採用担当者はどこを見ている?
エンジニア転職「成功の仕様書」売り手市場が続くエンジニアだけれど、希望の企業の内定を得られるかどうかは別の話。そこでこの連載では、転職者・採用担当者双方の視点から“理想の転職”を成功させる極意を探る
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採用担当者はどこを見ている?
エンジニア転職「成功の仕様書」売り手市場が続くエンジニアだけれど、希望の企業の内定を得られるかどうかは別の話。そこでこの連載では、転職者・採用担当者双方の視点から“理想の転職”を成功させる極意を探る
一つの仕事を長く続けていると、自分の成長に「停滞」を感じるタイミングが多くの人に訪れる。
現在、野村総合研究所(NRI)グループのNRIデータiテックで働くH.Kさんもその一人。新卒からインフラ系システムエンジニア(SE)のキャリアをスタートし、約10年にわたって一つの領域で技術力を磨いてきた。
前職ではドイツに拠点を構える日系企業に2年半ほど勤務。家庭の事情から帰国を決断すると同時に、インフラ系SEとしてさらに成長できる場所を求め、転職活動を始めた。
そんな彼が選んだのが、ITインフラに特化した事業を展開するSIerのNRIデータiテックだ。H.Kさんは「エンジニアとして経験の幅を広げられる、成長できる職場と出会えた」と語る。
なぜ、理想をかなえる転職が実現できたのか。H.Kさんと、同社採用担当の山下真喜子さんに転職成功のポイントについて聞いた。
【中途入社者】NRIデータiテック株式会社
オフィス基盤事業2部 PCLSサービス課 PCLSチーム
インフラエンジニア H.Kさん
新卒からインフラ系のシステムエンジニアとして働き、2015年にドイツの日系企業に転職。2018年1月、日本への帰国を機にNRIデータiテックに入社。PCLSチーム(PCのライフサイクル管理を行うチーム)に配属され、外部顧客のPCに関する要件定義~設計構築、展開のPLを担う
【採用担当者】総務部 人事課 山下真喜子さん
2006年、NRIデータiテック株式会社に新卒入社。インフラエンジニア/プロジェクトリーダーを経て、2020年に人事課に異動。人材採用の企画・運営、人材育成を手掛ける
採用担当者の山下さんに聞いたH.Kさんの「内定のポイント三つ」
(1)インフラ領域にまつわる幅広い経験を積んでいた
(2)人から信頼されるコミュニケーション力がある
(3)リーダーやマネジメントポジションを目指していた
――はじめに、H.Kさんが転職活動した経緯を教えてください。
H.K:私は新卒の時からずっとインフラ系のシステムエンジニアとして働いているのですが、7年ほど経ったタイミングでもっと経験の幅を広げようと、ドイツに拠点を構える日系企業に転職し、渡独したんです。ですが、それから2年半ほどで家庭の都合で帰国することになり、日本で転職先を探すことになりました。
転職先に求めたことは、サーバーやネットワークを含めたインフラ系システムエンジニアとしての経験値を広げられる環境であること。そして、これまでの職場でつちかった経験を生かしながら、より大規模な案件に関わったり、チームを率いていくような仕事に携わったりしてみたいと考えていて。
転職エージェントに登録し、希望に合う会社をいくつか紹介してもらいました。
――その中の1社がNRIデータiテックだったということですね。複数候補があったかと思いますが、特にどういう点が入社の決め手になったのでしょうか?
H.K:一つは、面接の際に受けた業務の説明や質疑応答などでの納得感が非常に高かったことです。自分が今後やりたいことと、自分にできそうなことのイメージが合っているなと思いました。
もう一つは、面接前後の丁寧なメールや、面接中の発言などを通じて、「採用したい」という熱意を強く感じられたことでした。
また、印象的だったのは、2次面接を担当してくれた部長が私の自己PRを聞いて、「あなたの経験はここですべて生きます」と断言してくれたことです。それで、この会社で活躍できるイメージが湧きました。
――今回の転職にあたって面接の場で工夫したことは?
H.K:自分自身をありのままに伝えるようにしました。転職活動の内定を「合格・不合格」というよりは「マッチング」としてとらえたのがよかったのだと思います。
面接などでは、内定が欲しいあまり経験やスキルを盛って伝えて自分を大きく見せがちです。すると、自分も考え過ぎたり緊張してしまったりするし、採用されたとしても期待値が高まり過ぎてそれに応えられなかったりもする。最終的に会社に迷惑を掛けてしまうことになります。
一方で、面接をマッチングの場だととらえれば、それぞれの会社の雰囲気や、必要とされているものと自分のスキルや考え方が合っているのかを落ち着いて見ることができます。だから、自分の等身大の姿をしっかり伝えて、それがマッチするかどうか、結果はお任せしますという気持ちでいました。
また、自分のことを分かりやすく相手に伝える手法に関しては、エージェントの方に教えていただいたことが役立ちました。
面接で話せる時間は限られていますから、短い時間の中で何を伝えるかということを、第三者の視点で確認してもらえたことは助かりました。
――次に、山下さんに質問です。NRIデータiテックのエンジニア採用では、特にどのようなポイントを重視していましたか?
