さいボールでもみんなが飛びつくようになってしまったので、「それは非効率過ぎる!」と僕から注意することもあるんですけどね(笑)
岡崎:開発チームのカルチャーがしっかり醸成されているからだと思います。既存のメンバーが固めてきた土台を、新しいメンバーが見て学んで真似て行動していますね。
水上:岡崎が入社してくれたことも大きいと思います。彼はSlerでマネジメントを経験してきていますから、ワークフローの管理が非常に正確で。対応漏れがないか、進捗がどうなっているか、細かく見てくれています。若いメンバーもそれを真似しているのかなと思います。
岡崎:サービスが成長にともないありがたいことに顧客数も増える中で、徐々に事業規模の大きなクライアントも増えてきました。予算や実績のデータ量が多くなると画面表示が通常よりも遅くなるなど性能面での改善も必要です。
なので、大量のデータでも効率よく集計し、レポートへ反映させられるようにサービスを改善すること。予実管理をもっと高速化して素早い経営判断ができる土壌を提供していきたいですね。
また、私個人としては年齢的に新しい技術やスキルに追い付きづらくなっているので、今使っている言語やプラットフォームの最新動向、チームマネジメントなど、必要なことは何でも勉強していきたいです。
とはいえ、自分だけではどうしても限界があるため、エンジニアメンバー全員で定期的にやっているランチ勉強会で、自分からも発信し他メンバーからも発信してもらうことで、自分がまだ知らないことをもっと吸収していけたらと思います。
取材・文/阿部裕華 撮影/赤松洋太 編集/河西ことみ(編集部)
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