山下:当社の事業の中心がITインフラですから、基本的なスキルとしてはやはりPCクライアントやWindows/Linuxサーバー、ネットワークなどの設計・構築に関わるスキルを持っている方を求めています。
特定の技術というよりは、それらの経験がある方を広く募集して、それぞれのふさわしい部署、ポジションをおすすめしています。
それから当社はSIerなので、エンジニアには技術力だけでなく、お客さまとの会話の中でニーズをくみ取る力も必要です。そのため、コミュニケーション力や、相手の希望を汲んだ最適な提案ができるかどうかも採用のポイントとなります。
――そういった素養を見抜くために、面接ではどのような工夫をしているのでしょうか。
山下:当社では通常、面接を3回実施します。1次面接は人事部が候補者の方の人柄やコミュニケーション力を確認させていただいて、2次面接では現場のマネジャーが、技術的なスキルの部分がマッチするかを見させていただきます。
最終面接は役員が入って、応募者のキャリアや将来に対する考え方や、困難な状況をどのように乗り越える人なのかを見る質問をさせていただくことが多いです。苦労したことをどのように乗り越えたのかをお聞きすることで、その人の交渉力や考え方を知ることができますし、次に仕事の中で課題に直面したときに過去の経験を応用してクリアできる可能性が高いからです。
――そうした中で、H.Kさんの採用を決められたポイントは?
山下:大きいのは、PC・サーバー・ネットワークの全般にわたって、広い経験を積まれていた点です。
その時点で募集していたポジションはもちろん、将来的に違う領域の仕事がしたくなったり、別の部署で働きたくなった場合も、弊社ではエンジニアの意思次第で異動も比較的柔軟に検討できるため、H.Kさんには長い目で見てあらゆる可能性が社内で用意できると感じました。
社内で経験を生かして活躍できるポジションがたくさんあることは間違いありませんでした。
また、面接時の第一印象は「控えめな方」だったものの、お話しをしていく中で、落ち着いてしっかりと相手の話を聞けて、かつ自分の意見もしっかりと伝えられる人だと分かってきて。対顧客という意味でも、社内のリーダーという意味でも望ましい能力を持っていると判断しました。
――リーダーとしてのポテンシャルも評価されたということですね。
山下:ええ。当社の場合、経歴書や自己PRでは技術的なアピールだけでなく、「年齢に見合った役割を果たせるかどうか」も重視しています。
20代の若手だったらメンバーとして手を動かせることがアピールになりますが、30歳を超えてくるとサブリーダーくらいの立場で案件をリードするような動きができそうか……といったことがより重要になってきます。
つまり、経験や年齢に応じた視座の高さを持ち合わせているかどうかということですが、H.Kさんはリーダーやマネジャーへポジションアップする意欲もあり、その点も採用の決め手でした。
――入社してみて、当初のイメージと実際の仕事は合っていましたか?
H.K:仕事内容はイメージしていた通りで、現在はプロジェクトリーダーの仕事に挑戦しています。
入社前は、金融業界との関わりが深いこともあって「お固い社風」なのかな、と思っていたんですが実際は違いました。想像以上にやりたいことに挑戦できる環境だったことが、いい意味で意外でした。
例えば、新しい技術を試してみたいときに、必要な予算はちゃんと確保してくれます。最近であればテレワークも増えたので、アクティブディレクトリをクラウドで運用する必要が増えました。Azure ADを使ったサービスや、Intuneを使ったモバイル環境など、新しい技術を検証しておく必要があると考えて相談したところ、すぐに認めてもらえました。
また、プライベートでは去年2人目の子どもが生まれたので、2カ月ほど育休を取ったんです。ワークライフバランスの面でも部署として協力して調整してくれますし、フレックスやリモート、サテライトオフィスで働くこともできる。そういう柔軟さはすごく気に入っていますね。
山下:自由度の高さや裁量の大きさは、この会社の良いところだと思います。私も以前エンジニアとして働いていた頃、担当のお客さまと相談して新しいサービスを入れてみたいとなったら、自分の判断で導入を進めることができました。
当社は「ベンダーフリー」をうたっていて、複数の会社のサービスを組み合わせてお客さまにとって最も良い方法を提案、実現していくことができるのが特徴。与信管理や「NRI品質」と呼ばれるQCDの基準があるため、会社としての品質担保の体制も整っています。
H.K:あとは、前職に比べると、チームとしての一体感が高いと感じますね。日々の仕事の中でどうしてもミスすることはあります。そういう時に個人の責任にしてしまわないで、なぜそういうミスが起きてしまったのかをチーム全体で分析して、仕事のやり方全体を改善していく風土がある。そこがいいなと思っています。
――山下さんから見て、H.Kさんの活躍ぶりはいかがですか。
山下:入社から4年経ちますが、すでにリーダーとして活躍していますし、今後もさらにマネジャーとして会社の中核を担っていく存在になると期待しています。実際、H.Kさんの部下から「H.Kさんにはちゃんと話を聞いてもらえる」といった声も聞こえてきて、メンバーからの信頼も厚いようです。
――最後に、H.Kさんが今後挑戦してみたいことを教えてください。
H.K:これから後輩も増えていくので、これからは自分自身の案件管理だけでなく、メンバーやプロジェクト全体を見通したマネジメントスキルをさらに磨いていきたいと考えています。
そのために、技術面だけでなく収益やコストの管理などもできるようにしていきたい。そんな思いから、最近は社内外で研修を受けています。
転職時に抱いていた「インフラエンジニアとしての活躍の幅を広げる」ことが実現できていますし、これからも得意分野を増やせるように務めていきたいですね。
取材・文/高田秀樹 編集/河西ことみ(編集部)
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